出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
Season2第11話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
雷鳥side
「おぉぉぉっしゃぁぁぁっ!!」
「スゲェ! こんなんスゲェよっ!!」
「A組全員、一次通っちゃったぁ!!」
一次試験が終了し、脱落した参加者が撤収する間に僅かながら設けられた休憩時間。
俺達はそれぞれ…程度の差はあるが、全員通過という結果に喜びを噛みしめていた。
「肉倉先輩落ちちゃったんすか!」
「先走って行動するから…あの劇場型男!」
「お前達もだぞ! 1年の夜嵐はともかく…特にケミィ! 駄目よ!」
「ハァイ」
少し離れた場所では、士傑高校の面々も話をしているようだが、あちらは脱落者が出たようだな。肉倉…たしか細目の男で、色々と思想が危ない奴だったな。
………そう言えば、あのケミィと呼ばれていた女子生徒。何か忘れているような気が…
『えー、一次試験を免除、ならびに通過された合計103人の皆さん』
だが、俺の思い出そうという行為は、アナウンスによって中断を余儀なくされる。仕方ない、試験が終わってからゆっくり思い出すとしよう。
『早速ですが、こちらをご覧ください』
アナウンスと同時にスクリーンに映し出されたのは、一次試験の会場となったフィールド。
「フィールドだ…」
「何だろね?」
出久と麗日が声を上げた次の瞬間、フィールドのあちこちで置き始める爆発。
爆発は全く間にフィールド全体へ広がり…3分足らずで、フィールドはまるで絨毯爆撃でも受けたかのような廃墟へと変貌した。
「爆破!? なんで!?」
誰かがそんな声を上げるが、その場にいた全員が唖然としている為、その声は空しく響くだけだ。
『これより二次試験! これでラストとなります! 皆さんにはこれから、この被災現場で
そして発表される二次試験の内容。救助演習か…なるほどね。
「パイスライダー?」
「現場に居合わせた人の事だよ。授業でやったでしょ?」
「一般市民を指す意味でも使われたりしますが…」
峰田の下ネタ染みた言い間違いをサラリと流し、意味を説明する葉隠と八百万。うん、峰田はこういう時位自重しろ。
『ここでは、一般市民としてではなく、仮免許を取得した者として、どれだけ適切な救助を行えるか試させていただきます』
その間も二次試験の説明は続いていくが―
「む…人がいる」
「え、…あぁ!?」
障子を皮切りに、その場の全員がある事に気がついた。
「老人に子ども!? 危ねぇ! 何やってんだ!?」
明らかに受験者や係員とは違う
『彼らは、あらゆる訓練において今引っぱりダコの
『“
要救助者のプロか…ヒーローが人気職業になったこの現代に即した職業だ。と近くにいた他校生が呟いていたが、全く同感だ。
『傷病者に扮した“HUC”が、フィールド全域にスタンバイ中。皆さんにはこれから、彼らの救出を行ってもらいます』
『尚、今回は皆さんの救出活動をポイントで採点していき、演習終了時に
『10分後に始めますので、トイレなど済ましといてくださいね』
そこでアナウンスは終了し、俺達は二次試験への準備に取り掛かった訳だが―
「士傑、こっち来てんぞ」
士傑の制帽を被った毛むくじゃらの男子が近づいてきたことで、それは一時中断となる。
「雄英の諸君。準備の手を止めさせてしまい申し訳ない。私は、士傑高校2年1組委員長の
「肉倉…糸目の男が、君達の誰かと交戦した筈なのだが…差し支えなければ、名乗り出てほしい」
「俺達3人です」
毛原と名乗る士傑生の声に、臆する事無く名乗る尾白、砂藤、そして麗日。それを見た毛原は―
「君達だったか…奴も決して悪い人間ではないのだが…些か視野が狭く、自分の価値基準を押し付ける節があってね。
「しかし、理由の如何に関わらず、奴が無礼を働いて君達に不愉快な思いをさせた事は事実。クラスを率いる委員長として、謝罪させていただく。申し訳なかった」
「そして、気絶した奴を他校生の報復から守ってくれた事。深く感謝している。ありがとう」
そう言って、深々と頭を下げてきた。流石は士傑でクラス委員長を務めているだけのことはある。なかなかの人格者だ。
「東の雄英、西の士傑などと呼ばれ、宿命のライバル校のように見る者もいるが、私個人としては、雄英と良い関係を築き上げていきたいと思っている。それでは」
最後に一礼し、その場を離れていく毛原。良い関係か…そうなれたら、素敵な事かもな。
そして俺達は準備を再開し、ジャスト5分後―
「ッ!?」
『
鳴り響く非常ベルと共に、アナウンスが状況を伝えていく。始まったか!
『道路の損壊が激しく、救急先着隊の到着に著しい遅れ!』
『到着する迄の救助活動は、その場にいるヒーロー達が指揮を取り、行うものとする』
アナウンスが響く中、待合室の壁が開きスタートの準備が整っていく。
「
「全員合格の為、皆! ベストを尽くそう!」
俺と出久の声に、全員が大きく頷いた直後―
『1人でも多くの命を救い出すこと! START!!』
二次試験が開始され、俺達を含む103名が一斉に飛び出していく。さぁ、レスキュー開始だ!
八百万side
「まずは一番近くの都市部ゾーンへ向かおう!」
「各自、連絡を密に! 先程お渡しした
飯田さんの指示で、最寄りの都市部ゾーンを目的地へ設定。全員がそこへ全速力で向かう中、私は先程皆さんにお渡しした通信機について声をかけます。
メリッサさんが私の為に用意してくださったサポートアイテムは、ヘッドセット型の複合感知・通信装置。
周囲の状況を素早く感知出来るこのアイテムは、私にピッタリと言えます。
そしてこのアイテムの性能を100%発揮する為、私はメリッサさんにお願いして、耳に装着するタイプの小型通信機を作ってもらいました。
これにより、私が得た情報を素早く皆さんに共有する事が可能になり、行動を起こす際のタイムロスを大幅に削減する事が―
「う゛わ゛ぁぁぁぁぁん!」
考えている内に都市部ゾーンに到着したようですわ。目の前には頭部から出血し、泣き叫ぶ子どもの姿が!
「だずげでぇぇっ! ひっ、おじいちゃんが! おじいちゃんがぁ!」
子どもの背後には倒壊した家屋。恐らく家族が下敷きに…ですが、まずはこの子に対応する必要があります!
「蛙吹さん! その子のバイタルと怪我の確認を!」
「わかったわ!」
「吸阪さん、私と一緒に周囲の探索をお願いします!」
「了解!」
泣いている子を蛙吹さんに任せ、私は吸阪さんと周囲の捜索を開始。
「俺を起点に半径50m以内を探査した! クロックポジション*1で言っていく!」
「2時方向、20mと45m先にそれぞれ反応4と2! 7時方向、25mと40m先に反応3つずつ! 10時方向、30m先に反応2!」
「倒壊した家屋の透視を完了しました! 要救助者1名を家屋の左奥に確認! 有毒ガス及び可燃性ガスの漏出はありません!」
「ケロケロ。この子は頭部に裂傷1、両膝と右脛、左肘に擦過傷。右足首を捻挫しているわ。パニックから過呼吸気味になっているけど、受け答えは比較的しっかりしているわね」
もたらされる情報を素早く整理。どう動けば最善なのかを導き出し、救助計画を作成すると―
「では蛙吹さん、その子を救護所へ! 待合室を救護所に設定すると、試験開始前のアナウンスで言っていました!」
「わかったわ」
「
クラスを6つの班に分け、救助活動を行う事を宣言しました。
第1班は私と障子さん、蛙吹さんで
第2班は飯田さん、心操さん、芦戸さんで、担当は一番遠い2時方向、45m先の現場。
第3班は、吸阪さん、尾白さん、切島さん、青山さんで、担当は救助対象が一番多い2時方向、20m先の現場。
第4班は緑谷さん、常闇さん、口田さん、葉隠さんで、担当は7時方向、25m先の現場。
第5班は瀬呂さん、峰田さん、麗日さんで、担当は7時方向、40m先の現場。
最後の第6班は轟さん、砂藤さん、耳郎さんで、担当は10時方向、30m先の現場です。
「それでは皆さん。事態に動きがあった時は躊躇わずに通信を! 可能な限りフォローします!」
「俺からも追加で1つ。もしかしたら、他校生と活動場所が被るかもしれないが、その時は下手な意地を張らず、協力態勢でいこう。
吸阪さんの言葉に私達は頷き、それぞれの現場へと移動を開始しました。ヒーローは助け合い。実に深い言葉ですわ!
「へぇ、良い動きしてるじゃん」
素早く少人数の班を作り、それぞれが担当する現場へ分散していく教え子達の姿を見ながら、感心したような声を上げるジョーク。その事については、何の文句も無いんだが…。
「流石はイレイザーの
ニヤついた笑みを浮かべながら、こっちを見るのは勘弁してほしい。こんな事を考えるだけで非合理的だというのに…。
「動きに無駄な部分がある。俺から言わせればまだまだだ」
「厳しいねぇ、
「黙れ、その口を塞がれたいのか?」
「ブハッ!
「………」
ああ言えばこう言う状態のジョークを無視し、フィールドに意識を集中する。
「おそらくは何か…」
「……… まさか、ナンバー
立ち込める煙の中から姿を現した乱入者達。その先頭に立つ男を見た瞬間、そんな言葉が口から漏れた。
『
『現場のヒーロー候補生は、
無慈悲に響くアナウンスに、どこからか―
「正気かよ! ハードル高くねーか!?」
峰田の泣き言が聞こえた気がするが、それは速攻で聞かなかった事にする。
「………プロでも高難度の案件。仮免でここまでやるとは…」
社会情勢を鑑み、今年の難易度は
「だが、あいつらなら…」
そう、ここまで俺達の想定を上回り続けたあいつらなら、やってくれる筈だ。もう一度見せてみろ、お前達の底力を。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。