出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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2週間のお待たせとなり、申し訳ありません。
第69話を投下します。
少々短いですが、お楽しみいただければ幸いです。


第69話:1年A組vs(ヴィラン)集団‐その4‐

雷鳥(ライコウ)side

 

「遅くなった! ここからは、俺が引き受ける!」

 

 (ヴィラン)から一旦離れると同時に、俺はボロボロの出久(グリュンフリート)と真幌ちゃん、活真君へそう声をかけ―

 

「はぁぁぁっ!!」

 

 刀身に電撃を纏わせたケラウノスで、(ヴィラン)へ斬りかかる。

 小さな子どもを狙ったうえに、出久(グリュンフリート)を甚振るような糞野郎だ。()()()()()()()()()()()()()()()()つもりだったが…

 

「………」

 

 袈裟斬(けさぎ)り、右薙(みぎなぎ)左切上(ひだりきりあげ)。全力で放った攻撃の(ことごと)くが、(すんで)の所で見えない…空気の壁に阻まれる。

 

「その若さで大した技量だ。こちらとしても紙一重…といったところか」

 

 攻撃を防いだ(ヴィラン)にとっても、余裕で防御出来た訳では無さそうだが…()()()()()()()

 こっちは生体電流の読み取りによって、(ヴィラン)の動きを『予知』している。実際、(ヴィラン)の死角を突いて攻撃を出来ているし、攻撃を認識出来たとしても対処出来るような温いタイミングで放ったつもりは微塵もない。となると…

 

自動防御(オートガード)か…」

 

 導き出された結論に、思わず舌を鳴らす。あれだけの強度を持った防壁を反射レベルで展開出来るなんて、厄介極まりない!

 

「だが、打つ手はある!」

 

 俺は咄嗟に(ヴィラン)から距離を取り、“個性”を操作。腰の小型ポーチから取り出した小瓶に収めていた砂鉄を操作して、自身の周囲に靄のように漂わせる。そして―

 

「マグネ・フレシェット!」

 

 十数発の砂鉄の矢弾(フレシェット)を作り出し、射出! 更に―

 

「I Have Control!」

 

 左手を動かす事で砂鉄の矢弾(フレシェット)の軌道を操作。(ヴィラン)に対し、全方位からの時間差攻撃を仕掛けた!

 

「ッ!」

 

 次々と迫り来る砂鉄の矢弾(フレシェット)を空気の壁を展開して防御していく(ヴィラン)

 最初の内は反応が追い付いていたが、右を防げば左、前を防げば後と徹底的に死角を突いてくる攻撃に対し、その反応は追い付かなくなり、やがて自動防御(オートガード)で防ぎ始めた。

 

「その自動防御(オートガード)、見事なものだ。だが、思考が追い付かずに反射で展開している以上…必ず、限界はある!」

「はぁぁぁぁぁっ!!」

 

 “個性”を全開にした俺は、周囲の地面から砂鉄を掻き集めて砂鉄の矢弾(フレシェット)を追加。射出していく。

 射出した砂鉄の矢弾(フレシェット)(ヴィラン)が防御し続ける中…遂に、均衡が崩れた。

 

「ぬぅっ!」

 

 反射による自動防御(オートガード)も遂に限界を迎えたのか、砂鉄の矢弾(フレシェット)の1発が、(ヴィラン)の左脛を貫いたのだ。

 鋭い痛みに苦悶の表情を浮かべ、僅かによろめく(ヴィラン)。そして、それを見逃す俺じゃない。

 

「ターボユニット!」

 

 一気に(ヴィラン)との間合いを詰め、ケラウノスを振り上げる。そのまま袈裟懸けに斬り捨て―

 

「ライトニングボルトォ!」

 

 と見せかけて、左拳の一撃をボディへ叩き込む! 

 

「グボッ…」

 

 肋骨を数本砕いた感触を感じながら、俺は吹っ飛んでいく(ヴィラン)を睨みつけ―

 

「サンダー! ブレーク!!」

 

 ケラウノスを増幅器(ブースター)にして、威力を5倍に高めた電撃を駄目押しで放射!

 

「これで終わり…な訳ないよな」

 

 濛々と立ち込める土煙の奥で倒れている筈の(ヴィラン)への警戒を維持しつつ、そう呟く。

 出久(グリュンフリート)をあそこまで追い込んだ相手だ。十中八九、これで終わりじゃない。

 

「ラ、雷鳥兄ちゃん(ライコウ)、気を付けて! アイツは“個性”の複数持ち。それからまだ推測レベルだけど、“個性”を奪う事も出来る!」

 

 出久(グリュンフリート)もこう言っているしな。それにしても、“個性”の複数持ちか…まるで絶無(あの馬鹿)か、オール―

 

「ッ!?」

 

 次の瞬間、土煙の奥から弾幕の様に放たれた無数の爪によって、俺の思考は打ち切られた。

 

「ライトニングウォール!」

 

 咄嗟に展開した電磁バリア(ライトニングウォール)で無数の爪を防ぎつつ、俺は土煙の奥に目を凝らす。すると―

 

「見事なものだ…」

「たった2人を相手にして、ここまでのダメージを受けたのは、本当に久しぶりだ」

 

 土煙の向こうからゾッとするような声が聞こえてきた。やっぱり無事だったか。

 

「だからこそ…お前達は全力で排除する」

 

 (ヴィラン)がそう宣言した次の瞬間、地面を突き破って俺の背後に現れる青い竜のような怪物。モンスターを召喚する“個性”か!?

 

「せいっ!」

 

 咄嗟にケラウノスを振るって怪物の頭、その三分の一を切り落とす。すると、怪物は悲鳴を上げながら慌てて地面へ潜り、(ヴィラン)の元へ戻っていった。切り落とされた部分の方は…光の粒になって、消滅していく。

 

「やるな…ならば、これだ」

 

 怪物を一蹴されても表情一つ変えない(ヴィラン)。次はその右手を天に翳す。

 

「ちぃっ!」

 

 背中を走る悪寒に俺が電磁バリア(ライトニングウォール)の出力を最大に高めた瞬間、奴が右手を振り下ろし、落雷が電磁バリア(ライトニングウォール)に炸裂する。

 雷を操る“個性”まで持ってやがるとは…

 

「電気使い。その“個性”も使いこなす技量もなかなかのものだ。だが、惜しいな」

「お前の“個性”では、俺には勝てない」

 

 (ヴィラン)が妙な事を口にしたのは、その時だ。

 

「ほう、是非ともその根拠をお聞かせ願いたいもんだな」

「簡単な話だ…お前と俺では“個性”の()()()()

 

 ()()()()。随分な事を言ってくれた(ヴィラン)に反論しようとした直後、異変が起きた。

 空のホンの一部を占めていた筈の黒雲が、物凄い勢いで分厚く、そして巨大になり…この島全体を覆い尽くしていく。

 

出久(グリュンフリート)! 2人を守れ!!」

 

 そう叫びながら、俺が出久(グリュンフリート)の前に立ち、出久(グリュンフリート)が真幌ちゃんと活真君を庇う様に抱きしめた瞬間―

 

「散れ…羽虫のように」

 

 (ヴィラン)の手の動きに合わせるように竜巻が発生。俺達を飲み込んだ。

 

「うぉぉぉぉぉっ!!」

 

 竜巻から出久(グリュンフリート)と2人を守る為、俺は最大出力で電磁バリア(ライトニングウォール)を張り続ける。だが、竜巻は電磁バリア(ライトニングウォール)の上からでも容赦なく俺の体力を削り取り…

 

「く、くそっ…」

 

 竜巻が消滅した後、俺はまともに立っていられないほどに体力を消耗。

 

「邪魔だ」

 

 出久(グリュンフリート)共々、(ヴィラン)の衝撃波で吹き飛ばされてしまった。

 

 

ナインside

 

「……さて」

 

 邪魔な2人のヒーローを退け、俺は改めて目標である少年に向き直る。

 

「あ、あぁ…」

 

 もはや逃げられないと悟ったのだろう。互いに抱き合い震えている姉弟へ近づこうとしたその時―

 

「ぐっ、うぅ…」

 

 全身に強烈な痛みが走り、細胞という細胞が悲鳴を上げ始めた。このタイミングで…力を、“個性”を使い過ぎたか…。

 

「ナイン!」

「しっかりして! ナイン!」

「しょ、少年を…」

 

 思わず膝を突いた俺の元へ駆けつけたスライスへ、震える指を必死に動かし、少年の確保を命じる。あの少年、あの少年の“個性”を奪えれば、全てが、全てが解決…する。

 

「わかったわ」

 

 スライスもそれを十分に理解している。“個性”を発動し、少年の確保へ動いたが―

 

「我に従いなさい。黄色と黒に彩られし、空飛ぶ者達。幼き姉弟を襲う赤き髪の女、討ち取る為に力を尽くすのです」

 

 あと一歩のところで大雀蜂の群れが突然飛来し、スライスへと襲いかかった。

 

「クッ、どうして蜂の群れなんかが!?」

 

 大雀蜂の群れにスライスが気を取られている内に、駆け寄ってきた新たなヒーローが姉弟を回収。 

 

「安心して、味方だよ」

 

梅雨ちゃん(フロッピー)!」

「ケロッ!」

 

 倒れていた2人のヒーローもまた別のヒーローが回収し、撤収していく。

 

「クッ…小癪な手を使ってくれる」

 

 スライスがその“個性”で大雀蜂の群れを全滅させた時には、その距離は100m近くにまで広がっていたが…追いつけない距離ではない。

 

「追え! あの少年を…何としても……」

「ナイン。彼らは()()()()()()()()()()。今は体を癒すべきよ」

「………止むを得んか」

  

 スライスの進言に俺が頷いた直後、スライスが撃ち上げる撤収の信号弾。ここまで来て、足止めとはな…。

 

 

(アブソリュート)side

 

「ここまでか…」

 

 森の方から何かの合図らしき信号弾が打ち上がった直後―

 

「フッ、命拾いしたな。ガキども!」

 

 そう言って“個性”を解除し、走り去っていく(ヴィラン)

 

「に、逃げた?」

「見逃してもらった。と言った方が正解だろう」

 

 瀬呂(セロファン)の漏らした呟きに対し、静かに訂正する常闇(ツクヨミ)。たしかに、見逃してもらったという表現は的確だろう。だが…

 

「逃がすわけには…」

「行くな!」

 

 追跡しようとした俺は、飯田(インゲニウム)に止められてしまう。

 

「罠かもしれない。そもそもこれだけの人数で仕留められなかった相手。単独行動は危険だ」

「しかし、このまま…」

「今は、島民の安否確認を優先しよう。それもヒーローの務めだ」

 

 飯田(インゲニウム)の言葉に、熱くなっていた頭が冷静さを取り戻していく。

 

「…そうだな。悪い、飯田(インゲニウム)

「いや、轟君(アブソリュート)の気持ちもわかる。あれほどの強敵を逃がす事は、後々の脅威となる…それは間違いない」

「次戦う時の為に、何かしらの戦術を練る必要があるな」

 

 飯田(インゲニウム)常闇(ツクヨミ)の声を聞きながら、俺は沈んでいく夕日に視線を送る。

 もうすぐ夜か…長い夜になるかもな。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。


職場でクラスターが発生した関係で、この2週間執筆に時間を割けない状態が続いておりました。本日2週間ぶりの休日だったので、書きかけを一気に仕上げて投稿しております(笑)

幸いな事に終息までもう少しの段階に来ており、来週中には元の状態に戻ると思われます。
次回投稿は来週中を予定しておりますが、もしかしたらまたお待たせするかもしれません。
読者の皆様にはご迷惑をおかけするかもしれませんが、ご容赦ください。
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