ISー兎協奏曲ー第二楽章   作:ミストラル0

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続きです。
この番外編はエッジ地上ルートで進行しています。

思ったより一話が長くなりそうなので今後はもう少しマキで進行するかもしれません。
あんましダラダラと番外編書いてもつまらないでしょうし………


スパロボ30③旅立ちの日

ドライストレーガー格納庫

 

「エッジ・セインクラウス君………無駄な抵抗はやめたまえ。こちらの指示に従わない場合は発砲も辞さないぞ」

 

副長のレイノルドに銃を向けられつつもエッジは無抵抗に機体を降り指示に従っていた。

 

「力むのはいいがよ………誰も抵抗なんてしてないだろうが」

 

「意外ね………ヒュッケバイン30を捨てて逃げるかと思ったのに」

 

「俺は悪い事をしたつもりはないんでな。だから、逃げる必要なんてない。軍のルールではNGだとしても俺のルールではGJだったと思っている」

 

確かにあの場でエッジがヒュッケバインを動かしていなければドライストレーガーが無事に出航できたかは怪しい。

そうなれば基地がどうなっていたと考えればエッジの言い分もわからなくはない。

 

「こいつの言う通りだぜ、自治会会長………じゃなくて、艦長!」

 

「そうですよ。エッジさんが戦ってくれたおかげでドライストレーガーは発進できたんですし」

 

それを支持するようにツナギ姿の青年ジークンやオペレーターをしていた女性のリアンがエッジの擁護に入る。

 

「(若い艦長だとは思ってたが、この艦長さんが例の自治会会長だったのか………となるとホワイトベースやアークエンジェルみたいに本来の艦長ではなく、何らかの理由で艦長にならざるえなかったってとこかね?)」

 

「それはそうだけど………」

 

「みんなの気持ちはわからなくもない。だが我々は、もう任官を受けた軍人なんだ。軍人は軍人としてそのルールにしたがわなければならない」

 

「俺は軍人じゃないぜ」

 

「君は黙っていたまえ!」

 

「黙ってられるかよ。そっちのルールを押しつけてくるならこっちにも考えがあるってもんだ」

 

「や、やっぱり、抵抗するのか!」

 

「(この副長、微妙に頼りねぇ………)」

 

ピリピリとした空気になったところで二人の間に甲児が割って入る。

 

「まあ落ち着けよ、二人共。事情はだいたいわかった。俺からも彼を弁護させてもらう」

 

「甲児さん………」

 

「非常時に民間人が軍の新型に乗り込んで敵を撃墜する………過去にもそういった事例がなかったわけじゃないしな」

 

「そいつはどうなったんです?」

 

「その後も軍に協力する事で事態を有耶無耶にしたよ。本人は渋々だったけどな」

 

「アムロ・レイ、ですね?」

 

「一年戦争の英雄の!?」

 

「そっちの傭兵君は色々詳しいみたいだな」

 

「まあ、あの人は有名ですからね………貴方と同様に」

 

雪兎がそう返すと甲児は苦笑する。

そんな中、やはりというか艦長のミツバは甲児の言葉に反発する。

 

「連邦の白き流星とこんな風来坊を一緒にはできません!」

 

「(連邦の過去のアムロ・レイの扱いを知ってんのかね?この艦長さん)」

 

一年戦争で発揮したその能力を恐れた連邦軍に軟禁状態にされたり、厄介事を押し付けたりと実はあんまり扱いが良くなかったりするのはガンダムファンの常識とも言える知識である。

 

「悪かったな。宿無し、ロクデナシ、甲斐性なしで」

 

「そこまでは言ってないけど………」

 

そこからはとりあえず上位の人間に判断を仰ごうということになったのだが………

 

「その必要はない」

 

「この声は!」

 

「総員に告ぐ。私はドライストレーガー建造計画責任者のファイクス・ブラックウッド准将だ」

 

「准将とはまた大物が出てきたもんだ」

 

通信と思われるその声の主は地球連邦軍准将と名乗った。

 

「まずはドライストレーガーを無事に発進させた諸君等の健闘を讃えよう」

 

これには士官学校の生徒だった現ドライストレーガーのクルーも驚いている。

 

「状況については報告を受けている。ヒュッケバイン30を無断使用した民間人についてもだ」

 

「………」

 

その声にエッジの表情は鋭さを見せているが事を起こす気はないようだ。

 

「諸君等も認識している通り、地球連邦軍は現在、未曾有の危機を迎えている。ドライストレーガーはそれを打破するための存在であり、その慣熟は我々にとって最優先事項である」

 

おそらく新光子力研究所に協力要請を行ったのはこの准将だろうと雪兎と甲児は推測する。

 

「まだ学生であった諸君を特例で乗員に任官したのもその一つだ」

 

「(この准将、絶対只者じゃねぇぞ)」

 

いくら最新鋭艦の為とはいえ、学生を動員させる程の強権を振るったとなればその影響力はとてつもないものだ。

 

「ファイクス准将………我々の今後の作戦行動についてお聞かせください」

 

「ドライストレーガーは万能戦闘母艦であり、本艦を中心とする部隊は独立部隊としての運用を前提とする。別の言い方をすれば、既存の指令体系に本艦は組み込まれるべきではない」

 

「では………」

 

「諸君等は、当面は極東地区にてドライストレーガーの慣熟を目的とする行動を命じる」

 

「具体的には何をすればいいのでしょうか?」

 

「それを考え、最善の道を模索する事こそが諸君等に求められる事だ。ドライストレーガーに関する資料、各セクションの機能その他についての情報はメインコンピュータに送っておく」

 

要は「自分で考えろ」という身も蓋もない言葉に再びクルーが騒ぎ出すが、「もう学生ではなく軍人だ」と言われてしまい沈黙する。

そんな中、艦長のミツバは再びファイクスに問う。

 

「准将………ヒュッケバイン30を無断使用した民間人についてはいかがします?」

 

「ミツバ中佐………まずは君の見解を聞かせてもらおう」

 

「本艦の慣熟………それによる現状の打破こそが地球連邦軍における最優先事項と先程お聞きしました。事後承諾の形となりますが、ヒュッケバイン30により本艦を護衛した彼の行動もそれに則るものとして………特例により不問に処すべきだと判断します」

 

「(へぇ………)」

 

このミツバの判断に雪兎は感心する。

 

「理屈としては間違いではない。だが、ヒュッケバイン30も計画の一端であり、軍機に属するものだ。それに触れた民間人を放免するわけにはいかない」

 

「了解しました。では、彼を私の監視下に置きます」

 

「は!?」

 

「学内には他に適性な人材もいませんので彼にはヒュッケバイン30のパイロットを務めてもらいます」

 

「彼はそれに値する人間なのか?」

 

「それは、これから見極めるつもりです」

 

という訳でエッジの処遇はヒュッケバイン30のパイロットとしてミツバの監視下に置かれる事となったのであった。

 

***

 

「では、改めてお礼を言おうと思ったのだけれど………」

 

「自分達より歳下で驚いたか?」

 

「正直な事を言えば」

 

あれから雪兎達は艦長室に呼ばれ改めてミツバからお礼を言われていたのだが、彼らからしたら歳下に当たる雪兎達に驚いていた。

 

「傭兵を始めたのは割と最近だが、腕はさっき見た通りだ」

 

「カスタム機とはいえ、機械獣相手にあれだけ戦えるのであれば大したもんだ」

 

同席した甲児から見てもその実力は十分のようだ。

 

「しかし、あのジェガンは何処から………」

 

「戦場でスクラップになってたのを数機分集めてレストアしたものをカスタムしたものだが?」

 

「「えっ?」」

 

サラッと言われた言葉にミツバとレイノルドは言葉を失う。

 

「別に基地から機体を盗んだ訳じゃないんだから問題あるまい」

 

「いやいやいや!?そういう問題じゃなくて!それを自分達だけで!?」

 

「こう見えて一技術者なんでな。素性はちと訳有りで話せないが」

 

レイノルドはやはり何処か頼り無い。

 

「エッジとの関係は?」

 

「それは単に途中で生き倒れてたのを助けた縁で極東まで一緒に来たってだけだ」

 

「ああ、ソイツの言う通りだ………ってか、生き倒れてたとか言うなよ!」

 

「生き倒れ………」

 

ミツバのエッジを見る眼が少し厳しくなった気がする。

 

「で、あんたらはこれからどうするんだ?あの准将さんの話ではしばらく極東を回って艦の慣熟を行うみたいだが」

 

「その事なのだけど………雪兎君達は傭兵なのよね?」

 

「一応な」

 

「なら、私に雇われてみる気はない?」

 

「ほう」

 

「ドライストレーガーの艦外戦力は甲児さんとエッジの二人だけ。出来ればもう少し戦力が欲しいの」

 

「慣熟とは言ってもこの状勢じゃ何処で襲撃を受けるかわかったもんじゃないものな………あのアンノウンみたいなのがいるとなれば尚更に」

 

雪兎としてもドライストレーガーが今後の物語の中心になると踏んでおり、それに関与できるとなればミツバの提案は好都合とも言える。

シャルロットとカロリナが黙っているのもそんな雪兎の考えがわかっているからである。

 

「准将には私から話をつけておきます。だからお願いできないかな?」

 

「そういう事なら雇われよう。これから世話になる、ミツバ艦長」

 

「ええ、よろしくお願いするわ」

 

こうして雪兎達はまんまとドライストレーガーに滞在する権利を得たのであった。

 

「あっ、そうだ。なら艦の設備を少し借りてもいいか?」

 

「というと?」

 

「実は今使ってるジェガンカスタムは仮の機体でな。本命の機体を建造中なんだわ」

 

「「………えっ?」」

 

これには再びミツバ達が固まる。

 

「いや〜、せっかく最新の設備があるんだからそっち使った方が造るの早いかなって」

 

「へぇ、面白そうじゃないか。俺もその機体見せてもらっても?」

 

「甲児さんならむしろ歓迎するよ。というかジェガンみたいな改造じゃなくて完全な新造だから他の技術者の意見も聞きたいと思ってたんだ」

 

「すみません、雪兎は技術者としては優秀なんですけど、ちょっと発想がぶっ飛んでるといいますか………」

 

「うちのメイヴィーみたいなタイプって事ですね………」

 

その後、許可を貰った雪兎は輸送機に載せてあった未完成の機体を降ろし、甲児と意見交換を始める。

更には話を聞きつけたジークンやメイヴィーも駆けつけあっという間に意気投合してしまうのであった。




という訳で兎は平常運転でございます。
雪兎達の今後の機体については早めに出す予定なのでお楽しみに。
現状、雪兎のレイノルドへの評価は頼り無い大人です。
まあ、あの人が本気出すの後半ですから………
雪兎達が自分達の素性を明かすのは他の転移組が加入する頃になると思います。


今回オリジナルメカ紹介は新規で出た機体がないのでお休みです。
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