出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
少々短いですが、お楽しみいただければ幸いです。

なお、オリジナル設定として登場する(ヴィラン)ナイン及びキメラの“個性”を、原作よりも強化しております事をご了承ください。


-追記-

7/27に一部展開を修正。話の流れに変わりはありません。


第68話:1年A組vs(ヴィラン)集団‐その2‐

尾白(テイルマン)side

 

「フン!」

 

 (ヴィラン)の放つ右ストレート。それを長棍(ロングバトン)モードのトライトンファーで受け止めた俺は―

 

「くぅっ…」

 

 長棍(ロングバトン)越しに伝わる衝撃の強さに顔を顰めながらも、敢えてその衝撃に逆らわず、後方へと跳び退く。

 

尾白ちゃん(テイルマン)!」

 

 思わず声を上げる蛙吹(FROPPY)。傍から見れば、俺が派手に吹っ飛ばされたように見えただろう。それはきっと(ヴィラン)も同じ筈。

 

「だからこそ!」

 

 そこに付け入る隙がある! 足が地面に着くと同時に、俺は再び(ヴィラン)へと突撃し―

 

「はぁぁぁっ!」

 

 長棍(ロングバトン)を棒高跳びのポールに見立てて、大ジャンプ!

 

「せぇぇぇいっ!」

 

 空中回転と落下の勢いを加えて、威力を高めた長棍(ロングバトン)の一撃を叩き込んだ!

 

「ぬぉぉぉっ!」

 

 派手に吹っ飛び、後方の岩に激突する(ヴィラン)。激突の衝撃で岩が粉砕され、立ち込める砂煙…手応えはあった、筈だ。

 

()ってぇなぁ…」

 

 だが、身に纏ったコートに付いた埃を払いながら姿を現した(ヴィラン)のダメージは、予想よりもずっと小さなものだった。

 岩の欠片で切ったのか、左眉の上辺りから出血しているが…目立った外傷はその程度。

 なんて頑丈さだ…()()()にも程があるだろ…。

 

「お前、ガキのくせに良い動きだ。それにそのトンファーだか棒だかわからねぇ武器。そいつも良い物だ。そこらで売ってる量販品(ガラクタ)じゃあ、俺を一発殴っただけで折れるか曲がるかで、使い物にならなくなっちまうからな」

 

 心底感心した様子の(ヴィラン)はそう言うと、咥えていた葉巻に火を点け…

 

「だからこそ惜しいぜ…半人前のうちに()()()()()()()()()からよぉ!」

 

 コートを脱ぎ捨てると同時に“個性”を発動した。

 

「うぉぉぉぉぉっ!!」

 

 咆哮と共に着ていたシャツを引き裂きながら、一回り…いや二回り巨大化する(ヴィラン)の体。

 両腕には無数の鳥の羽が生え、両手の爪も太く長く…まるで猛禽類のそれのように変化して…まるでギリシャ神話に出てくる半人半鳥の怪物(ハーピー)みたいだ。

 足も尻尾も、太く強靭に変化して…与えてくる威圧感はさっきまでの3倍、いや、それ以上だ!

 

尾白(テイルマン)!」

 

 そこへ(ヴィラン)の変化を見た障子(テンタコル)がこっちに合流。

 

「俺が先に仕掛ける。尾白(テイルマン)はそれで生じた隙を突け!」

 

 そう言うが早いか、障子(テンタコル)は自身の両腕に複製腕を組み合わせ、巨大な2本の腕を形成しながら、(ヴィラン)へ突撃。

 

海魔の双槌(クラーケンハンマー)!」

 

 必殺の諸手突きを(ヴィラン)の胴体に叩き込んだ! あの技の威力は、A組全体で見ても上位に位置する。あの(ヴィラン)でも、無傷では―

 

「良いパンチだ…“個性”を発動する前に食らっていたら、ヤバかったかもな」

 

 済まない筈。そう続けるだった心の声は、強制的に打ち切られた。(ヴィラン)はあの一撃を受けても、数歩よろめいただけ。

 

「うぐぅぅぅっ…」

 

 それどころか、障子(テンタコル)の頭を無造作に片手で掴み、締め上げ始めた。障子(テンタコル)も6本の腕を総動員して抜け出そうとするが、まるで歯が立たない。なんてパワーだ!

 

「それにしてもそのナリ…お前、相当虐められた口だろ? 両親を恨まなかったか?」

「ぐわぁぁぁっ!」

 

 障子(テンタコル)にそう問いながら、締め上げる強さを増していく(ヴィラン)

 

障子(テンタコル)!」

 

 俺は障子(テンタコル)を助けようと走り出すけど、それを読んでいた(ヴィラン)は―

 

「そらよ!」

 

 障子(テンタコル)をこっちに投げつけてきた! 咄嗟に障子(テンタコル)を受け止める事は出来たけど、それによって俺達は無防備な姿を晒してしまう。

 

「あばよ!」

 

 そこへ放たれる(ヴィラン)の右ストレート。まずい! このままじゃ2人とも!

 そんな絶体絶命の危機を救ってくれたのは―

 

「レシプロ! トルネード!」

 

 飯田(インゲニウム)の必殺キック!

 

「ぬぉっ!」

 

 予想外の攻撃を受け、よろめく(ヴィラン)。その隙に俺と障子(テンタコル)は、体勢を立て直す事が出来た。

 

「遅くなってすまない!」

「ここからは俺達も参戦だ」

 

 飯田(インゲニウム)に続くように、(アブソリュート)砂藤(シュガーマン)瀬呂(セロファン)常闇(ツクヨミ)が俺達と合流。

 

「避難は私達が!」

 

 蛙吹(FROPPY)のもとには、口田(アニマ)麗日(ウラビティ)が合流している。この戦力なら、やれる…のか?

 

 

(アブソリュート)side

 

 俺を含む7人で(ヴィラン)と対峙するが、放たれる威圧感でわかる。こいつは…()()()()()()だ。

 

「皆! 避難が完了するまで、これ以上の(ヴィラン)の進攻を阻止するぞ!」

 

 飯田(インゲニウム)もそれを理解しているのか、俺達を鼓舞するように声を上げ―

 

「いくぞ!」

 

 それを合図に、俺達は一斉に動き出した。

 

「はぁぁぁっ!」

「そぉらよっ!」

 

 俺の氷結と瀬呂(セロファン)のテープで、(ヴィラン)を拘束。そこへ―

 

「今だ!」

「レシプロ! トルネード!」

 

 独楽のように回転した飯田(インゲニウム)の放つ回し蹴り。

 

「必殺! 堕天使の戦斧(ルシファーズバルディッシュ)!」

 

 深淵闇躯(ブラックアンク)を発動した常闇(ツクヨミ)の放つ回転踵落とし。

 

「尾白流格闘術! 旋尾斬!」

 

 尾白(テイルマン)の放つ空中回転の勢いを加えた尻尾の一撃。

 

「エクラゼ! ナックル!!」

 

 砂糖細工の戦鬼(シュガークラフト・オーガ)を発動した砂藤(シュガーマン)の放つ必殺の鉄拳。

 

海魔の双槌(クラーケンハンマー)!」 

 

 そして障子(テンタコル)の放つ必殺の諸手突きが、一斉に襲い掛かる。

 奴が驚異的なタフネスやパワーを持っているのは、常闇(ツクヨミ)からの情報で把握している。だが、これだけの攻撃を一度に叩き込めば!

 

「図に乗るなぁっ!!」

 

 だが、(ヴィラン)の力は俺達の想定を上回っていた。

 7人の攻撃が叩き込まれる直前、奴は咆哮と共に力を込め、全身を拘束していた氷結とテープをあっさりと破壊。

 

「おぉらぁぁっ!!」

 

 更に地面を殴る事で強烈な衝撃波を起こし、飯田(インゲニウム)達や俺達を吹き飛ばしてしまう。

 

「「「「「「「うぉぉぉっ!?」」」」」」」

 

 何とか、俺達は体勢を立て直したが…一斉攻撃は失敗。こいつは…強い!

 

「オイオイオイ、ガキばっかとはいえ…ヒーロー増えすぎだろ!」

 

 そう言いながら向かってくる(ヴィラン)。だが、退く訳にはいかねぇ!

 

 

真幌side

 

「お姉ちゃん! ヒーローに(ヴィラン)の事知らせなきゃ!」

「携帯通じないんだからしょうがないじゃない!」

 

 活真の声にそう答えながら、サトウキビ畑の中を突っ切って家へと急ぐ。

 1分もしない内に私達はサトウキビ畑を抜け、50m先に家が見えた。

 

「一度家に戻って、村の皆に―」

 

 知らせよう。そう続ける筈だった言葉は、突然家が爆発した事で打ち切られた。

 

「きゃぁぁぁっ!」

「うわぁっ!」

 

 爆風で私と活真の帽子が吹き飛ばされ…

 

「家が…」

 

 家が無くなった事が信じられず、呆然とそう呟いていると―

 

「見つけたぞ…B型の、細胞活性」

 

 煙の中から見た事のない男がゆっくりと歩いてきた。間違いない…アイツ、(ヴィラン)だ…。

 

「少年、君の“個性”を()()

 

 (ヴィラン)の声を聞いた瞬間、私は庇う様に活真の前に立っていた。

 

「安心しろ。殺しはしない」

「こ、来ないで!」

 

 私の発した拒絶の言葉を平然と聞き流して、ゆっくりと近づいてくる(ヴィラン)

 

「来るなったらぁぁぁっ!!」

 

 私は無我夢中で“個性”を発動。幻のシーサーを(けしか)けるけど―

 

「幻なのはわかっている」

 

 幻はあっさりと掻き消されてしまった。

 

「あ、あぁ…」

 

 私は、活真を抱きしめる事しかできなくて…

 

「お姉ちゃん…」

 

 活真も怯えた顔で私に抱き着く。その間にも(ヴィラン)はゆっくりと近づいてきて、その手を活真に伸ばしてきた。

 

「うぉぉぉぉぉっ!」

 

 その時、何かが飛んで来たかと思うと、私と活真を掴んで(ヴィラン)から離れていった。これって…

 

「グリュンフリート!」

「お兄ちゃん!」

「空を飛ぶ“個性”…」

 

 (ヴィラン)がそんな事を呟いた気がするけど…とにかく、助かったんだよね?

 

 

出久(グリュンフリート)side

 

 真幌ちゃんと活真君を抱えたまま200m程移動した僕は、雑木林を向けた先で一旦着地。

 

「大丈夫?」

 

 2人を降ろして、その無事を確認する。外傷は…うん、2人とも無いみたいだ。良かった。

 

「走れるかい?」

「う、うん!」

「それじゃあ、早くここから離れて」

 

 僕は、走る2人が丘を登り切った事を確認すると、ゆっくりと振り返り―

 

「止まれ!」

 

 雑木林の中をこちらへ向けてゆっくりと進む(ヴィラン)へ停止を呼びかけた。

 

「………」

「なぜ、あの子達を狙う?」

 

 無言で歩き続ける(ヴィラン)へ、その目的を問いながら、僕は構えを取る。理由はわからないけど、あいつから()()()()()を感じる。

 絶対に…ここから先へ行かせるわけにはいかない! 

 

「…退け」

「退く訳ないだろ!」

「邪魔をするなら…殺す」

 

 そう言うが早いか何らかの“個性”を発動しようとする(ヴィラン)。そうはさせない!

 

「スナップショット!」

 

 僕はベアリングボールを次々と弾き、(ヴィラン)へ先制攻撃を仕掛けた。狙いは奴の四肢。動きを封じられれば―

 

「………」

 

 だけど、放たれたベアリングボールは、奴の1m程手前で透明な何かに阻まれ、あちこちに弾かれてしまう。

 

「見えない壁! 空気の壁を作る“個性”か!」

 

 (ヴィラン)の“個性”を分析し、動きながらその対応策を考えようとしたその時!

 

「………」

 

 奴の翳した右手。その指先から何かが高速で発射された。

 

「くっ!」

 

 咄嗟に回避行動を取り、全弾避ける事が出来たけど、発射されたそれはあちこちの樹の幹に指1本が楽に入るほどの穴を開けていた。

 

「これは…爪を高速で発射したのか。まったく関連性の無い2つの“個性”。それってまるで…」

 

 その瞬間、僕の脳裏に浮かんだのは、オールマイトに敗れ、タルタロスに収監されているオール・フォー・ワンと、(ヴィラン)連合の一員である絶無。

 “個性”の複数持ち…こいつは強敵だ!




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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