出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。少し短めですが、キリが良いので投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。

なお、今回より並行世界(パラレルワールド)のキャラクターsideを書く際には、名前の前に(パラレル)を付ける事とします。


第12.3話:原作世界へ‐その3‐

雷鳥side

 

 さて、並行世界(パラレルワールド)(ハイツ・アライアンス)で一晩を過ごした俺達は、翌朝いつもの時間(・・・・・・)に起き、朝食の用意を行う為、本来の朝食当番である芦戸や葉隠と、1階の台所で合流した訳だが…

 

「ふわぁぁぁ…緑谷達、起きるの早いね…」

「まだ6時前だよ…」

 

 しっかり目を覚ましている俺達に対して、大きな欠伸を連発している芦戸と葉隠。起きるの早いって…現在の時刻は5時45分。全然早くない。というか…

 

「えっと…芦戸さん、葉隠さん。今日は2人が本来の朝食当番だったんだよね? この時間で起きるの早いって…いつも何時に起きてるの?」

 

 おっと、俺より先に出久がツッコミを入れたか。はたして、2人の返答は如何に?

 

「うーん、大体6時15分くらいかな」

「なん、だと……」

 

 予想以上に遅い起床時間に、思わず絶句する。身支度を整える時間を差し引いたら…7時からの朝食、その用意に使える時間は精々30分しかないぞ!?

 

「……質問なんだが、2人は普段の朝食…どんな物を用意しているんだ?」

「うーん…トースト(・・・・)牛乳(・・)が、一番多いかな?」

「日によっては茹で卵(・・・)とか目玉焼き(・・・・)を付けるよ!」  

「………」

 

 言葉を失う(・・・・・)とは、まさにこの事だ。トーストと牛乳だけの朝食なんて、今時ビジネスホテルの朝食無料サービスでもあり得ない(・・・・・)ぞ。

 

「………よし、そういう事なら、お洒落なカフェ飯風(・・・・・)で、ガッツリ食べられるメニューにしよう」

 

 並行世界(パラレルワールド)とはいえ、同じ1-Aの仲間達。そいつらが、栄養バランスもへったくれもない食事をしているなんて…とても見過ごせるか!

 俺達はいつにも増して気合を入れ、朝食作りを開始。芦戸と葉隠は―

 

「な、なんか…鬼気迫る(・・・・)って感じ!?」

「私達…何か拙い事、言っちゃったのかな?」

 

 最初の内は、何やら戸惑っていたが…すぐに気を取り直して調理に参加してくれた。

 調理は順調に進み、朝食開始5分前に他の皆が1階へ降りてきた時には―

 

「オイオイ、今日の朝食…なんかスゲェぞ!」

「何ちゅーか…カラフルだ!」

 

 万全の態勢で迎え撃つ事が出来た。さぁ、朝食を始めよう。

 

 

(パラレル)飯田side

 

「それでは、いただきます!」

「「「「「いただきます!」」」」」

 

 僕の号令と共に始まる朝食。今日の朝食担当は芦戸君と葉隠君。いつもなら(・・・・・)トーストと牛乳のみ。運が良ければ、茹で卵か目玉焼きが付く…といった感じなのだが、今日は違う。

 昨晩同様、並行世界の緑谷君達が、朝食作りに参加してくれたのだ。その結果―

 

・ハムとほうれん草のクロックマダム*1

・ハッシュポテト*2

・トマトとズッキーニのソテー*3

・キャロット・ラペ*4

・南瓜のポタージュ*5

 

 という、いつになく豪華な朝食を食べる事が出来ている。昨日の夕食もそうだが、並行世界の緑谷君達は相当な料理上手のようだ。

 

「皆、食べながらで良いから聞いてくれ」

 

 そんな事を考えながら食事をしていると…吸阪君が僕達へ声をかけてきた。全員が食事の手を止め、何事かと視線を送る。

 

「食べながらでも良かったんだけどな…今日からの訓練に関して(・・・・・・)なんだが、個々のレベルアップは当然として…集団としてのレベルアップにも力を入れたいと考えている」

「俺達の世界では、オールマイトの引退で生まれた大きな穴を、協調、結束を強く意識した“群のヒーロー”で補っていくと、ヒーロー公安委員会は提唱していた」

「こっちの世界でも同じ展開になるかはわからないが、こういう訓練もやっておいて損は無いと思うから、そういうつもりでいてくれ」

 

 そう言って食事を再開する吸阪君。たしかに、オールマイトほどの存在が今後現れる保証は、どこにも無い。そういう意味では、多数の力を結集していくという考え方は正しいのかも―

 

「ケッ、なんで自分より弱ぇ奴と、仲良しごっこやらなきゃならねぇんだ」

 

 僕の思考は、爆豪君の悪態で中断を余儀なくされる。

 

「おい、爆豪! その言い方はねぇだろ!」

「その物言い直さねぇと、ホントにヤバイ事になると思うぞ」

 

 同時に、切島君と瀬呂君が爆豪君を窘めるが、それで爆豪君が反省してくれれば苦労はない。僕は急ぎ、吸阪君に謝罪しようと立ち上がったが―

 

「仲良しごっこね…協調(・・)結束(・・)と、馴れ合い(・・・・)の違いが理解出来ないようじゃ、こっちの世界の爆豪(お前)も高が知れるな」

 

 それよりも早く、吸阪君の舌剣が爆豪君に突き刺さった。

 

「んだとゴラァ! もう一回言ってみやがれ! このスカシ野郎!」

 

 当然、爆豪君は瞬時に沸騰。吸阪君に跳びかかろうと、椅子を倒しながら立ち上がるが―

 

「食事中だよ。もう少し、周りに気を使えないのかな? 爆豪君(・・・)

「ッ!?」

「まずは座りなよ。雷鳥兄ちゃんも、まだ話の途中みたいだし」

「………クソッ」

 

 並行世界の緑谷君が機先を制した事で、渋々椅子に座り直した。それにしても、今の爆豪君に対する威圧感…昨日の相澤先生並だ。いや、下手をすればそれ以上…?

 そう言えば昨日皆で話をした時も、向こうの世界の爆豪君に関しては、この場に爆豪君が居ない事を理由に、言葉を濁していた…。

 並行世界の爆豪君…君は一体全体何をやらかしたというんだ?

 

「爆豪」

 

 そんな事を考えていると、吸阪君が再び口を開いた。僕は思考を打ち切り、その声に耳を傾ける。

 

「たしかにお前の実力は大したもんだ。“個性”も強力だし、大概の事は1人でこなしてしまうだけのセンスもある。だがな、結局はそれだけだ。何でも出来る奴は(・・・・・・・・)何も出来ない(・・・・・・)んだよ」

「何言ってやがる…禅問答でもやりてぇのか?」

「その顔。理解出来ないって様子だな。だが、ハッキリ言っておく。この事が理解出来ないなら、お前は近い内に必ず行き詰まる。そしてそれが、お前の限界だ」

「………」

 

 吸阪君の言葉に、言葉を失う爆豪君。吸阪君達並行世界の面々は、そんな彼を尻目に朝食を済ませると―

 

「それじゃあ、俺達は先にTDLへ行ってるから。皆遅刻するなよ」

 

 そう言い残して、TDLへ出発した。こうしてはいられない。僕達も急がなくては!

 

 

(パラレル)イレイザーヘッド(相澤消太)side

 

「えー、昨日も伝えた通り、今日から並行世界組の5人には特別講師として、お前達の指導に当たってもらう。並行世界の同級生とはいえ、既に仮免も取得している格上だ。存分にしごいてもらうように」

 

 訓練開始前、整列する教え子達にそう告げると、あとの事を並行世界組に任せ、俺はミッドナイトさん達と共に様子を窺う。さて、並行世界組のお手並み拝見だ。 

 

「それじゃあ、代表して俺が…まぁ、初日という事で…男子とは模擬戦(・・・)でもやってみようか」

 

 5人を代表して皆の前に立った吸阪が発した言葉に、俺は少しの驚きを感じながら、その合理的な判断に感心していた。

 俺がいくら格上と伝えたところで、素直に納得する奴は少ないだろう。ならば、最初の段階で力の差を理解させた方が、手っ取り早い。

 

「A組男子を2チームに分け、片方が俺と、片方が出久と戦う。1対7でこっちは戦闘服(コスチューム)もサポートアイテムもなし。ハンデとしては丁度良い(・・・・・・・・・・・)かな」

 

 挑発もなかなか堂に入っているな。教え子達の目の色が変わってきた。

 

「やる気になってくれたようで結構。それじゃあ、チーム分けを発表しよう」

「まずはAチーム。轟、緑谷、常闇、青山、砂藤、上鳴、尾白の7人。相手は出久」

「Bチームは、爆豪、飯田、切島、口田、障子、瀬呂、峰田の7人で、相手は俺」

 

 そして、チーム分けが発表された途端、爆豪が飢えた肉食獣並に凶暴な笑みを浮かべるのが見える。まったく…少しは自重しろ。

 

「それじゃあ、15分後にAチームの方から始めよう」

 

 吸阪の声と共に最終準備に取り掛かる教え子達。さて、どんな結果になることやら…。

*1
雷鳥、(パラレル)芦戸作

*2
出久、(パラレル)葉隠作

*3
耳郎作

*4
麗日作

*5
蛙吹作




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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