出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
お楽しみいただければ幸いです。
ホークスside
先日地方都市で発生した
そう連絡を受けた俺は、男性が入院している病院へ足を運んだ訳だが…
「細胞の活性化?」
「えぇ…ですが、私が活性化出来るのはA型細胞だけで、とても人の役に立つような“個性”では…」
一般男性…島乃さんの話を聞く限り、奪われた“個性”は大したレベルの物ではなく、悪い言い方をすれば“弱個性”と呼ばれる程度の物だ。
「島乃さん、ご家族は?」
「故郷の那歩島に娘と息子が」
那歩島か…かなり遠いが、犯人の進行範囲に那歩島は存在する。これは何かの偶然か? それとも…
思考に没頭しそうになったその時―
「っと」
マナーモードにしていたスマホが、振動で着信を知らせ、我に返る事が出来た。
「お手間を取らせてしまい、申し訳ありませんでした。それでは、これで失礼します」
島乃さんへそう挨拶して、病室を出た俺は、振動を続けるスマホを操作。
「何です?」
『九州沖を航行中の漁船が、救難メッセージを受信した』
『救難メッセージの内容は【那歩島に
通話を開始して10秒経たない内に、全速力で走りだす。
「それ、“個性”喪失事件の容疑者です!」
半ば叫ぶようにそう言いながら、非常口を開き、そこから一気に空へと飛び出していく。
『なんだと!?』
「至急、救助チームを那歩島に!」
「あぁ、それと雄英高校にも連絡を!」
『雄英に? 何故だ?』
この期に及んでボケた事を言っている
「ヒーロー公安委員会肝いりの実務的ヒーロー活動推奨プロジェクト」
「那歩島を担当しているのは…雄英高校ヒーロー科、1年A組です!」
通話を終えた俺は、どのように動いていくのが最善かを考えながら、最速で飛行していく。
まったく、
オールマイトside
深夜、緊急呼び出しを受けた
「なんと言う事だ…」
1年A組がヒーロー活動を行っている那歩島に
「ヒーロー公安委員会から追加の情報だよ。【那歩島から飛び立ったと思われるドローンを本島で回収。記録されていた情報によると、
「1年A組ノ実力カラ考エテ…
根津校長、そしてエクトプラズム先生の言葉に、その場にいた全員が緊張感を強めていく。
「ヒーロー公安委員会は救助チームを結成。準備が整い次第、自衛隊の部隊と共に輸送機で那歩島へ送るとのことだよ」
「そして、雄英高校にも協力要請があった。ヒーローを若干名選抜し、救助チームに同行させてほしい。とある」
「救助チーム、まずは私が名乗りを上げさせてもらおうかね。おそらく怪我人がごまんといる筈だよ」
「俺も担任として現地入りさせてもらいます」
「我モ名乗リヲ上ゲサセテモラオウ」
リカバリーガールが手を上げるのとほぼ同時に、
もちろん、私も名乗りを上げた。15分しか使えないとはいえ、この“
吸阪少年、緑谷少年、A組の少年少女達。我々が到着するまで、持ち堪えてくれ!
まるでこの島を真っ二つに割ってしまうかのように、連続で降り注ぐ雷。
ウチ達は咄嗟に真幌ちゃんと活真君を庇いながら身を屈め、雷を耐え凌いだけど…
「雷鳥兄ちゃん…雷鳥兄ちゃぁぁぁんっ!!」
その後でウチ達の目に飛び込んできたのは、雷によってクレーターの様に窪んだ地面に倒れ、意識を失っている
「ここまで俺を手古摺らせた事、誉めてやろう…」
そして、かなり消耗してはいるけど未だ健在な
「グリュンフリート…お兄ちゃぁぁぁん!」
「ライコォォォ!」
泣き喚きながら、2人のもとへ駆け出そうとする真幌ちゃんと活真君を
「
「
「わかった!」
「任せてよ♪」
「かしこまりました!」
だけど、ウチ達が合流するよりも早く、
「うぁぁぁぁぁっ!」
怒りの咆哮と共に
「ぐはっ!」
案の定、その突撃はアッサリと跳ね返され、地面を転がる
「お前ぇぇぇっ!」
再び無謀な突撃を仕掛けていく。ウチは咄嗟に銃形態のビートブースターを構え、
「
「無茶な事を言ってくれる! だが、わかった!」
「…
駆け寄って来たウチを見て、少しは冷静さを取り戻したのか、唇を噛みしめて俯く
「
ウチはそんな
「アンタが泣く時間くらいは、ウチ達で稼いでみせるから」
そう言い残して、
「
ビートブースターから放つ衝撃波の弾丸で
「ハートビートファズ!」
一気に解き放つ! 増幅された衝撃波は、地面を砕きながら
「………」
「クッ!」
技を放った直後で回避が間に合わない事を悟ったウチは、ビートブースターを剣形態に変形させて、怪物を迎え撃とうと構えるけど―
「必殺!
怪物がその口を開き、ウチへ食らいつこうとした瞬間、
「
「すまん、遅くなった!」
着地と同時に、漆黒の翼に変形させていた
好きな人が涙を流す時間くらい稼げなきゃ、女が廃るってもんだよ!
「アンタが泣く時間くらいは、ウチ達で稼いでみせるから」
そう言って、
「何をやってるんだ!」
僕は自分の額を思いっきり殴りつけた。
「僕は大馬鹿野郎だ…」
額から流れる血を拭いながら、自重するように呟き…僕は前を向く。泣くのは後でだって出来る。僕は今やるべき事をやる。それだけだ!
「
「
僕は
何としてでも、奴はここで止めてみせる!
「吸阪ちゃん…」
飛び出していった
「意識…なし、呼吸…なし、脈……微かだけどある」
微かにでも脈がある。その事は小さく…でも確かな希望の光となったわ。私は吸阪ちゃんを仰向けにすると授業で習った手順通りに人工呼吸を開始。
「お願い、吸阪ちゃん…戻ってきて」
祈るように私は呟きながら、吸阪ちゃんへ息を吹き込んでいく。そして、それが10回を数えた頃―
「ケロッ!?」
吸阪ちゃんの全身をスパークが走り、私はまるで弾かれたように飛び退いてしまう。
「吸…阪ちゃん?」
意識を取り戻した…そう、よね?
「ッ!?」
気が付くと何も無い真っ暗な空間に立っていた。あぁ、どうやら…
「吸阪ちゃん」
その時背後から聞こえてくる声。振り返るとそこには、制服姿の梅雨ちゃんがいて―
「せいっ!」
俺は反射的に、その顔面へ拳を叩き込んでいた。だが、顔面に本気の一撃を叩き込んだにも拘らず、
「いきなり酷いなぁ、雷鳥兄ちゃん。恋人の顔面を殴るなんて、いけない事だよ」
今度は
「生憎と、目の前に立ってる惚れた女が本物か偽物かくらい、すぐにわかるんだよ」
「あの世への入り口かと思ったが、
目の前に立つ
「あぁ、待って待って! 君と敵対する気は無いんだってば!」
はぁ? この期に及んで何とち狂った事をほざいてやがるんだ? この(自主規制)野郎。
「君の恋人や甥御さんの姿を取ったのは、君が余計な警戒心を抱かないよう、
そう言って深々と頭を下げてくる何か。よくわからんが、敵ではない…のか?
「実を言うと、僕には決まった姿というものが無くてね。人間と接触するときは、相手の記憶から適当な姿をコピーしているんだ」
警戒しつつも構えを解いた俺に、何かはそう言うと新たな姿を取っていく。この姿は…
「この姿なら大丈夫かな?」
ネイビーのスーツを着たツーブロックマッシュの青年。俺自身もう忘れかけていた…前世の姿だ。
「お前…何者だよ」
正直言って理解が追い付かない。
「そうだね…一言で言えば、
…こいつは予想外だ。
「それは…神様ってこと…ですか?」
「ハハッ、神と呼べるほど偉い存在じゃないさ。僕は不幸な死を遂げた人間を転生させるのが精々…そう、存〇Xとでも―」
「待て待て待て!」
「それじゃあ、キュゥ〇えとでも―」
「だから待て!」
「ハハッ、軽い冗談だよ。少しは気が紛れただろう?」
「そいつはどうも…それで、そんな凄い方が何の御用で? 転生先で死んだ俺を、お迎えにでも来たんですか?」
「いや、僕に許されているのは人間を転生させるまで。その後は見守る事は出来ても、干渉する事は
基本的に…か。
「という事は、この干渉は例外だと?」
「理解が早くて助かるよ。今回君にコンタクトを取ったのは、君の“個性”、
“個性”の封印を解除…ん? それって…
-『封印…よる……“個性”の…行い…』-
-『制限………一定……後……再び……ます』-
「あの声って、まさか!」
「ご名答。それほど時間が無いから、簡単に説明するよ。転生する人間には、転生先に応じた…所謂転生特典が与えられる。当然、君にも“個性”という特典が与えられたんだけど…」
「君が引き当てた特典は
大当たりであり大外れなもの…ねぇ。
「一言で言えば、“個性”が発現したばかりの子どもが使うには、あまりに強力過ぎる“個性”だったわけさ。下手をすれば発動した途端に暴走して自らを、そして周囲の人間を殺してしまいかねない程にね」
「だから転生する際に、僕の権限で封印を施させてもらった。本来の力、その半分程度しか発揮出来ないようにね」
おい、今の『雷神』ですらかなり強力な“個性”だぞ…それで半分程度なのかよ。
「本来だったら、もう少し早く君に接触して“個性”の封印を解除するつもりだったんだけどね。予想外の展開が発生して、ここまでずれ込んでしまった」
「…本当だったら、いつ解除するつもりだったんですか?」
「神野区の戦い。オール・フォー・ワンの攻撃を受けた時さ。僕の見立てでは、あの攻撃で君は仮死状態に陥り…僕が干渉出来る状態になる筈だった」
「だけど、デヴィッド・シールド博士の発明によって君の受けたダメージは、想定よりもずっと少なく済み…僕は干渉する事が出来なかった。流石は天才デヴィッド・シールド博士と言ったところだよ」
人あらざる者の見立てを覆すとは…シールド博士、流石です。
「まぁとにかく、こうやって君に干渉する事が出来た訳で…改めて問うとしよう。吸阪雷鳥、“個性”の封印解除を望むかい?」
「……お願いします。俺に…力を!」
「心得た!」
俺の声に笑顔で答えた前世の俺が指を鳴らすと、まるで解錠するかのような音が響き…俺の身体が光に包まれていく。
「これで君の“個性”、その封印は解かれた。意識を取り戻した時、詳細は既に理解しているから安心して」
「ありがとうございます。と言っていいんですよね?」
「あぁ、僕が干渉するのはこれが最初で最後。ここでの記憶も意識を取り戻した時には消えているから、君は君の思うまま、君の道を突き進んで行くと良い」
「はい!」
「ちなみに…原作世界がどうなっているか、教えようか? なかなか凄い事になっているよ」
「…いえ、いいです。そもそもここで聞いても忘れちゃうんでしょ?」
「それはそうなんだけどね。まぁ、君がそう望むのであればそれを尊重しよう。では、吸阪雷鳥。
そう言って手を振る前世の俺に頭を下げ、俺の意識は再び遠くなって―
「吸…阪ちゃん?」
意識を取り戻し、声の聞こえた方に視線を向けると、そこには心配そうな顔をした
「ごめん、梅雨ちゃん。心配かけたね」
「本当よ…でも、戻ってきてくれて…本当に嬉しいわ」
零れる涙を拭いながら、そう言って笑顔を見せる
「さぁて…俺の大切な人を泣かせやがって……あの
叫びと共に“個性”を発動した俺は両足に風を纏い、一気に宙へと舞い上がる!
「ケ、ケロ!? 吸阪ちゃんが…風を!?」
「よくわからないけど…死の淵から蘇って、“個性”の壁を越えたみたいだ」
「俺の“個性”は…そう、『雷神』改め…『
さぁ、ここからが逆転のショータイムだ!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。