1
無数の小型船舶が、ひた走っている。
目指す海岸は、もう目と鼻の先にまで迫っている。
小型船を操る乗組員。
その1人1人が、決意に満ちた眼差しを秘めている。
助け出す。
何としても。
今、あの海岸で待っている兵士たちは、自分達にとっての希望だ。
ナチスの暴虐から祖国を守ってくれる勇者たちだ。
彼等を1人でも多く、本国へ連れ帰る。
その決意を漲らせ、全ての船がダンケルクの海岸を目指していた。
1940年5月26日
イギリス軍はダンケルク海岸に追い詰められた連合軍主力部隊をイギリス本土へ脱出させるべく、大規模な救出作戦を開始した。
ダイナモ作戦。
世に言う「ダンケルク撤退戦」の始まりである。
だが、事はそう簡単にいく話ではなかった。
本来であるならば、大型船を横付けして一気に大人数を収容してしまいたい所。
しかし、そうはいかない事情があった。
ダンケルクは遠浅の海岸であり、大型船が入泊できる港も存在しない。
そこでイギリス軍は、民間から大量の小型船舶を徴発、その全てを救出作戦に当てた。
イギリス中から、それこそ遊覧船から漁船まで、ありとあらゆる船が集められた。
だが、ダンケルクに集結した連合軍将兵の数は35万。
その全てを救出するまでの間、当然、
ドイツ軍が待ってくれるはずも無かった。
鉄十字の描かれた翼を連ね、大規模な航空部隊がダンケルクを目指す。
情報によれば、既に敵の一部は撤退を始めていると言う。
しかし、相手は動きの遅い地上部隊と船舶。
航空機の速力なら、楽に追いつけるはずだった。
進撃するルフトバッフェの中には、クロウの駆るメッサーシュミットもあった。
既に海岸線は眼下に見えている。
このまま南下すれば、連合軍兵士が溢れている、ダンケルクに行きつくはずだった。
「さて、敵はどう出るかね・・・・・・」
周囲に視線を巡らせ、警戒を怠らない。
イギリス軍は、万難を排して連合軍の救出を行っていると聞く。ならば当然、イギリス空軍の妨害はあると考えるべきだった。
その時、
眼下に白い砂浜が見え、そこにまるでアリの大軍のようにひしめく、無数の兵士たちが見えた。
間違いない。ここがダンケルクだ。
ただちに高度を落とし、攻撃体制に入る爆撃機隊。
ドルニエDo217が爆弾層を開き、ユンカースJu87スツーカが、ダイブブレーキを開いて急降下に入る。
たちまち、海岸線のあちこちで大規模な爆裂が吹き上がる。
炎が舞い、砂塵が突き上げられる。
圧倒的な火力が、海岸全てを押しつぶさんとしているかのようだ。
「よしッ 良いぞ!!」
愛機のコックピットで、クロウは喝采を上げる。
これだけの猛爆撃を受けて、その中にいる人間が無事に済むとは思えない。
このまま、敵兵を殲滅する事も、不可能ではない。
そう思った時だった。
突如、
雲を衝く形で、飛び出してきた機体がある。
驚くほど軽快な動きで爆撃機の背後に回り込むと、両翼に装備した多数の機銃を一連射する。
炎を上げ、海上へと墜落していくドルニエ。
その姿を見た瞬間、
クロウは既に反応していた。
「イギリス機かッ!!」
スロットルを開くと、エンジンが唸りを上げる。
メッサーシュミットBf109Eは加速を開始し、今まさにドルニエを撃ち落としたイギリス機の背後へと回り込む。
照準器の中に、敵機を捉える。
見た事のない、スマートな機体だ。
流麗なボディと翼が、却って畏怖に近い念を抱かせる。
「喰らえッ!!」
叫ぶと同時に、トリガーを絞ろうとするクロウ。
だが、
機銃を発射する直前、
敵機は鋭いカーブを描き、クロウの照準から外れてしまった。
「何ッ!?」
驚くクロウ。
その間にも敵機は、クロウのメッサーシュミットの背後へと回り込んでくる。
「させるか、よォ!!」
すかさず、クロウも旋回に入る。
一定の距離を置いた状態で、旋回を繰り返す両者。
互いに背後を取り合う形になる為、犬の喧嘩に例えられ、「ドッグファイト」と呼ばれる事になる戦闘形式。
だが、
「クッ 奴の方が、速いってのかッ!?」
旋回を繰り返すクロウの視界の中で、敵機は徐々にメッサーシュミットの背後へと回り込もうとしているのが判る。
このままじゃやられる。
「冗談じゃッ ねえッ!!」
叫ぶと同時に、操縦桿を戻すクロウ。
同時にエンジン出力を全開まで上げ、急降下に入る。
クロウのこの動きに、とっさに反応が遅れた敵機を、一気に引き離す。
同時に急激に反転。
トップスピードのまま、敵機の上方へと斬り込む。
そこで、機銃を発射する。
放たれた20ミリ機銃が敵機に命中、火球へと変じさせた。
大きく息を吐くクロウ。
見れば、あちこちで、突如現れた敵機を前に、味方のメッサーシュミットが苦戦を強いられている。
これまでにない、高い機動性を誇る機体を前に、誰もが対応できずにいるのだ。
中にはクロウのように、すぐさま反撃策を思いつき実行する者もいるが、全体としてルフトバッフェ側の苦戦は免れなかった。
突如、ドイツ空軍の前に立ちはだかったイギリス軍の新型機。
それこそが、
スーパーマリン・スピットファイア。
大戦全般を通じ、メッサーシュミットのライバル機として、幾度となく砲火を交える事になる機体である。
直線速度と加速力に優れるメッサーシュミットに対し、スピットファイアは機動性と旋回力に優れている。
これがもし、広い空間で自在に戦う事が出来たなら、メッサーシュミットも互角以上に戦う事が出来た事だろう。
しかし今回は海岸上空と言う、比較的狭いエリアで戦う事を強いられている。その為、小回りが利くスピットファイアの方が有利に働いているのだ。
そこでふと、クロウは眼下へと目を転じる。
相変わらずドイツ空軍の爆撃は続き、爆炎は派手に踊っている。
しかし不思議な事に、爆撃の派手さに比べて、敵軍は殆ど混乱していないように見えるのだ。
未だ、大半の兵士たちが健在。
と言うより、殆ど損害らしい損害を与えていないように見える。
「どういう事だよッ!?」
機体を旋回させながら、状況を確認する。
相変わらず、爆撃によって、炎があちこちに待っているのが見える。
中には、兵士が吹き飛ぶ様子も見て取れた。
しかし、それは運悪く極至近に爆弾が落下した時の事であり、そこからほんの数十メートル離れた場所に立っている兵士には、殆ど被害らしい被害は出ていない。
観察すること暫し。
「・・・・・・・・・・・・そうかッ」
ある事に思い至り、クロウは舌打ちする。
爆撃の効果を減殺している物の正体。
それは、海岸の砂だった。
砂地は柔らかい為、爆弾は地表では炸裂せず、少し地面にめり込んだ状態で信管が作動しているのだ。そのせいで、爆風は砂が殆ど吸収してしまっているのである。
敵兵に損害が殆ど出ていないのは、そのせいだった。
爆撃は相変わらず、大々的に行われている。
しかし、その戦果は微々たるもの。
連合軍は尚も、迫るドイツ軍に対して頑強に抵抗を続けているのだった。
2
第1艦隊に再反転が命じられたのは、本来の突入予定日から1日遅れの事だった。
《先ノ命令ハ解除、第1艦隊ハ再度反転、だんけるく海岸ニ突入、連合軍主力部隊ヲ捕捉撃滅セヨ》
その電文を呼んだ時エアルは、
そしてシャルンホルストとマルシャルも、思わず慨嘆するしかなかった。
朝令暮改と言う言葉があるが、これこそまさにそれだった。
昨日の命令を今日になって撤回するなどと、あまりにも杜撰と言わざるを得ない。
それに、
腹立たしい以上の問題が、他にもあった。
「先行したUボートからの偵察で、戦艦複数を含む艦隊がダンケルク沖に展開し撤退支援を行っているようです。容易に突入は難しいかと思われます」
「うむ」
ノルウェー沖で大勝したとは言え、未だにドイツ海軍はイギリス海軍に対して劣勢である事に変わりはない。
戦艦を含む有力な艦隊と戦えば、大損害は免れない。
否、
損害を喰らうだけならば、まだ良い。
一方的に撃たれ、敗北する可能性すらあった。
問題はダンケルク突入が、海軍総司令部からの正式な命令である、と言う事だった。
現場での駆け引き程度なら独断で行う事も許されるが、上級司令部からの命令を違える事は許されない。最悪、命令違反で処罰の対象にもなる。
「どうします、提督?」
尋ねるエアル。
シャルンホルストや他の幕僚たちも、固唾をのんでマルシャルに視線を集中させている。
このまま進めば、命令違反にはならないが最悪、こちらの全滅もあり得る。
ややあって、マルシャルは顔を上げると一同を見渡した。
「海軍司令部の命令は、既に時期を逸していると判断する。よって、この命令は現場指揮官の判断によって破棄する」
マルシャルの言葉に、一同は当然、戸惑いを隠せなかった。
「ちょッ 提督、本当に良いの?」
「ああ。このまま突入しても、こっちの損害を増やすだけだからな」
恐る恐る尋ねるシャルンホルストに、マルシャルは迷う事無く頷きを返す。
「でも、怒られない、偉い人とかに?」
「心配するな。俺も一応、『偉い人』だ」
マルシャルのおどけた言葉に、一同は思わず笑みをこぼす。
確かに、マルシャルの階級は大将。「偉い人」には違いなかった。
「あの、提督、意見具申、宜しいでしょうか?」
挙手をしたのはエアルだった。
「おにーさん?」
シャルンホルストはじめ、幕僚たちが怪訝そうに視線を向ける中、エアルはマルシャルをまっすぐに見据える。
このまま突っ込むのは愚の骨頂。それはエアルにもわかっている。
ただ、ここまで来てノコノコと本国に帰るのも、聊か間抜けな話だ。
ならばせめて、連合軍に一矢なり叩きつけない事には収まらない。
それは、この場にいる全員が共通する思いだった。
「聞こうか」
乗り気になったマルシャルも、興味ありげに、エアルに向き直った。
3
リオン・ライフォード中佐が指揮する軽巡洋艦「ベルファスト」は、本国艦隊の1隻としてドーヴァー海峡に進出し、撤退する大陸派遣軍の支援を行っていた。
海上に遊弋する「ベルファスト」の脇を、多数の艀が通り過ぎていくのが見えた。
中には手を振ってくる兵士の姿もある。
今回、本国艦隊の任務は重大だった。
撤退する連合軍の支援は勿論だが、もしドイツ地上軍が海岸線に迫った場合、これに艦砲射撃を仕掛ける事になっている。
勿論、襲撃を仕掛けてくる可能性の高い、ドイツ艦隊への備えもある。
その為、指揮は本国艦隊司令官ジャン・トーヴィ大将が、修理完了した旗艦「ネルソン」に座乗して直接執っていた。
戦力としては戦艦4隻、巡洋艦8隻、空母2隻を中心に、30隻以上の艦隊がダンケルク沖に展開し、ドイツ軍の襲来に備えている状態だ。
戦力的にはドイツ海軍を上回っている。正面からの激突なら、まず負ける事は無い。
しかし、絶対的な優勢を持ちながら、ノルウェー沖では一敗地にまみれている事を考えれば油断はできなかった。
「リオン、第2陣が出発したわ。第3陣の出発は3時間後。その後、すぐに第4陣も乗り込みを始めるって」
「せわしないな」
「しょうがないよ、こんなだし」
苦笑交じりのベルファストの報告を聞きながら、リオンは嘆息交じりに呟く。
今回、イギリス軍は国内にあるありったけの小型船舶を徴発して脱出作戦に充てている。
小型船なら乗り込みは素早くできるし、何より、海岸近くに多くの船を寄せる事が出来るので、乗り込み自体はスムーズにいっている。
しかし如何せん、脱出させる兵士の数は30万である。小型船1隻に乗せれる人数などたかが知れている。その上、ドーヴァー海峡は波も荒い。無理に多くの人員を載せて転覆でもされたら目も当てられない。
作戦は慎重と大胆を天秤に掛けて行わなくてはならない。
幸いな事に、なぜかドイツ軍が進軍を一時中断したおかげで、ダンケルクの連合軍は防御態勢を整える事が出来た。これで大軍に攻められても暫くは持ちこたえられるだろう。
海上は本国艦隊がしっかりと防御している。
あとは空からの敵を防ぐ事が出来れば、脱出作戦はうまくいく。
その、筈である。
その時だった。
「北海監視中の偵察機より入電!! 《我、ドイツ艦隊の艦影を確認ッ 進路を0―7―0に向け航行中》!!」
朗報だった。
進路0―7―0と言えば、ほぼ真東。敵は本国へ帰還するルートを取っていると推察できる。
それは疑いなく、ドイツ艦隊が撤退を開始している事を意味していた。
これで、海上から敵の襲撃を受ける心配はなくなったわけだが、
しかし、
「・・・・・・・・・・・・」
「どうしたリオン? 急に黙り込んで?」
一抹の不安を、拭えない。
こちらが防備を固めている事は、ドイツ軍も分かっている。
となれば、無理に攻めようとはせず、退却を選択するはず。
まともな指揮官ならば。
そうなれば、本国艦隊はこの場を動かず、ダンケルク沖を固めていれば良い事になる。
の、だが、
「・・・・・・・・・・・・うまく、行き過ぎている」
状況は追い詰められた連合軍が圧倒的に不利。
にも拘らず、あらゆる状況が、イギリス側に都合よく展開されている。
気に入らない。
まったくもって気に入らない。
こういう場合、得てして大きな落とし穴を見落としている事が多いのだ。
「海図を出してくれ」
「う、うん。誰か、海図持ってきてあげて」
ベルファストに促され、兵士の1人が海図を運んでくる。
彼女たちに手伝ってもらい、紙を広げると、素早く目を走らせる。
どこだ?
敵が来るとすれば、どこに来る?
ダンケルクから、ドーヴァー海峡を通り、イギリス本国へ。
間も無く、先行した第1陣が、本国にたどり着くはず。
そこで、
「まさかッ!?」
リオンは驚愕の声を上げた。
3
テムズ川はイギリス首都ロンドンと外海を繋ぐ水路になっており、古くからロンドン市民にとって物流の生命線としての役割も担っていた。
また河口は湾上に大きく広がっている為、ある程度、大型な船舶運行も可能となっている。
このテムズ川があるおかげで、比較的内陸寄りにあるロンドンでも大規模な港湾施設が充実していた。
ダンケルク同様、ここにも多くの船がひしめいていた。
ダイナモ作戦によってダンケルクから撤退してきた船の一部が、早くもこのテムズ川河口付近に到着したのだ。
陸地が見えた瞬間、連合軍兵士たちの間に歓喜が伝播する。
歓声を上げる者、その場で泣き崩れる者。
多くが、生きて戻れた事への喜びを噛み締めずにはいられなかった。
帰って来た。
生きて帰って来た。
地獄のようなダンケルクを戦い抜き、ようやくここまで帰って来たのだ。
戦いに敗けたのは残念だった。
しかし自分達は、まだ生きている。
そして、生きてさえいれば、必ず次がある。
次こそは、悪逆非道なナチスドイツに正義の鉄槌を下してやるのだ。
誰もが希望を秘め、徐々に近づいてくる海岸線を見詰める。
次の瞬間だった。
突如、
巨大な水柱が突き上げられ、複数の船が同時に空中へ舞い上げられる。
更に水柱は立ち上る。
その度に、複数の船が巻き込まれて転覆する。
ダイナモ作戦の性質上、どうしても小型船を動員せざるを得なかった事もあり、不意に襲い来る衝撃と、それに伴う津波には対処のしようがなかった。
その時だった。
「敵だッ!!」
「ナチの戦艦だ!!」
彼方を指差した兵士が声を上げる。
一同が視線を向ける中、
マストに鉄十字を掲げた巡洋戦艦が2隻、主砲をこちらに向けながら迫ってくる様子が見えた。
速力を上げる「シャルンホルスト」と「グナイゼナウ」。
視界の先では、逃げ惑う無数の小型船舶の姿があった。
慌てて退避に移っている様子が見られるが、その動きはあまりにも遅い。そもそも、馬力の小さい小型船では大したスピードが出るはずもなく、両者の間はみるみる迫っていく。
乗っている敵兵の、引きつった顔まで見えるようだ。
彼等からすれば、突如現れたドイツ巡戦2隻はまさに、深海から現れた恐るべき怪物にも匹敵する事だろう。
「敵艦の姿はありますか?」
傍らのヴァルターに尋ねるエアル。
程なくして、報告が返ってくる。
「ありませんッ 視界内に敵影無し!!」
ヴァルターの報告を聞き、エアルはほくそ笑む。
作戦は図に当たった。
ダンケルク海岸に突入して、敵地上軍を艦砲射撃にて撃破する事が海軍司令部からの命令だった。
しかし、既にイギリス本国艦隊が手ぐすねひいて待ち構えているところに、その半数以下の艦隊で突入したとしても、勝ち目などあるはずもない。下手をすれば全滅も考えられる。
そこで、エアルは考えた。
要するに、敵の撤退を阻止すれば良いわけだ。
となれば、あえてダンケルクに向かうよりも、撤退船団の向かう先で待ち伏せした方が良い。
連合軍は小型船舶多数を作戦に徴用していると言う情報は、既にドイツ海軍もつかんでいる。小型船舶は小回りが利くが多くの荷物を運ぶ事は出来ない上、航続力も短い。
となれば連合軍は同じ船を何往復もさせなくてはならないはず。
当然、燃料事情も鑑みて、最短コースでイギリス本土へ向かはず。となれば、到着するのはドーヴァー市からテムズ川河口付近になる事だろう。
ならば、その近辺に待機して、敵を待ち伏せるのだ。
まず、敵の目を欺くため、第1艦隊は偽装の撤退航路を取る。
仮にイギリス軍が第1艦隊を発見したとしても、その中にシャルンホルスト級2隻を見極める事は難しい。
恐らく敵は「ドイツ艦隊は全艦が撤退した」と判断する事だろう。
そうして連合軍の目を欺いておいて、「シャルンホルスト」「グナイゼナウ」の第1戦闘群のみ、艦隊から分離して反転、ひそかにイギリス海岸付近まで接近する。
あえて本隊が撤退したと見せかける事で、敵の目を欺くと同時に、第1戦闘群のみで行動する事によって、機動性を確保する事が目的だった。
果たして、それほど待つ事無く敵の船団が現れた。
しかも敵は、艦隊戦力をドイツ艦隊突入に備えて、ダンケルク海岸に張り付けているらしい。イギリス海岸付近に護衛艦の姿は見当たらない。
とは言え、ドイツ艦隊にもそれほど時間は無い。
ドーヴァー海峡は狭い。時間をかければ、イギリス本国艦隊が反転してくることは間違いなかった。
「やるよ、シャル」
「任せて、おにーさん」
頷く、エアルとシャルンホルスト。
そして、
「撃ち方始め!!」
エアルの命令と共に、「シャルンホルスト」は、一斉に射撃を開始した。
第16話「ダンケルク」 終わり