出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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第67話:1年A組vs(ヴィラン)集団‐その1‐

尾白(テイルマン)side

 

FROPPY(フロッピー)! テンタコル! 皆の避難を最優先に!」

「わかってる!」

「早くここから離れて」

 

 避難誘導を障子(テンタコル)蛙吹(フロッピー)に任せ、俺は突然現れた(ヴィラン)へ単身突撃。

 

「はぁっ!」

 

 両太腿のホルスターからトライトンファーを抜くと同時に(ヴィラン)へ跳びかかると―

 

「でやぁっ!」

 

 体を回転させて、尻尾の一撃!

 

「フン!」

 

 流石に真正面からの攻撃は片手で防がれた。だけど、それは想定内!

 

「こっちが本命!」

 

 そう言うと同時に、俺はトライトンファーによる打撃を連続で(ヴィラン)の脳天と蟀谷(こめかみ)に叩き込み、素早く距離を取る。

 並の(ヴィラン)なら、今の打撃でKO出来てる筈だけど…

 

()てぇな…」

 

 残念。相手は並の(ヴィラン)じゃないようだ。

 

「何が目的だ!? 何故、こんなことを?」

「ヒーローにしては(わけ)えな」

 

 俺の問いに答える事無く、ただそう呟いた(ヴィラン)は―

 

「フン!」

 

 周囲の岩を無造作に掴み、こちらへ投げつけてきた!

 

「ッ!」

 

 最初の2つは回避出来たけど、俺の行く手を塞ぐように放たれた3つ目の岩で、動きを止められ―

 

「あぁっ!」

 

 そこへ飛んでくる4つ目の岩。回避は…間に合わない!

 

「くっ!」

 

 咄嗟に防御を固めた直後、背後から飛んできた誰かが俺を抱きかかえ、岩の着弾寸前に俺を安全圏に運んでくれた。これは…

 

常闇(ツクヨミ)!」

「遅くなった!」

 

 背中に漆黒の翼へ変化した黒影(ダークシャドウ)を装着した常闇(ツクヨミ)は、俺を降ろすと同時に翼を羽撃かせて一気にジャンプ。

 

「必殺! 堕天使の黒槍(ルシファーズランサー)!!」

 

 その最高到達点から落下の勢いを加えた飛び蹴りを(ヴィラン)へ放った。

 だけどそれを見た(ヴィラン)は、避けるどころか笑みを浮かべながら構えを取り―

 

「フン!」

 

 大振りの右ストレートを放つ。直後、互いの攻撃はぶつかり合い…

 

「くぅぅぅっ!」

「ぬぉぉぉっ!」

 

 互いに同じ距離を吹き飛ばされる。あの(ヴィラン)、なんて奴だ! 俺の攻撃があまり効いてないのはともかく、常闇(ツクヨミ)の必殺技と互角のパンチを放つなんて…信じられないタフさとパワーだ。

 

「スマホが使えない。事務所に戻って応援を!」

 

 砂浜を数回転がり体勢を立て直した常闇(ツクヨミ)にそう叫びながら、俺は再度(ヴィラン)へ突撃。

 

「しかし!」

「ここは俺が、持ち堪えてみせる!」

 

 半ば自分に言い聞かせながら、長棍(ロングバトン)モードのトライトンファーを振り回して(ヴィラン)を牽制する。そう、持ち堪えてみせる!

 

 

麗日(ウラビティ)side

 

「あれ? 携帯が圏外になっとる」

 

 何気なく手に取った携帯が圏外になっていた。その事を思わず口にすると―

 

「ホントだ」

「俺のも」

「ウチのも」

 

 砂藤君(シュガーマン)瀬呂君(セロファン)響香ちゃん(イヤホン=ジャック)

 

「どうなっているんだ?」

 

 飯田君(インゲニウム)のスマホまで圏外になっていた。これって、私のオンボロ携帯が壊れたとかじゃない!

 

「デンレイ! デンレイ!」

 

 透ちゃん(インビジブルガール)のロボット猿、シンミアがそんな事を言いながら、事務所に駆けこんできたのはその時だ。

 すぐさま、シンミアに録音されていた透ちゃん(インビジブルガール)のメッセージが再生され―

 

「大変だ!」

(ヴィラン)が出た!」

 

 それが終わるとほぼ同時に、島民のおじさんが(ヴィラン)の出現を伝えに来てくれた。

 

「商店街で暴れまわってる! ヒーローが戦ってくれてるけど…」

「報告! 海岸に(ヴィラン)が出現! 尾白(テイルマン)達が防戦中! 応援を請う!」

 

 更には常闇君(ツクヨミ)まで飛んできて…これはとんでもない事態や!

 

飯田さん(インゲニウム)!」

「躊躇している時間は無い!」

「ここにいる者を2班に分け、(ヴィラン)に対応する!」

 

 八百万さん(クリエティ)の声に答え、すぐさまチーム分けを発表する飯田君(インゲニウム)

 

切島君(烈怒頼雄斗)と心操君、八百万君(クリエティ)芦戸君(ピンキー)耳郎君(イヤホン=ジャック)は商店街へ!」

青山君(Can't stop twinkling.)達と力を合わせ、(ヴィラン)の迎撃と商店街にいる島民の救助及び避難を!」

轟君(アブソリュート)砂藤君(シュガーマン)瀬呂君(セロファン)常闇君(ツクヨミ)麗日君(ウラビティ)口田君(アニマ)は、俺と一緒に浜辺に!」

「事態は一刻を争う!」

「この島にいるヒーローは私達だけ。島の皆さんを救えるのも、私達だけですわ!」

「雄英高校ヒーロー科、1年A組! 出動!」

 

 飯田君(インゲニウム)の声に答え、私達は一斉に走り出す。緑谷君(グリュンフリート)吸阪君(ライコウ)がいないのが少し不安だけど…

 

「大丈夫だ、麗日君(ウラビティ)緑谷君(グリュンフリート)は、漁港の方へ向かっているようだし、北地区へ行っている吸阪君(ライコウ)も、この事態を察知して必ず駆けつけてくれる筈だ!」

「俺達は、俺達の出来る事に全力を尽くそう!」

 

 飯田君(インゲニウム)の言葉に、私は気合を入れ直した。そうだね、今出来る事に全力を尽くさなくっちゃ!

 

 

出久(グリュンフリート)side

 

 昨日真幌ちゃんや活真君と初めて会った高台の公園に着地した僕は―

 

「漁港が!」

 

 そこから見える漁港の惨状に思わず息を飲んだ。破壊された防波堤に、転覆したフェリー。船揚げ場*1に引き揚げられたり、泊地(はくち)*2に泊められた漁船も全て破壊されて炎上。荷捌き所*3に至っては原形を留めないほどに破壊されてしまっている。

 

「皆に伝えなきゃ」

 

 すぐさまスマホで事務所に連絡を試みるけど―

 

「圏外!?」

 

 先程まで普通に使えた筈のスマホは何故か圏外。急いで周囲を見回すと、山間の建物…通信基地局から炎と煙が上がっているのが見えた。

 

「通信の遮断に移動手段の破壊…(ヴィラン)集団による計画的な犯行なのか!?」

 

 脳裏に過る最悪な想像を口にしながら、僕は公園から漁港へと移動。全壊した漁業組合事務所の辺りに降り立つと、逃げ遅れた人がいないか確認しながら、考えを纏めていく。

 

(ヴィラン)がこの島に来ている事は確定。恐らく皆も事態に気づいて、対処に動いている筈…なら今は、真幌ちゃんと活真君の無事を確かめないと」

「真幌ちゃん達の自宅は…」

 

 -もちろん、私ら近所の者も面倒を見てるよ-

 

「鈴村さん()の近所!」

 

 僕は鈴村さん()への最短距離を進む為、地面を蹴って宙に浮き上がる。最高速で…直行だ!

 

 

峰田(グレープジュース)side

 

 周囲の住民を島役場に避難させたオイラ達は入口前に陣取り、包帯(ヴィラン)の繰り出す人型や獣型を迎撃していたわけだけど…

 

カートリッジ()切れっ!?」

 

 多目的発射器(ランチャー)(カートリッジ)。ネット弾はおろか、粘着弾、消火弾、煙幕弾…手持ちを全部使い切っちまった!

 

「しもべ達のエネルギー…そろそろチャージしないと危険かも!?」

 

 青山(Can't stop twinkling.)の方も限界が近い。このままじゃ、ここを突破されちまう!

 

「危ないっ!」

 

 そこに響く葉隠(インビジブルガール)の声。勝負を決めようと、人型や獣型が一斉に押し寄せてきやがった!

 

「ちくしょぉ! やってやらぁっ!」

 

 オイラ達を押し潰さんばかりに殺到する人型や獣型に啖呵を切りながら、もぎもぎを両手に持つ。ここから先には―

 

烈怒守吠羅流刃烈斗(レッドスパイラルバレット)!!」

 

 意地でも通さない。ヤケクソ染みた叫びは途中で打ち切られた。射線上に存在する人型や獣型をまとめて撃破していく人間砲弾。

 

烈怒頼雄斗(レッドライオット)参上!」

「「「烈怒頼雄斗(レッドライオット)!」」」

 

 これ以上無いタイミングで救援に駆けつけてくれた烈怒頼雄斗(レッドライオット)に、思わず声を上げるオイラ達。

 

「アシッドブラストォ!」

 

 更に別方向からマシンガンのように放たれた水滴状の酸が、次々と人型や獣型を次々撃破していく。

 

「同じくPinky(ピンキー)参上!」

三奈ちゃん(ピンキー)!」

「仲間か」

 

 増援に駆け付けた切島(烈怒頼雄斗)芦戸(ピンキー)を前にしても涼しい顔の包帯(ヴィラン)

 

「皆さん!」

ヤオモモ(クリエティ)響香ちゃん(イヤホン=ジャック)!」

 

 八百万(クリエティ)耳郎(イヤホン=ジャック)が俺達と合流しても、その態度は変わらないまま、淡々と人型や獣型を作り出し続けてやがる…。

 

「島民の皆さんは?」

商店街(この辺り)にいた人は皆、葉隠(インビジブルガール)の誘導で役場の中に避難してる!」

「だから、僕達はここに陣取って防衛に専念してたって訳♪」

「そう言う事でしたら、青山さん(Can't stop twinkling.)峰田さん(グレープジュース)は、一時後退を!」

「2人が戻るまで、入口(ここ)はウチらで守り抜く!」

 

 そう言いながら突撃銃(アサルトライフル)を2挺創造し、そのうち1挺を葉隠(インビジブルガール)に投げ渡す八百万(クリエティ)と、ビートブースターを構える耳郎(イヤホン=ジャック)

 

「悪い…少しだけ、頼む」

「しもべ達のチャージが終わったら、すぐに戻るから」

 

 2人の厚意に甘えて、オイラと青山(Can't stop twinkling.)は、少しだけその場を離れさせてもらう。戻るまでの間…頼んだぜ!

 

 

切島(烈怒頼雄斗)side

 

烈怒頑斗裂屠(レッドガントレット)!」

 

 ホバリングモードを起動したヘルメスブーツの助けを借りて宙に浮いた俺は、近づいてくる人型や獣型を手当たり次第にぶん殴っていく。

 こいつら、数は多いが耐久力はそれほどでもねぇ! だったら、このまま―

 

「力押しでっ!」

 

 そう叫びながら目の前の人型を殴りつけた直後、死角になった方向から包帯(ヴィラン)の放った赤い包帯が俺の腕に巻き付いた。

 

「しまった!?」

 

 背筋に走る強烈な寒気。よくわからねえけど、コイツに巻き付かれたままは拙い! 咄嗟に力を込めて包帯を引き千切ろうとした次の瞬間。

 

「バーストモード!」

 

 耳郎(イヤホン=ジャック)が銃形態のビートブースターから放つ衝撃波の弾丸が、包帯を撃ち抜き―

 

葉隠さん(インビジブルガール)!」

「おまかせ!」

「アシッドボール!」

 

 八百万(クリエティ)葉隠(インビジブルガール)が乱射する突撃銃(アサルトライフル)芦戸(ピンキー)の放つ球状に固めた酸が、周囲の人型や獣型を一掃した。

 

「すまねぇ!」

「気にしない気にしない! 吸阪(ライコウ)曰く『ヒーローは助け合い』だよ!」

 

 そんな会話を交わしながら、一旦合流する俺達。だが、その間にも包帯(ヴィラン)は、新たな人型や獣型を次々と生み出している。キリがねぇ!

 

「我が包帯に巻き付かれた物は、拙者の意のままに動く!」

「生物に効果はないが、この商店街に存在するありとあらゆる物質が、拙者の手駒の材料となる!」

「貴様らは全員なかなかの使い手のようだが、戦力差は歴然。貴様ら5人、消耗した2人を加えても7人では、大波に曝される砂山に過ぎん!」

 

 勝ち誇った顔の包帯(ヴィラン)。確かに、あいつの言う通りかもしれねえ。だが、チャンスが無い訳じゃねえ…烈怒守吠羅流刃烈斗(大技)を叩き込む事が出来れば―

 

「だが、そこの赤髪! お前の放った体当たりは脅威に値する。だからこそ、()()()()()()()()()()()!」

 

 ちっ! やっぱりそう上手くはいかないか…。

 それぞれに構えを取る俺達を追い詰めるように、ジリジリと近づいて来る人型や獣型。

 

「さぁ! これで最後だ!」

「あぁ、お前がな」

 

 包帯(ヴィラン)の声に続いて、そんな声が響いた次の瞬間。

 

「ぬぉっ!?」

 

 幾つかの破裂音と共に、包帯(ヴィラン)の周囲に煙が発生。

 

「煙幕だと!? 姑息な真似を!」

「悪いな。吸阪(ライコウ)じゃないが、俺は喧嘩が弱いんだ。策を弄させてもらう」

「おのれっ!」

 

 煙の中からそんな会話が聞こえて…風によって煙が晴れると、そこには―

 

「………」

 

 ()()()()()でその場に立ち尽くす包帯(ヴィラン)と、装着した『ペルソナコード』の設定をニュートラルに戻している心操の姿があった。

 

「すまない。透明化して隙を窺ってたんだが、なかなか隙を見せてくれなくてな。時間がかかった」

「そんな事ねぇよ! 助かったぜ、心操!」

「あぁ、それじゃあ後はよろしく」

 

 そう言いながら包帯(ヴィラン)から離れていく心操。俺は心操が十分に離れた事を確認すると、宙に浮き上がり―

 

烈怒守吠羅流刃烈斗(レッドスパイラルバレット)!!」

 

 今日2発目の大技で、人型や獣型諸共包帯(ヴィラン)を吹っ飛ばした!

 よし! これで商店街の安全は確保出来たぜ。浜辺の方は…大丈夫だよな?

*1
保管や簡単な補修のために傾斜を利用して漁船を陸に引き揚げておく場所の事

*2
駐車場のように、漁をしない時に漁船を停泊させておくための水域の事

*3
陸揚げされた水産物の選別、計量、箱詰め等が行われる建物の事




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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