この仮面の戦士に祝福を   作:ナハト02

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 みなさんお待たせしました。

 順調に執筆活動が進んだので、こんなに早く投稿できました。

 ここ最近、見たい映画を見に行くことが出来ないでいます。
 仮面ライダーリバイス。
 ソー:ラブ&サンダー。
 バズ・ライトイヤー
 ドラゴンボール超 スーパーヒーロー。
 機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島 等。

 劇場で見たい映画が見れずにいます。

 ゲームの方は今はSDガンダムGジェネレーションクロスレイズをやっています。
 このゲームに、スペリオルドラゴンが出てきた時は、ビックリしました。
 思わず、「懐かしい!」と言ってしまいました。

 みなさんはどうですか?
 毎日を楽しく過ごせているでしょうか?
 今は大変な世の中ですけど、頑張って生きていきましょう。

 では、第二十話をどうぞ。


第二十話 このボッチの紅魔族に祝福を

 

アンナ

「それいけー!」

 

ブレイブ

「ギイィ!」

 

 俺達は今押収されてしまった屋敷の方にいる。

 飛電インテリジェンスの居住区画の部屋があるとはいえ、朝にはこっちに戻ってきている。

 いつ誰がくるかわからないから。

 

 アンナはブレイブの背中に乗って庭を駆け回っている。

 この光景だけを見れば微笑ましいのだが、季節は冬。

 やっぱ外は寒い。

 ・・・て言うかブレイブ、お前冬は大丈夫なのか?

 ドラゴンって感覚的には爬虫類だよな?

 冬の間は冬眠したりしないのか?

 

アクア

「クシュン!」

「う〜寒いよ〜、・・・・・・あー、誰か暖めてくれないかな〜?」チラ

 

 露骨にこちらをチラチラ見ている。

 言えば抱き締めてやるのに。

 

賢治

「アクア、こっち来いよ。」

 

アクア

「やった!」ギュー

 

 そう言って嬉しそうに抱き付いて来る。

 これくらい素直に甘えればいいのに。

 

カズマ

「・・・ああああああああああああ!!!」

 

アクア

「!? 何よいきなり?」

 

 すると、今まで黙っていたカズマが急に叫び出した。

 一体なんだろうか?

 

カズマ

「わからないのか? 領主の元に行ったダクネスが、もう三日も戻って来ないんだぞ。」

「きっと今頃・・・」

 

アクア

「・・・あ!」

 

カズマ・アクア

「あああああああああああああああああ!!!」

 

 二人はダクネスが領主に酷い事でもされる所を想像したのか、また叫び出した。

 ・・・ぶっちゃけ、あのドMクルセイダーにはご褒美になってしまうと思うが。

 まぁ、ダクネスもドMだと言う所を除けば、いい女な訳だし。

 心配じゃ無いと言えば嘘になるが。

 そんな時に。

 

???

「な〜う。」

 

 という、気の抜けた鳴き声が聞こえた。

 そこには羽の生えた猫みたいな動物を抱えためぐみんと零子とエルシャがいた。

 

カズマ

「めぐみん?」

「なんだその・・・猫?」

 

めぐみん

「・・・迷惑はかけないと思うのですが?」

 

零子

「なんか、起きたらめぐみんの部屋にいたんだって。」

 

賢治

「飼いたいってことか? うりうり・・・」

 

猫?

「な〜う♪」ペロペロ

 

 俺が顎の下を撫でると、気持ちよさそうに鳴いたら手のひらを舐めてきた。

 

エルシャ

「あら、賢治のこと気に入ったのかしら?」

 

零子

「そう言えば、ケン君って猫に好かれやすかったわね。」

 

 確かに以前から猫には好かれやすいと思っていた。

 ベンチに座っていたら、野良猫が膝の上に乗っかって、そのまま昼寝を始めたこともあったくらいだ。

 アクアも撫でようとするが、引っ掻かれてしまう。

 

アクア

「痛! ちょっとなんで私にだけ爪を立てるの?」

「なんて事かしら。 この太々しい態度といい、漆黒の毛皮といい、何か邪悪な気配を感じるわね。」

 

 猫に引っ掻かれたくらいで何を言っているんだか。

 しかし、ファーストコンタクトでこの嫌われ様は、悲しいな。

 

アクア

「ねぇ、この魔獣の名前はなんていうの?」

 

めぐみん

「ちょむすけです。」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

カズマ

「今なんて?」

 

めぐみん

「ちょむすけです。」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

 メーミングセンスの無さはいまだに健在のようだ。

 

セナ

コンコン 「あの、よろしいでしょうか?」

 

賢治

「セナさん?」

 

 リビングの部屋のドアを叩き、申し訳なさそうにしているセナさんがいた。

 これは、あれだな。

 クエストか。

 

 

 

ーアクセルの街 南門前ー

 

 ○ジャイアントトードの大群の討伐○

 

 俺が牢屋に入っている最中も、めぐみんの日課は続いていた。

 つまり、爆裂散歩だ。

 昨日も近場の魔王軍の砦に、零子と一緒に赴き、爆裂魔法をぶちまけたのだ。

 

 その影響か?

 冬眠していたジャイアントトードが目を覚ましたのだ。

 今回のクエストは、いわば後始末だ。

 今も1匹カエルを倒した所だ。

 

賢治

「カエルがこの寒さの中でも動きが鈍くならないとか、逞し過ぎだろ。」

 

 でっかいカエルとはいえ、所詮はカエル。

 当然冬眠はする。

 自身の体温の低下を防ぐための冬眠なのに、このカエル達の動きは俺達の知っているジャイアントトードと全く同じに見える。

 ・・・冬眠する必要あるか?

 

めぐみん

「私達も負けていられませんよ。」

「もっと強くなって、この過酷な世界を、生き抜くのです。」

 

 そう言ってめぐみんはカエルの山に仁王立ちし、格好いいセルフを言う。

 今のめぐみんは俺達のパーティの中で一番レベルが高い。

 魔力なんて俺を追い越している。

 

 そんなステータスで、ジカンデスピア片手にカエル達相手に変身なしで普通に討伐して見せたのだ。

 

賢治

「めぐみんも強くなったな。」

 

めぐみん

「これでも仮面ライダーですから。」

「いざという時、近接戦闘ができないようでは、一流のアークウィザードとは言えませんよ。」

 

 いい心がけだと思う。

 カズマ・エルシャ・零子もそれぞれ、ライダーウェポンを手にカエルを討伐して行っている。

 こうなってくると、アクアが不安になるだろう。

 

 しかし、それが普段通りならだ。

 普段通りのアクアなら、せいぜいカエルを釣る囮として使われていただろう。

 だが、今回は違っていた。

 

アクア

「フハハ! 今日の私は一味違うわよ!」

「『アクアブリッド』!」

 

 アクアは自分の周囲に水の塊を複数出現させ、1センチサイズの水の弾丸をチェーンガン並みの速さで打ち出しているのだ。

 そのせいで、カエル達は身体中が蜂の巣になっている。

 

 アクアは膨大な魔力があるのに、これまではそれを生かしきれていなかった。

 この戦い方は、俺がアドバイスをしたから生まれたまのだ。

 感じ的には、某黄金の英雄王様のゲー○オブ○ビロン。

 又は、赤い兄貴の投影魔術だ。

 

アクア

「フハハ! どう!思い知ったかしら?」

 

カズマ

「アクア、お前意外とすごいな。」

 

アクア

「あらカズマ、ようやく私の凄さに気付いたのかしら?」

「もっと褒め称えてもいいのよ!」

 

セナ

「流石です! 皆さんお強いですね。」

 

 そんな感じで余裕を見せていたもんだから気づかなかった。

 まだ終わっていないという事を。

 

めぐみん

「あ! 待ってください!」

「追加のカエルです!」

 

賢治・カズマ

「な!」

 

 その時、隙をつかれてアクアとめぐみん、そしてセナさんが。

 

アクア

「いやあああああああ!!」

 

めぐみん

「あああああああああ!!」

 

セナ

「きゃあああああああ!!」

 

 バクっ!

 っと、3人はジャイアントトードに食われてしまったのだ。

 

エルシャ

「三人とも!!?」

 

零子

「大変! 助けないと!」

 

 とは言え、まだ無事な俺達もそれぞれカエルの相手で手が離せない。

 よく見ると、食われた三人の足が少しずつ飲み込まれ始めている。

 

賢治

「くそ! やばいぞ。」

 

 その時。

 

???

「『ライト・オブ・セイバー』!」

 

 ブオン! ブオン!

 と、まるでス○ーウ○ーズのライトセイバーような音と共に、周辺のカエル達が斬られた端から爆散していった。

 先ほど聞こえた声が正しければ、今のは上級魔法の『ライト・オブ・セイバー』のはずだ。

 しかし、その魔法は俺も使えるが、こんな風にならなかった。

 どちらかと言えば『OO(ダ○ルオー)スカイ』の『ハイ○ーザン○カイ』のような形だった。

 

 その魔法を使った主は。

 

???

「・・・ふぅ〜。」

 

 黒い髪に、黒い服とピンクのミニスカート。

 赤い瞳の美少女だった。

 そして、とても発育の良い体をしている。

 

賢治

(紅魔族か? ・・・・・・うん、いい意味でけしからん。)

 

 カエルから吐き出された三人は、案の定粘液まみれになっている。

 一応アクアが浄化の魔法を使って、無味無臭無害の粘液にしているが、大元はカエルのだ。

 臭くないとはいえ、早く洗い流したいだろうな。

 

カズマ

「誰だか知らないけど、助かったよ。」

 

零子

「えぇ、ありがとうね。」

 

???

「! ・・・べ、別に助けた訳じゃありませんから。」

「ライバルがカエルなんかに負けたら、私の立つ背がない・・・というか・・・」モジモジ

 

エルシャ

「? ライバル?」

 

めぐみん

「・・・・・・」

 

???

「ひ、久しぶりねめぐみん。」

「きょ、今日こそ、長きに渡る勝負に決着をつけるわよ!」

 

 そう言って、ビシッ! とめぐみんを指差す紅魔族の彼女。

 めぐみんの知り合いみたいだ。

 しかし、めぐみんは。

 

めぐみん

「・・・どちら様ですか?」

 

???

「え!!?」

 

めぐみん

「だいたい、名乗りもしないでいきなり勝負を挑んでくるなんて、失礼ですね。」

「これはアレですか? 以前カズマや賢治が言っていた『オレオレなんとか』というやつですか?」

 

 いやどう見てもめぐみんの知り合いだろう?

 見た目が紅魔族だし。

 彼女も今にも泣きそうな顔をしている。

 なんかこっちが虐めているような気分だ。

 

???

「ーーー! わかったわよ!」

「人前で恥ずかしいけど! ・・・こほん。」

 

 そう言って彼女は、意を決して。

 

???

「我が名はゆんゆん! アークウィザードにして、上級魔法を操る者!」

「やがては紅魔族の長になる者!」

 

めぐみん

「というわけで、彼女はゆんゆん。」

「紅魔族の長の娘で、私の自称ライバルです。」

 

ゆんゆん

「!! 覚えてんじゃないの!!」

 

 わざとだったのか。

 やめてやれよ、そいうの。

 

カズマ

「なるほど。 俺はめぐみんの仲間の佐藤和真。」

 

賢治

「俺は霧島賢治。 こっちは沖田零子とエルシャ。」

「それからアクアだ。」

 

ゆんゆん

「あ・・・あれ? 私の名前を聞いても笑わないんですか?」

 

 紅魔族のネーミングセンスには大概慣れたつもりだ。

 それに。

 

カズマ

「世の中にはな、個性的な名前があるのに、『頭のおかしい爆裂娘』なんて、不名誉な通り名で呼ばれている奴がいるんだよ。」

 

めぐみん

「!!? 私ですか! それって私のことですか!!」

「私が知らない間にそんな通り名が定着していたのですか!!」

 

 めぐみんは知らなかったのか。

 ギルドでは大概の奴らが、めぐみんのことをそう呼んでいる。

 本人の前で入っていないようだが。

 

ゆんゆん

「さ、さすがめぐみんね。」

「いい仲間を見つけたようね。 それでこそ私のライバル!」

「私はあなたに勝って、紅魔族1の座を手に入れる!」

「さぁ、めぐみん! 私と勝負しなさい!」

 

めぐみん

「嫌ですよ。 寒いですし。」

 

ゆんゆん

「え?! なんで?」

 

 ゆんゆんの勝負の申し込みをバッサリと断るめぐみん。

 受けてもらえると思っていたゆんゆんは、慌ててめぐみんに頼み込んでいる。

 

セナ

「え〜っと、それでは、今回はありがとうございました。」

「大変心苦しいですけど、次もお願いします。」

 

 そう言ってセナさんはアクセルの街へ戻っていった。

 

アクア

「私もお風呂に入ってくるわね。」

 

エルシャ

「私も汗かいたからいくわ。」

「あのお風呂はとても便利で、最高だから。」

 

 アクアはエルシャと一緒に風呂に入りに行った。

 エルシャは飛電インテリジェンスにある入浴施設を気に入ったようだ。

 俺達異世界転生組は、慣れ親しんだものだが、この世界の住人であるエルシャからすれば、自動でお湯を沸かしたり、シャワーや蛇口からお湯が出るなんて、明らかに今の技術ではできない道具に驚いていた。

 この世界の風呂は水を運ぶのは手作業だし、沸かすのも手作業だ。

 いくつかは魔法で済ませることはできるが、完全に自動とはいかない。

 

 しかも自動で髪を乾かせるドライヤーや、マッサージチェアまである。

 冷蔵庫の中には牛乳やコーヒー牛乳、さらにフルーツ牛乳まである。

 

 一応全自動洗濯乾燥機もあり、服や下着を入れてスイッチを押しておけば風呂に入っている間に、洗濯と乾燥ができるようになっているので、着替えを用意する必要もない。

 バスローブも置いてあるみたいだが、俺は使ったことがない。

 

 そうこうしている内に、結局めぐみんが折れる形で勝負をすることになった。

 ゆんゆんはとても嬉しそうだ。

 

めぐみん

「その代わり、勝負の内容は私が指定しますよ。」

「体術勝負でどうですか?」

 

ゆんゆん

「え? いいの?」

「学園ではろくに体術の授業に出なかっためぐみんが?」

「昼休みの時間になるとこれ見よがしに私の前をチョロチョロして、勝負をさせて私からお弁当を巻き上げていたあなたが?」

 

賢治・零子・カズマ

「・・・・・・・・・・」ジー

 

めぐみん

「・・・・・・・・・・」

 

 めぐみんのやつ、そんなことをしていたのか?

 

カズマ

「お前・・・」

 

めぐみん

「私だって死活問題だったんです。」

「家庭の事情で彼女の弁当が生命線だったのです。」

 

零子

「死活問題?」

 

賢治

「生命線?」

 

 なんか、すごい言葉が出てきたぞ。

 めぐみんの実家って、そんなに貧乏なのか?

 ・・・そう言えばめぐみんって、実家に仕送りしているって聞いたような?

 

ゆんゆん

「・・・わかったわ。 体術勝負でいいわ!」

 

カズマ

「え? いいの?」

 

めぐみん

「いいでしょう。 では、何処からでもかかって来なさい!」

 

 そう言って、めぐみんとゆんゆんは構える。

 体格的にゆんゆんに軍配が上がりそうだ。

 めぐみんは体術による戦闘は得意ではなさそうだが、今の彼女は仮面ライダーだ。

 仮面ライダーをやる上で近接戦闘は避けては通れない。

 現に今回のジャイアントトードの討伐でも、一発だけ爆裂魔法を使ったが、それ以外は全部ジカンデスピアによる近接戦闘で討伐していた。

 

 最近めぐみんはスキル・魔法付与というスキルを獲得したみたいで、そのスキルで『ツエモード』のジカンデスピアに爆裂魔法を付与して、ジカンデスピアを叩き付けると同時に、爆発で吹き飛ばすという技を編み出したのだ。

 

 話はそれたが、ゆんゆんがここであることに気づいたのだ。

 

ゆんゆん

「・・・? ・・・・・・め、めぐみん。」

「なんだかめぐみんの体が、テカテカ光って見えるんだけど?」

 

めぐみん

「そうですよ。 この全身ネッチョリは全部カエルのお腹の中の分泌物。」

「さぁ、近づいて来た瞬間、思いっきり抱きついて、そのまま寝業に持ち込んであげます。」

 

 めぐみん・・・ひどいこと考えるな。

 目が赤く輝いているぞ。

 アクアのお陰で浄化されているけど、これは嫌だ。

 俺なら全速力で逃げるな。

 

ゆんゆん

「う、嘘でしょ?!」

「私の戦意を削いで降参させようって作戦なのよね? でしょ?」

 

めぐみん

「・・・私達、友達ですよね?」

「友達というのは、苦難を分かち合うものだと思うのです・・・」

 

 と、笑顔で言うめぐみん。

 雲の隙間から日光が差し込み、めぐみんを照らし出す。

 そのせいか? めぐみんがとても輝いて見える。

 

 そして・・・

 

ゆんゆん

「いーやああああああああああ!!!」

 

めぐみん

「ヌーン! ヌーン!」

 

 ゆんゆんは悲鳴をあげて逃げ出した。

 それを追うめぐみん。

 

賢治・カズマ

「うわ〜。」

 

零子

「ゆんゆん・・・可哀想に。」

 

 結局ゆんゆんはめぐみんに捕まってしまう。

 降参と言っていたが、めぐみんがそれを許さなかった。

 めぐみんは「今日も勝ち!」と言ってドヤ顔をしていた。

 

 勝負の内容はしょうもないが。

 

 その後、ゆんゆんと別れた俺達は、屋敷へ向かっていた。

 その時、ゆんゆんの話題になりカズマが「ゆんゆんより、めぐみんの方が可愛いな。」と揶揄(からか)ったせいで、めぐみんに抱きつかれた。

 元論、全身粘液まみれのめぐみんにだ。

 

 屋敷に着くと、アンナとブレイブ、そして新しく加わったちょむすけが出迎えてくれた。

 めぐみんはちょむすけを撫でようとするが、ちょむすけは全力で逃げていった。

 そのことに、めぐみんは若干ショックだったようで、固まっていた。

 

 カズマが風呂に入ろうとすると、めぐみんがカズマの腕を掴んで止めた。

 

カズマ

「・・・なんだよ?」

 

めぐみん

「レディファーストって言葉、知ってます?」

 

 と言ってきた。

 カズマの返事は?

 

カズマ

「俺は真の男女平等を願う男だ。」

「都合のいい時だけ女の権利を主張し、都合の悪い時は男のくせにとか言う輩は許さん。」

 

 二人はしばしの沈黙後、風呂に向かって走り出した。

 風呂場から口論が聞こえるが、俺は思ったから言う。

 

賢治

「・・・飛電インテリジェンスの入浴施設に行けばいいのに。」

 

 向こうには大浴場だけでなく、個室もあるのだ。

 よって、あの二人のような口論をする必要などない。

 

賢治

「俺も風呂はいろ。」

 

零子

「あ! ねぇ、ケン君。」

 

賢治

「うん?」

 

零子

「・・・一緒に入る?」

 

 と言ってきたので、俺は。

 

賢治

「いいのか?」

 

 と聞いた。

 確かに以前、何回か一緒に入浴したことがある。

 零子は小さく頷く。

 

 一緒に入ることになった。

 二人で入る為に飛電インテリジェンスの大浴場の方に入った。

 そこには、先に入っていたエルシャとアクアがいた。

 結局最終的に四人で風呂に入ることになった。

 

 三人が俺のそばに寄ってきて、俺が大変なことになった。

 風呂とはゆっくりする場所であって、頑張る所ではないのだが・・・

 三人みたいな美人に迫られてはどうしようもなかった。

 ・・・それとも俺の意志が弱いのだろうか?

 

 その後、カズマとめぐみんに合流した俺達は、晩御飯にするためにギルドの食堂へ向かった。

 カズマとめぐみんが妙にギクシャクしていたが、・・・二人も一緒に風呂に入ったのだろうか?

 

 

 

 

 次の日、俺達はウィズの店にやってきた。

 理由は、実は零子はウィズの店に自分が作った製品を納品しているのだ。

 そして、その売上の三割を受け取っているらしい。

 今回は三枚刃のT字の髭剃り、髭剃り用のジェル、女性用の保湿クリーム、この三つである。

 

賢治

「ウィズ、これ零子に頼まれて持ってきて・・・」

 

ゆんゆん・めぐみん

「あ!?」

 

 果たして偶然か必然か、ゆんゆんが店の中にいた。

 

ウィズ

「実は」

 

ゆんゆん

「我が名はゆんゆん! なんて言う偶然! なんて言う運命の悪戯!」

「こんな所で会うなんて、やっぱり終世のライバルね!」

 

 と、格好よく決め台詞を言うゆんゆん。

 この子やっぱりどう見てもめぐみんのことが好きだろう。

 

ウィズ

「皆さんがこの店の常連だと聞いて、朝からずっと待っていたんですよ。」

 

ゆんゆん

「・・・・・・・・」//////

 

 ウィズの言葉でさっきの言葉が台無しだ。

 朝からこの店にいたなんて、どんだけめぐみんが好きなのだろか?

 言い方を変えるなら追っかけか、悪く言うとストーカーだが。

 

ゆんゆん

「何を言ってるんですか店主さん!」

「私はマジックアイテムを買おうと・・・あ、あの! これください!」

 

ウィズ

「・・・え〜っと、それは・・・避妊具ですけど?」

 

ゆんゆん

「ええぇ!!!」//////

 

 そう、ゆんゆんが手に取ったのは避妊具、それも男用のだ。

 ちなみにこれも零子の商品だ。

 裏側には『零子製作所』と書かれてあったから、間違いない。

 

 確かに需要はあると思うが、もう少し目立たない所に置いておくべきだな。

 男であろうと女であろうと、手に取ることも買うことも恥ずかしい物なんだから。

 店員が女性なら、男なら尚更恥ずかしいだろう。

 

 ゆんゆんが落ち着くまでしばらくかかった。

 その間に、零子の商品をウィズの店に納品して、これまでの商品の売上を回収した。

 思っていた以上の売上があったので、びっくりだ。

 ウィズも笑顔でホクホクだ。

 

 ・・・て言うか、ちょむすけ!

 ウィズに(じゃ)れ付いてるつもりなんだろうけど、今すぐやめろ!

 ウィズの(ふく)よか胸が揺れて気になって仕方ない。

 

カズマ

「待ち伏せるなんて回りくどい事しなくても、家を訪ねてくればいいのに。」

 

ゆんゆん

「そ、そんな! いきなり人様の家に行くなんて・・・」

 

めぐみん

「全く、煮え切らないですね。」

「これだからボッチは。」

 

カズマ

「え? そうなの?」

 

めぐみん

「ゆんゆんは自分の名前を恥ずかしがる、紅魔族にしては変わり者で、いつも一人でした。」

「その前をこれ見よがしに、ウロウロしてやると、それは嬉しそうに勝負を挑んできて・・・」

 

賢治・カズマ

「え〜・・・」

 

 確かにゆんゆんは紅魔族にしては、普通の感性を持っているような気がしてた。

 ただ、相当ボッチを拗らせているな。

 友達が欲しいのに恥ずかしがりと言う性格のせいで、うまく友達ができなかったのだろう。

 

ゆんゆん

「そ、そこまでひどくは・・・友達だっていたもの!」

 

めぐみん

「・・・? 今聞き捨てならない言葉を聞きましたが?」

「ゆんゆんに友達?」

 

ゆんゆん

「い、いるわよ! 友達くらい!」

 

 そうか、ちゃんと友達がいるんだ。

 一体どんな友達だろう?

 

ゆんゆん

「『ふにふらさん』や『どどんこさん』が「私達友達よね」と言って()()()()でご飯食べに行ったりしてるんだから。」

 

賢治

「・・・うん?」

 

 それって集られているだけじゃ・・・

 そんな奴を友達と言っていいのだろうか?

 もし、紅魔族の里に行く機会があったら、その『ふにふら』と『どどんこ』ってやつを探してみるか。

 

カズマ

「よせ! それ以上は聞きたくない。」

 

めぐみん

「・・・はぁ、それで?」

「爆裂魔法しか使えない私としては、魔法での勝負は避けたいのですが?」

 

ゆんゆん

「他の魔法も覚えなさいよ。 スキルポイントも貯まったでしょう?」

 

めぐみん

「貯まりましたよ、ここ最近は効率良くポイントが貯まるので。」

「で、そのポイントはもれなく全て、『爆裂魔法威力上昇』や『高速詠唱』のレベルアップにつぎ込んでいます。」

「あと最近は、『魔法付与』や『空間転移』にもポイントを振りましたけど。」

 

 効率が良いのは、爆裂散歩のおかげである。

 意外なのは、『魔法付与』や『空間転移』も取得していたことだ。

 てっきり爆裂魔法関連のスキルにしか興味がないと思っていたから。

 

ゆんゆん

「そ、そうなの? 意外だけど・・・なんでそんなに爆裂魔法にばかりこだわるのよ。」

 

カズマ

(いいぞ。 もっと言ってやってくれ。)

 

アクア

「勝負、勝負って、同級生なのに殺伐としてるわね。」

「・・・うん? ・・・ねぇ、これなんてどう?」

 

賢治

「うん?」

 

 そこで、今まで無言でお茶を飲んでいたアクアが水晶を指差して聞いてきた。

 

アクア

「『仲良くなる水晶』ですって。」

 

 『仲良くなる水晶』?

 なんだそれ?

 ・・・胡散臭いな。

 

ウィズ

「あ! それ、熟練の魔法使いじゃないと、うまく使えないんですよ。」

 

ゆんゆん

「それが使えれば、仲良くなれるんですか!?」

 

ウィズ

「えぇ、まぁ。 試してみますか?」

 

 ゆんゆんは「仲良くなれる」と言う部分に反応したのか、嬉しそうだ。

 仲良くなるのに熟練の魔法使いじゃないと使えないとか、ますます胡散臭い。

 このマジックアイテムを作った奴は何を考えているのだろうか?

 

めぐみん

「別に仲良くなる必要なんて無いのですが。」

 

 めぐみんも胡散臭さを感じているのか、使う気はないようだ。

 ・・・それとも本心で、ゆんゆんと仲良くなる気がないから、そう言っているのか?

 

賢治

(・・・いや、それはないか。)

 

 いくらなんでも、めぐみんがそんなことを思うとは思えない。

 迷惑なら、面と向かってそう言うだろうし。

 それを言わないと言うことは、めぐみんの中では今の関係がちょうど良い距離感なのだろう。

 

ゆんゆん

「怖気付いたのめぐみん。」

 

めぐみん

「あぁ!」

 

 あ!

 流石に今のはめぐみんもカチンときたみたいだ。

 

ゆんゆん

「つまりこれは、よりうまく使えた方が格上の魔法使いであると言う証明!」

「勝負よめぐみん!」

 

 そう言って、商品棚に置いてあった水晶を、店の中央に移動させ、二人の勝負が決まった。

 

めぐみん

「そこまで言うなら見せてあげましょう!」

「今の私の力を!」

 

ゆんゆん

「今日こそ決着をつけるわよ!」

 

 そう言って二人は水晶に魔力を流し始める。

 感じる魔力量を見た限り、ゆんゆんも相当な使い手であることは間違いない。

 魔力量も初めてあった時のめぐみんと同じくらいある感じだ。

 魔力のコントロールもかなり上手い。

 

 しかし。

 

ゆんゆん

(・・・? あれ?)

(なんか・・・めぐみんの魔力量・・・ありえないくらい多くない?)

 

 今のめぐみんは仮面ライダーになれる恩恵か?

 めぐみん自身も思わず引くくらいの魔力量を有している。

 なんたって、今現在のめぐみんは、LV61なのだから。

 

ウィズ

「水晶の力が発動しますよ!」

 

 魔力量が規定値に辿り着いたのか?

 周囲が真っ暗になったと思ったら、俺達の周りにパソコンのディスプレイのようなものが複数出現した。

 

ウィズ

「こんなに投影されたのは初めてです!」

「すごいです2人共。」

 

 これはきちんと動作しているみたいだ。

 だが、そのディスプレイを見た時、俺達は唖然とした。

 だってそこには・・・

 

カズマ

「な! ・・・なんだ・・・これ?!」

 

賢治

「・・・え?!」

 

アクア

「ちょ・・・え? ・・・何・・・」

 

 ディスプレイの一つには、めぐみんがパン屋に忍び込んで袋にパンの耳を詰めているところが映っていた。

 

めぐみん

「ーーーーーーーーー!?!?!!」

 

カズマ

「あれ・・・パンの耳集めてるのか?」

 

 もう一つは、ゆんゆんが映っていた。

 大きなケーキと沢山の料理が映っている。

 しかし、その場にいるのはゆんゆんだけである。

 

ゆんゆん

「ーーーーーーーーー?!??!?」

 

アクア

「ひ・・・一人・・・なの?」

 

 そこからは、まさに黒歴史とも言うべき光景が次々と映し出された。

 

 農家の畑から野菜を盗み、おそらくめぐみんの妹であろう小さな女の子と一緒に、野菜に齧り付いている。

 

 ゆんゆんは、チェスをしている。

 ただし、対戦相手がいない。

 一人でチェスをしているのだ。

 つまり、一人二役で対局している。

 

 次に、めぐみんが映し出された。

 川で遊んでいるのか、めぐみんを「お姉ちゃん」と呼ぶ少女と一緒にいる。

 めぐみんが徐にザリガニに似た生き物を捕まえたと思ったら。

 それを寸胴鍋で茹でて、食べていた。

 

 ゆんゆんが動物を撫でようとすると、一目散に動物が逃げていった。

 次に、花の香りを嗅いでいると、なんと!

 花が歩き出して、ゆんゆんの前から去っていったのだ。

 

 めぐみんが木の根元の土を掘り返している。

 中から出てきたのは、セミのような虫だった。

 その虫を木のくしに刺し、焚き火で焼いて食べていた。

 妹と一緒に。

 

 ゆんゆんは木の棒で魔法陣を描いている。

 その魔法陣から禍々しい魔力が溢れている。

 ゆんゆんが・・・

 「・・・もう、悪魔が友達でも・・・良いかな?」と言っていた。

 死んだような目で。

 

 それからも、目を覆いたくなる映像が次々と映し出された。

 ・・・いや、なんだこれ?

 こんなんでなんで仲良くなれると思った?

 このマジックアイテムを作った職人は?

 

カズマ

「友達に奢るために・・・アルバイトするのか?」

 

アクア

「え? ちょ・・・! なんであれ・・・虫・・・食べて・・・」

 

賢治

「悪魔が友達って・・・拗らせすぎだろ・・・」

 

ウィズ

「・・・・・・」

 

めぐみん・ゆんゆん

「あああああああああああああああ!!?」

 

めぐみん

「何なんですかこれは!?」

 

ゆんゆん

「店主さん! 仲良くなれる水晶だって言いましたよね?!」

 

ウィズ

「こ・・・これは、お互いの恥ずかしい過去を晒し合うことで、より友情や愛情が深まるという、大変徳の高い物・・・」

「なん・・・です・・・けど・・・・・・」

 

 何が徳の高い物だ!

 自分の口から語るより恥ずかしいわ!!

 魔力を注げば強制的に恥ずかしい過去が映し出されるんだぞ!

 このマジックアイテムを作った職人に今すぐ文句を言ってやりたい!

 

 人間、墓まで持って行きたい恥ずかしい秘密があって当然なんだから。

 

ゆんゆん

「ねぇ、めぐみん! これで仲良くなれるの?!」

「私達仲良くなれるの!?」

 

 涙目でめぐみんにそう言ってくるゆんゆん。

 その時、めぐみんは両手で水晶を掴み。

 

めぐみん

「おん・・・どりゃあああああああああぁぁぁ!!!」

 

 と叫んで、水晶を床に叩きつけた。

 ガッシャーン! と音を立てて、水晶が砕け散る。

 すると、周囲の映像は消えた。

 

「「「「ああああああああ?!」」」」

 

 めぐみんとゆんゆん以外の四人が、水晶を壊したことに驚き、声を上げた。

 

ウィズ

「これはカズマさんに付けておきますね。」

 

 ウィズが水晶を片付けて、そう言ってくる。

 

カズマ

「まて! 壊したのはめぐみんだろ。」

 

めぐみん

「・・・そのマジックアイテムを使いたいと言い出したのはゆんゆんです。」

「ゆんゆんが払います。」

 

 支払いのなすり付け合いがおきている。

 そのゆんゆんは、勝負がお流れになってしまったことにショックを受けているようだ。

 

ゆんゆん

「勝負が・・・せっかくの勝負が・・・」

 

めぐみん

「いつまでメソメソしてるんですか?」

 

ゆんゆん

「だってこれじゃあどっちが勝ったか分からないじゃない!」

「ねぇ、引き分けでいい?」

 

めぐみん

「別に構いませんよ。」

「もう、勝負事にこだわるほど・・・子供でもありませんから。」

 

 めぐみんがなかなか大人なことを言う。

 余裕の表情だ。

 

ゆんゆん

「あ! そう言えば子供の頃、発育勝負をしたことがあったわね。」

「子供じゃないって言うのなら、またあの勝負をしてみる?」

 

 いや、それはゆんゆんが勝つと思うが?

 めぐみんは・・・その、スレンダーな体型だし。

 ゆんゆんは出るところは出ていて、純粋な発育勝負なら負けないと思う。

 

めぐみん

「子供じゃないと言うのは、別の意味での子供じゃないと言う事ですよ。」

 

ゆんゆん

「え?」

 

めぐみん

「だって・・・私は・・・」

 

ゆんゆん

「・・・?」

 

めぐみん

「・・・ここにいるカズマと一緒に、お風呂に入るくらいの仲なのですから。」

 

カズマ

「ちょっ! おま!」

 

 めぐみんがこのタイミングで爆弾を投下した。

 やっぱり昨日あの後、一緒に入ったのか?

 

賢治

「おお!」

 

ウィズ

「まぁ!」

 

 俺とウィズは驚いているが、アクアはどこ吹く風という感じに、店の商品を物色している。

 それを聞いたゆんゆんは。

 

ゆんゆん

「・・・ええええええええええええ!!!」

 

カズマ

「テメェ! ふざけんな!」

「この口か!? この口がまた俺の悪評を広めるのか!!」

 

めぐみん

「あがががががが!!」

 

 ゆんゆんがこの日一番の驚きの声を上げた。

 カズマはめぐみんの口に親指を突っ込み、思いっきり横に引っ張っていた。

 まぁ、一部ではカズマは『クズマ』だの『カスマ』だの言われているから、これ以上悪い評判を立てなくないのだろう。

 その(ほとん)どが、クリスのパンツをスキル『スティール』で奪う現場を目撃されるせいだけど。

 

ゆんゆん

「きょ・・・きょ・・・」

 

カズマ・めぐみん

「うん?」

 

ゆんゆん

「今日のところは負けにしといてあげるからあああああああああ!!!」

 

 と言って、泣きながら店を出ていった。

 

ウィズ

「またどうぞ〜。」

 

アクア

「賑やかな子ね。」

 

賢治

「アクアも大概だと思うけど?」

 

 それを見届けためぐみんは、手帳に勝負の結果を書き込んで、「今日も勝ち!」と言った。

 ただ、自分の先ほどの発言がよっぽど恥ずかしかったのか?

 顔だけでなく、耳まで真っ赤にしていた。

 

賢治

(そこまでして勝ちたいか?)

 

 さっき「勝負事にこだわるほど、子供じゃない」と言っていたのは何だったんだ?

 そんなことがあり、店を出る際にウィズが。

 

ウィズ

「また何か新商品が出来上がったら、持ってきてくださいね。」

「零子さんの作る商品はとても人気なので。」

 

 と言ってきた。

 まぁ、ほとんどは商品の質のおかげなんだろうな。

 ウィズには圧倒的に商才がない。

 だから今まで金欠で、ひもじい思いをしていた訳だし。

 

賢治

「零子のおかげで、なんとか生活できそうだな。」

 

 何せ俺達は今、クエストを受けることができても、全て無報酬なのだ。

 今は貯金と零子の収入でなんとかなっているが、早くこの問題を解決しないと。

 

 

 




 読んでいただいて、有難うございます。

 次回は原作ではダクネスの見合いの話ですけど、オリジナルストーリーを書くつもりです。
 ちょっと、ベルセルク王国側を強化しようと思っています。

 次回もまた見てください。
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