出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
今回より暫くの間、特別版 原作世界編をお送りします。
お楽しみ頂ければ、幸いです。



第2章 原作世界編
第12.1話:原作世界へ‐その1‐


雷鳥side

 

 仮免試験の終了から3日。2日間の完全休養で心身共にリフレッシュ出来た俺達は、いつもの学生生活を再開。何事も無くその日の授業を終える事が出来た訳だが…

 

「実はですね! 皆さんに是非とも観ていただきたい、史上最高にドッ可愛いベイビーがあるのですよ!」

 

 放課後、寮へ向かう俺達*1に、サポート科の発目が声をかけてきた。どう考えてもトラブルの予感満載(・・・・・・・・・)なので断ろうと思ったが―

 

「大丈夫よ、雷鳥君。私とパワーローダー先生で入念にチェックしてあるから、爆発を含む(・・・・・)トラブルの可能性は、限りなく0(・・・・・)に近くなっているわ」

 

 発目に同行していたメリッサさんからのフォローを聞いたことで、警戒心が大分薄れてきた。

 ……うん、パワーローダー先生とメリッサさんの2人が大丈夫と言っているなら…大丈夫かな?

 

「ケロ…メリッサさんがそう言うなら、きっと大丈夫よね?」

「ウチも…行ってみようかな」

「私も!」

 

 そんな事を考えている内に、梅雨ちゃん、耳郎、麗日が声を上げ―

 

「僕も見学させてもらおうかな。発目さんがそこまで言う発明、興味が湧いてきました」

 

 出久も見学に手を上げた。仕方ない…俺も付き合うとするか。

 

 

 それから15分後。開発工房にやって来た俺達を迎えたのは、床に固定された2基の大型ポッド*2

 

「これぞ! 私の人生史上、最高にドッ可愛いベイビー! その名も『物質転送機(・・・・・)』です!」

 

 発目曰く、この装置は瞬間移動(テレポーテーション)の“個性”を科学的に再現したもので、ポッドの片方に収めた物体を原子レベルで分解し、もう片方へ転送した後、元の状態に再構築するというやり方で、瞬間移動を可能にしたそうだ。

 

「いやぁ、無機物かつ小型の物の転送は上手くいっていたのですが、一定以上のサイズの物は、なかなか上手くいかなかったのです」

「しかし! メリッサさんのアドバイスをヒントに改良を重ねた結果、遂に問題の克服に成功しました!」

「今日は、こちらにありますマネキンを転送する様子を、是非ともご覧になってください!」

 

 やる気満々の様子でそう宣言した発目は、ポッドの片方にマネキンを収め―

 

「データ入力完了。転送開始!」

 

 物質転送機を起動した。駆動音を響かせる物質転送機は、そのままマネキンの転送を行うかと思われたが―

 

「ッ! 発目さん! 緊急停止コードを打ち込んで!」

 

 何かに気が付いたメリッサさんが、慌てて発目に指示を下す。発目もすぐさまキーボードを操作するが―

 

「だ、駄目です! 緊急停止コードを受け付けません!?」

 

 焦った顔で不穏な台詞を口にする始末。その直後、マネキンを収めた方のポッド全体が銀色に輝き始めた。そして―

 

「皆! すぐにここから離れてぇ!」

 

 悲鳴じみたメリッサさんからの避難勧告が響いた直後、その場にいた全員が銀色の光に飲み込まれた。

 

 

オールマイトside

 

「オールマイト。危ないんで、あまり近寄らないように」

「いや失敬!」

 

 相澤君から注意を受け、私は少し離れた場所から皆の訓練を見守る事にした。

 またセメントの塊が落ちてくるかも知れないし、その時緑谷少年が蹴り砕いてくれる証拠も無いからね。

 

「爆豪少年! すまなかった!」

 

 訓練中の事故とはいえ、私にセメントの塊を落としてしまった爆豪少年に気にしないよう手を振って、その場を離れる。

 

「気ィ付けろや! オールマイトォ!!」

 

 背中越しにかけられる『気を付けろ(・・・・・)』という言葉が心に沁みる。わかったつもりではいたが…皆の意識下ではもう…私は『守られる側(・・・・・)』か。

 

「おい! なんだよあれ!?」

 

 その時響き渡る切島少年の声。その場の誰もが、彼の声に反応し…トレーニングの()台所()ランド()の天井付近に出現した銀色の光に気が付いた。

 

「何だよ…あれ」

「まさか、また(ヴィラン)が!?」

 

 瀬呂少年、峰田少年の動揺した声が響く中、相澤君達は生徒達を守る為に動き出し―

 

「訓練は一時中止! 俺の近くに集まれ!」

「セメントで防護壁を作ります。オールマイトも私の後ろに」

(ヴィラン)出現と同時に“個性”を使うわ。間違っても風下には立たないように!」

「我モ分身ヲ総動員シヨウ」

 

 瞬く間に現状で取れる最善の迎撃態勢を整える。その直後、銀色の光の中から何か(・・)が飛び出してきた。

 逆光ではっきりとは確認出来なかったが、どうやら人間らしく…その数は7人。

 7人の着地と同時に、銀色の光は急速に小さくなり…5秒とかからずに消えてしまった。そして―

 

「ここ…TDLか?」

「そうみたいだね。開発工房からTDLまで転送された…って事なのかな?」

「おぉ! それは凄い事です! 昼間、閃きのままに回路を組み替えた甲斐(・・・・・・・・)があったという……」

「回路を組み替えたって、どういう事かしら? 発目さん」

「え、あ、いや…その…」

 

 光が消えた事で7人組の顔を確認出来た訳だが…それは私達全員を驚愕させるのに、十分過ぎるほどの衝撃を秘めていた。

 

「緑谷少年!? それにメリッサ!?」

「僕、だよね…」

「ケロッ!? 私がいるわ…」

「私もいるよ!?」

「ウチもいる…どういう事!?」

 

 Iアイランドにいる筈のメリッサに、背格好こそ違うが緑谷少年。それから蛙吹少女に、麗日少女、耳郎少女、あとサポート科の発目少女。

 最後の1人は何者なのかわからないが、7人中6人が我々のよく知る人物と瓜二つ。これは一体何を意味するのか…。

 

「ねぇ! 壁の向こうに1-Aの皆が…っていうか、ウチがいる!?」

「ケロッ!? 私もいるわ…」

「私もいる…どういう事なん!?」

「あっ、マイトおじさま。それに…えっ、出久君?」

「1-Aの皆に、オールマイト…それに、そこにいるのは爆豪!?」

「………コイツは、何やらまずい事(・・・・)が起きたようだ…」

 

 向こうの7人も何やら混乱している様子だが、向こうの緑谷少年が爆豪少年に厳しい視線を向けているのは、如何なる理由が…

 

「オイコラ! デクみてぇな顔した奴! いきなり喧嘩売ってんのか! あぁっ!」

「爆豪、落ち着けって!」

「何がどうなっているのか、お互い解らないんだからさ! ここは冷静になろうぜ!」 

「無駄に敵作ってどうすんだよ!」

 

 瞬時に沸騰した爆豪少年を切島少年と瀬呂少年、上鳴少年が宥めている中、相澤君達が警戒しながら、7人へ近づいていく。

 相澤君達、十分に気を付けてくれ!

 

 

イレイザーヘッド(相澤消太)side

 

 セメントスに守りを任せ、俺とミッドナイトさん、エクトプラズムさんの3人は、突如現れた7人へゆっくりと近づいていく。

 

「おかしな行動をすれば、即拘束させてもらう。お前達は何者だ? 」

 

 ミッドナイトさんとエクトプラズムさんがいつでも“個性”を発動出来る体勢の中、俺が代表して7人に話かける。

 

「あー…警戒されるのも当然の事とは思いますが、俺達に敵対する気は微塵も無いので、安心していただけますか?」

「安心出来るかどうかは、お前達の正体を知ってからだ」

「俺達全員、雄英高校の生徒ですよ。ついでに言えば、メリッサさんと発目以外の俺達5人は、貴方の教え子(・・・・・・)です。相澤先生」

「教え子…だと?」

 

 俺の問いに代表して答えた男子の言葉は、俄かに信じられないものだった。だが―

 

「証拠になるかはわかりませんが…俺の学生証と仮免許です」

 

 男子から差し出された雄英高校の学生証とヒーロー仮免許は、どこをどう見ても本物。しかし、吸阪雷鳥という名前には、全く覚えがない…。

 

「この学生証も仮免許も本物…だけど、私の知る限り、吸阪雷鳥という生徒は存在しない(・・・・・)わ。貴方は、貴方達は一体何者なのかしら?」

 

 ミッドナイトさんが尋問に参加したのはその時だ。すると―

 

「まだ、確証が持てないので…仮説、という事になりますが…」

「俺達7人は恐らく、並行世界(パラレルワールド)に飛ばされたんだと思います」

 

 吸阪雷鳥を名乗る男子が言葉を選びながら、ゆっくりと仮説を口にした。

 パラレルワールド…俄かには信じられないが、口から出まかせを言っているとも思えない…よし。

 

「お前達が、俺達に危害を加える気が無い事はわかった。校長やリカバリーガールも交えた上で、詳しい話を聞かせてもらおう。何か異存はあるか?」

 

 校長には悪いが、判断を丸投げさせてもらう。

 

「今日の訓練は中止。お前達は教室で待機していろ」

 

 教え子達に指示を下し、俺達は7人を伴って校長室へ移動を開始する。さて、面倒な事態にならなければいいが…。

*1
雷鳥、出久、蛙吹、麗日、耳郎の5人

*2
大きさは約3m




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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