ISー兎協奏曲ー第二楽章   作:ミストラル0

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兎達からの一日早いクリスマスプレゼント!
と称した新シリーズ開幕です。

設定等はまたそのうちにまとめておきます。

それでは兎協奏曲第二楽章始まります。


1章 再始動編
1話 再始動


〈これまでのあらすじ〉

 

IS 正式名称インフィニット・ストラトス。

宇宙開発用に篠ノ之束が開発した宇宙空間活動用マルチフォーム・スーツ………なのだが、発表当初は各国から見向きもされず、【白騎士事件】と呼ばれる一件によって漸く注目を浴び、本来の目的とは違う兵器・競技用パワードスーツとして世界に広まった。

しかし、ISは女性にしか使えないとされていたが為に【女性権利主義】が広がり、女尊男卑という世界になってしまっていた。

 

それが変わったのは【織斑一夏】という初の男性IS適性者が発見されてからだ。

その後の調査でもう一人の適性者にしてISの開発者である篠ノ之束の弟子である【天野雪兎】が見つかり、二人は他の生徒が全て女子であるIS学園へと入学させられる事になる。

だが、天野雪兎は転生者であり、篠ノ之束の教えを受けたせいか学園で再会した友人や知り合った者達を巻き込み『原作?そんなもん知るか!』とばかりに行動し、いつしか【兎の皮を被った災害(ラビット・ディザスター)】という二つ名を得る。

そして、原作ブレイクのせいかIS学園に居着いた篠ノ之束と師弟揃って好き勝手にIS開発に勤しみつつ………IS学園に入学して一年が経過した。

 

***

 

四月。

IS学園校舎前。

 

「今日から僕もここの生徒なんだなぁ」

 

桜舞う中、“見慣れた”校舎を見つめ、薄紫色の髪をした少年、天野紫音(あまのしおん)は今日までの日々を思い返していた。

 

「そんなとこでどうしたの?紫音」

 

「まだ実感が沸いておらぬのだろう。何せここは他の学び舎とは異なる故にな」

 

「それに紫音自身も特別事情を持っていますからね」

 

そんな中、紫音に声を掛けてきたのは毛先だけが黒い水色のツインテールのレヴィ=ラッセル、白い髪のディアーチェ=K=クローディア、茶色の髪をしたシュテル=スタークスの三人の少女だった。この三人とあと二人、ユーリ=エーベルヴァインとイリス=セブンフィールドという少女もいるのだが、彼女達五人は正確には人間ではなく、紫音の保護者の一人であるとある“天災”の片割れが作り出した疑似人類、彼曰く「人工知能に骨格強化した肉体を与えたハイブリッドヒューマノイド」というカテゴリーに入るそうなのだが、基本的なところは人間と変わらないそうだ。

 

「はは、ディアーチェの言う通りちょっと実感がね………ところでユーリとイリスは?」

 

「あの二人でしたらマスターの手伝いで先に講堂に行っています」

 

「そっか、なら僕達も行こっか」

 

***

 

講堂。

 

「マスター、こっちの接続は終わりました!」

 

「こっちも終わったわ」

 

「ありがとさん、ユーリ、イリス」

 

教師達に混じって入学式の準備をしていた雪兎達三人。その一人が先程話題に出たイリスである。彼女は最近ユーリ達四人と同じマテリアルズに加わった新メンバーなのだが、彼女だけ他の四人とは出自が異なる。

実は彼女は一週間程前に雪兎が訪問した異世界にて発見された石板型のタブレット端末に封じられていた人格データの複製体らしく。その人格データをマテリアルズのようにハイブリッドヒューマノイドのボディを与えた存在なのだ。

記憶メモリ等に欠損があり、“イリス”という名前しか自分の事を覚えていなかったが、何故か機械工学やテラフォーミング等の知識は残っていたので雪兎の助手の一人として重宝されている。

 

「(にしても“イリス”とはな)」

 

その正体を雪兎は知っていた。

その正体とは魔法少女リリカルなのはシリーズのゲームを原作にした劇場版3作目と4作目に登場するオリジナルキャラクターで、奇しくもマテリアルズに縁のある人物であった。

尚、記憶メモリの方は某ツンツン頭さんが脳細胞が死滅して記憶が戻らないように、メモリそのものが欠損しているせいで記憶が戻る事は無い。

そして、オリジナルの“イリス”の緊急時用のコピーであったためか、内部データに劇場版3、4作目の黒幕の人格データも存在したが、イリスをチェックする際に雪兎が発見し削除済みである。

また、セブンフィールドという名は他のマテリアルズ達と同様に並行世界を描いた番外編のイリスから拝借している。

 

「雪兎〜、準備終わった?」

 

そこへ雪兎の彼女でクラスメイトでもあるシャルロットがやってきた。

 

「ああ、二人が手伝ってくれたからな………会長も余計な手間を掛けさせやがって」

 

「これをやるって言われたの“あっち”から帰ってきてすぐだったもんね」

 

「一週間でイリスのボディ作ってる最中にこれの準備させられたんだ、この借りは高くつくぞ」

 

「あはは………御手柔らかにお願いします」

 

噂をすれば何とやら、この準備を雪兎に依頼した生徒会長の更識楯無が申し訳なさそうな顔をして現れ、手の扇には『陳謝』と書かれていた。

 

「それじゃあ俺とシャルはもう行きますよ?」

 

「ユーリとイリスはそのまま入学式に?」

 

「はい」

 

「そろそろ他の子達も来るでしょうしね」

 

そうして雪兎とシャルロットが講堂を去るのを見送ると、楯無は今年の新入生のリストを眺める。

 

「今年も紫音君にマドカちゃん、それから蘭ちゃんと将来有望な子が多いわね………他にも何人か面白い子がいるみたいだし」

 

紫音を含む四人の新男子適性者や新たな代表候補生。他にも個人的に面白いと思える人材が集められていた。

 

「それに、今年は去年までと色々違うから退屈はしなそうね………お姉さんもこの年に入りたかったくらいだわ」

 

そう、楯無が言うように今年は去年のアレコレがあったせいか設備やカリキュラムが新生したとも言えるレベルで変わったのだ。しかし、楯無達3年生はいきなりこれまでの二年間を無視する訳にはいかず、最低限の変更点に抑えられてしまっており、年度末の説明会の際に「留年したらそっちのカリキュラム受けられますか!?」と声が挙がっていた程だ。

 

「その中でもこれが飛びっきりで違う点かしらね?」

 

“新設特化クラス”、去年の雪兎達のクラス再編に続く試みとして推薦された者や希望者だけが集められる専用の特殊なカリキュラムが組み込まれた特別クラスが新設されたのだ。

このクラスには紫音やマドカ、マテリアルズの五人等の雪兎に縁のある者が全体の1/3を占めており、「依怙贔屓なのではないか?」という意見もあったが、特殊なカリキュラム以外は他のクラスと変わらないという事もあって反対意見はほとんど出なかった。というよりも「アレの関係者だし一纏めにしてもらった方がいいのでは?」という意見の方が多かったぐらいなのだ。

 

「それよりも私の後釜をどうしようかしら」

 

楯無はもう3年であるため今年で卒業だ。

以前、全生徒の前で雪兎にボッコボコにされた際に彼に生徒会長の座を譲ろうとしたのだが、「面倒なのでパス」と断られてしまっており、そのため楯無の任期が終われば生徒会長の座を狙って熾烈な争いが始まると予想出来る。

 

「いっそのこと今のうちに私を倒して一夏君が会長を継いでくれないかしら?」

 

そこで楯無が考えたのは今では雪兎に次ぐ実力を身に着けた一夏が己を倒して会長に就任してくれないか、というものだった。

生徒からの人望もあり、実力は雪兎のお墨付きとあって悪くない考えだと楯無は思っている。

 

「かいちょ〜、そろそろ打ち合わせ始めるそうだよ〜」

 

「今行くわ」

 

同じ生徒会の本音に呼ばれ、楯無はステージ脇の会議室へと向かうのであった。

 

***

 

そうして講堂が開場となり、新入生達が期待と不安を胸に次々と集まってきた。

紫音も指定された席に座って待っていると………

 

「おっ、ここか」

 

その隣に紫音と同じ男子の制服を着た少年がやってきた。

 

「隣が男子で良かったぜ、やっぱIS学園って女子ばっかだから本当にここにいていいのか不安になったよ」

 

「あはは、確かに知り合いとかがいないとキツそうだね」

 

「おっと、自己紹介がまだだったな。俺は進藤(しんどう)レオン、レオンって呼んでくれ」

 

「僕は天野紫音、僕も紫音って呼んで」

 

「おう!………って、“天野”?それってあの有名なあの人と同じ!?」

 

「うん、僕は訳あって雪兎兄に引き取られて義理の弟になったんだ」

 

「そ、そうなのか………紫音も色々大変なんだな」

 

「へぇ、君があの人の」

 

そこへもう一人金髪碧眼の男子がやってきた。

 

「君は?」

 

「これは失礼。僕はルーク=ファイルス、良ければ僕もルークと呼んでくれ」

 

「よろしくルーク。ファイルスって事はナターシャさんの?」

 

「ああ、彼女は僕の姉さんさ」

 

「ナターシャ=ファイルスってアメリカの国家代表だった人だろ?ルークの姉さんってすげーんだな」

 

「今は国家代表を辞してここで教師をしているけどね」

 

ルークも席が二人の傍らしく、そのまま三人は会話を続ける。

 

「そうか、君は母親に楽をさせたくて」

 

「おう、片親なのに無理して入院しちまってな、だから恩返しがしてぇんだ」

 

「母親かぁ………」

 

しばらくレオンの身の上話を聞いていると、最後の四人目の男子が現れた。

 

「はぁ、はぁ………何とか間に合った」

 

割とギリギリな時間にやってきた最後の少年は黒髪の少年で、その顔は何故か少し油や煤で汚れていた。

 

「おっ、最後の一人だな」

 

「外部から来たにしてもモノレールの時間は余裕があったと記憶しているが………」

 

ルークがそう呟くとその少年はゲンナリした顔で訳を話してくれた。

 

「実はそのモノレールでテロがあってね」

 

「テロ!?」

 

「うん、なんでも女性権利主義の一派と思われる女性がモノレールのコントロールルームに爆破物投げ込んでコンソール破壊しちゃってね」

 

「うわ、そりゃ災難だったな」

 

聞けば他にも新入生の乗客がいたらしく、そのせいで多くの新入生がギリギリになってしまったらしい。

 

「ほんとね………犯人は巡回に来てたここの用務員さんが捕まえて警察に突き出したんだけどモノレールは直ぐに復旧しそうになくてね………それで、“その破壊されたコンソール直してた”からギリギリになっちゃって」

 

「そうなんだ」

 

「って、ちょっと待て!?お前今コンソール直してたって言ったか!?」

 

「うん、僕はそういうのが得意でね、時間も無かったから用務員の人にお願いして直させてもらったんだ。直したと言ってもちょっとした応急処置で動かせるようにしただけだけどね」

 

「雪兎兄みたいな事するね、君………あっ、僕は天野紫音、紫音って呼んで」

 

「これはご丁寧に………僕は赤城優斗(あかぎゆうと)、僕も優斗と呼んでくれ」

 

「俺は進藤レオン。レオンでいいぜ」

 

「ルーク=ファイルスだ。僕もルークでいい。よろしく、優斗」

 

こうして後に第二世代の四天(セカンド・フォー)と呼ばれる事になる天野紫音、進藤レオン、ルーク=ファイルス、赤城優斗の四人は出会ったのであった。




新キャラの赤城優斗君は狼牙竜さんよりアイデアをいただきました。
この場をお借りして改めてお礼お申し上げます。

イリスの出自に関してはそのうち番外編として書かせていただきます。
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