出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
Season2第10話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
雷鳥side
「………」
「………」
俺と出久が見守る中、話を続けていく轟と夜嵐イナサ。まぁ、厳密には夜嵐がほぼ一方的に感情をぶつけているといった感じだな。
「推薦入試の時アンタと話して、目を見て思ったよ! 雄英でアンタと一緒にいたら、俺も
「だから、入学を辞退して士傑に入ったんだ! それなのに…それなのに!」
「雄英体育祭でアンタを見て驚いたよ…推薦入試の時とまるで別人だった! 最近じゃエンデヴァーも別人みたいになったって…」
「そして、今日会って改めて思ったよ。今のアンタは別人だ…
途中から涙を流し、轟へストレートな感情をぶつけている夜嵐。その姿は…
「拗れてるねぇ…」
幼少期にサインを求めたエンデヴァーから拒絶された事で生じ、推薦入試で轟と出会った事で再発した夜嵐のトラウマ。
士傑に入学した夜嵐は、そのトラウマをバネにする事で、エンデヴァーと轟を
だが、雄英に入学して成長した轟を見た事で、雄英ではなく士傑に入学したという選択が正しかったのか、トラウマから
もちろん、トラウマから逃げるという選択が間違っている訳じゃない。むしろ場合によっては正解と言える。
まぁ、この場合は理屈がどうこう…でもないか。
「えっと、夜嵐…君」
そんな事を考えている間に出久が口を開き、何らかのフォローをしようとしたその時―
「夜嵐、すまなかった」
轟が謝罪の言葉と共に、夜嵐へ土下座した。
「なっ…なんすか…何なんすか! いきなり!」
「
「もちろん、
「ッ……」
そう言いながら土下座を続ける轟。その姿に、夜嵐もどう応じるべきか迷っているようだ。よし、
「よし、2人ともそこまでにしようか。この場は俺が預からせてもらおう」
敢えて軽く微笑みを浮かべながら、2人の間に立った俺は、土下座を続ける轟へ立つように促すと―
「夜嵐、過去のモヤモヤをぶちまけて…少しは溜飲が下がったか?」
「あ、あぁ…」
「轟も夜嵐の話を聞いて、昔を顧みた筈だ。さっきの土下座は、それから来たものだと俺は信じている」
「だからさ、この続きは試験が終わってから…って事にしよう。この事で悩んだりして、試験を本調子で受けられなかったりしたら、お互いに良い気分はしないだろ?」
「………そうだな」
「…そうッスね」
「じゃあ、そういう事で。必要だったら、俺が話し合いの場を設けても構わない」
俺の提案に2人が頷き、話は終了。これで
真堂side
「さて、状況を整理し、共有しよう」
ホンの30m先で大混戦が繰り広げられている中、
「仮免試験恒例の
「
「密かに他校をそう煽り、攻撃を雄英に集中させた。まぁ、攻撃が全部凌がれたのは、少々誤算だったけど、
「分散した彼らに他校は殺到。だが、
「今、彼らは
「そういう意味では、ヨー君のフィールド割り失敗だったね」
「たしかにね。でも、結果としては最良に近い…大昔の政治家はこう言っていたそうだ『もし、木を切るのに8時間与えられたら、私は斧を研ぐ事に6時間を費やす』。何事も事前の準備が必要なのさ」
「彼らは今、目の前の大乱戦で頭が一杯。3つのターゲットも1つか2つは点灯しているだろうし、体力も絶賛消耗中だ」
「あとは、最高のタイミングで飛び出して、最大の戦果を挙げるのみ。今の状況はまさに、最高のタイミングを狙っているところさ」
「やっと
畳からの指摘で、自分が悪い笑みを浮かべているのに気づく。あまりこの顔を知らない人間に見られるのは良くないな。俺はいつもの爽やかな笑顔に表情を切り替え―
「機転が利くと言ってくれよ。まぁ、土壇場にきて足掻くのも、策を講じるのも不屈の心があってこそさ」
そう言いながら立ち上がる。俺の見立てが確かなら、最高のタイミングがやってくるのはそろそろだ。
「この場の人間全て、夢と理想を掴もうともがいてる。そのもがきに貴賤なんてありゃしないさ。さぁ、そろそろ行くとしよう。
突破するぞ。と続けようとしたその時、
少々軟派な部分があるが、傑物学園高校創立初となる1年生での仮免試験受験を許された俊才は、どこに行った?
「ヨー君、あそこ!」
畳の声に思考を打ち切り、彼女が指差した方向に視線を送る。そこには―
「これは…やってくれたな。後輩君」
耳郎side
「ヘッヘッヘッ…やっと隙を見せてくれたな」
「天下の雄英生も、こうなれば可愛いもんだぜ。やっぱ、共学はいいよなぁ。ウチは男子校だぜ」
「こういう状況だしさ、『クッ、殺せ!』とか言ってくれないかな?」
下卑た笑みを浮かべながら、ジロジロとウチの全身を見る3人の他校生達。その視線に全身が怖気立つけど、今のウチはソイツらを
傑物学園の…真堂とかいう男子の“個性”で、皆と分散させられたウチは、すぐさま他校生の寄せ集め集団から攻撃を受けた。
幸いな事に1人1人のレベルはそう高いものでもなかったから、複数相手でも『イヤホンジャック』とビートブースターを駆使する事で、全員を気絶させる事が出来た訳だけど…問題はその後。
周囲の安全を確認して、適当な2人のターゲットを発光させようした次の瞬間、3人組の他校生が
「我ら、
「我が校の校訓は『目的の為には手段を選ぶな!』。故に、お前が適当な人数を片付けるまで、俺の“個性”『隠れ蓑*2』で姿を隠し!」
「俺の“個性”『影踏み*3』で動きを封じさせてもらったって訳だ」
「あとは、ここで気絶している5人のターゲットを発光させ、最後にお前のターゲットを発光させれば、俺達3人は晴れて一次試験突破という訳だ!」
勝ち誇った顔で、自分達の計画を披露する男達に対し、悔しさと嫌悪感が沸き上がる。こいつら…ウチの成果を横から掻っ攫うような
「悔しいか? 悔しいだろうな。まぁ、犬に噛まれたとでも思って諦めな」
「まだ1年なんだ。次の機会があるさ」
「これも社会勉強って奴だ、お嬢さん」
好き勝手な事を言いながら、気絶している他校生のターゲットにボールをぶつけていく男達。1つ、2つとターゲットが点灯し、3つ目が点灯しようとしたその時!
「ん? なんだ?」
コースターくらいの大きさをした
「シビビビビビッ!」
その何か目掛けて放たれた電流で男は感電。白目を剥いて、その場に崩れ落ちた。
「
仲間が倒された事で、残る2人はボールをぶつける事も忘れて、周囲を警戒する。そこに―
「…ギリギリセーフ」
金髪で、ちょっとチャラチャラした雰囲気の男子が姿を現した。
「何者だ!」
「俺達を飛烈館高校と知っての攻撃か?」
「ヘッ、そんなこと知らねえよ! 俺は傑物学園高校1年! 上鳴電気だ!」
「たまたま視界に入って来てみたけどさ…女子1人に7人がかりの
「貴様! 言わせておけば!」
「隠身の仇! 討たせてもらうぞ!」
突然現れた傑物学園の男子、上鳴に批判され、怒りを露にする飛烈館の2人。だけど、これはチャンスだ。
「あぁ、俺が相手しても良いけどさ…大事な子忘れてるよ?」
「何っ!?」
「しまった! 影から足が!」
気が付いたみたいだけどもう遅い! 影から足が離れた事で自由を取り戻したウチは、イヤホンジャックを両手に装備した音響増幅装置に接続しながら、一気に2人との間合いを詰め―
「ハートビートスラップ!!」
そのボディに掌打を打ち込むと同時に、衝撃波を解き放った!
「「げぼはぁ!!」」
汚い悲鳴と吐瀉物を撒き散らしながら、吹っ飛んでいく2人。肋骨の数本は折れているかもしれないけど…自業自得だ。
「うわぁ、すっげぇな…やっぱ雄英半端無いわ」
「上鳴、だったね。ありがとう、おかげで助かったよ」
2人の吹っ飛んで行った方向を見ながら、しみじみ呟いている上鳴にウチは頭を下げる。今回は上鳴が来てくれなかったら、完全に終わっていただろう。
「お礼って訳じゃないけど…先にターゲットを発光させて。見た感じ、まだ条件クリアしてないんでしょ?」
「いやいやいや、お礼なんていいよ! ああいうのを見逃すのが、ヒーロー的に? 良くないなぁって思っただけだからさ!」
「そういう訳には…」
ウチの申し出を断る上鳴だけど、最後は根負けしたのか、気絶している他校生にボールをぶつけ、条件をクリアした。
続けて、ウチもボールをぶつけ、条件をクリアする。
『現在、通過者47名。あと53名通過で終了です!』
「ふぅ…」
無事に一次試験の条件をクリア出来た事に、思わず安堵の溜息が漏れる。
「えっと、耳郎響香…ちゃんだったよね?」
「え、そう、だけど…」
そこへ上鳴が真面目な顔で声をかけてきた。何事かと思っていると、上鳴は深呼吸を繰り返し―
「よかったら! 俺と! 付き合ってください!!」
ウチへ交際を申し込んできた。何の冗談かとも思ったけど、その顔は真剣そのものだ。
うん、ここまでストレートな交際希望をされたら、悪い気分はしない。だけど…
「…ごめん。ウチ、今付き合っている人がいるから」
「そ、そんな…」
ウチにはもう
飯田side
「いたぞ! 雄英生だ!」
「スピードはあるが、遠距離攻撃は無さそうだ! 距離を取って攻撃しろ!」
フィールドを縦横無尽に駆け回る僕目掛け、次々と放たれる他校生の攻撃。弾幕と表現しても差し支えないそれを、僕は
「逃がすな! 追い詰めて確実に仕留めろ!」
当然、他校生は僕を逃がすまいと追いかけてくる。
200mほど走ったところで僕は急停止し、なおも追ってきた他校生へと向き直る。その数は…5人!
「チョコマカ逃げ回ってやがったが、ようやく諦めたようだな!」
「無駄に疲れさせやがって!」
急停止した僕を見て、
あと3歩、2歩、1歩、今だ!
「Can't stop twinkling!」
「
僕の声に答え、岩陰から姿を現す
「さぁ、出番だよ!
両肩に装着した合計4挺の発射筒から次々と何かを射出した。
それらは一定の高度に達すると、収納していたローターを展開・回転させる事で滞空。更に下半分が十文字に開く事で、
「
声と共にそれ目掛けて
「メリッサさんが開発したサポートアイテム…たしか、『リフレクトフローター』だったか…凄まじいものだ」
容赦なく降り注ぐ光の雨から逃げ惑う他校生集団を見ながら、僕は静かに呟く。委員長として、クラスメートの補助をしようと駆け回る中、
「ち、畜生…」
そうしている内に、他校生は全員フィールドに倒れ伏していた。相応に出力を落とした上、拡散させる事で威力を落としたレーザーとはいえ、何発も食らっては溜まらないという事だな。
「さぁ、また集まってくる前に終わらせようよ♪」
「あぁ、フィールドを駆け回って確認したが、他の皆は粗方クリアしているようだ。僕達もクリアすることにしよう!」
『現在、通過者72名。あと28名通過で終了です!』
アナウンスを聞きながら、僕達2人は待合室へ急ぐ。きっと、皆が僕達を待っている事だろう!
待合室では予想通り僕達以外の全員が勢揃いしており、僕達は皆から少々手荒い歓迎を受けた。それから更に10分後―
『只今100人目の通過者を確認! 現時点をもって一次試験を終了します!』
『これより、残念ながら脱落してしまった皆さんの撤収に移ります』
一次試験は終了し、
最後までお読みいただき、ありがとうございました。