出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。第75話を投下します。
少し短いですが、お楽しみいただければ幸いです。

また、今回の掲載に伴い、第75話の後書きを修正しております。


第76話:1年A組vs(ヴィラン)集団‐その9‐

(アブソリュート)side

 

「行くぞ! 尾白(テイルマン)!」

「あぁ!」

 

 短く言葉を交わし、(ヴィラン)へ向けて走り出す常闇(ツクヨミ)尾白(テイルマン)。2人は示し合わせていたように(ヴィラン)の左右へ展開。

 

影の鎚矛(シャドーメイス)!」

「せぇぇぇいっ!」

 

 タイミングを合わせ、挟撃を仕掛けた。深淵闇躯(ブラックアンク)を発動した常闇(ツクヨミ)が右腕を鎚矛(メイス)状に変化させて放つ一撃と、尾白(テイルマン)の振るう長棍(ロングバトン)

 どちらも、並の(ヴィラン)なら一撃で戦闘不能に持ち込めるだけの威力がある。

 

「………」

 

 だが、(ヴィラン)が展開する空気の壁は突破出来ず―

 

「ぐぁっ!」

「くぅっ!」

 

 逆に衝撃波で吹き飛ばされてしまった。(ヴィラン)は体勢を立て直そうとする2人に追撃を仕掛けようとするが、そうはさせねぇ。

 

「これでもっ!」

 

 耳郎(イヤホン=ジャック)が両足のスピーカーブーツから放つ衝撃波。そして俺が2挺のライフルから連射する冷凍光線と熱線で、(ヴィラン)に防御を固めさせ、2人が体勢を立て直す時間を稼ぐ。

 

「よし、このまま…」

 

 密かに息を吐きながら、この後の戦い方について考えを巡らせていく。

 さっきの戦いで竜の閃光(ドラゴンノヴァ)を放った俺には、もう大技を放てるだけの余力は無い。こうやって、援護や牽制が精々だろう。

 常闇(ツクヨミ)も俺よりは幾らかマシのようだが、完調とは言い難い…尾白(テイルマン)耳郎(イヤホン=ジャック)は、体力的に余裕はあるが、決定力が足りない…。

 吸阪(ライコウ)が倒れた今、あの(ヴィラン)を確実に仕留めるには、やはり緑谷(グリュンフリート)の力がいる。

 あいつが戻ってくるまで、なんとか時間を―

 

「でやぁぁぁっ!」

 

 叫び声と共に強烈な衝撃波が放たれたのはその時だ。(ヴィラン)の展開した空気の壁で防がれたが、今のは…

 

「皆、待たせてごめん!」

緑谷(グリュンフリート)!」

 

 緑谷(グリュンフリート)…もう、大丈夫なのか?

 

「悔やむ事も泣く事も、後で出来る! 今は、最優先でアイツを止める! それを…雷鳥兄ちゃん(ライコウ)も望んでいる筈だから!」

 

 そうか…お前は本当に強い奴だよ。だが―

 

「俺を止める…だと? 出来もしない事を口にするな」

 

 その言葉で、(ヴィラン)の怒りは増しちまったようだ。

 

「出来もしないなんて思っちゃいない! 不可能を可能にするのも…ヒーローなんだ!」

「ならば消えろ。俺の前から…今すぐになぁ!」  

 

 次の瞬間、(ヴィラン)の手の動きに合わせるように巨大な竜巻が発生し…俺達へと向かって来た。

 

 

出久(グリュンフリート)side

 

「クッ…」

 

 向かって来る巨大な竜巻を睨みながら、僕はどう対応するのが最善なのかを全力で考えていく。

 退避…不可能じゃない。だけど、竜巻の進路上には島の皆さんが避難している洞窟がある。僕達は逃げ延びる事が出来たとしても、島の皆さんに甚大な被害が生じるだろう。却下。

 防御…論外。あれだけの巨大な竜巻に飲み込まれたらバリアの類でも使えない限り、あっと言う間に削り尽くされて終わりだ。

 

「だとすれば…これしかない!」

「ワン・フォー・オール、フルカウル! 100%!」

 

 僕は『ワン・フォー・オール』の出力を100%開放すると―

 

「皆は一時退避を! あの竜巻は僕が何とかする!」

 

 そう叫びながら、竜巻へと走り出した。出力100%の一撃を、竜巻の回転と逆方向から叩き込めば相殺…悪くても竜巻の威力を大幅に削る事は出来る筈だ!

 

50CALIBER(フィフティーキャリバー)…」

 

 今の自分に打てる最高の一撃を放とうとしたその時!

 

「グレート…タイフゥゥゥンッ!!」

 

 叫び声と共に、僕の背後から猛烈な旋風が巻き起こり、竜巻に激突した。これは!?

 

「今だ! 出久(グリュンフリート)!」

 

 だけど正体を確かめている暇はない。僕は改めて構えを取り―

 

50CALIBER(フィフティーキャリバー)! スマァァァァァッシュ!!」

 

 旋風が激突したことで回転が弱まった竜巻へ、全力の一撃を叩き込む!

 

「うぉぉぉぉぉっ!」

 

 僅かな拮抗の後、僕の拳に突破されて弾け飛ぶ竜巻。

 

「ぬぉぉぉっ!?」

 

 その余波に晒された(ヴィラン)は吹き飛び、地面を転がって起き上がるけど…

 

「ば、馬鹿な…」

 

 立ち上がったその顔は、驚愕で彩られていた。まぁ、それも当然だ。

 

「おいおい、鳩が豆鉄砲を食らったような顔してるなぁ? 死んだと思った相手が生きているのが、そんなに不思議か?」

 

 落雷に打たれ、力尽きた筈の雷鳥兄ちゃん(ライコウ)が、そこに立っていたのだから。

 

「生憎お前如きにくれてやるほど、俺の命は安くないんだよ!」

 

 高らかにそう宣言しながら、僕の横に立つ雷鳥兄ちゃん(ライコウ)。復活出来た理由とか、雷じゃなく風を操っている理由とか、聞きたい事は沢山あるけど…今は後回し!

 

「ここからは僕達のターンだ!」

 

 今やるべき事はアイツを止めることだ!

 

 

雷鳥(ライコウ)side

 

「ここからは僕達のターンだ!」

 

 出久(グリュンフリート)の声と共に俺達は走り出し、(ヴィラン)との距離を詰めていく。一方の(ヴィラン)も―

 

「何が、僕達のターンだ!」

 

 怒りの声を上げながら、背部に装着していたアイテムを再起動。

 

「俺の夢の…理想の邪魔をするなぁぁぁぁぁっ!!」

 

 3割ほど残っていた薬液を注入すると、上着ごとアイテムを剥ぎ取り、半裸の状態で“個性”を発動していく。

 再びあの竜巻を放つつもりだろうが…そうはさせるかよ!

 俺は“個性”を最大出力で発動し―

 

「超電磁! テンペストォ!」

 

 超電磁タツマキに風の力を加えた強化版。超電磁テンペストを発射!

 

「ぬ、ぬぉぉぉっ!」

 

 超電磁テンペストに飲み込まれ、空中で磔状態となる(ヴィラン)。俺は間髪入れずに手持ちの、そして周囲にあるありったけの砂鉄を操作。

 

「ライトニング! サーキュラー!!」

 

 俺の身長をはるかに超える戦輪(チャクラム)を作り出し、射出した!

 高速で回転する戦輪(チャクラム)(ヴィラン)へと一直線に飛んで行き、その体を両断しようと襲いかかるが―

 

「舐めるなぁ!」

 

 (ヴィラン)もさる者。指一本動かせない状態ながら、空気の壁を多重展開し、戦輪(チャクラム)を防御。

 

「ぬぁぁぁぁぁっ!」

 

 (ヴィラン)の叫び声が響く中、空気の壁を1つ、また1つと突破していく戦輪(チャクラム)だったが、最後の壁を突破する事が出来ず、砕け散って砂鉄へと戻ってしまった。

 だが、これは()()()()()()

 

「本命はこっちだぁ!」 

 

 既に俺は両足に風を纏って空中へと舞い上がり、次の攻撃への態勢に入っていた。

 

「唸れ疾風! 轟け雷光!」

 

 ケラウノスの刀身に電撃、そして旋風を纏わせた俺は、錐揉み回転しながら急上昇して、(ヴィラン)の頭上を取り―

 

「疾風! 迅雷斬りぃっ!!」

 

 残った空気の壁諸共、(ヴィラン)を袈裟懸けに斬り捨てる!

 

「が、はっ…」

 

 吐血しながら地上へと落ちていく(ヴィラン)。自分と共に切り裂かれた空気の壁が防具の役目を果たした事で、幾らかダメージが軽減されているだろうが…それでも、相当なダメージを与えた事に間違いはない。だから…

 

「とどめは任せたぞ! 出久(グリュンフリート)!」

 

 

出久(グリュンフリート)side

 

「とどめは任せたぞ! 出久(グリュンフリート)!」

 

 空中から聞こえる雷鳥兄ちゃん(ライコウ)の声に頷き―

 

「ワン・フォー・オール、フルカウル! 100%!」

 

 僕は『ワン・フォー・オール』の出力を再度100%開放。地上へと落下を続ける(ヴィラン)へ狙いを定め、走り出す。

 

「これで…最後だ!」

 

 トップスピードのまま『浮遊』を発動し、ロケットのように急上昇しながら空中回転。

 

HARPOON(ハープーン)! スマァァァァァッシュ!!*1

 

 (ヴィラン)の腹に両足キックを叩き込んだ!

 

「げぼぁっ!」

 

 口から血と吐瀉物を撒き散らし乍ら、まるで弾丸の様に海へと吹っ飛んでいく(ヴィラン)。そのまま、大きな水飛沫を上げて着水し…そのまま見えなくなっていった。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」

 

 着地すると同時に乱れた呼吸を必死に整えていく。本当なら着水した(ヴィラン)を確保しに行かなくちゃいけないけど、とてもそんな余力は無い。

 

「やったな、出久」

 

 僕に少し遅れて着地した雷鳥兄ちゃんも、足元がふらついていて、とても海まで行けそうにない。

 

「多分だけど…あの(ヴィラン)を探しに行く手間は…省けると思うぞ」

 

 そう言って、西の空を指さす雷鳥兄ちゃん。視線を動かしてみると―

 

「吸阪少年! 緑谷少年!」

 

 こちらへ向かって叫びながら飛んでくる人影が見えた。あれは…オールマイトとホークス!

 その後ろには大型の輸送機も見える。

 

「救援が来たって事…だな」 

「そうみたいだね。よかった…」

 

 救援が来た殊に安堵した瞬間、僕は両足の力が抜け、その場に座り込んでしまった。雷鳥兄ちゃんも同じように座り込んでしまう。

 

「出久…今思ってる事当ててやろうか?」

「僕も雷鳥兄ちゃんの思ってる事、当ててみるよ」

「じゃあ、同時にいくぞ。せーの」

「「腹減った」」

 

 同じ事を呟き、僕と雷鳥兄ちゃんは同時に笑い出す。こうして、那歩島を揺るがした大事件は、終わりを告げるのだった。

*1
この場合のハープーンは『捕鯨用の銛』ではなく、米軍などで運用されている艦対艦ミサイル『RGM-84 Harpoon』を意味




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回が第7章 劇場版 ヒーローズ:ライジング編の最終回となります。
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