出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
Season2第6話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。



第6話:仮免許取得試験に向けて‐その3‐

飯田side

 

 メリッサさんが調整を施したサポートアイテムを受け取って3日。

 僕はTDLと隣接する運動場で、改修を施した戦闘服(コスチューム)のテストを兼ねた走り込みを始めようとしていた。

 

「それじゃあ、飯田君。そろそろスタートするよ。開始10秒前!」

「はい! お願いします!」

 

 セメントス先生の声に答え、いつでも走り出せるように構える。

 戦闘服(コスチューム)の改修点は大きく2つ。1つは両脚に搭載した超小型エンジンの冷却機能強化。そして2つ目は両肩と背面に推進装置(スラスター)を装備した事だ。

 メリッサさん曰く、この改修により戦闘服(コスチューム)の重量は約35%増加しているそうだが…これまでの鍛錬で筋力が増した為か、特に重さは感じないな。

そして―

 

「3! 2! 1!」

 

 予め設定されていたブザーが鳴り響き、僕は走り出した。それと同時に背面の推進装置(スラスター)が起動。一気に僕のスピードを最高速へと引き上げていく。

 

「この加速、素の状態でレシプロターボを使った時以上だ!」

 

 距離にして約30m。2秒かからずに最高速度に達した加速性能に、思わず舌を巻きながら1周400mのコースを走っていると―

 

「飯田君、そろそろ第2段階へ移行するよ」 

「お願いします!」

 

 セメントス先生の声と共に、その“個性”によって、進路上に次々と障害物が発生していく。

 

「うぉぉぉぉぉっ!」

 

 だが、そんな物で今の僕は止められない。ある時は、両肩の推進装置(スラスター)を起動させる事で、最高速のまま平行移動を行って障害物を回避。

 またある時は、広い可動範囲を誇る背面の推進装置(スラスター)を利用して、一気に跳び越えていく。

 

「なんて動き…まるで蜻蛉だ!」

 

 セメントス先生が思わず漏らした驚きの声を聞きながら、更に走り続けていると巨大なセメントの塊が進行方向上に発生した。いよいよ第3段階だ!

 

「とぅっ!」

 

 全力でジャンプした僕は、背面の推進装置(スラスター)の力も借りて更に上昇。普段の倍以上の高度から、ドリルの様に錐揉み回転しながら急降下し―

 

「レシプロ! ストォォォムッ!」

 

 必殺のキックを叩き込んだ!

 

「よし!」

 

 粉砕されたセメントの塊を背に、僕は大きく頷いた。戦闘服(コスチューム)の改修は、大成功だ!

 

 

耳郎side

 

「はぁっ! たぁっ!」

 

 私がメリッサさんから受け取ったサポートアイテム『ビートブースター』は、幅広の剣。刃渡りは50cmくらいで普通より短め。

 吸阪や常闇が『グラディウス』って言ってたから、そういう種類の剣なんだと思う。

 ただ、この剣の刀身には特殊な加工が施してあって、普段は何も切れない(なまくら)。まぁ、鈍器(・・)として使う分には、何の支障も無いんだけどね。

 ビートブースター(これ)の真価は、ウチのプラグになった耳たぶを柄の先端…柄頭に挿す事で発揮される。

 

Check the insertion of the plug(プラグの挿しこみを確認).』

 

 そんな電子音声が響くと同時に、ヴンという音を立てながら刀身が仄かに青く発光する。

 これはウチの心音でもある衝撃波を増幅・変換した超振動を刀身が纏った証。こうなる事で、(なまくら)は大概の物を切断出来る鋭利な刃へと変わる。

 

「やぁっ!」

 

 声と共に振るえば、バターに熱したナイフを当てた時の様に、セメントの塊を簡単に切断していく。そして―

 

Transforms into a gun form(銃形態へ変形).」

 

 鍔の部分に仕込まれたボタンを押しながら、柄を倒すように動かすと、電子音声と共に刀身が中央から左右に分かれ、銃口が出現。そう、ビートブースターは剣だけじゃなく銃にもなる。

 この形態では、ウチの心音を収束した衝撃波の弾丸を発射出来る。スピーカーブーツから放つ衝撃波みたいに広範囲への攻撃は出来ないけど、その分ピンポイントでの攻撃に向いているし、威力も上々。本当に凄いアイテムだ。

 

「あとはアイテムに振り回されないようにしないと…」

 

 一旦、ビートブースターをホルダーに収め、ポツリと呟く。ウチは剣術なんて習った事もない素人。今だって、ただガムシャラに振り回しているだけ。

 ビートブースター(これ)を使いこなせているなんて、お世辞にも言えないだろう。

 

「緑谷か吸阪…あとはヤオモモにでも聞いてみないと…」

 

 少しでも扱いに慣れる為にも、ウチは剣の扱いに心得がありそうなクラスメートの顔を思い浮かべるのだった。

 

 

梅雨side

 

 私がメリッサさんから受け取ったサポートアイテムは、籠手(ガントレット)脛当て(レガース)

 曲線を多用したデザインと、エメラルドグリーンのカラーリングがとても美しいわ。もちろん見た目だけじゃなく性能も折り紙付きよ。

 

「ケロッ!」

 

 籠手(ガントレット)脛当て(レガース)を装着した私は、目標として用意された人型のセメントに攻撃を繰り出していく。

 うん、セメントの塊に思いっきりパンチやキックを繰り出しても、全く痛くないわ。それに籠手(ガントレット)はパンチ力を150%、脛当て(レガース)はキック力を250%上昇させる機能が搭載されているから、攻撃を当てれば当てるほど、目標の方が傷ついていく。

 そして、私は一旦目標と間合いを取り―

 

「これで最後! ケロケロッ!」

 

  

 声と共に間合いを詰めると、右の跳び回し蹴りから左の後ろ回し蹴り、更に二段爪先蹴りへと繋げるコンビネーションFROPPY().Combination().Arts().version2()を叩き込んで、目標を粉砕したわ。

 

「調子は上々。仮免試験までこれを維持していきましょう」

 

 

常闇side

 

「闇を纏いて力と成す! 深淵闇躯(ブラックアンク)!!」

  

 深淵闇躯(ブラックアンク)を発動した俺は、メリッサさんより授かったサポートアイテムを取り出し、天井目掛けて放り投げた。

 一見、何の変哲も無い黒塗りのディスクを2枚投げただけに見えるが…見た目で侮るなかれ。

 

「目覚めよ! ノワール! シュバルツ!」

 

 俺の声が響いた直後、2枚のディスクは2羽の鋼の鳥…いや、烏へと変化。俺の周囲を飛び回り始めた。

 イギリスで5本の指に入る強豪、魔女ヒーロー・ブラックウィッチ。彼女が己の“個性”で生み出した使い魔(ファミリア)を科学的に再現したと言っていたが、実に見事なものだ。

 

「始めるか…ノワール! シュバルツ! 攻撃(アタック)!」

 

 声と共に指を鳴らして指示を送ると、2羽は矢のようなスピードで目標へ向けて飛翔。翼の先端から鋭利な刃を展開し、目標を擦れ違いざまに斬りつけていく。

 そして俺も間合いを詰め―

 

影の短剣(シャドースティレット)! 6連突き!!」

 

 左右の貫手を目標のボディ部分へ次々と叩き込み、目標を粉砕した。うむ、ノワール、シュバルツとの連携は上々。

 本番に向けて、更に磨きをかけていかねば!

 

 

雷鳥side

 

「イレイザー、あと5分だ。時間通りに交代を頼むぞ」

 

 ここ数日のお約束となっているブラドキング先生の声を合図に、俺達は訓練を終了。後片付けに入った訳だが―

 

「ねぇ、知ってる!? 仮免試験で半数が落ちるんだって! A組(キミら)全員落ちてよ!」

 

 今日は久しぶりに物間が俺達を煽ってきた。というか、今日までよく我慢出来た(・・・・・)と言うべきかもな。

 そして、いつもなら拳藤が一撃入れて、物間を黙らせるのだが―

 

「おい、物間。毎度毎度A組を煽るのやめろって!」

 

 今回は拳藤が出遅れたせいか、泡瀬が物間に一撃叩き込んで黙らせていた。ふむ、拳藤と鉄哲はまだ本調子にはなっていない(・・・・・・・・・・・)か…。

 

「だが、物間(やつ)の言う事ももっともだ…同じ試験である以上、俺達は蟲毒(こどく)…潰しあう運命にある」

 

 そんな事を考えている内に、常闇の呟きが聞こえてきた。蟲毒か…言いえて妙ではあるが、常闇らしい言い回しだ。

 だが、前世の記憶が正しければ、仮免試験は―

 

「だから」

「A組とB組は別会場で申し込みしてあるぞ」

 

 そうそう、そうだった。相沢先生、ブラドキング先生、皆に説明お願いします。

 

「ヒーロー資格試験は、毎年6月・9月に全国3ヶ所で一律に行われる。同校生徒での潰し合いを避ける為、どの学校でも(・・・・・・)時期や場所を分けて受験させるのが、セオリーになっている」

 

 そういう事だ。わかったか? 物間。

 

…ホッ、直接手を下せないのが、残念だ!!」

「今、めっちゃ小さな声でホッつったな」

「病名のある精神状態なんじゃないか?」

 

 平常運転の物間を本気で心配する切島と砂藤。ホント、お前ら良い奴だよ…。

 

どの学校でも(・・・・・・)………そうだよな、普通にスルーしてたけど、他校と合格を奪い合うんだ」

「しかも、僕らは通常の習得過程を前倒ししている…」

 

 一方、不安を口にする瀬呂と出久に対し―

 

「1年の時点で、仮免を取るのは全国でも少数派だ。つまり…君達より訓練期間の長い者。未知の“個性”を持ち、洗練してきた者が集うわけだ」

「試験内容は不明だが、明確な逆境である事は間違いない。意識し過ぎるのも良くないが、忘れないように」

 

 相澤先生が厳しくも的確なエールを送り、今日の訓練は終了した。

 

 

 瞬く間に1週間が経過し、俺達は遂に仮免許取得試験当日を迎えた。

 時刻は午前8時。糖質を中心とした消化の良いメニューで朝食を済ませ、送迎のバスに乗り込んだ俺達は―

 

「準備は完璧か? 会場に着いて忘れ物をした。なんて言ってもどうにも出来んからな」

 

 相澤先生の声で、再度荷物を確認。全員準備万端である事を確認し、試験会場へと出発した。

 さぁ、全力を尽くすとしよう。鬼が出るか蛇が出るか…。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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