出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
少し短いですが、お楽しみいただければ幸いです。
キメラside
ナインの“個性”によって生じた雨雲が島全体に大雨を降らす中、俺は住民が避難してもぬけの殻となった民家や商店を物色して、食料や薬品、毛布を調達。
ナインが休息を取っている島の灯台。その資材保管庫へ全速力で向かった。
「ナインの様子は?」
資材保管庫の中へ入ると、並べた木箱の上に布を敷いただけの簡素なベッドへ寝かされたナインを、スライスが介抱している最中だった。
「大丈夫。数時間もすれば起き上がれる筈よ」
「そうか…食料と薬、あと酒を調達してきた。と言っても、薬は市販の解熱剤や鎮痛剤くらいしか無かったがな」
渡した毛布をナインへかけるスライスへそう言いながら、調達してきた食料や酒の入った袋を近くの木箱の上に置く。食料は菓子パンや缶詰しかなかったが、まぁ腹を満たせれば文句は―
「ところで、マミーは?」
スライスが声を上げたのはその時だ。
「一緒じゃなかったのか?」
「…まさか、ヒーローに!?」
「その可能性はある。俺が戦った連中は7対1のハンデ有りとはいえ、フルパワーの俺を相手に1人も欠ける事無く、持ち堪えてやがった。もしも、あいつらと同等の実力を持った奴が、他にもいたとしたら…」
「考えたくはない可能性ね…」
「だとしても、計画は進める。必ず、必ずだ」
自分に言い聞かせるように呟きながら、俺は近くの木箱に腰掛けると―
「スライスも食える内に食っとけ」
袋の中から缶詰を幾つか取り出し、自前の爪を缶切り代わりにして開けていく。
-私と共に来い-
-お前を化け物と罵り、
-力だけが支配する世界を…作るのだ-
その間脳裏に浮かぶのは、出会った時にナインから告げられた…俺達の指針となった言葉。その指針に従って俺達は、戦って戦って戦い続けた。
ナインが更なる力を求め、
「俺らは、おめぇに懸けたんだ。くたばるんじゃねぇぞ」
眠り続けるナインへそう告げた後、俺はコンビーフを齧り、焼酎をラッパ飲みして胃の中へ流し込んでいく。
本当ならウイスキーかウォッカあたりが欲しかったんだが…
島民の皆さんが肩を寄せ合うように眠りについた頃、僕達は会議室へ集合し―
「まずは現状の報告」
今後の対応についての協議を開始していた。
「
「その点につきましては、先程救難メッセージを発信するドローンを創造して、本島へ発進させました。到着は早くて6時間後。救助が来るには更に時間がかかりますわ」
「それまで
「今、我々がやるべき最優先事項は、島の人々を守り抜くことだ。それを皆で考えていこう」
「考えようにも、相当な難問だぞ…」
「残った
「俺らが戦った奴も、相当な手練れだった」
「残る女
「正直言って、一斉に襲われたら守り切れる保証は出来ねぇぞ…」
「せめて、
「うん、対策も立てられるのに…」
「
それを破ったのは少年の声。彼は
活真side
「
お姉ちゃんの制止を振り切ってそう叫んだ直後、その場にいた全員が僕の方を向いて―
「何、だって?」
眼鏡をかけたお兄ちゃんが、そう聞いてきた。僕は勇気を振り絞り、あの
「僕の、“個性”を奪うって言ってた」
「“個性”の強奪?」
「まるで、オール・フォー・ワンみたいね」
「でも、
「うん、この子を連れて逃げれば良いだけ…」
「そう簡単にはいかねえ。相手は
「じゃあ、どうすりゃいいんだよ?」
僕の告白で、一瞬だけ部屋が明るい雰囲気になったけど、また静かになってしまった。やっぱり、やっぱりこれしか…
「僕を
僕がそう叫んだ瞬間、その場にいた全員が凍り付いたように動かなくなった。でも、僕は構わずに声を出していく。
「殺さないって言ってた!」
「…僕の“個性”なんか、無くなってもいい。それで島の皆が…」
「そんなの駄目だ!」
助かるなら。そう続けようとした僕の声は後ろから聞こえてきた声に掻き消された。慌てて振り返るとそこには―
「グリュン…フリート?」
「そんなの駄目だ!」
自分を犠牲にしようとした活真君の声を掻き消しながら入室すると、部屋にいた全員の視線が僕に集中した。
「
「もう、平気なのか?」
「活真君の“個性”のおかげだよ」
精一杯の笑顔を見せながら、活真君へ語りかける。
「細胞の活性化、新陳代謝の促進、ドーピング的効果すらある。おかげでこんなに回復出来た。凄くいい“個性”だよ、活真君。ありがとう!」
「グリュン、フリート…お兄ちゃん…」
「君が怖い思いをする必要なんかない。その為に僕達がいる」
思わず涙ぐむ活真君の頭を撫でながら、僕は皆の顔を見回していく。皆も大きく頷いてくれた。
「要するにだ。今の戦力をどうにか遣り繰りして、活真君を守りながら3人の
そして
「必ず、君達を守るよ!」
「守って勝つか。
「私も! 島の人達を守りたい! 戦おう!」
「その通りだな! 佐藤のおばあさんにもっと長生きしてもらう為にも、全力を尽くさなくては!」
「俺もやるぜ!」
「俺もだ」
「ウチも!」
「もちろん!」
「俺も!」
「あぁ!」
「私も!」
「ケロ!」
「よっしゃ! やろうぜ!」
「うん、やろう!」
「やるしかないね!」
「俺達はヒーローなんだ!」
「不可能だって、乗り越えてみせる!」
皆がそれぞれ声を上げる中、
「それでは皆さん! ご唱和ください!」
「さらに向こうへ!」
「「「「「プルス! ウルトラァッ!」」」」」
全員で雄英高校の校訓を叫んで…さぁ、作戦会議を始めよう!
作戦会議の終了後、私達はそれぞれ準備に取り掛かり、私も必要なアイテムの創造を開始しました。
必要なアイテムを7割がた創造し、乾パンと氷砂糖でカロリー補給をしていると―
「
たしか、メリッサさんが
「それを…使われるのですね」
「あぁ、強力すぎるだ何だと理由をつけて、出し惜しみをして切り抜けられるほど、今度の戦いは甘くはない。島の人達全員を守って、皆で生き残ることが最優先だ」
「なぁ、
そんな事を考えていると、
「あぁ、
……美味しいカクテル?
「お、おい
「大丈夫。絶対喜んでくれるぞ…この
「!?」
モロトフ・カクテル。その名前を聞いた瞬間、私は
「……
「
「な!?」
「火炎瓶!?
「あぁ、マジだよ。大マジ。
「こう見えても、お兄ちゃん……結構キレてるんだよね…」
満面の笑みを浮かべたまま、背筋が冷たくなるような声で呟く
「セ、
「あぁ、俺もだ…」
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
なお、現代社会において火炎瓶の製造・所持・保管・運搬・使用は法律で厳しく規制されております。