ISー兎協奏曲ー第二楽章   作:ミストラル0

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また遅くなって申し訳ない。
今回は2試合です。


15話 一回戦⑤

『さて、次の試合にいきましょう!』

 

『第六試合はイランの代表候補生のいるチーム・キャットVSβ組の精鋭チーム・β』

 

『ところであの専用機について何かご存知で?』

 

『ウルファ=ザフラーニーのゴルベイェグリスターンの事か?』

 

『それってどういう意味なの?』

 

『ペルシャ語でゴルベイェで【〜の猫】、グリスターンは地名でもあるが、今回は【花園】【薔薇園】という意味だろう』

 

『つまり、【薔薇園の猫】と?』

 

『多分な。機体の方は旧リヴァイヴをベースに改修した第3世代機だ』

 

『第3世代機って事はイメージ・インターフェイスを使った装備が搭載されてるのよね?』

 

『そいつに関しては見てのお楽しみってやつさ』

 

『うぅ………気になるから早速試合にいきましょう!』

 

***

 

チーム・キャットの編成はゴルベイェグリスターンに鋼とハイゼが2機ずつという編成。

一方のチーム・βの編成はリヴァイヴⅡが2機、鋼、イーグル、アクシスが1機ずつとなっている。

試合の方は最初は軽い撃ち合いから始まり接戦を見せるも、ウルファは最後まで第3世代装備を使う事なく勝利してしまい、江里子はモヤモヤしたまま第七試合へと移る。

 

***

 

次の第七試合は両チーム間に嫌な空気が発生していた。

 

「やっとこの時が来ましたわね!」

 

「はぁ………また君らか。僕はうんざりだよ」

 

「ムキ〜!!」

 

「貴女もいたのですね、成り上がりのローズウェルさん」

 

「はぁ………(またこの手の人達ですの?)」

 

その原因はチーム・インパルスの中心メンバーであるアメリカからきたジル=ヘルナンデスとその幼馴染みであるケイリー=ベーカーの二人が同じアメリカ人のルークとアリスに絡んできたからである。

ジルは元々ナターシャのファンであり、彼女を目標にしてきた経緯から、編入当時のラウラのような八つ当たりじみた嫉妬の感情をルークに抱いている。

また、ナターシャのシルバリオ・ゴスペルと同じアメリカ側の開発チームで開発されたシルバリオ・ファングをルークが受領している事も気に食わないらしく、受領当時から自分に譲れとしつこく絡んでいたそうな。*1

ケイリーの方は軍部高官の娘で、アリスの父が1代で急成長させたローズウェルをよく思っていないらしい。

 

『うわぁ~………何か私怨全開っぽいですね』

 

『本当なら入学前に弾かれそうなもんだが、ルークとアリスにしかその感情向けてないから問題になってなかったんだろうなぁ』

 

実況解説の二人もこの状況には少し呆れている。

 

『おいそこの二人。ジル=ヘルナンデスとケイリー=ベーカー、お前ら二人だよ。ぶつくさ言ってないでケリは試合でやれ』

 

「「は、はい!」」

 

だが、試合が進まないので雪兎が名指しで注意すると大人しく下がっていった。

 

「お互いに面倒なのに目をつけられたね」

 

「全くですわ」

 

「まあまあお二人さん………こういうのは試合で黙らせればいいんだって」

 

「優斗、研究会参加してから雪兎先輩に似てきてない?」

 

「えっ?」

 

「そうだね、僕としては少し羨ましいよ」

 

「ほら三人共、始まりますよ」

 

栞の言葉で試合に意識を戻した三人と栞、そしてエクシアが並ぶ。

 

「いこうかファング、お前があんなのに御せるなんて勘違いを正しに」

 

ルークはシルバリオ・ゴスペルを彷彿とさせる白銀のフルスキンISであるシルバリオ・ファングを纏い。

 

「研究会での成果を見せないとな」

 

優斗は赤くカラーリングされた鋼を。

 

「思いっきりやろうか、カリバーン」

 

エクシアは蒼き翼を持つ騎士のような専用機・カリバーンを。

 

「あのような人達には負けられませんわ」

 

アリスは真紅に染め、バックパックにストームブリンガーをマウントしたインパルス・イーグルを。

 

「わ、私も!」

 

栞は薄い赤色にしたリヴァイヴⅡを展開し、相手チームの青に統一されたインパルス・イーグル達の前に立つ。

 

『第七試合、試合開始!』

 

「私は貴方達を倒して私を国に認めさせるんだから!」

 

ジルがそう言って飛び出すとそれに続いて他のメンバーも隊列を揃えてルーク達に突撃してくるが………

 

「そういうとこがダメなんだよ」

 

ルークはグレネード付アサルトライフルを二丁取り出して先頭のジルのイーグルにグレネードを発射。

 

「こんなもの!」

 

迎撃しようとジルがアサルトライフルでグレネードを撃ち落とすが、それはルークの罠だった。

 

「対閃光防御」

 

「なっ!?」

 

そのグレネードはフラッシュグレネードで、迎撃してしまった事でジル達は防御する間も無く閃光弾の光を浴びて動きを止めてしまい、その隙にルークはアサルトライフルの連射を浴びせてジルのSEを削る。

 

「ジル!」

 

「おっと、余所見は厳禁だよ?」

 

「せいっ!」

 

閃光からいち早く回復したメンバーがジルのフォローを行おうとするも、優斗が双刀でそれを阻みながら二本のサブアームにセットしたサブマシンガンで追撃し、後退させられたところを上からアリスがストームブリンガーで強襲しアリーナの地面に叩き付ける。

 

「優斗、後は任せるわ」

 

「うん、任せて」

 

そう言うとアリスはまだ回復しきれていないケイリーの方へと向かい、優斗は墜落させたイーグルに向かって双刀から切り替えたアサルトライフルとサブアームのサブマシンガンを使って弾丸の雨を浴びせて身動きを封じる。

 

「それ!」

 

「くっ!」

 

「まるで二人いるようなビット捌きって」

 

その頃、エクシアは両手に持つクリア素材の刀身を持つ片刃の双剣で一人を相手しながらバックパックの翼にマウントしていた4基のソードビットともう4基のガンビットでもう一人を抑え込んでいた。

 

「この子達なら私は手足のように使えるよ」

 

エクシアに与えられたこの専用機【カリバーン】は雪兎がエクシアの特性に合わせてブルー・アクシスをベースに改造を施したISなのだが、例の如くほとんど原型を留めておらず、手にしている双剣と腕部にはブルー・アクシスが元から装備している内蔵レーザーブレードをレーザーバルカンとしても使用可能にしている。

バックパックにマウントしている4基のソードビット【ソーディアン】と腰にマウントしたガンビット【ガンファミリア】の5種だけしか武装を付けておらず、その分本体のスペックアップにリソースを使っている。

一応、拡張領域の空き容量は残っているのでエクシアの好みである程度なら武装を追加可能。

そのビット制御能力は長い間聖剣の生体コアとして取り込まれていた関係からか高い数値を叩き出しており、まだ戦闘経験の少ない同じ1年生であれば文字通り片手間に相手が出来てしまう。

そして、エクシアが一人で二人を相手にしているという事はシルバーファング側が一人フリーになるという事で………

 

「きゃあああ!!」

 

「狙撃!?」

 

「判断が遅いよ」

 

エクシアに釘付けにされていた二人の内の一人が狙撃を受け、狙撃手の存在を知るも、その狙撃手である栞は既にもう一人のイーグルの背後におり、バックパックのサブアームに装備したアサルトライフルで強襲。

 

「私も忘れちゃダメだよ?」

 

そこへ上から急降下キックを浴びせて狙撃されたもう一人にぶつかるように蹴り飛ばす。

 

「ちょ、ちょっと早くどいて!」

 

「そんな事言われてもバックパックが引っかかって」

 

「これはオマケです」

 

「「あっ」」

 

ぶつかった際に絡まってしまったのかジタバタと暴れる二人に栞が放ったグレネードが命中して二人のISのSEが0になってしまう。

 

『………やば、ツボ入った………』

 

『えっ?今のが?』

 

『前に、セシリアと鈴が山田先生と模擬戦やった時とそっくりな終わり方で………ぷっ』

 

かつてのその一戦を思い出したらしく、雪兎は堪えきれずに笑い出す。

 

『それよりも、あっちも大詰めみたいですよ?』

 

江里子が示した先ではケイリーとアリスが戦っていたのだが、形勢はアリスの有利という状況だった。

 

「はあっ!」

 

「くぁっ!?」

 

そもそも同じインパルス・イーグルでもアリスの使うストームブリンガーは通常のオプションではなく、アリスの要望で追加されたオプション装備であり、ケイリーの使うイーグルにはアサルトイーグルのスタンガンナックルとブレードクローしか近接装備が無く、アリスも同じアサルトイーグル装備なせいで距離を詰められてしまい追い詰められてしまったのだ。

 

「なんて野蛮な戦い方だ………やはり成り上がり者の娘か」

 

「元世界2位の方も似たような武器を使っていましたし、珍しくはありません。あとその野蛮な者にすら劣勢なのに強い言葉をお使いになると益々惨めですわよ?」

 

「あんな男の学生に負けたような国家代表の面汚しを引き合いに出しても!」

 

「確か日本ではこういうのでしたわね………“

弱い犬程よく吠える”と」

 

「アリス=ローズウェルぅうううう!!」

 

アリスは挑発してくるケイリーに逆に挑発仕返すと、ケイリーは激昂して無策に飛び出してきたが、アリスはそれをストームブリンガーを双剣モードにして斬り払いSEを削り切る。

 

「もう少し煽り耐性をつけて出直してらっしゃい」

 

父親の関係で煽り耐性のあるアリスからしたらケイリーはさほど苦労する相手ではなかった。

 

「ルークの方はどうかしら?」

 

同じく目の敵にされていたルークはどうかと見てみればこちらもルークが優勢であった。

 

「なん、で………」

 

「君の動きは単調過ぎる。もう少しフェイントも混じえた方がいい」

 

接近戦を仕掛ければプラズマチェーンソーで弾かれ、射撃攻撃をしても掠りもしない。

逆に少しでも隙を見せれば鋭い反撃をしてくる。

 

「例の演算システムを使っているのよ!でなければ!」

 

「【エニグマ】の事かい?悪いけどアレは脳への負担が大きくてまだ30秒くらいしか使えないんだ」

 

ジルが苦し紛れにルークがシルバリオ・ファングに積まれた演算予測システム【エニグマ】を使用しているからだと指摘するも、ルークによってそれは否定される。

 

「そろそろ終わりにしようか」

 

「これは夢よ!私がこんな!」

 

最後まで認めようとしなかったジルだったが、無情にもルークが残るSEを削り切り、そこで全機撃墜されチーム・シルバーファングの勝利となった。

*1
開発チームはファングの開発経緯やジルの態度から彼女を候補から外しているのだが………




第六試合
チーム・キャット○

第七試合
チーム・シルバーファング○
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