ISー兎協奏曲ー第二楽章   作:ミストラル0

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年末どうお過ごしでしょうか?
という訳で今年最後の投稿です。

新キャララッシュになりますので少し駆け足ですがお付き合い下さい。


2話 入学式

それから程なくして入学式が始まった。

偉い人の挨拶等は手短に済み、最後に生徒会長・更識楯無からの挨拶となった。

 

『皆さん、入学おめでとう。あんまり長く話しても皆退屈だろうし、私からはこれを挨拶代わりとさせてもらうわね』

 

そう言って楯無が指を鳴らすと講堂が暗くなり、ある立体映像が映し出された。

それは過去の様々な行事での活動記録であった。

始めはクラス代表戦、その次はタッグトーナメント、文化祭、キャノンボール、体育祭、その名シーンを切り取ったものである。

そして、去年度の末に行われた専用機持ちによるトーナメント決勝戦………雪兎と一夏による戦闘の一部が流される。

 

「スッゲー………」

 

「あれが噂の………」

 

映像が終わると明かりが戻り、皆の視線が再び楯無へと戻る。

 

『今見てもらったのはほんの一部だけど、皆の先輩達がこの学園で行ってきた事よ。今年からは少し今までと違う所もあって色々戸惑うかもしれないわ。でも、ここで過ごす三年間はきっと貴方達の良い糧となるでしょう』

 

そう言って楯無が扇子を開くと、『日々精進』の文字が見える。

 

『改めて入学おめでとう』

 

扇子を閉じてそう告げると、講堂の中なのに桜の花弁が新入生達の頭上を舞うが、その花弁には触れようとしても触れなかった。

 

「これも立体映像か」

 

「現実拡張………話には聞いてたけどここまでのAR技術があるなんて」

 

「雪兎兄達がしてた準備ってコレだったんだ」

 

***

 

入学式を終えた新入生達はそれぞれ指定された教室へと向かう。

紫音は同じクラスと知ったレオン、ルーク、優斗の三人と一緒に教室へと向かっていた。

 

「やっぱ俺ら全員同じクラスなんだな」

 

「男子の少なさを考えれば同じクラスにしてまとめて管理したいというのが学園の本音なんだろう」

 

「それはそうだけどよ………」

 

「雪兎兄から聞いた話だと僕らのクラスは少しカリキュラムとかに違いがある特別クラスだって話だよ」

 

「そのカリキュラムというのが僕達を集めた理由なんだろうね」

 

そんな事を話している紫音達の少し後ろを金髪のローツインテールに碧眼の少女・イクス=シアハートは歩いていた。

彼女は前に入試に訪れた際に落とし物を紫音に拾ってもらった事があり、改めてお礼を言おうと紫音を探していたのだが、気付けば紫音は他の男子三人に囲まれており、イクスは声を掛け辛い状況であった。

 

「うぅ………せっかく同じクラスになれたのに………いいえ、同じクラスならまだチャンスは」

 

「ねぇ、君どうしたの?」

 

「ひゃい!?な、なな何でしょうか!?」

 

「驚かせちゃってごめん。私は紫陽日向(しようひなた)、貴女のお名前は?」

 

「イ、イクス=シアハートです」

 

「ならイクスちゃんって呼ぶね、私も日向でいいから」

 

「は、はぁ」

 

そんなイクスに声を掛けたのは紫陽日向。雪兎の中学時代の後輩だった首元までの短い茶髪に黒みかかった茶色の瞳をした少女だ。

 

「話は戻すけどイクスちゃん、何をそんなに悩んでたの?」

 

「えっと実は………」

 

日向が悪い人では無いと信用したイクスは入試の時の事を日向に話した。

 

「な〜るほど、それで彼の事ジッと見てたんだ」

 

「はい………」

 

「なるほど、そういう事でしたか」

 

そこへ更に二人の少女がやってくる。

 

「あれ?貴女は前に雪兎先輩と一緒にいた人だよね?」

 

「知り合いだったの?ユーリ」

 

「ちょっと入試の時に………お久しぶりです、日向さん」

 

それはユーリとイリスの二人だった。

 

「改めまして、ユーリ=エーベルヴァインです」

 

「イリス=セブンフィールドよ」

 

「じゃあ、私も改めまして紫陽日向です」

 

「イクス=シアハートと申します」

 

「それで、イクスさんは紫音さんにお礼が言いたいのですよね?」

 

「はい」

 

「でしたら後で時間を取ってもらいますからその時にしましょう」

 

「だ、大丈夫なんですか?」

 

いきなり時間を取ってもらうなんて出来るのか?と心配になるイクスだったが、ユーリとイリスは顔を合わせて微笑んだ。

 

「心配しなくても大丈夫よ。私達と紫音は知り合いだから」

 

「その事についてはまたHRで説明があると思いますから」

 

そう告げる二人にイクスと日向は首を傾げるが、その意味は直ぐにわかる事となる。

 

***

 

教室に着き、それぞれ指定された席へと座り担任教師を待っていると、そこへやってきたのはかつて世界最強(ブリュンヒルデ)の称号を持っていた織斑千冬と日本の代表候補生だった山田真耶の二人であった。

 

「あ〜、私はこの度新設された1年α組、特化クラスの担任となった織斑千冬だ。色々と訳有りの生徒も多いが、去年の阿呆共のようにやらかしてくれない事を祈る」

 

「副担任の山田真耶です。皆さん、1年間よろしくお願いしますね」

 

紫音達が集められたα組とは、入試の段階で高いIS適性を持った者や代表候補生、そして千冬の言うような訳有りの生徒を集めたクラスで、その訳有り生徒をまとめられそうな教師と言う事で去年雪兎達問題児集団の担任だった千冬とその副担任だった真耶に白羽の矢が立ったのだ。

無論、クラス対抗戦に配慮して他のクラスにも代表候補生は割り振られている。

千冬にとって幸いな事に今年は千冬の名を聞いても黄色い声をあげる生徒が皆無だったのは良いのか悪いのか………

 

「とりあえず皆さんの自己紹介から始めましょうか」

 

「なら、初めは赤城優斗君からですね」

 

「えっと………赤城優斗です。趣味は機械弄りです。特技は機器のメンテナンスや修理等ですかね?」

 

トップバッターとなったのは四人いる男子の新入生の一人である優斗だった。

 

「そうか、報告にあったモノレールの応急処置をしたのはお前だったな」

 

「「えっ?」」

 

千冬の呟きに同じモノレールに乗っていたと思われる生徒達が驚く。

 

「あはは、偶々現場に居合わせただけですよ」

 

「謙遜するな。あの後お前の応急処置を見た天野………お前達の先輩になるあの馬鹿兎が感心していたぞ」

 

「えっ?そうなんですか」

 

最早IS学園で兎と言えば彼が連想されるくらいには天野雪兎は有名なのだ………色々な意味で。

 

ここからは何人かの自己紹介をダイジェストでお送りします。

 

赤刎栞(あかばねしおり)よ。趣味は読書、特技はお菓子作りかな?」

 

黒縁アンダーリムのメガネをした黒髪で三つ編みおさげの委員長タイプの少女。

 

「天野紫音です。趣味は読書で、特技は………特にないです」

 

雪兎の義弟の紫音。

 

「天野マドカだ。趣味は音楽鑑賞、特技は戦闘と危険物処理だ」

 

同じく雪兎の義妹となったマドカ。

 

伊集院渚(いじゅういんなぎさ)よ。趣味はアウトドアで、特技はサバイバルね」

 

アウトドアグッズメーカーの社長の娘の茶色に近い金髪のローツインテールの少女。

 

出雲寺瑠華(いずもじるか)だよ。アイドルやってました!」

 

日本の人気アイドルだったが、「普通の青春もしてみたい!」とIS適性があった事からアイドル活動を休止して入学した水色のショートカットの少女。

 

「ユーリ=エーベルヴァインです。趣味はガーデニング、特技はプログラミングです」

 

マテリアルズの癒やし枠のユーリ。

 

「我はディアーチェ=K=クローディア。趣味は料理、特技は家事全般だ」

 

マテリアルズが筆頭のディアーチェ。

 

「クロエ=クロニクルです。趣味は料理、特技は並列演算処理です」

 

束から「くーちゃんも学校に行ってみたら?友達増えるかもよ?」と言われて入学したクロエ。

 

五反田蘭(ごたんだらん)です!趣味はショッピングで、特技は料理です」

 

マドカの親友にして弾の妹の蘭。

 

「オニール=コメットです」

 

「ファニール=コメットよ」

 

双子で瑠華と同様アイドル活動を休止してまで飛び級入学してきたコメット姉妹。

 

「イ、イクス=シアハートです………趣味は園芸で、特技は花言葉、かな?」

 

紫音の席をチラチラと見ながら自己紹介をするイクス。

 

「紫陽日向です!趣味は運動とカラオケ、特技は」

 

「進藤レオンだ。趣味はゲーム!特技は色んなバイトしてたから色々やれる事だな」

 

中学時代は苦学生だったレオン。

 

「サラ=スカイフィールドです。趣味は動物と触れ合う事、特技は動物と仲良くなる事です」

 

3年の姉を追うように入学した青髪のふんわりした少女。

 

「シュテル=スタークスです。趣味は読書、特技は精密作業になります」

 

マテリアルズが参謀シュテル。

 

「イリス=セブンフィールドよ。趣味はガーデニング、特技は機械関係ね」

 

マテリアルズのニュービーのイリス。

 

「橘紗代子。趣味は日光浴、特技は機械整備よ」

 

日光浴が趣味とあって日焼けした肌の快活そうに見えてインテリな少女。

 

「ルーク=ファイルスです。趣味はサッカー、特技は乗馬かな」

 

ナターシャ=ファイルスの弟のルーク。

 

凰乱音(ふぁんらんいん)よ!中国の代表候補生として来たわ。趣味は料理、特技は武術よ」

 

鈴の従妹にあたる中国の代表候補生の乱。

 

「エクシア=ブランケットです。趣味はお料理、特技は紅茶を淹れる事だよ」

 

去年の年末に雪兎達に救われたチェルシーの妹のエクシア。

 

「僕はレヴィ=ラッセル!趣味はお散歩!特技は暗算だよ」

 

マテリアルが一番槍のレヴィ。

 

「アリス=ローズウェルよ。趣味はショッピングと実家の犬の世話、特技は乗馬とピアノよ」

 

最後はアメリカで近年急成長している複合企業ローズウェルの社長令嬢のアリス。緋色の背中まで伸びるロングヘアーの少女だ。

他にも生徒はいるが、長くなりそうなので他はまたの機会に紹介するとしよう。

 

「はい、皆さんがこれから1年を共に過ごす仲間です。仲良くしてくださいね」

 

最後の生徒が自己紹介を終えたところで真耶がそう言って締め、再び教壇に千冬が立つ。

 

「さてと、ここでお前達には話しておかなければならないことがある」

 

「話しておかなければならないこと?」

 

「そうだ進藤。だが、次から質問する際は挙手するように」

 

「はい!」

 

「よろしい………話しておかなければならないことというのは先程話した訳有りの生徒についてだ」

 

多くの生徒が首を傾げる中、千冬はその生徒の名を呼ぶ。

 

「天野紫音、天野マドカ、クロエ=クロニクル、前へ」

 

呼ばれて教壇の隣に立ったのは紫音、マドカ、クロエの三人。

 

「この三名だが、とある違法研究機関によって作られたクローンもしくはデザイナーチルドレンだ」

 

「えっ?」

 

突然の言葉にそう呟いたのは誰であっただろうか。

 

「その違法研究機関そのものは既に解体済みで研究者も逮捕済みだ。だが、その被験体だった三名の内二名は苗字からわかるようにあの馬鹿兎(雪兎)が身内として保護している。クロニクルも篠ノ之束が個人的に保護した娘だ」

 

そして追加で投下されたのは世間では下手に接触するべからず(アンタッチャブル)と言われる兎師弟が保護者という情報だった。

 

「あ〜、訳有って養子にしてもらったってそういう事か」

 

多くの生徒があまりの情報に唖然とする中、レオンの反応はアッサリしたものだった。

 

「ほう、貴様はソレを聞いてもそれだけの反応か」

 

そんなレオンにマドカは面白いヤツを見つけたという顔をしてそう言う。

 

「だって、生まれはどうあれ、紫音は紫音だろ?」

 

「ふふ、お前も兄さんのような事を言うのだな」

 

「レオン………」

 

「一度ダチになったヤツにその程度で態度変えるかっての」

 

そこからはレオンの言葉に賛同するかのようにクラスメイト達は紫音達を受け入れた。

 

「良かったね、マドカ」

 

「そうだな」

 

席に戻ったマドカを親友である蘭が嬉しそうに出迎える。

 

「と、ここで終わりであれば良かったのだが………もう一つ教えておかねばならん事がある」

 

と、そこで千冬がやれやれといった表情でまだ話が終わっていない事を告げる。

 

「ま、まだ何かあるのですか?」

 

「まだそんなものジャブにすぎん」

 

紫音達の生い立ちという中々の衝撃情報が前座でしかないという千冬に一同は戦慄する。

 

「クローディア、スタークス、ラッセル、エーベルヴァイン、セブンフィールド、前へ」

 

続いて呼ばれたのはマテリアルズの五人。

 

「この五名だが………頭が痛くなるような情報ではあるが、普通の人間ではない」

 

「はい、それって天野君みたいな作られた人間って事ですか?」

 

「そうであればまだ良かった」

 

「「えっ?」」

 

紗代子の問いに千冬は頭を抑えながら違うと言う。

 

「スタークス、すまんがお前が説明しろ」

 

「はい。私達はマスター………天野雪兎が作り出した人工知能に骨格を強化して人間と変わらぬ肉体を与えたハイブリッドヒューマノイド………解りやすく言うのであればホムンクルスという存在です」

 

「「は?………はぁあああ!?」」

 

これには以前からマテリアルズの事を知ってるメンバーを除く全員が目が点になる。

 

「肉体的には少し頑丈なくらいで貴様らと何ら変わりはない」

 

「ちゃんと食べたりもするよ」

 

「いや、そういう問題じゃないでしょ!」

 

これには堪らずアリスが声をあげる。

 

「ホムンクルスって………ああ、姉さんが『気を強くもつのよ』って言っていたのはこういう意味だったのか」

 

「やっべ〜………僕、そんな人に目付けられたの?」

 

ルークもナターシャから言われていた事を思い出し、優斗はそんなマテリアルズの生みの親である雪兎に注目されていると知って苦笑である。

 

「あはは………先輩、相変わらず過ぎますよ」

 

「話した感じはほとんど人間と同じでした」

 

日向は雪兎のめちゃくちゃっぷりを思い出し、イクスは先程のユーリとイリスとの会話を思い出してとても元は人工知能とは思えなかった。

 

「更に言えばこの五名にはそれぞれ専用機が存在し、手足の如く扱える………性能は去年のキャノンボールを見た者ならわかるだろう」

 

「この子達は紫音君やマドカさん、そしてクロエさんの出自から良からぬ者に狙われないように護衛するという目的もあってクラスに入っていますが、基本的に一生徒として扱いますので仲良くしてあげて下さいね?」

 

「この学園はどうなってるのよぉ〜!!」

 

そのアリスの叫びが訳を知らぬクラスメイト達の総意の叫びだった。




アリスは優斗に引き続き狼牙竜さんから
栞は恋文さん
紗代子はカブトロンガーさん
渚と瑠華は桐生 乱桐(アジフライ)さん
サラは眠らない聖剣さん
以上の方からキャラ案をいただきました。
改めてお礼申し上げます。


今年は色々と大変な年になりましたが、皆さん良いお年を………


2024/10/14追記
乱についてですが、昨今の事情を鑑みて独自改変がされていますのでご了承ください。
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