ちょっと試合が続いて難産となりましたが、何とか書けました。
今回はパープルラビッツVS神龍の戦いとなります。
ダークマテリアルズの圧倒的な試合の次に対戦するのはパープルラビッツと神龍。
尚、クインテットはこのまま四回戦へ進出が決まっている。
『この試合が実質BEST3決定戦!そう思うとこのトーナメントを大詰めですね』
『俺らの時はトラブルばっかで最後までやれたトーナメント少ないんだよなぁ』
『でしたねぇ』
まともに完遂したトーナメントは最後の学年末トーナメントくらいのような気がする。
『この試合の見所は何処でしょうか?』
『実力は五分っぽいな。乱は奥の手見せてしまってるし、エクストリームも新しいパックがそんなホイホイ生成できる訳でもないしな』
『なるほど』
今回の両チームの布陣は………
紫音が最初からブレイズ装備、レオンと飛鳥は隼装備、日向とイクスは変わらずミラージュとSパック装備だ。
対するは乱が近接戦闘用に雷爪、美与が隼、渚がアサルトイーグル、紗代子がアクイラ、茉優がヒッポグリフとこちらもいつもの編成だ。
『それでは試合開始!』
江里子の開始の合図と共に前に出たのは紫音、レオン、飛鳥、乱、美与、茉優の六名。
イクスは狙撃、日向はイクスのカバーに回り、渚と紗代子はその妨害に動く。
その結果、前衛組は紫音と乱、レオンと茉優、飛鳥と美与に分かれ、イクス・日向と渚・紗代子という戦いになった。
「私に近接戦闘を仕掛けてくるなんていい度胸じゃない!紫音」
「確かに乱さんに接近戦はリスクが高いかもしれないけど、龍咆の拡散攻撃を封じるには乱戦に持ち込まないといけないからね!」
手甲と爪、蹴り等の打ち合いに加えて少し距離が離れれば乱は龍咆球、紫音はガントレットに内蔵された小型砲・ブレイズショットで牽制しつつ、隙を見ては衝突を繰り返す。
他の面々はどうかというと、飛鳥と美与は紫音と乱のように接近戦を演じてはいるが、有利なのは美与の方である。
その理由はお互いの武器にあった。
飛鳥が使うのは鋼に元からある蓮華と雛菊の二本の日本刀型近接ブレード。対する美与が使うのはIS用の刃渡り1M程の
このナイフと打ち合い続けたことで飛鳥の蓮華と雛菊の耐久値をゴリゴリ削られ既にレッドゾーン。
一方、美与の方はまだ何本も予備のナイフを所持しているのでこのままでは飛鳥は武器を失い一方的な戦いになってしまいかねない。
『………あの娘、他の娘に隠れがちだけどヤバいわね』
『近接タイプはやり辛いだろうな』
そして、レオンと茉優の方は茉優のヒッポグリフの機動力にレオンが押され気味となっている。
やはり魔改造の施された高機動パック相手では分が悪い。
それでもアンカークロー等、受けたら致命傷になりかねない攻撃はしっかり手にした二本のブレードで弾いているところを見るにレオンには高速戦闘のセンスがありそうだと雪兎は目を付ける。
「(やっぱ速度じゃ勝てねぇか………なら一か八かだ)」
そんなレオンが賭けで使ったのは瞬時加速。
去年の1年生でこの時期に瞬時加速を使えたのは専用機持ちの極一部くらいで、今年の1年生でこれを習得している生徒いなかった。
つまり、レオンはほぼ独学で瞬時加速を習得していたという事になる。
だが、驚くのはまだ早かった。
レオンが瞬時加速を使った事に慌てた茉優は急いで後を追うのだが、前方にいたレオンの姿が突然消えたのだ。
その原因は茉優が追ってきたのを確認したレオンが瞬時加速中に進行方向とは真逆に再度瞬時加速………個別連続瞬時加速を行ったのだ。
それにより茉優のバックを取ったレオンは再度個別連続瞬時加速で斬り付ける。
『はぁ!?個別連続瞬時加速!?』
『くくく………クハハハハッ!マジかよ、俺でも軽く進行方向変えるくらいにしか使えねぇのに前後でZの字走行とか普通なら視界がブラックアウトすっぞ』
いくらISにパイロット保護機能があるとはいえあんな無茶な機動をすれば身体への負担だって馬鹿にならない。
だというのにそれをやってのけたレオンに雪兎は笑いが止まらない。
それはまるで何かを見つけたかのようなロックオンする目である。
その後、茉優を何とか降したものの、いきなりの個別連続瞬時加速3連発の負荷が大きかったようで、スラスター各部からアラームが鳴り響く。
なのでレオンはスラスターへの負担を考えて隼から防人にパックを切り換え飛鳥の援護に向かった。
***
前衛組がそんな高速戦闘を繰り広げている中、後衛組の戦いは弾が飛び交っていた。
「いって!」
紗代子のアクイラと渚のアサルトイーグルにSパックでは対処出来ないと判断したイクスはDパックに装備を換装し、
そのMCLLとDパックの装備であるピアッシングレイ、クラスターミサイルコンテナを使って弾幕形成しとにかく近付けさせない戦い方を行う。
日向もグレールとミラージュの変則組み合わせであるニュアージュ*1へと換装し弾幕形成に協力している。
対して紗代子と渚は接近出来ないのならばと狙撃を試みるも、日向のカバーリングが上手く通してはくれない。
「これは思ったより厄介ね………私が盾になって飛び込んだらワンチャンある?」
「無理ね。飛び込めても落とせてシアハートさんだけよ。その後に紫陽さんに落とされるでしょうね」
渚が昨日の2年生の試合で使われた戦術を提案するも、紗代子は首を横に振る。
アサルトイーグルは近接戦闘向けに装甲は厚めになっているので盾役は何とかこなせるものの、グリフォーネに防御向けの装備は今のところなく、下手接近すれば日向が展開している一角獣の紋章による一撃でアウトになりかねない。
そう判断され、とにかく前衛組へ援護させないようこのままの状態を維持すると決めた二人は弾幕を躱しつつ狙撃を繰り返すのであった。
***
そうこうしている間に紫音と乱の戦いも激しくなっていく。
紫音がガントレットを変形させて丸鋸状のエネルギーソー・ブレイズサーキュラーを展開して攻撃すれば、乱は鋼竜にのみ装備された龍尾に予備の青龍偃月刀を持たせ両手の二本を含めた変則三刀流にして振るう。
「やるわね!紫音」
「機体のおかげだよ。ブレイズじゃなきゃとっくにやられてる」
「謙遜は過ぎると嫌味よ!」
そう言うと乱は腕から高電圧縛鎖を射出し、紫音はそれを躱してサーキュラーを飛ばして反撃するも、龍咆によって迎撃されてしまう。
しかし、紫音はすかさずブレイズショットをグミ撃ちして足を止めソードモードにしたソードライフルを二本取り出して斬りかかる。
両手の青龍偃月刀でそれを受けた乱は龍尾で掴んだ三本目で紫音を攻撃するが、紫音もそれを読んでいたのかそれを蹴り飛ばして弾くとそのまま後退する。
『おっと!ここで水戸ちゃんが落ちたわね』
『今年の1年はどいつもこいつも面白い事やってくれる』
茉優が脱落した事を知り、紫音と乱も勝負を決めるべく動き出す。
「お互いにSEは僅か………この一撃が勝敗を分けるわね」
「なら、お互いに出し惜しみは無し、だね?」
乱が雷爪のクローを伸ばし電圧を高めると、紫音もガントレットを変形させて三爪のクローとし、通常ならばブレイズショットの発射口である部分に意図的にエネルギーを溜め始める。
「轟け雷鳴!雷電竜爪!」
「灼熱!ブレイズバンカー!」
必殺の一撃がぶつかり合い火花とスパークがお互い残り少ないSEをジリジリと削る。
ゲージの減りは紫音の方が若干速く、乱は自身の勝利だと笑みを浮かべるが、紫音も笑みを浮かべるのを見て何かがおかしいと気付く。
「(あれ?前の試合では最後の一撃の時に放熱フィンを展開していたはず………)」
しかし、今の紫音のガントレットはクローの部分しか変形しておらず、放熱フィンを展開していない。
つまり、紫音はまだ
そこでは漸く乱は気付く。
「紫音!アンタまさか!?」
「そのまさかさ!雪兎兄やシュテルの真似だけど、これが僕の奥の手!ブラストブレイズ!」
そう、
『うっは………シュテルの零距離ブラストファイア真似しやがったのか、えげつない』
『というか、去年のタッグマッチで雪兎君もやってたよね?それ』
江里子の言うのはイージスコンビを正面から叩き潰したあの試合である。
「あ〜!大人しそう顔してえげつない手を切ってくるじゃないの!」
「僕の勝ちですね、乱さん」
「ええ、負けよ負け、完敗だわ」
その後程なくしてレオンの加勢で美与を降した飛鳥がイクスと日向の援護に向かい、それにより逆転がほぼ不可能だと察した紗代子が渚と降伏した事でパープルラビッツの勝利となった。
「私達に勝ったんだからせめて次も勝って決勝でダクマテ共に一矢報いなさいよ?」
「あはは………勝てとは言わないんだ」
「………いや、あれは無理でしょ」
自信家の乱もマドカ達が完封されたあの試合を見て力量差はキチンと把握したようで、ハッキリとダークマテリアルズに勝つのは無理と告げるのだった。
一応、あと2試合でチームトーナメント編は終わりますのでもう少しお付き合い下さい。