今回も地上でのお話で、3つ分くらい一気に進行します。
ジルクスタンを後にしたドライクロイツはアフリカ・カイロに進路を取っていた。
これは機械獣の拠点を叩きに向かった剣鉄也と兜シローが率いる第5次機械獣調査隊と合流し、拠点を叩いた後に二人をドライクロイツにスカウトする為である。
「機械獣の生産プラントか………」
「どうしたの?雪兎」
「それが再起動しただけってのはおかしいと思ってな」
INFINITYは雪兎も生前に一度見ただけでそこまで詳しく覚えてる訳ではなく、ほとんど知識が無いに等しい作品であり、少しずつ記憶を辿ってはいるものの、詳細を思い出せずにいた。
だが、Dr.ヘルが復活してINFINITYと呼ばれる遺産で何かしようとしているのだけは覚えている。
「雪兎、やはりヤツが?」
「ああ、それは間違いない………だが、詳しくは思い出せないんだ。すまない」
「気にするな。本来なら判るはずのない事がある程度知れるだけでも十分助かってるんだから」
甲児にそう言われ雪兎は気を取り直し状況把握を続ける。
元々量産型機械獣等というのは存在しておらず、量産型は過去の機械獣より高性能化している点や南原コネクションにて遭遇したタイターンG9もかなりの強化が施されていた事から機械獣を作った張本人であるDr.ヘルが生存しているのは確定事項。
問題はその戦力がどれほどのものになっているかなのだが………
「警報!?」
「敵さんもプラントは攻撃されたくないと見える」
「いくぞ、皆!」
各機が出撃すると、生産プラントの近くというのもあってかかなりの数の機械獣がおり、その後方にはやはり復活したと思われるジェイサーJ1の姿があった。
「ジェイサーJ1は交戦経験のある俺が抑える。皆はその間に他の機械獣を頼む」
「マジンガーじゃないんだから無茶はしないで下さいよ?」
「わーってるよ」
そうして機械獣軍団と交戦になるが、そこに新たな機影が現れる。
「あれはジェットファイヤーP1!いや、違う!」
「そう………ジェットファイヤーP1は、Dr.ヘル様が私を偲んで造られた機械獣………だが、このアシュラーP1はこの私のために造られた超機械獣だ」
「お前は………!」
「我こそは、あしゅら男爵!」
それはヘル事変で倒れたはずの甲児とマジンガーZの宿敵であるあしゅら男爵とそれを模したアシュラーP1だった。
そこから甲児はあしゅら男爵の誘いに乗ったフリをして密かに近付いていた鉄也のグレートマジンガーのサンダーブレークの間合いに誘き出し、その直撃を食らわせる事に成功する。
その兄弟機の連携にエルが感激し、グレートマジンガーと共にやってきたイチナナ式に乗るシローは護と幾巳との再会を喜ぶ。
「サンダーブレークの直撃を食らってまだ動くとは………超機械獣というのも伊達じゃないらしい」
「関心するのはそこなんだ………」
「とりあえず量産型を片付けるぞ」
量産型を片付けたあとはジェイサーJ1とアシュラーP1に向けて戦力を分けて攻撃する。
雪兎達は雪兎はアシュラーP1、ジェイサーJ1にはシャルロットとカロリナが割り振られた。
「あんたがあしゅら男爵か………ほんとに左右半分ずつなんだな」
「な、なんだこの男は………このあしゅらの攻撃がかすりもしないだと!?」
「左右の機体バランスから攻撃モーションの癖があるのは把握させてもらった。左右に分かれる攻撃も似たようなのを知ってるんでね!」
「ぬぅ」
「今だ、三人とも!」
「おう!いくぜ、鉄也!シロー!」
「わかった!」
「OKだアニキ!」
「「ブレストファイヤー!!」」
「ブレストバァァァン!!」
雪兎に翻弄されている間に甲児達に囲まれたアシュラーP1はブレストファイヤーとバーンの連携攻撃を受ける。
「終わりだ、あしゅら!」
「フ………フフフ………ハハハハハ!ハハハハハハハ!」
「何がおかしい!?」
「これが笑わずにいられるか!終わりではない!始まるのだ!このあしゅらが闇から陽の光の下に出てきた事の意味を理解しろ!今、この時より世界は動き始める!恐怖で彩られ、真実が剥き出しになるのだ!」
そう言い残し、あしゅらはジェイサーJ1を連れて撤退していく。
「逃したか………」
「ごめん、こっちも逃げられちゃった」
「大きさの割に逃げ足は速かった」
「流石にここで倒せるとは思ってなかったが、これで機械獣の一件の黒幕は確定だな………」
その後、着艦した鉄也とシローは調査隊での任務を終えたという事でドライクロイツに合流する事となった。
そして、顔馴染みとの交流が済んだ鉄也は雪兎のところへやってくる。
「あんたがさっきの白い機体のパイロットか」
「天野雪兎です。よろしく頼みます、鉄也さん」
「ああ、よろしく頼む。先程の援護は見事だった」
「あのあしゅら相手にあれだけ立ち回れるのはスゲーよ!あっ、俺はアニキ………兜甲児の弟の兜シローだ。よろしくな!」
そこへシローもやってきて自己紹介を済ませる。
「二人共ここにいたのか」
「あ、アニキ」
「甲児もきたか」
更に甲児も加わり、雪兎はマジンガーブラザーズと交流を深めるのであった。
***
アフリカを後にしたドライクロイツは一度日本へと戻ろうとしたのだが、航路に問題が発生した為にオーストラリア方面へと迂回する事となり、その際にブルーホールの近くで戦闘が発生していると知り、そちらへ向かう事に。
「ブルーホールって事はまさか」
「おそらくはジャロウデクとザガート一派………そして、彼女達でしょう」
現場に到着すれば、そこには赤、青、緑の魔神とジャロウデク軍、そしてゴーレムを率いるイノーバという構図。
直ぐ様出撃して魔神の援護に入るドライクロイツ。
「光!海、風!大丈夫!?」
「銀凰騎士団のみんな!」
「エル達も、ここに跳ばされてきたんだね!」
顔馴染みの銀凰騎士団の面々と再会して喜ぶ
それをイノーバも肯定し、ブルーホールで繋がった二つの世界は表裏一体であると明かす。
「(イノーバ………既にあの姿なのか、というかデカくね?)ってか、魔法騎士の三人はこの世界出身なのかよ………」
魔法騎士の三人と協力してジャロウデク軍とザガート一派を迎撃する事となったドライクロイツ。
セフィーロの魔神の戦闘は幻晶騎士の魔法よりも一般的にイメージされる魔法と剣を使うド派手なもので、初見の皆は唖然としている。
「まあ、普通そうなるわな」
「ですね」
ジャロウデク軍はエルがケルヒルトを退けると撤退していき、残ったゴーレムとイノーバの相手をすることに。
「所詮は土塊………ブランの相手には不足ってな!」
「凄い………魔物の相手は初めてのはずなのに」
「的確にゴーレムのコアを攻撃して倒しています」
「私達も負けてられないわ!」
雪兎がゴーレムを簡単に蹴散らすと魔法騎士の三人も負けてはいられないとゴーレムを撃破していく。
「図に乗るなよ、人間ども!」
ゴーレムを全滅させると稲妻を纏ったイノーバが突撃してくる。
「速くはあるが、ブランで躱せない程じゃねぇ!」
イノーバの突撃を躱すとすれ違いざまにソードライフルで数発を叩き込み隙を作る。
「「はぁ!」」
そこへ魔法騎士達が切り込み………
「これはオマケです!」
エルがソーデッドカノンを撃ち込みイノーバを撃退する。
そこで戦闘終了かと思えば、光がアルシオーネというザガート一派の一人を見つけ、魔法騎士達とアルシオーネが生身でぶつかる。
しかし、ケルヒルトが乱入してきた事でアルシオーネを取り逃がしてしまう。
「ザガート一派までこっちに来るとはな………狙いはやはり」
その後、ドライストレーガーにやってきた魔法騎士、獅堂光、龍咲海、鳳凰寺風の三人はこのままドライクロイツに協力する事となるのだが、どうも勇太の姉であるくるみと光がクラスメイトらしく、勇太と光には面識があったという事実が発覚する。
「世の中って狭いんだね………」
「………そうだな」
「雪兎?」
だが、雪兎の魔法騎士達………特に光を見る視線はどこか厳しいものであった。
***
ブルーホールでの一件の後、日本近海へと戻ったドライクロイツに冴島総監より新たなブレイブポリスであるビルドチームの完成が告げられ、彼らと合流すべく合流地点の金沢へと移動を開始する。
「ビルドチームか」
「勇者ロボシリーズの定番三体合体二号ロボ」
「追加でもう一体増えるのもお約束ですね」
いつものように集まっている雪兎達に加えて雪兎と縁の深いエルを混じえた対策会議。
これはそれぞれが覚えている原作知識を共有する事で知識に抜けが無いか確認する場でもあった。
「おそらく登場回と合体回の複合回だろう………となればシャドウ丸とカゲロウのエピソードもまとめてくるだろうな」
「やはり先輩はスパロボ特有の救済を狙うんですか?」
「カゲロウか………俺個人としては助かってほしいもんだ。アイツの原作エピソードは………」
カゲロウというのはシャドウ丸のプロトタイプ兼シャドウ丸の教導役となるBP-500番代のロボで、教導終了後にAIをリセットして再配備される自身の処遇に異議を申し立てた事で離反したロボなのだ。
その後、敵組織にいいように利用された挙句に別のボディに移されて使い捨てられたという悲しい運命を辿った。
「とりあえずカゲロウについては後にしよう。ビルドチームは原作通りの人員に任せた方があいつらの人格形成には良いだろうしな」
という事で今回は原作とは違うイレギュラーが発生した場合のフォローするということで対策会議は終了した。
***
金沢試験場
「とりあえずお披露目は順調と」
エルが知ってはいても生での新型のお披露目とあって興奮していたりはしたが、ビルドチームのお披露目は順調そうだ。
「うん?あれはあっちの裕太と………」
ふと見るとグリッドマン同盟の方の裕太に一人の少女が親しげに話しかけていた。
「響、その娘、知り合いか?」
「何よ、今は私が響君と話してるんだけど?」
そこへ声を掛けると、少女の方は不満そうな顔をする。
「えっと、こっちは僕らのクラスメイトの新庄茜さん………で、こっちは」
「こいつらと同じ艦に乗ってる天野だ」
「ふ〜ん」
明らかに「どうでもいいからあっちいけ!」という顔をしている茜だが、雪兎も色々と茜に疑いを懐いていた。
「(こいつが藤堂武史枠か)」
そんな時、警報が鳴り響き、デッカードとビルドチームが迎撃に出るもパワーが足らず、やはり冴島総監から合体指示が飛ぶも息が合わずに失敗してしまう。
「やっぱり失敗したか………」
更にそこへカゲロウとシャドウ丸が乱入してくるもすぐに姿を消してしまい、敵ロボットもドライストレーガーが到着してすぐに撤退していっていく。
「超AIのメンタルケアは専門外だし、ビルドチームのメンタル問題は適任者に任せるか………」
翌日、ビルドチームの提案で合体のお披露目を囮にカゲロウや敵ロボット軍団を誘き出す作戦が結構され、狙い通りロボット軍団は釣れたのだが、カゲロウの姿は見えない。
とりあえずロボット軍団の迎撃にビルドチームは再び合体を試みるも、やはり失敗してしまう。
仕方なくビルドチームを下げ、ドライクロイツが迎撃に出るとカゲロウが姿を現す。
やはり記憶を消されるのは死ぬのと同義と新庄健を通じて敵になったようだ。
「ロボットだって生きてるんだ………造った人間だからって、その生命を好きにしていいなんて事はないんだ………」
カゲロウの言い分に豹馬はかつての敵であったガルーダを思い出しているようだ。
結局、カゲロウとシャドウ丸がぶつかる事になり、それをグリッドマンが止めに入ろうとするのだが、そこへロボット軍団とは別で現れた怪獣と思われる存在に阻まれてしまう。
「グリッドマン!貴様は俺が倒す!」
「か、怪獣がしゃべった!」
「(対グリッドマン用に調整された怪獣ってとこか………やっぱりあの小娘が造ったんだろうな)」
新庄茜の関与の疑いを深めた雪兎はとりあえず怪獣への嫌がらせを敢行する。
「おらよっと!」
「こんなもの!」
雪兎が放ったグレネードを怪獣は爪を伸ばして切り払うも、中に詰まっていたのはトリモチネットで、それによって怪獣は身動きが取れなくなってしまう。
「くっ、なんだこれは!?」
「特製のトリモチ弾だ。少し大人しくしてな」
追加で閃光弾まで浴びせて雪兎は怪獣を飛び越えてカゲロウとシャドウ丸のところへと飛ぶ。
「邪魔するぜ!」
「何!?」
「助太刀は無用!」
「俺が用あんのはカゲロウの方でね!」
「俺に用だと?」
二体の間に割って入った雪兎はカゲロウへ言いたい事をぶちまける。
「守りたいのはシャドウ丸との思い出なんだろ!なのに敵対なんぞして本末転倒な事してんじゃねぇよ!」
「「!?」」
「それがシャドウ丸を苦しめるとは何故思わない!?」
「そ、それは………だが、記憶を奪われるのは死ぬのと変わらない!」
そう言ってカゲロウは抵抗するが、雪兎の言葉で動揺したのかシャドウ丸に押され気味となってしまう。
「投降しろ、カゲロウ」
「ダメだ………それは俺の死を意味する」
「冴島総監達は既にお前への記憶消去に関しては反省してるんだ。それにお前の記憶を守る手段はある!」
「そうだよカゲロウ!僕がカゲロウの記憶を守ってみせるから!そして、僕達と一緒にブレイブポリスで………ドライクロイツで戦おうよ!」
そう、ブレイブポリス外部にカゲロウの記憶が流失するのが問題なのであって、ブレイブポリスやそれに関連するドライクロイツへ所属となればカゲロウの記憶を消去する必要はない。
シャドウ丸も説得に加わり、カゲロウへ投降を呼び掛けるが、カゲロウは犯した罪は償わなければならないとそれを断ろうとする。
そこへ………
「その必要はない」
ブレイブポリスの超AIの開発者にしてカゲロウをロボット軍団に引き込んだ張本人である新庄健が現れ、カゲロウを整備する際に取り付けた服従回路によってカゲロウのコントロールを奪う。
そして、カゲロウの戦闘データをコピーしたアビスガードと超AIを外部から書き換えられリミッターを外されたカゲロウがドライクロイツに立ちはだかる。
だが、新庄健は怒らせてはならない者達を怒らせた。
「………んな」
「ん?」
「巫山戯んなって言ったんだよ!このクソ眼鏡ェ!」
「ええ許せませんとも!心を持ったロボットの心を強引に書き換えるなど僕の美学に反します!」
そう、雪兎とエルである。
「ひ、ヒェ!?」
「僕達だって許しはしない!」
「ああ、気分の良いものじゃないな!」
そして超AIの勇者達と絆を育んでいた護と幾巳も同様である。
「シャドウ丸!」
「はい!」
「クソ眼鏡と雑魚共は俺達に任せてカゲロウを止めろ!超AIのユニットさえ残ってりゃ俺が何とかしてやる!だから何としてでもテメエの兄弟を止めろ!」
「雪兎兄ちゃん………シャドウ丸!カゲロウを止めるんだ!」
「了解です、チビボス!」
雪兎達がカゲロウの量産仕様ともいえるアビスガードを止めていると、ビルドチームが自分達にもやれることをと飛び出してくるが、それを不快に思った新庄健によってカゲロウが観客達へと攻撃を仕掛けようとする。
それをビルドチームは自身を盾にして守る。
そこで「守りたい人達がいる」という気持ちを一つにした事でビルドチームはビルドタイガーへの合体を成功させる。
「やるじゃねぇか、ビルドタイガー」
ビルドタイガーも戦線に加わり、アビスガード軍団は押されていきシャドウ丸とカゲロウの一騎打ちが成立する。
その間にグリッドマンもキャリバーを使い怪獣を退ける。
「カゲロウ!」
「アヒャヒャヒャ!」
「必ずお前を止めてみせる!」
シャドウ丸の多段変形攻撃が決めてとなり、ついにカゲロウは倒れる。
だが、シャドウ丸の最後の一撃はカゲロウがわざと攻撃を受けたような気がした。
「これで………いいんだ………シャドウ丸」
「お前………やはり、意識が戻っていたんだな」
「途切れ………途切れだった………がな」
ビルドチームの勇気にカゲロウの超AIが揺さぶられ、それがカゲロウの意識を呼び覚ましたようだ。
その薄い意識の中、カゲロウはビルドチームの合体を促し、シャドウ丸の攻撃をわざと食らったのだ。
「あの程度、で………俺の………罪が、許されるはずも………ないがな」
それはカゲロウなりの償いだったのだろう。
しかし………
「カゲロウ………」
「こんな………俺を、ブレイブポリスに………誘ってくれた、あなたの言葉………嬉しかった………生まれ変わったら………あなたの事を………ボスと、呼びた………い………」
自身を守ると、仲間に誘ってくれた勇太に感謝を告げ、カゲロウは機能停止する。
「カゲロウ………」
「カロリナ!カゲロウを収容しろ!」
「ガッテン!」
「生まれ変わったら!?絶対に生まれ変わらせてやる!こんな最後、俺は認めねぇ!」
その後、新庄健はシャドウ丸に現行犯逮捕される事となり………
***
「こうして直接会うのは初めてかな?天野雪兎君」
「お会い出来て光栄です、冴島総監」
翌日、雪兎は冴島総監達と面会をしていた。
「で、どうだったかね?」
「この通りですよ」
雪兎の処置の速さが幸いしてカゲロウの超AIは無事に回収が出来た。
「すまないね………元は我々がカゲロウの事をもう少し考えていれば良かった事だというのに」
「過ぎた事は仕方ありません。今は次の教訓としましょう」
「そうだな」
「それでこれなんですけど」
「ほう、これは………」
「なるほど………そういう事か」
カゲロウの超AIのコアユニットの他に雪兎が差し出したものを冴島と藤堂は興味深そうに見る。
「どうせ生まれ変わるなら強くしてやった方がいいでしょ?」
「よくもまあこの短時間にこれだけのプランを練られたものだ」
「超AIの回収がてらカゲロウの構造は把握させてもらいましたから」
こうして密かな兎の企みが進行するのだった。
果たしてカゲロウはどうなってしまうのか?
年明けの投稿分は少し地上で寄り道してから宇宙に向かう事になると思います。
今回はオリメカ出てないので紹介はカットです。
では皆さん、良いお年を………