出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
Season2第12話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。


第12話:ヒーロー仮免許取得試験!‐その6(終)‐

目良side

 

「ふぅ…」

 

 (ヴィラン)が追撃を開始した旨をアナウンスした後、缶コーヒーをガブ飲みする事で眠気を無理やり覚まし、試験の進行状況を確認していく。

 この二次試験では、受験者それぞれに持ち点を設け、減点方式(・・・・)で採点している。

 HUC(フック)が救助行動の正否を審査。そしてそれ以外(・・・・)…例えば、自分の“個性”に適したポジショニングをしているかどうか等、俯瞰的な動きは、採点マニュアルと受験者(かれら)のデータを網羅した我々公安職員103名が、各自1名ずつ採点。

 持ち点が50未満になった者はその時点で不合格! 頑張って正しい選択を行ってください…それにしても…

 

「眠い…早く終わって…」

 

 

真堂side

 

「畳! 周りの他校生と協力して、負傷者を避難させろ! なんとか時間を稼ぐ!」

「ヨー君!」

 

 畳と共に負傷者を救護所へ運び、現場へ戻ろうとした瞬間に響き渡る(ヴィラン)出現のアナウンス。

 俺は素早く畳に指示を下し、救護所近くへ出現した(ヴィラン)集団の足止めへと走る。

 

「本当なら、こっちも数で対抗(・・・・)しなくちゃいけないだろうけど…」

 

 間が悪い事に、救護所周辺にいた受験生は、負傷者を避難させるので手一杯になる程度の人数しかいない上に、戦闘向きの“個性”持ちも俺くらい。

 

「だが、やりようはある!」

 

 そう、(ヴィラン)倒す(・・)のではなく、動きを止める(・・・・・・)。足止めなら…やれる筈だ!

 

「インターバル1秒程の震度で畳みかければ!」

 

 “個性”を発動して周囲に地割れを起こし、(ヴィラン)達を足止めしていく。よし、この―

 

「温い」

「ッ!」

 

 調子ならいける。そう続けようとした瞬間に聞こえてきたゾッとするほど冷たい声。それと同時に俺の前へ立ち塞がったのは、ギャングオルカ!?

 

「なっ…」

 

 ホンの3秒前まで、(ヴィラン)集団の最後尾。30mは離れていた筈のギャングオルカが目の前にいる事に、俺は驚きを抑えきれず―

 

「未熟」

 

 至近で放たれたギャングオルカの必殺技『超音波アタック』をモロに食らってしまった。

 

「……グハッ…」

 

 脳味噌をミキサーで思いっきりかき回された様な感覚に襲われた俺は、目の前が真っ暗になり、膝から崩れ落ちていく。だけど―

 

「これほどの実力差がありながら、殿(しんがり)がたった1人とは…舐められたものだ……ん?」

「待…て…」

 

 “個性”の関係で揺れに耐性があった為、ギリギリのところで意識を保つ事が出来た。まともに動かない体に鞭打って、俺は必死にギャングオルカにしがみつく。

 無様だろうと構うか! 10秒でも、5秒でもいい! 足止めを…

 

「……フン、その根性は良し。だが、覚えておけ。根性だけで止められる程、(ヴィラン)は甘くない!」

 

 厳しい言葉と共に俺を引き剥がし、乱暴に投げ捨てるギャングオルカ。そのまま避難を続ける負傷者の元へ向かおうとしたその時!

 

王狼の領域(フェンリルテリトリー)、凍てつけ!」

 

 そんな声と共に、地面が分厚い氷(・・・・)に覆われた。

 

「氷…だとぉ!?」

「あ、足がっ! 凍って…」

「くそっ、動けん!」

 

 突然の事で反応が遅れたのか、氷で両足を拘束されて動けなくなる(ヴィラン)達。何人かは拘束を免れたようだが、次々と生えていく鋭い氷柱がバリケードとなって、その進行を妨害する。

 

「お前達! 何をやっている! 氷なんぞ砕いてしまえ!」

 

 そんな(ヴィラン)達の有様を見て、青筋を浮かべながら怒鳴るギャングオルカ。自ら率先して、氷柱のバリケードを殴って、砕き始めるけど―

 

「吹ぅきぃぃぃ飛べぇぇぇぇぇっ!!」

 

 今度は大声と共に暴風が吹き荒れ、地面を覆う氷や氷柱ごと(ヴィラン)達を吹き飛ばしていく。そして―

 

「……少しは骨のある奴らが来たようだな」

「大丈夫…か?」

「救援に来たッス! 足止めしてくれて感謝するッス!」

 

 その場に踏み止まったギャングオルカから俺を庇うように、雄英の轟、士傑の夜嵐が立ち塞がった。

 

「役に立ったんなら、何よりだよ…」

 

 2人の言葉にそう返しながら、俺は駆け付けた畳の肩を借りて、その場を離脱する。悔しいが…今の俺じゃ、あの2人の足を引っ張るのは目に見えている。そんな事になるくらいなら…

 

「負傷者が避難する時間を稼ぐ為に、危険を顧みず殿を務めた。という印象を抱かせたまま退場した方が、審査員の受けも良い(・・・・・・・・・)ってもんさ…」

「ヨー君、また悪い顔してる」

 

 

轟side

 

「夜嵐…共同戦線だ。力を貸してくれ」

 

 ギャングオルカから視線を外さないようにしながら、俺は隣に立つ夜嵐に声をかける。

 

「………」 

「吸阪が言っていた。ヒーローは助け合い…色々と不満はあるだろうが…頼む」

 

 無言のままの夜嵐に、俺は更に助力を乞う。すると―

 

「ヒーローは…」

「ヒーローは助け合い! うぉぉぉっ! 熱いッス! 滅茶苦茶熱い言葉ッス!」

「細かい事は後回しッス! ここは力を合わせて戦うッスよ!!」

 

 夜嵐は共闘を受け入れてくれた。俺は夜嵐に対して頷くと、()()、2つの力を最大に高め、身に纏っていく。

 

「…完成、竜装形態(ドラグーンフォーム)

 

 雄英体育祭で披露した切り札(あの姿)を、親父と共に磨き上げたこの姿は、まさに俺の最強形態。

 ギャングオルカ(ナンバー10)にどこまで通用するか…勝負だ!

 

「さぁ、かかって来るが良い! ひよっ子ども!」

「…いくぞ!」

「士傑高校1年、夜嵐イナサ! ヒーロー名『レップウ』! 全力で行くッス!」

 

 

雷鳥side

 

「あっちは…2人で大丈夫そうだな…」

 

 約100m先で繰り広げられている轟と夜嵐のタッグ対ギャングオルカの激闘。俺はそちらに意識を割きながらも、周囲を取り囲む(ヴィラン)達に視線を送る。

 まったく…ギャングオルカのもとへ向かっている最中に、こいつらが吹っ飛んで来たのは、運が良いのか悪いのか…。

 

「俺達10人に囲まれているっていうのに…随分と余裕だな? オールマイトの愛弟子」

 

 そんな事を考えている内に陣形を組み、右手に装備したアイテムをこちらに向けている(ヴィラン)達。たしか、あれは速乾性のセメントを発射するセメントガン…だったな。

 

「別に余裕の態度…って訳じゃないですよ。まぁ、負ける気は爪の先ほども無いですけどね」

 

 あえてシニカルな笑みを浮かべながら構え、一番近くにいる(ヴィラン)に対し、かかって来いよ(・・・・・・・)。とジェスチャーを送る。

 

「…その余裕面、泣き顔に変えてやらぁ!」

 

 直後、怒りの声をあげながら、セメントガンの引き金を引いた(ヴィラン)だったが―

 

「ぬわぁっ!」

 

 セメントガンは何故か(・・・)暴発。内部に充填されていた速乾性セメントを周囲にぶちまけ、(ヴィラン)自身を固めてしまう。

 

「なっ!?」

「暴発だと!?」

 

 突然の異常事態に一瞬浮足立つ(ヴィラン)達。2秒足らずで落ち着きを取り戻したのは流石だが…その2秒が命取りだ。

 

「マグネ・マグナム! マルチシュート!」

 

 まずは両手を使ってのマグネ・マグナム12連射。1人につき3発ずつベアリングボールを撃ち込んで、4人を無力化。

 

「サンダー! ブレーク!!」

 

 続けてケラウノスを増幅器(ブースター)にして、トールハンマーブレイカー(最強必殺技)並に威力を高めた電撃を放ち、残り5人を一気に薙ぎ払う!

 

「…パーフェクト」

 

 その場にいた10人全員が戦闘不能となった事を確認し、俺は戦闘態勢を解除した。

 

「ち、ちくしょう…なんで、暴発なんか…」

 

 セメントで固められた(ヴィラン)の声が聞こえてきたのは、その時だ。

 

「セメントガンの銃口にご注目」

 

 俺はそれだけを告げて、その場を後にする。背後から―

 

「砂鉄…だと!? いつの間に!」

 

 なんて声が聞こえてきたが、敢えて華麗に無視だ。俺の挑発に激高している隙に、砂鉄を操作して銃口に詰めてました。なんて言えないよな?

 そんな事を考えながら、俺は八百万達と合流し、救助活動を再開。

 

『えー、只今をもちまして。配置された全てのHUC(フック)が、危険区域より救助されました』

『誠に勝手ではございますが、これにて仮免試験全行程、終了となります!!』

 

 ジャスト5分後に、二次試験の終了を告げるアナウンスが響き渡った。

 

 

轟side

 

『集計の後、この場で合否の発表を行います。怪我をされた方は医務室へ…他の方々は着替えて、しばし待機でお願いします』

「……終わったか」

 

 アナウンスが響く中、俺は乱れた呼吸を整えつつ、ゆっくりと戦闘態勢を解除していく。

 

「終わったッスネ…」

 

 隣に立つ夜嵐も肩で息をしながら、構えを解いていく。互いに目は合わせない。その視線は―

 

「ここまでやるとはな…予想以上だ」

 

 荒くなった呼吸をゆっくりと整えるギャングオルカに向けられていた。

 

「2対1とはいえ、俺と互角の勝負が出来た事…誇って良いぞ。ヒヨッコども」

 

 そう言って不敵な笑みを浮かべるギャングオルカ。単純な奴なら、そう言われて大喜びなんだろうが…

 

「ギャングオルカ…体がまだ本調子じゃ…ないんですか?」

 

 今日のギャングオルカの動きは、神野区で見た時と比べて違和感があった。それはつまり…

 

「…ふん、静養で体が鈍っていたのは事実だ。勘を取り戻すのに丁度良いと思い、この依頼を受けたが…少しばかり想定が甘かったようだ」

 

 やはり、な。違和感の正体は、神野区の戦いで受けた傷が完全には癒えていなかったから…か。

 

「だが、一度現場に出たからには、体の調子など言い訳にならん! 今回の件は、俺の中に残っていた甘さとして、反省材料にさせてもらう」

「これからも精進しろよ。ヒヨッコども!」

 

 そう言うと、ギャングオルカは俺達に背を向け、控えていた(ヴィラン)達と合流し、去って行った。

 

「「ありがとうございました!」」

 

 俺と夜嵐もギャングオルカに一礼し、その場を後にする。合格発表…全力は尽くした。ここから先は、まさに神のみぞ知る…だ。

 

 

ギャングオルカside

 

「シャチョー、すみません。殆ど仕事出来ませんでした」

「構わん。俺の想定がそもそも甘かった」

 

 合流すると同時に頭を下げてくるサイドキック達にそう答えながら、俺は控室へ急ぐ。

 

「例年並のレベルだったら『拘束用(・・・)プロテクター』装着したままでも、楽勝だったんですけどね…」

「今年のレベルやべぇよ…オールマイトの愛弟子とエンデヴァーの息子は特にヤバイ」

「士傑の1年も相当だぞ。動きを封じられていたとはいえ、俺達10人を纏めて、100mは吹っ飛ばしたんだ。“個性”の強さもコントロールも半端なレベルじゃない」

「シャチョーはどう思います? 直接手合わせしてみて」

「…まぁまぁ、だな。今後が楽しみ…と言っておこう」

  

 サイドキックの手前、そう答えたが…奴らの潜在能力は大したものだ。

 たしかに、神野区での戦いで負った傷の影響で、今発揮出来るパフォーマンスは本来の7割程度だし、動きを阻害する拘束用プロテクターを装着してもいた。

 だが、それらの影響がなかったとしても…試験が長引いていたら、あるいは……

 

「フフ…」

 

 サイドキック達とは別に用意された控室に入り、椅子に腰を下ろした途端、笑みが零れる。まったく、将来有望な連中だ。

 

 

出久side

 

 戦闘服(コスチューム)から制服に着替えた僕達は、学校単位で整列して、合格発表の時を待っていた。

 

「…こういう時間、いっちばんヤダ」

 

 何とも言えない緊張感の中、耳郎さんがポツリと呟いた言葉に麗日さん達女性陣が、わかる。と頷き―

 

「人事を尽くしたなら、きっと大丈夫ですわ」

 

 八百万さんが優しくフォローを入れる。そんな光景に、知らず知らずの内抱いていた不安が解れていく。

 

『皆さん、長いことお疲れさまでした』

 

 そうしている内に、合格発表が始まった。

 

『これより発表を行いますが…その前に一言。採点方式についてです』

『我々、ヒーロー公安委員会とHUC(フック)の皆さんによる二重の減点方式(・・・・・・・)で、あなた方を見させてもらいました』

『つまり…危機的状況でどれだけ間違いのない行動をとれたかを審査しています』

『とりあえず合格点の方は、五十音順で名前が載っています。今の言葉を踏まえた上で、ご確認ください…』

 

 その言葉の後にスクリーンへ映し出される合格者の一覧。全員の視線がそこへと集中した。

 

 

雷鳥side

 

「いよっしゃぁぁぁっ!」

「スゲェ! マジでスゲェよ!」

「1-A全員合格だなんて、最っ高!」

 

 さて、仮免試験も無事に終了し、会場を後にした俺達は…全員合格(・・・・)という最高の結果に、喜びを露にしていた。

 

「お前達、よくやった」

 

 そこへ、相澤先生も合流。先生は全員合格という結果に、満足気な笑みを浮かべながらも、すぐに真剣な顔つきに変わり―

 

「全員の採点内容を見せてもらったが、今回の難易度で全員が80点以上を記録して合格出来た事は、非常に喜ばしい事と言って良いだろう」

「お前達は仮免を取得し、晴れてヒヨッ子となった訳だが、これがゴールではない。プロヒーローに向けて、鍛錬の日々は続いていく。決して気を抜く事が無いように」

 

 俺達に慢心を戒める厳しい言葉をかけてきた。俺達は気合の入った声を先生に返し、迎えのバスへと歩き出す。

 

「おーい、イレイザー!」

 

 途中、Ms.ジョークが相澤先生に声をかけてきて、合同訓練の企画が立ち上がったり―

 

「この度は我が校の生徒が、大変なご迷惑を…」

 

 士傑高校の教師が、あの肉倉という生徒の件で頭を下げに来たり―

 

「オーイ!!」

「轟! 近い内に雄英にお邪魔するッス! その時に、勝負を申し込むッス!」

 

 夜嵐がそんな事を言いに来たりと、短時間で色々あったが…一番驚いたのは―

 

「あっ、耳郎ちゃーん!」

 

 あの上鳴電気が傑物学園高校に入学していて、耳郎に声をかけてきた事…だな。そして―

 

「え…耳郎ちゃんの彼氏って…もしかして……オールマイトの弟子…」

「あ、はい。緑谷出久と言います。耳郎さんの…彼氏…です」

「………負けたッ!」

 

 …何があったか知らんが、出久に対して敗北感を抱いたようだ。泣きながら走り去る上鳴に、なんとも微妙な表情を浮かべる耳郎だが…芦戸や葉隠が何とも悪い顔をしているぞ。気をつけろ。

 

「待たせたな。さぁ、雄英に戻るぞ」

 

 相澤先生もバスに乗り込み、俺達は雄英への帰路につく。さぁ、今日の夕飯は全員合格のお祝いだな。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回より、特別版 原作世界編をお送りします。
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