ISー兎協奏曲ー第二楽章   作:ミストラル0

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大変お待たせしました。

大筋は決まってるのに中々試合内容がまとまらずにこんなに時間が経ってしまいました。
次の決勝はそんなに時間掛からないと………いいなぁ


25話 準決勝?実質決勝戦

『ってな訳で四回戦こと準決勝なんだが、ここで勝ち上がった方がダクマテとやるから実質決勝戦みたいなもんだと思ってくれ』

 

『ぶっちゃけやがったよ、この兎………』

 

三回戦が終わって直ぐにパープルラビッツのメンバーのISが修理され、準決勝が始まったのだが、雪兎がぶっちゃけた通りダークマテリアルズを決勝へとシードさせ、残ったパープルラビッツとクインテットの対戦を実質決勝戦と扱うと今回の大会運営委員会は決定した。

 

『もうここまでこればチーム紹介は要らんだろ。俺から言えるのは一つ「悔いだけは残すな」』

 

『それでは準決勝パープルラビッツVSクインテット!試合開始!』

 

「いくよ、皆!」

 

「おう!」

「「はい!」」

 

意気揚々と飛び出すパープルラビッツ。

 

「あ〜もう!ここまで来たらやれる限りやってやんわよ!」

 

「お〜、フェルトがやる気だ」

 

「あれはやる気というより自棄よね?」

 

「それは言わないであげて」

 

「あははは………」

 

「そこ!くっちゃべってないで行くわよ!」

 

「「は〜い」」

 

一方のクインテットはいつものノリである。

 

「僕がクロコディルさんを抑えるからその間に」

 

「させるかっ!」

 

パープルラビッツはキャロルのアズラエルに唯一対抗可能な紫音をぶつける作戦だったが、それはクインテットも承知だったようで紫音の行手をフェルトが阻もうと前に出る。

 

「それはこっちのセリフだ!」

 

そんなフェルトをブロックしたのはレオン。

 

「レオン!」

 

「いいからお前はクロコディルのとこへ向かえ!」

 

「う、うん」

 

「行かせーー」

 

「お前の相手は俺だ!」

 

レオンのブロックで紫音に抜かれてしまったフェルトは仕方なく先にレオンの相手をすることに。

そのアシストのおかげで紫音はキャロルが他の三人に仕掛ける前にキャロルの元に辿り着く。

 

「追い付かれちゃった」

 

「クロコディルさんの相手は他の皆じゃキツイからね、僕が相手をするよ」

 

「う〜、暑いのヤ」

 

変幻自在の液体金属を操るアズラエルだが弱点が無いわけではなく、紫音が使うブレイズや鉄竜の炎牙などの高熱を発する装備との相性が悪い。*1

これは液体金属が熱で気化されてしまうのもあるが、制御に使っているナノマシンが高熱化した液体金属の中で融けてしまい機能しなくなるというのが原因だ。

ナノマシンであるが故にちょっとした温度変化ならまだしも高熱にはめっぽう弱いのである。

紫音がこの対処法に気付いたのは去年の体育祭で行われた雪兎と楯無の戦闘記録を見たからで、同じ流体制御ならば同じ戦法が有効であると知っていたのだ。

ただ、ブレイズでアズラエルを相手にする場合、接近しなければならない為に常に自身を高熱化する必要があり、早期に勝負を決めなければエネルギー切れになりかねないリスクがある。

 

「はっ!」

 

「ヤ」

 

紫音がブレイズショットを放てばキャロルは液体金属でシールドを張らずに回避する。

光学兵器を防げるのに何故ブレイズショットは回避を選んだのか、それは光学攻撃であるビームとブレイズショットの違いが関係していた。

 

『ここで軽く科学のお話といこうか。ビームやレーザーってのは基本的に荷電粒子砲と同じで荷電粒子を粒子加速器で加速させて弾丸とする技術だ。その歴史は意外にも1980年代に研究が行われていたそうだ』

 

『へえ〜』

 

『しかし、当時ではその加速器の小型化と使われる電力*2の問題から実用化に至らなかったらしい。開発の歴史はまた有志に調べてもらうとして………現行の光学兵器は引っ括めて言ってしまえば何かしらの粒子を加速させて放つ粒子加速砲というわけだ』

 

『成程』

 

『前置きはこれくらいにして、なんでクロコディルが防御でなく回避に徹してるかだったな。これは光学兵器が反射可能という点だ。レーザー加工機が良い例で、あれは発信部分からレンズやミラーを使って加工部にレーザーを照射して焼き切る工作機械だ。クロコディルは液体金属で防御する際に表面を鏡面にすることで反射減衰させてんだろ』

 

『雪兎君もビーム反射させる戦法は得意ですもんねぇ………あれと同じ原理ですか』

 

『対して紫音が使ったブレイズショットは高温に熱したエネルギーを直接叩き込むタイプの攻撃でな。言ってしまえばエネルギー弾版焼夷弾だ』

 

『うわぁ………』

 

つまり反射不可能な高熱を浴びせられ使用可能な液体金属を減らされてしまうのだ

 

『更に言えば液体金属が色々応用出来るせいであのISの武装あれしか無いんだよな』

 

『つまり………』

 

『相性最悪って訳だ』

 

***

 

キャロルが紫音に徐々に追い込まれる中、フェルトの足留めを買って出たレオンは先の試合の無茶によって丸っと新品と交換になってしまったスラスター類を酷使しつつ必死に食らいついていた。

 

「あ〜もう!しつこいわね!」

 

「逃さねぇ!」

 

フェルトはアクイラ装備での機動射撃で少しずつレオンの鋼にダメージは与えてはいるものの、隼の機動性で強引に振り切っては蓮華とガンブレイドで反撃してくる。

 

「(というか、コイツほんとにIS使い始めて一ヶ月!?一回戦の娘達といい、コイツといい何でこんなのが在野に埋もれてんの!?)」

 

組織にいた頃はIS適性があるのを知らなかったのでISにこそ乗った事は無いが、いざという時に備えて一通りの銃器の扱いや近接戦闘法は教えられていたし、ISに関する知識もあったフェルトに対してレオンはまるっきりの素人だ。

おそらく1年生の使っている新型量産機が旧来機より扱い易く作られているのもあるが、それ以上に才能の有無があるのだろう。

 

「(このレオンとかいうヤツの才能はおそらく耐G適性と高速戦闘。高機動タイプの隼すらアイツの反応に少し遅れてるわね)」

 

パーツを新品に換えたばかりというのもあるが、前の試合で見せた個別連続瞬時加速という絶技を経験したことで機体性能が搭乗者に追いつけなくなっているのだ。

その反応速度の遅れは隙となり、そこへフェルトのライフルが火を噴く。

だが、レオンはそれをピアッシングシールドを射線上に投擲する事で防ぎ、瞬時加速でフェルトに組み付くとそのままアリーナの防壁に突き進む。

 

「ちょっ!?アンタまさか」

 

「そのまさかだよ!」

 

アリーナの防壁は兎師弟によって物理的な強度とバリアフィールドの二重の備えが施されており、その鉄壁っぷりは以前にクラス代表戦のときに防壁を貫通した【S:ストライカー】のパイルバンカーの改良型ですら傷一つ付けられないとかいうもので、あの千冬が「これを破るとなると零落白夜があっても骨が折れるな」*3

その防壁に自分ごと突っ込むという暴挙に慌てるフェルトだが既に遅く、表面のバリアフィールドに激突した瞬間に絶対防御が発動してしまいフェルトのグリフォーネのSEが尽きる。

 

「いったぁ………やられたわ、私の負けね」

 

「いや、引き分けだなこりゃ」

 

見ればレオンの鋼はSEこそ僅かに残っているがボロボロで、特にスラスター周りは酷い事になっている。

 

「直してもらったばかりなのにそんなに壊して………怒られるわよ?あの人に」

 

「だよなぁ………」

 

その光景を想像したのか顔が引きつるレオンを見て「ご愁傷様」と苦笑するフェルト。

 

「あっちも終わったみたいね」

 

「だな」

 

紫音とキャロルの方も結局は追い付いた紫音が最大火力の一撃を叩き込んだ事で決着したようで、他の六人の方は日向が撃墜判定を受けたもののイクスと飛鳥が美乃里達を破ったようだ。

 

「次は王様(ディアーチェ)達とか………ところでさ、ペイズリー」

 

「フェルトで良いわよ、で?」

 

「これ、決勝までに直んのかね?」

 

「………あの否常識師弟なら出来るんじゃない?」

 

こうして準決勝は閉まらない終わり方で終わったのであった。

*1
実はスコールが使うゴールデン・ドーンやシュテルのルシフェリオンが最大の天敵

*2
最低でも10GW

*3
破れないとは言っていないという恐怖




この後、レオンはしっかり雪兎に怒られました。
ぶっ壊したのもですが、防壁への突撃という危険行為についても。

危ないので皆さんは相手諸共壁に突撃!なんて事はやめましょうw
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