このまま続けるか、あるいは用意していたもう一つ(今度は日本が舞台)の作品を書くか迷っています。
1
スピッツベルゲン島は、ノルウェー領スバールバル諸島にある最大の島である。
ノルウェー本土の更に北に位置し、西にはアイスランドを望む。北極点にも程近く、正に「極北」の名にふさわしい地だった。
イギリス軍が、この地に拠点を築いたのは、独ソ戦が開始された1941年7月の事だった。
元々は島にある炭鉱を防衛する事が目的だったが、やがて援ソ輸送船団が組まれる事が決定した事から、ドイツ軍による通商破壊戦への牽制と、万が一の時の船団待避所としての機能が期待され、港湾設備が強化された。
更に1942年に入り、ドイツ海軍が北ノルウェーに本格的な進出を開始した事を察知したイギリスは、同島の防衛力を強化、多数の兵力を常駐させ牽制した。
艦隊が入港可能な港湾設備に防空戦闘機隊と哨戒航空隊の常駐。多数の防御陣地の対空砲陣地を増設して、徹底的に要塞化。
正に、北海における通商破壊戦を目指すドイツ海軍からすれば、楔ともなり得る厄介な場所に拠点を築かれた形である。
早急に拠点の破壊を行わない限り、援ソ船団の航路遮断を目指すドイツ軍の障害になりかねない。
当然、イギリス海軍からすれば、北海航路安全の為に何としても維持したい拠点となる。
ここに、双方の思惑が合致し、対決への流れは作られた。
英独両海軍がともに主力艦隊を派遣する。
対決の機運は、一気に高まるのだった。
最北の島と言うだけあり、スピッツベルゲン島は、夏でも氷点下になる事は珍しくない。
慣れない人間からすれば、そこは「極寒」と称しても良いだろう。
しっかりとコートを着込んでも、寒さは容赦なくしみ込んでくる。
「あーッ・・・・・・クソッ クソッ クソッ!! クソがッ!!」
コートの襟をより合わせ、ディラン・ケンブリッジはいらだたし気に舌打ちする。
その鼻からは、だらしなく鼻水が流れ落ちる。
極寒の空気が、容赦なく肌を切り裂いていく。
「どうにかならんのか、この寒さはよッ まったく、何だって、この俺が、こんなへき地にまで足を運ばねばならんッ」
「我慢しろ、みっともないぞ」
ディランに対してぞんざいな口調で言い放ったのは、キングジョージ5世だった。
長年、ディランの座乗艦を務めてきた彼女。
今回のスピッツベルゲン島防衛においても、その任に当たっていた。
対して、ディランは面白くなさそうに鼻を鳴らすとそっぽを向く。
その姿を見ながら、ジョージも苛立たし気に視線を逸らすのだった。
正直、艦娘である彼女からすれば、自身が頂く提督については、完全に愛想を尽かしている状態だった。
着任当初こそ、相手は第2王子、それも(表向きは)ナチスドイツ相手に果敢に戦い続ける英雄の下で戦えることを素直に喜び、誇りに思っていた彼女だったが、数度の戦いを経て、その信頼が失望へと変じていた。
度重なる失態と、戦場における重度の判断ミス、そして、それら全てを周りのせいにする責任転嫁、立場を利用した隠蔽工作。
何より、この男の起こした全ての事を周囲が許している現状が、彼女には我慢ならなかった。
この男は英雄の器ではない。
ジョージがディランを軽蔑するのには、十分すぎる理由だった。
「閣下」
「ああ? 何だ?」
背後から声を掛けて来たアルヴァンに、ディランが睨み付けるように振り返る。
相変わらず、自分の苛立ちを見境なくぶつけるディラン。
対して、慣れているアルヴァンは、気にせずに手にした電文を読み上げる。
「空軍からの情報です。北ノルウェーに集結したドイツ艦隊が出撃、ほぼ全部隊が進路を北に向けている、との事です」
「フンッ 奴等も寒さに耐えられなくなって巣穴から出て来たか。堪え性の無い、情けない奴等だよ」
吐き捨てるように告げるディラン。
先ほどまで、寒さに対して愚痴を吐いていた自分自身の事は、きれいさっぱり忘れ去られていた。
相変わらず、都合のいい脳みそである。
だが、報告を聞いたディランは、意気揚々と声を張り上げた。
「よし、俺達も行くぞッ 卑劣極まるナチスの海軍を迎え撃つんだ!!」
その命令に、一同は思わず唖然とした。
当初、イギリス軍の作戦としては、島の近くまでドイツ艦隊をおびき寄せ、駐留戦力と艦隊戦力とで共同する形で迎え撃つことになっていた。
ここで出撃すれば、基地戦力との共同作戦に支援が出かねない。
ディランの発言は、イギリス軍の作戦全体を破綻させかねなかった。
「待てッ」
制したのはジョージだった。
「ここは作戦通り行くべきだろうッ いったい何を考えているッ」
「同感です閣下。無理に出戦しては、却って敵の思う壺かと」
アルヴァンもまた、ジョージに賛同の意を示す。
報告によればドイツ海軍は、ほぼ主力全部隊を北ノルウェーに集結させている。
ディラン指揮下の部隊も戦艦を含む多数の兵力を揃えているが、北ノルウェーに集結しているドイツ艦隊に比べれば、それでも十分とは言い難い。
見れば、幕僚達も、言葉こそ発しないが2人の意見に同調するようにディランを見ている。
しかし、
「うるさいッ うるさいうるさいうるさいッ!!」
大方の予想通り、ディランはその意見を一蹴するように大声を上げる。
「とにかく、我が部隊は直ちに出撃ッ 洋上にて敵を迎え撃つ!! それが、司令官である、この俺の決定だッ!!」
文句あるか、とでも言いたげな口調に、最早誰も口を開く事が出来ない。
そんな様子に満足したのか、ディランは口元に薄ら笑いを浮かべて踵を返す。
「さあ、さっさと行くぞ、グズグズするなッ!!」
当てつけるように先頭を歩くディラン。
その姿からは最早、道化以上の物を感じる事は出来なかった。
イギリス本国艦隊U部隊は、1943年に入って新編成された部隊であり、指揮官に第2王子ディラン・ケンブリッジ准将を頂いている。
戦力はイギリス最強戦艦であるキング・ジョージ5世級戦艦の「キング・ジョージ5世」「デューク・オブ・ヨーク」、巡洋戦艦「レナウン」を主力とし、更に支援戦力として、航空母艦「アークロイヤル」、軽巡洋艦6隻、駆逐艦15隻が加わる。
本国艦隊主力が再編成中で動けない今、直ちに投入可能な戦力をかき集めて編成された、言わば貴重な機動兵力である。
その貴重な兵力を敢えて投入しなくてはならない程、イギリスの現状はひっ迫しているともいえる。
イギリス海軍は、その戦力を伸長に運用しつつ、来襲するドイツ艦隊を迎撃する必要がある。
だが、
翌朝、
払暁を迎えた港を見た瞬間、スピッツベルゲン島の守備兵たちは仰天した。
自分達が頼みとした艦隊が、1隻残らずいなくなっていたのだから。
いったい、何が起きたのか?
事前の連絡は一切なかった。
まるで艦隊全てが魔法にでもかけられたかのように、一晩で忽然と消え去ってしまったのだ。
いったい、何がどうなっているのか?
あまりの事態に、誰もが呆然とする以外に無かった。
2
スピッツベルゲン島基地を出航したイギリスU部隊が南下を開始した頃、
北ノルウェーの各拠点をを出航したドイツ海軍、第1、第2両艦隊も洋上で合流、北を目指して航行していた。
その編成は以下のとおりである。
〇第1艦隊
戦艦「ティルピッツ」(総旗艦)
巡洋戦艦「グナイゼナウ」
装甲艦「ドイッチュラント」「アドミラル・シェア」
軽巡洋艦「ザイドリッツ」「マインツ」「リュッツォー」
駆逐艦11隻
〇第2艦隊
巡洋戦艦「シャルンホルスト」
重巡洋艦「アドミラル・ヒッパー」(旗艦)「プリンツ・オイゲン」
軽巡洋艦「ライプツィヒ」「ケルン」
航空母艦「グラーフ・ツェッペリン」「ペーター・シュトラッサー」
駆逐艦6隻。
戦艦1隻、巡洋戦艦2隻、航空母艦2隻、重巡洋艦2隻、軽巡洋艦5隻、駆逐艦17隻。
初戦におけるノルウェー沖海戦以来となる、ドイツ海軍の総力出撃である。
特に、最強戦艦である「ティルピッツ」が戦列に加わった事は大きいだろう。
この戦艦は現在、イギリス海軍の保有するどの戦艦よりも強力であり、正に戦局逆転の切り札と目されていた。
更に、グラーフ・ツェッペリン級航空母艦の2番艦「ペーター・シュトラッサー」が参戦した事で、ドイツ軍の洋上航空戦力は一気に100機近くにまで増加している。
そのほかに、第1艦隊に所属するザイドリッツ級軽巡洋艦3隻は完成したばかりの最新鋭艦でありヒッパー級重巡洋艦の船体に、より軽量の60口径15センチ砲を3連装4基12門装備している。これまでの戦いで消耗した巡洋艦戦力を補いうることを期待されていた。
数々の激戦を生き残ってきた歴戦の戦力に加え、新たに加わった新戦力を交えた新成ドイツ艦隊が北を目指して航行する。
引き寄せられるように南下する、イギリス海軍U部隊。
進撃する、独英両艦隊。
両者が激突したのは、出撃の翌日、
1943年5月13日の事だった。
の、だが、
「なぜ、来ない・・・・・・・・・・・・」
旗艦「デューク・オブ・ヨーク」の艦橋に立ちながら、ディランはいら立ちを吐き出す。
既に会敵予想時間は過ぎていると言うのに、水平線の先に鉄十字を掲げた艦船は1隻も姿を現さないのだ。
彼の手元には、戦艦「デューク・オブ・ヨーク」、巡洋戦艦「レナウン」、航空母艦「アークロイヤル」、軽巡洋艦6隻、駆逐艦11隻がある。
ドイツ艦隊と正面から激突しても、充分に勝てる戦力である。
ディランは戦艦「デューク・オブ・ヨーク」に将旗を掲げ、残る戦艦「キングジョージ5世」と駆逐艦4隻は、副将のアルヴァンに預けて別働させている。
これが、明らかな当てつけ人事だった。
出撃前に横やりを入れられた事を根に持ったディランが、アルヴァンとジョージを遠ざけたのだ。
器の矮小さが知れると言う物だが、そのおかげでディランは上機嫌にここまでこれた。
つい、先刻までは。
時間になっても現れないドイツ艦隊。
まるで、絶世の美女とのデートをすっぽかされたような気分になり、ディランの苛立ちは秒を追う毎に募っていく。
「とにかく、索敵急がせろッ 偵察機もありったけ飛ばして敵の位置を探れ!!」
「ハッ はいッ!!」
蹴り飛ばすようなディランの命令に、幕僚達が慌てて駆け出す。
各艦の艦上で待機していた水上機が、ドイツ艦隊を求めて次々と飛び立っていく。
その様子を、苦々しく睨みつけるディラン。
まったく、どいつもこいつも、どいつもこいつもッ
どうして、いつもいつも、俺の邪魔をするのか。
俺はイギリス海軍最高の英雄で、次期国王の座が約束された男だぞ。
全ての敵は俺の前にひれ伏して惨めに屍を晒し、人民は涙を流して俺を称えなければならないと言うのに。
だと言うのに、どいつもこいつも、どいつもこいつも、俺の邪魔ばかりしやがってッ!!
勝手な妄想を膨らませて苛立ちを募らせるディラン。
その時だった。
駆け込んでくる通信参謀。
しかし、もたらされた情報は、ディランが待ち望んだ物ではなかった。
「提督、スピッツベルゲン島基地より緊急信です!!」
手にした電文が掲げられる。
「敵艦隊がスピッツベルゲン島基地へと来襲ッ 戦艦を含む艦隊で艦砲射撃を仕掛けているとの事です!!」
「な、何だとォッ!?」
驚天動地、としか言いようがない事態。
ディランはただ愕然として、声を上げる事しかできなかった。
実のところ、ドイツ海軍によるスピッツベルゲン島攻撃は、その予定にわずかな狂いが生じていた。
当初、ドイツ海軍は島に駐留するイギリス艦隊を撃破した後、島の施設を艦砲射撃で破壊しようと目論んでいた。
しかし、イギリス艦隊が予想外の出撃で島を離れた事を知ると、作戦の一部を変更した。
高速で小回りの利く第2艦隊が先行する形でイギリス艦隊の警戒網をすり抜けて島へと接近、そこに建設された施設に砲撃を仕掛けたのだ。
第2艦隊は、旗艦「アドミラル・ヒッパー」「プリンツ・オイゲン」「シャルンホルスト」の順番で単縦陣を組むと、全砲門をスピッツベルゲン島基地へ向けて撃ち放った。
20.3センチ砲16門、40センチ砲6門が火を吹くたび、島で容赦ない爆炎が踊る。
砲弾が着弾する度に、イギリス軍の港湾施設は粉砕されていく。
更に内陸では、「グラーフ・ツェッペリン」「ペーター・シュトラッサー」の両空母を発艦したスツーカ隊が攻撃を開始している。
スツーカ隊は、攻撃目標をイギリス軍の飛行場に限定していた。
これは、攻撃目標をいたずらに分散する事を避けるためである。
両空母の航空戦力は決して潤沢とは言えない。多くの目標に分散するよりも、飛行場に攻撃を集中し制空権を奪う事が目的だった。
スツーカの攻撃によってスピッツベルゲン島の航空基地には爆炎が踊る。
滑走路に穴が開き、附帯施設は破壊される。
一朝一夕に直せるものでない事は、火を見るよりも明らかだった。
その様子を、双眼鏡越しに眺めるエアル。
しかし、青年提督の脳裏には疑問符が尽きなかった。
「しかし実際のところ、何でイギリス艦隊は島を離れたんだろうね?」
「うん、ボクも気になってた。こっちで一緒に戦った方が、全然有利だったと思うんだけど・・・・・・」
敵将のとった謎の行動に、揃って首を傾げるしかない、エアルとシャルンホルスト。
正直、ドイツ艦隊が迫る中、艦隊のみが島から突出しては成れるのは各個撃破の好機をドイツ艦隊に与えるような物である。これがいかに悪手であるか、考えれば判る事。
何より、ドイツ艦隊はこれまで、様々な戦場で機動力を重視した戦いをしてきた事は敵も判っているはずなのだが。
何らかの意図があって、こちらを待ち構えているのかとも思ったが、そのような気配も無い。
実のところ、ディランの見栄と下らない意地のせいだとは、流石に想いが至らなかった。
「まあ、敵がいないなら、こっちにはボーナスステージみたいなもんだし、楽に稼がせてもらうけどさ」
言っている間にも、「ヒッパー」「オイゲン」「シャルンホルスト」は砲撃を続行する。
スピッツベルゲン島の駐留戦力を考えれば本来、独力で第2艦隊を迎撃する事も不可能ではなかった筈。
しかし今、ディランの勝手な行動によって、当初計画されていた作戦自体が崩壊し、スピッツベルゲン島のイギリス軍司令部は混乱の極致にある。
その為、島周囲の索敵すら手薄になっているありさまだった。
そこを、ドイツ艦隊に就かれた形だった。
第2艦隊は混乱するイギリス艦隊の間隙を突く形で島へと接近、艦砲射撃を敢行したのだ。
「ヒッパー」と「オイゲン」が、港に向けて砲撃を行う。
どうやら、少数だが輸送船が停泊していたらしい。
今後の事を考えると、1隻でも多く沈めておくに越したことはない。
「どうする? ボク達も目標変更する?」
「いや、輸送船は2隻に任せて、俺達はもう一度、敵の港湾施設を叩いておこう」
輸送船なら重巡の20.3センチ砲で充分である。
それよりも、「シャルンホルスト」の主砲は敵施設に向けるべきと考えたのだ。
圧倒的火力で敵の拠点を叩き潰し、イギリス軍が二度と再び、この島に拠点を築く事が出来ないよう、徹底的に破壊する。
この島さえなければ、ドイツ海軍は北海周辺での通商破壊戦がやりやすくなる。躊躇う理由は無かった。
再び旋回する、6門の40センチ砲。
「撃ち方始め!!」
エアルの号令と共に、一斉に火を吹いた。
3
ドイツ艦隊、スピッツベルゲン島を襲撃。
その報告に、U部隊は大混乱に陥った。
自分達が悠長に敵を待っている間に、後方の拠点が襲撃されてしまったのだから、その近ラインは当然であろう。
もっとも、
その中で一番混乱していたのは、この男であったことは言うまでもないだろう。
「うおォォォォォォォォォォォォああああああああああああああああああああああああ!!」
帽子を床にたたきつけ、地団太を踏み、自分の髪をかきむしって、手当たり次第に機器を蹴り飛ばす。
醜く癇癪を起したディランが、幼児の如く暴れまくる。
否、
このように書けば、幼児に失礼と言う物だろう。
こうなったディランは、最早ただの喚き散らすだけのうるさいガキでしかない。
「ああああああッ なぜだなぜだなぜだ!? なぜ、奴等はいつも、この俺をコケにするッ!? なぜ、俺をいつも無視するッ そんなにこの俺が、次期国王のディラン様が怖いかッ!? 臆病者のナチスの豚共が!!」
別にディランが怖いわけではなく、ドイツ軍は首尾一貫、「敵拠点を破壊する」と言う戦略目標に忠実なだけなのだが。
精神的ガキなディランには、その事が鼻毛の先程も理解できなかった。
「クソッ 何でいつもいつもこうなるんだよッ!!」
あんたのせいだ。
とは、その場にいた全員が思ったが、口にはしなかった。
最早誰もが、この「自称次期国王の英雄様」に愛想を尽かしているありさまだった。
「ともかく反転だッ グズグズるな!! 戻って奴等を倒すんだよ!!」
みっとみなく喚くディラン。
もはや呆れかえるしかない光景だが、一点だけ共感できる点があるとすれば、敵を逃がすわけにはいかないと言う事。
スピッツベルゲン島基地は、恐らくもう使えない。
北海の制海権は、当面はドイツ海軍に握られる事になるだろう。
しかし、それならそれで、少しでもドイツ艦隊に損害を与えておかない事には話にならなかった。
反転を開始するU部隊各艦。
戦艦、巡洋艦から成る主隊を中心に、駆逐艦部隊が定位置目指して高速で駆けまわる。
指揮官の能力には疑問があっても、彼等の技量が十分に高い事を示す、見事な艦隊行動だ。
反転したU部隊が、短時間で陣形を整える。
「閣下、陣形再編、完了しました」
「ならさっさと行けよッ このウスノロ共がッ!! こんな事も言われないと分かんねえのか。ほんと使えねーなッ!!」
この男だけが、醜く喚き続けている。
北上を始めるU部隊。
だが、程なく、悲鳴のような報告が「デューク・オブ・ヨーク」の艦橋にもたらされた。
「対水上レーダーに感ッ 方位2―1―0ッ 距離2万!!」
絶望的な絶叫。
島された方角には、鉄十字を靡かせて迫る、ドイツ艦隊主力の姿があった。
「何だとッ・・・・・・・・・・・・」
呻くディラン。
正に陣形再編を終えた虚を突かれた形となった。
「奴等、スピッツベルゲン島にいるんじゃなかったのか・・・・・・いったい、何がどうなっていやがる・・・・・・・・・・・・」
無意味な質問に、返る答えは当然ない。
次の瞬間、
ドイツ艦隊が、一斉に砲撃を撃ち鳴らした。
U部隊後方から迫るドイツ艦隊。
それは説明するまでもなく、ドイツ艦隊主力、第1艦隊である。
戦艦「ティルピッツ」、巡洋戦艦「グナイゼナウ」を中心に、装甲艦2隻、軽巡洋艦3隻、駆逐艦11隻から成る艦隊がU部隊の背後から迫る。
圧巻なのは、何と言ってもこれが初陣となる、戦艦「ティルピッツ」だろう。
その圧倒的火力は、しかし、姉の「ビスマルク」とは明らかに異なる様相を見せていた。
1年近くに渡る大改装を経てベールを脱いだ、その勇志。
主砲は、改装後のシャルンホルスト級巡洋戦艦と同じ、47口径40センチ砲を連装4基8門装備。
機関出力も強化され、最大32ノット発揮可能。
彼女こそ、まさしくヨーロッパ最強戦艦の名に相応しい存在だった。
「姉のビスマルクは、最後まで敵に屈する事無く戦い続けた」
帽子の廂から、「自身」の砲撃から逃れようとしている英艦隊を見つめ、ティルピッツは呟く。
「なら、私もまた、姉の名に恥じない戦いをして見せる!!」
言い放った瞬間、
「ティルピッツ」の8門の主砲が、一斉に放たれた。
第1艦隊に所属するザイドリッツ級軽巡洋艦3隻は、ヒッパー級重巡洋艦をベースにしているだけの事はあり、軽巡洋艦でありながらその攻防性能は重巡洋艦に匹敵する。
イギリス軍のフィジー級やサウサンプトン級を意識した設計となっている。
その巡洋艦部隊の先頭に立つ旗艦「ザイドリッツ」艦橋に立つオスカー・バニッシュ准将。
先のベルリン作戦まで、巡洋戦艦「グナイゼナウ」艦長の職にあった彼は、今回の戦いに先立ち、新設された第2巡洋戦隊の司令官に就任していた。
最新鋭巡洋艦3隻で構成された戦隊の司令官とくれば、栄転である事は間違いないのだが。
しかし、
「・・・・・・・・・・・・」
チラッと、「ザイドリッツ」の左舷前方を航行する巡洋戦艦を見やる。
改装され、より強力な主砲を備えるに至った彼女は、今もドイツ艦隊主力として、イギリス艦隊に砲火を浴びせている。
「ゼナ・・・・・・・・・・・・」
そっと、少女の名を呟く。
彼女は守る。
自分が、絶対に。
その決意を胸に、眦を上げる。
「目標、敵巡洋艦1番艦ッ 準備出来次第、撃ち方始め!!」
やがて、「ザイドリッツ」の持つ、12門の15センチ砲が一斉に火を吹いた。
戦いは、立ち上がりからドイツ艦隊が制する形となった。
イギリス艦隊の背後を突く形で砲門を開いたドイツ第1艦隊。
対してイギリスU部隊は、初めの一撃を受けた段階で混乱を来し始めていた。
何より、
この危機的状況化にあって、司令官であるディランが何ら有効な手立てを打てず、貴重な時間を浪費してしまった事が痛かった。
「敵戦艦、砲撃来ます!!」
「巡洋艦部隊、敵艦隊と交戦、現在苦戦中の模様!!」
「駆逐艦部隊、突撃指示を求めています!!」
次々と舞い込んでくる情報に、ディランの脳みそは間を置かずに飽和状態となる。
「司令官、早く命令を!!」
「司令官!!」
「司令官!!」
詰め寄る幕僚。
その血走った形相を見ながら、ディランは焦りと苛立ちを募らせる。
クソッ
クソッ
クソッ!! クソッ!! クソッ!!
こいつら、俺を誰だと思ってやがる?
この救国の英雄にして、数々の戦いで戦果を挙げたイギリス軍きっての名将、そして次期国王であるこの俺に、こんな生意気な態度を取りやがって。
だいたい、さっきから何だ? この俺様に賢らに意見を求めやがってッ 貴様らが無能だから、こんな事になってるんだろうが。ちょっとは貴様らの足りないおつむを絞って考えやがれ!!
貴様らさえ、ちゃんと俺をフォローしていれば、こんな事態にはならなかったと言うのに。
いや、そもそもナチス共が悪いッ
あいつらが、黙って俺に沈められてれば、こんな事にはならなかった。だと言うのに、いつもいつもいつもいつも、俺の邪魔ばかりしやがって、この、ヒトラーの豚共がッ
心の中で、汚い罵り声を上げる。
自分は悪くない。
自分は何も悪くない。
悪いのは全部、自分以外の奴等であって、自分は何一つ悪くない。
無意味な言い訳だけが、ディランの中で渦巻く。
だが、
次の瞬間、
「デューク・オブ・ヨーク」の後方で、巨大な爆炎が踊るのが見えた。
同時に、後方から付き従っていた巡洋戦艦「レナウン」が、巨大な炎に飲み込まれるのが見えた。
「『レナウン』轟沈ッ 轟沈です!!」
泣き叫ぶような、見張りの報告。
その様を、ディランは呆然として聞き入る。
この時、「レナウン」は「ティルピッツ」の放った40センチ砲弾が直撃していた。
命中した砲弾は
まさにデンマーク海峡海戦の再現に等しい。
ティルピッツは、その初陣において姉に匹敵する戦果を挙げたのだ。
U部隊は、ろくに反撃も出来ないまま、最重戦力である巡洋戦艦を戦列から失ってしまった。
それだけではない。
オスカー率いる第2巡洋戦隊の攻撃によって、巡洋艦2隻が炎を噴き上げながら脱落、更に駆逐艦も4隻が既に戦列から失われている。
しかし、何と言ってもやはり痛いのは、「レナウン」の喪失だった。
U部隊司令部の誰もが呆然とする中、「デューク・オブ・ヨーク」が激震に見舞われた。
「X砲塔被弾、大破ッ!!」
今度は「グナイゼナウ」からの砲撃だった。
40センチ砲弾の直撃を受けた「デューク・オブ・ヨーク」の後部X砲塔は、天蓋を叩き割られ、4本の砲身は完全に吹き飛ばされていた。
その様子に、
ディランが真っ先に限界を迎えた。
「て、てて、てててて撤退だぁぁぁぁぁぁ!!」
涙目で震えながら叫ぶディラン。
その表情は引きつり、声は完全に裏返っている。
「ぐ、ぐ、ぐ、グズグズするなァ!! 早くッ 早くここから離れるんだ!!」
「ま、待ってください、提督!!」
叫んだのはデューク・オブ・ヨークである。
X砲塔を破壊され、フィードバックする痛みに耐えながら、少女は叫ぶ。
「私はまだやれますッ だから・・・・・・」
「うるさいんだよッ!!」
言い募るデューク・オブ・ヨークを黙らせるディラン。
その顔は、恐怖と焦りで真っ赤に染まっていた。
「そもそも、テメェが弱いから、こんな事になってんだろうがッ ゴミクズの分際で偉そうに、この次期国王である俺に意見してんじゃねえよ!!」
責任転嫁の材料を探す才能だけは、相変わらず超一流のディラン。
この事態が全て、自分の采配によるものだとお言う事は、きれいさっぱり忘れ去られていた。
「撤退だッ グズグズするな!!」
そう言って叫ぶ姿には、もはや司令官としての威厳も、次期国王としての風格も、その1ミリグラムすら見出す事は出来なかった。
4
今やスピッツベルゲン島近海の制海権は、完全にドイツ海軍が握りつつあった。
同島のイギリス軍拠点は、艦砲射撃とスツーカ隊の爆撃によって破壊、炎上している。
砲台を初めとする防御陣地は、軒並み破壊され尽くして沈黙している。
港は特に徹底的に破壊され、停泊中の艦船は勿論、桟橋や停泊施設、修理、整備用の機材も徹底的に破壊された。
飛行場は駐機してあった機体もろとも、爆撃により炎上。早期の復旧は不可能と思われた。
炎を上げるスピッツベルゲン島。
燃える島を背にして、ドイツ第2艦隊の各艦は反転、帰投する態勢にあった。
既にイギリス軍は完全に沈黙。これ以上の破壊は、単なる虐殺でしかない。
「旗艦より発光信号、《我ニ続イテ海域ヲ離脱セヨ》!!」
クメッツ提督も、既に作戦目的は達成したと感じているのだろう。このまま北ノルウェーへ帰投するコースを取る。
旗艦「ヒッパー」に続いて、「プリンツ・オイゲン」「シャルンホルスト」の順番で回頭する第2艦隊。
護衛の駆逐艦も、それに追随して航跡を引く。
ドイツ艦隊はそのまま、速力を上げて島から離れ始める。
炎を上げるスピッツベルゲン島が、背後に小さくなり始めた。
だが、
戦いは終わった。
そう思っているのは、ドイツ軍の将兵、艦娘の早計だった。
少なくとも、やれらた側は、このまま黙って見過ごすつもりはなかった。
「島影より接近する艦影あり!!」
見張り員の絶叫に、思わず顔を上げるエアル。
その視界の先で、
ホワイトエンサインを掲げた戦艦を中心に、小規模な艦隊が飛び出してくるのが見えた。
戦艦1隻、駆逐艦4隻の小艦隊は、今まさに離脱しようとするドイツ艦隊の、横合いを突く形で飛び出して来た。
出現と同時に、前部6門の主砲を放つイギリス戦艦。
一目でキング・ジョージ5世級と分かる、4連装と連装の変則配置砲塔。
その姿を見て、エアルは感心したように呟いた。
「成程ね」
傍らのシャルンホルストを見ながら、エアルは呟く。
「切れる奴はどこにでもいる。もちろん、イギリス軍にもね」
あの小艦隊の指揮官は恐らく、ドイツ軍の狙いを正確に見定めで待ち構えていたのだ。
そして、ドイツ艦隊が撤収にとりかかったタイミングで攻撃を仕掛けて来た。
侮れる相手ではない。
キング・ジョージ5世級戦艦は、更に主砲を斉射する。
派手に突き上がる水柱。
着弾した36センチ砲が巨大な瀑布を作り出す。
当てる事が目的ではなく、あくまでこちらを牽制する事が目的の砲撃なのだろう。
ドイツ艦隊の目的は達した。これ以上の交戦は無意味でしかない。
しかし、
それでも、このままただ離脱したのでは、多少なり損害を被る事も覚悟する必要があるだろう。
ならば、
味方が離脱するまでの間、誰かが殿に立って時間を稼ぐ必要がある。
そして、それが出来るのは、第2艦隊の中でも最も攻防性能に優れた「シャルンホルスト」しかいなかった。
「左砲戦用意ッ 目標、敵キング・ジョージ5世級戦艦!!」
エアルの命令に従い、A、B、Cの3基6門から成る主砲を旋回させる「シャルンホルスト」。
同時に、少女も目を閉じて艦の制御に集中する。
「撃ち方始め!!」
鋭く号令を発するエアル。
撃ち放たれる、6門の40センチ砲。
対抗するように、回頭を終えたキング・ジョージ5世級戦艦も、10門の36センチ砲を発射するのが見えた。
交錯する、両者の砲弾。
先に直撃を受けたのは、「シャルンホルスト」の方だった。
キング・ジョージ5世級の放った砲弾が1発、艦中央付近に命中する。
「クッ」
微かに苦悶を漏らすシャルンホルスト。
しかし、少女が集中を切らす事はない。
「左舷中央に直撃弾、高角砲1、機銃座2、損傷!!」
「了解、損害復旧急げ!!」
報告に対し命令を返しながら、エアルは接近してくるキング・ジョージ5世級戦艦を睨む。
「シャルンホルスト」の砲撃は、まだ敵艦を捉えられない。
立ち上がりを制された形だが、これは仕方のない事だった。
そこへ、報告が舞い込む。
「提督、第2射、準備完了です!!」
「よし、撃て!!」
放たれる「シャルンホルスト」の主砲。
同時にエアルは命じる。
「機関最大ッ 全速前進!!」
ワグナー機関が唸りを上げ、基準排水量3万4000トンの巡洋戦艦を加速させる。
ほぼ同時に、主砲を放つキング・ジョージ5世級戦艦。
しかし、「シャルンホルスト」の加速を考慮していなかった為、砲弾は巡洋戦艦の後方に着弾して水柱を上げる。
その間にエアルは、反撃の準備を整えた。
加速しながらも「シャルンホルスト」は慎重に照準を修正し、主砲を旋回、砲身の仰角を決定する。
第3射準備完了の報告がもたらされたのは程なくの事だった。
次の瞬間、
「撃てッ!!」
エアルの命令と共に、主砲を撃ち放つ「シャルンホルスト」。
その砲弾が、
キング・ジョージ5世級戦艦の前部甲板に着弾、炎を噴き上げると同時に無数の金属片を周辺海面にまき散らせるのが見えた。
轟音と衝撃が、「キング・ジョージ5世」を貫く。
一瞬、視界が焼ける。
顔を上げた時、状況は一変していた。
報告を待つまでも無い。
前部甲板に備えられたA砲塔が、なかば爆砕されるようにしてひしゃげているのが見えた。
「A砲塔損傷ッ 射撃不能!!」
今更のように、報告が舞い込んできた。
それを聞きながら、アルヴァン・グラムセルは嘆息した。
「どうやら、ここまでか」
「まだ、やれない事も無いが?」
痛みをこらえながら、ジョージが答える。
まだB、Xの両砲塔が健在だ。これがあれば、まだ戦える。
彼女の溢れる闘志は、そう訴えている。
だが、アルヴァンは首を横に振った。
「今は無理をするべき時じゃない。何より、スピッツベルゲン島攻撃を許した時点で、この戦いは我々の負けだ」
もう少し早く救援に駆け付けていたら、あるいは島は救えたかもしれない。
しかし、アルヴァン達の到着はドイツ艦隊の攻撃終了後となってしまった。
完全にイギリス側の敗北である。
そこへ、更に「シャルンホルスト」からの砲弾が着弾する。
今度は艦尾付近に命中。装甲に大穴を開け、内部で炸裂した。
幸いにして、艦内には大きな被害にはならなかったが、それでもこれ以上戦えば、無為に屍を晒す事になるのは明らかだった。
「撤退する。僚艦にもそう伝えよ」
「・・・・・・分かった」
不承不承と頷くしかないジョージ。
彼女とて、このまま戦っても不利な事は判っていた。
今は生き延びて、捲土重来を帰す事が重要だろう。
反転していくイギリス艦隊。
その様子は「シャルンホルスト」からも確認できた。
「勝ったな」
確信と共に呟くエアル。
これでスピッツベルゲン島は陥落。イギリス海軍は北海における制海権を失ったに等しい。
逆にドイツ艦隊は、本来の目的である通商破壊戦に専念できることになる。
戦略目標を完全達成。紛う事無く、ドイツ海軍の勝利だった。
傍らの恋人に視線を向けるエアル。
対して、シャルンホルストも同時に振り向くのが見えた。
向かい合う2人。
やがて、
2人は同時に、笑いあうのだった。
第57話「極北の戦い」 終わり
シャルンホルスト級巡洋戦艦(1943年時)
基準排水量:3万4000トン
全長:245メートル
全幅:30メートル
最高速度:35ノット
武装
47口径40センチ砲連装3基6門
60口径12.7センチ砲連装11基22門
3.7センチ連装機関砲6基12門
3.7センチ4連装機関砲7基28門
2センチ連装機関砲12基24門
53.3センチ3連装魚雷発射管2基6門
同型艦「シャルンホルスト」「グナイゼナウ」
備考
ツェルベルス作戦を経て、ドイツ本国に帰還したシャルンホルスト級巡洋戦艦2隻だったが、今後、更に強大化するイギリス海軍相手に、徐々に力不足が露呈し始めていた。その最大のネックとなったのが、やはり最小口径の主砲であった。28.3センチ砲では今後、イギリス戦艦への対抗が難しいと考えた海軍上層部は、シャルンホルスト級巡洋戦艦の大改装を決定した。まずフランスで得た知識を元に、「シャルンホルスト」最大の欠点だった機関の調整強化が行われた。その結果、35ノットと言う駆逐艦並みの俊足を誇るに至った。更に対空砲はそれまでの65口径10.5センチ砲を全て撤去し、新型の60口径12.7センチ砲を搭載、大幅な火力向上を図ると同時に、接近する小型艦艇への対抗策としても期待された。問題の主砲に関しては当初、計画時に搭載予定だった47口径38センチ砲を搭載する予定だったが、計画が凍結されたH級戦艦の主砲である47口径40センチ砲の砲身と砲塔の試作品が既に完成している事に目が付けられ、急遽予定を変更された。こうして新成したシャルンホルスト級巡洋戦艦は、正にヨーロッパ最強戦艦と呼んで差し支えない戦力を有していた。
戦艦「ティルピッツ」(1943年時)
基準排水量:4万6000トン
全長:251メートル
全幅:36メートル
最高速度:32ノット
武装
47口径40センチ砲連装4基8門
60口径12.7センチ砲連装14基28門
3.7センチ連装機関砲12基24門
3.7センチ4連装機関砲8基32門
2センチ連装機関砲14基28門
53.3センチ3連装魚雷発射管2基6門
同型艦「ティルピッツ」
備考
シャルンホルスト級巡洋戦艦の改装に合わせて、「ティルピッツ」もまた改装するべきと言う声がドイツ海軍内部に高まった。「ビスマルク」無き今、「ティルピッツ」はドイツ海軍にとって最強戦艦であると同時に、象徴的な意味合いも持つ戦艦である。その「ティルピッツ」が最強であり続けるためには、大規模な改装は必須だった。改装に関してはシャルンホルスト級の2隻と同様、主砲を47口径40センチ砲に換装すると同時に機関出力を強化、対空砲も新型に換装された。これにより、名実ともにヨーロッパにおいて、「ティルピッツ」に対抗可能な戦艦は皆無となったと言っても過言ではない。この戦艦を単独で凌駕し得る戦艦があるとすれば、同盟国日本の大和型戦艦か、あるいはその「大和」に対抗する為にアメリカ海軍が建造中の新型戦艦(モンタナ級)だけである、と言われている。
ザイドリッツ級軽巡洋艦
基準排水量:1万6000トン
全長:202メートル
全幅:21メートル
最高速度:33ノット
武装
60口径15センチ砲3連装4基12門
65口径10.5センチ砲連装6基12門
3.7センチ連装機関砲18基36門
2センチ4連装機関砲12基48門
53.3センチ4連装魚雷発射管4基16門
同型艦「ザイドリッツ」「マインツ」「リュッツォー」
備考
相次ぐ激戦によって、巡洋艦戦力が大幅に減じたドイツ海軍は、それを早急に補充する必要性が生じた。そこで、主力重巡洋艦であるヒッパー級をベースに、主砲を口径は小さいが速射性があり、制圧力の高い60口径15センチ砲を3連装4基12門に変更して完成したのが、このザイドリッツ級巡洋艦である。今後、更に激戦が予想されるイギリス海軍との戦いにおいて、その真価が大いに発揮される事が期待されている。