『二回戦最終第四試合はチーム・シルバーファングVSチーム・クインテットです』
『個人的には二回戦で一番やらかしてくれそうな試合だな』
『一回戦のアレがありましたもんね、このチーム』
アレというのはIS5との試合の最後の合体武器とそれを迎え撃ったキャロルの斬艦刀の激突である。
『それもあるが………ちょっと面白い因縁があってな』
そう言って雪兎がフェルトに視線を向けると、フェルトはビクリと肩を震わせる。
『例の首輪ちゃん?………あ〜、そういうこと』
江里子も雪兎の言いたい事を理解してルークに視線を向ける。
そう、フェルトとルークはちょっとした関係があったのだ。
「“今は”ペイズリーさんだっけ?久しぶり」
「ど、どど、どうも………」
「あの時は色々とお世話になったよ」
「めっ、命令でしたから………」
実はフェルトが亡国機業を抜ける前の最後の仕事がナターシャへの人質として監禁されていたルークの世話だったのだ。
その時は偽名のコードネームで呼ばれていたし、髪型等も変えていたので覚えていないかと思えばルークはしっかりフェルトを覚えていたようだ。
「まさか覚えていたなんて………」
「君は他の監視が暴力を振るおうとしたのを止めてくれたし、監視にしては色々と融通をしてくれたからね」
「あ、あれはルークさん達を怪我させたら人質にしておく意味がなくなりますし………」
「フェルト、顔真っ赤」
「うっさい!これは当時の事思い出して恥ずかしかっただけよ!」
「これは怪しいですな」
「ですな」
「あんた達ねぇ!そもそも私は加害者側であっちは被害者よ?そんな関係なのに恋愛感情に繋がらないわよ!」
キャロルを筆頭にフェルトをからかうチームメンバーを見てルークはフェルトにちゃんと居場所が出来ていると安堵する。
「さて、恩人とはいえ容赦はしないよ?」
「そもそもあんなことで恩人だなんて恩着せがましい人間になったつもりは無いわよ!」
「なら遠慮なく」
『それでは二回戦最終試合、試合開始!』
江里子が開始を告げた直後、ルーク達へと
巨大な刀身が振るわれる。
振るったのはキャロルで、初手から斬艦刀の一閃というド派手な一撃であったが、ルーク達は散開する事でそれを回避する。
「いきなり容赦無いな、おい」
「でも、いい手でしょ?」
散開してバラバラになった優斗に両腕のブレードバレルで斬り掛かる美乃里。
優斗もそれを双刀で受け止めるが、態勢が悪かったのと美乃里がハイゼのスラスターを全開にしていたせいでルーク達から引き離されてしまう。
「開幕のアレはこれを狙ってたのか!?」
「発案はフェルトよ。組織にいた時の経験も使い様ってことよ」
他の面々もルークとフェルト、エクシアとキャロル、アリスと此花、栞と真白、というように分断されている。
「専用機持ちの僕とブランケットさんを専用機持ちのクロコディルさんと君で抑えれば経験が豊富とは言えない他のメンバーでも勝ち目はあるか………これはしてやられたね」
「ちっともそんな顔してないのにそう言われても嬉しくないわね………それだけ仲間を信じてるって事かしら?」
「それは君も同じだろう?学園に来ていい仲間に恵まれたようだね、お互いに」
「それには同意したげる!」
レオーネ装備のフェルトのグリフォーネが有線式ヒートチャクラムを投擲しつつ双銃剣で斬り掛かるとルークもシルバリオファングのプラズマチェーンソーでチャクラムを弾いて応戦する。
チェーンソー相手に鍔迫り合いは悪手とフェルトは双銃剣をガンモードに切り換えて射ちながらスラスターを全開にして後退。
ルークも深追いはせずシールドを取り出して射撃をガードしつつも腕に仕込まれたプラズマガンで反撃する。
「あ〜もう!チェーンソー相手に近接戦闘なんてやってられるか!」
レオーネからアクイラに換装すると、フェルトは組織に在籍時から使用しておりオプション装備として持ち込んだ武器も一緒に展開する。
それは大型のアサルトライフルの銃身の下にブレードを付けた癖の強い武器。
フェルトはその武器“ベルセルク”を構えてトリガーを引き無数の弾丸をルークに向かって放つ。
「おっと………中々凶悪な武器だね」
「だってこれ、組織時代に
一方、エクシアとキャロルの戦いはエクシアのソードビットとキャロルが液状金属によって模倣したソードビットがぶつかり合い、お互いに両手のブレードで斬り合う戦いとなっていた。
「そのスライムみたいなの汎用性高いね」
「うん、色々出来る」
キャロル本人はのほほんとした印象を受けるが、鍔迫り合いになれば形状を十手のようなソードブレイカーへと変えてエクシアのブレードを折ろうとしてくるので油断も隙も無い。
そんな戦いが続いてしばらくしてエクシアがソードビットのエネルギー補給の為にバックパックのコネクタにソードビットを戻すと突然バックパックが爆ぜてダメージを受けてしまう。
「えっ!?一体何が」
『うわぁ………そういう使い方も出来んのか』
混乱するエクシアを他所に解説の雪兎はその爆発の原因がキャロルの仕業と気付いていた。
『雪兎君、一体何が起きたんですか?』
『簡単な事さ、ソードビットと打ち合わせた時に微量の液状金属を付着させ、そのソードビットがコネクタに戻る際にその間に挟み込ませて内部から破壊したんだよ』
『うわぁ………』
「ふっふっふ、驚いた?」
「うん、驚いた………というか、もう私詰んでない?」
「うん、今回は私の勝ち」
その間にもソードビットモドキがエクシアのカリバーンに突き刺さって変形し纏わりついてしまっており、エクシアは既に戦闘不能に陥っている。
その後、システムからも戦闘不能判定されてしまったエクシアが退場となり、エクシアから回収した液状金属を使い再びソードビットモドキを展開するキャロル………どうも気に入ったらしい。
「よ〜し、皆の援護に行こ」
そうしてキャロルが最初に目をつけたのは此花と交戦中のアリス。
「ざんかんと〜はこれくらいの大きさでいいかな?」
液状金属を使い再び斬艦刀を生成するが、その大きさはアリスの使うストームブレイカーと同じくらいに小さくしている。
「此花〜、ちょっと退いて〜」
「オッケ!任せた!」
そして、此花と入れ替わるように飛び込んでくるキャロルにアリスは困惑する。
そこへビームサイズから弓に持ち換えた此花が援護射撃を加え、一気にアリスは劣勢に陥る。
「くっ、このままでは………」
人数の不利を強いられ、専用機持ちがフリーになってしまったのを機に戦況はクインテットに傾いた。
そんな中、ルークとフェルトの戦いにも決着が着こうとしていた。
「はぁ………はぁ………ここまでやっても、勝てないなんてね………」
「僕としてはエニグマを使わされた事に驚きなんだけどね」
既にフェルトのグリフォーネはボロボロで、切り札だったベルセルクもブレードがプラズマチェーンソーで削られたのか刃こぼれしてしまっている。
あの後、ルークの接近を許してしまったフェルトはベルセルクのブレードで応戦したものの、プラズマチェーンソーとバックパックのシェルカノンを食らいダメージはレッドゾーンとなったが、お返しにとベルセルクのガンモードを至近距離から放ってルークにも少なくないダメージを与えたが、ルークが奥の手であったエニグマを発動させてフェルトを撃破寸前に追い込んだのだ。
「でも、私は私の役目を果たしたわよ」
「ああ、してやられたよ」
フェルトを撃破したとしてもルークも既にSEを半分以上削られており、キャロルがエクシアを倒して遊撃になってしまった事でチームとしてはルーク達の方が劣勢。
優斗が美乃里を破ったものの、直後にアリスを倒したキャロルと此花の攻撃でダウン。
栞も真白を倒せずにおり、此花が援護に向かったので程なく撃破されるだろう。
挙句にはルークの方には未だに万全のキャロルが向かってきている。
「フェルト、大丈夫?」
「これが大丈夫に見える?って事で後はお願い」
「がってんしょうち」
「また変な言い回し覚えて………きっと美乃里ね?後で締めとかないと」
試合はルークがキャロルに破れ、真白と此花の2人に攻められた栞が降伏した事でクインテットが勝利した。
試合後、他はα組ばかり残ったトーナメントにて唯一の他組とあってクインテットの面々は注目を浴びる事となった。
三回戦はそれぞれのISのダメージが大きいので翌日に行われる事と運営から通達があり、その後は2年生の試合が行われたが………やはり兎一味が突出した実力を見せつける形となり、見学していた1年生達はそのレベルの違いを改めて思い知る事となったのであった。
最後に大番狂わせのチーム・クインテットの勝利
損傷した機体は兎印のメンテナンスマシーンで翌日には修理完了していたとの事
2年生の試合については次回
今回フェルトが使ったベルセルクは軌跡シリーズのランディ・オルランドのSクラフトであるベルゼルガーをイメージしてください