出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
お楽しみ頂ければ、幸いです。
なお、今回より
雷鳥side
さて、
「ふわぁぁぁ…緑谷達、起きるの早いね…」
「まだ6時前だよ…」
しっかり目を覚ましている俺達に対して、大きな欠伸を連発している芦戸と葉隠。起きるの早いって…現在の時刻は5時45分。全然早くない。というか…
「えっと…芦戸さん、葉隠さん。今日は2人が本来の朝食当番だったんだよね? この時間で起きるの早いって…いつも何時に起きてるの?」
おっと、俺より先に出久がツッコミを入れたか。はたして、2人の返答は如何に?
「うーん、大体6時15分くらいかな」
「なん、だと……」
予想以上に遅い起床時間に、思わず絶句する。身支度を整える時間を差し引いたら…7時からの朝食、その用意に使える時間は精々30分しかないぞ!?
「……質問なんだが、2人は普段の朝食…どんな物を用意しているんだ?」
「うーん…
「日によっては
「………」
「………よし、そういう事なら、お洒落な
俺達はいつにも増して気合を入れ、朝食作りを開始。芦戸と葉隠は―
「な、なんか…
「私達…何か拙い事、言っちゃったのかな?」
最初の内は、何やら戸惑っていたが…すぐに気を取り直して調理に参加してくれた。
調理は順調に進み、朝食開始5分前に他の皆が1階へ降りてきた時には―
「オイオイ、今日の朝食…なんかスゲェぞ!」
「何ちゅーか…カラフルだ!」
万全の態勢で迎え撃つ事が出来た。さぁ、朝食を始めよう。
「それでは、いただきます!」
「「「「「いただきます!」」」」」
僕の号令と共に始まる朝食。今日の朝食担当は芦戸君と葉隠君。
昨晩同様、並行世界の緑谷君達が、朝食作りに参加してくれたのだ。その結果―
・ハムとほうれん草のクロックマダム*1
・ハッシュポテト*2
・トマトとズッキーニのソテー*3
・キャロット・ラペ*4
・南瓜のポタージュ*5
という、いつになく豪華な朝食を食べる事が出来ている。昨日の夕食もそうだが、並行世界の緑谷君達は相当な料理上手のようだ。
「皆、食べながらで良いから聞いてくれ」
そんな事を考えながら食事をしていると…吸阪君が僕達へ声をかけてきた。全員が食事の手を止め、何事かと視線を送る。
「食べながらでも良かったんだけどな…今日からの
「俺達の世界では、オールマイトの引退で生まれた大きな穴を、協調、結束を強く意識した“群のヒーロー”で補っていくと、ヒーロー公安委員会は提唱していた」
「こっちの世界でも同じ展開になるかはわからないが、こういう訓練もやっておいて損は無いと思うから、そういうつもりでいてくれ」
そう言って食事を再開する吸阪君。たしかに、オールマイトほどの存在が今後現れる保証は、どこにも無い。そういう意味では、多数の力を結集していくという考え方は正しいのかも―
「ケッ、なんで自分より弱ぇ奴と、仲良しごっこやらなきゃならねぇんだ」
僕の思考は、爆豪君の悪態で中断を余儀なくされる。
「おい、爆豪! その言い方はねぇだろ!」
「その物言い直さねぇと、ホントにヤバイ事になると思うぞ」
同時に、切島君と瀬呂君が爆豪君を窘めるが、それで爆豪君が反省してくれれば苦労はない。僕は急ぎ、吸阪君に謝罪しようと立ち上がったが―
「仲良しごっこね…
それよりも早く、吸阪君の舌剣が爆豪君に突き刺さった。
「んだとゴラァ! もう一回言ってみやがれ! このスカシ野郎!」
当然、爆豪君は瞬時に沸騰。吸阪君に跳びかかろうと、椅子を倒しながら立ち上がるが―
「食事中だよ。もう少し、周りに気を使えないのかな?
「ッ!?」
「まずは座りなよ。雷鳥兄ちゃんも、まだ話の途中みたいだし」
「………クソッ」
並行世界の緑谷君が機先を制した事で、渋々椅子に座り直した。それにしても、今の爆豪君に対する威圧感…昨日の相澤先生並だ。いや、下手をすればそれ以上…?
そう言えば昨日皆で話をした時も、向こうの世界の爆豪君に関しては、この場に爆豪君が居ない事を理由に、言葉を濁していた…。
並行世界の爆豪君…君は一体全体何をやらかしたというんだ?
「爆豪」
そんな事を考えていると、吸阪君が再び口を開いた。僕は思考を打ち切り、その声に耳を傾ける。
「たしかにお前の実力は大したもんだ。“個性”も強力だし、大概の事は1人でこなしてしまうだけのセンスもある。だがな、結局はそれだけだ。
「何言ってやがる…禅問答でもやりてぇのか?」
「その顔。理解出来ないって様子だな。だが、ハッキリ言っておく。この事が理解出来ないなら、お前は近い内に必ず行き詰まる。そしてそれが、お前の限界だ」
「………」
吸阪君の言葉に、言葉を失う爆豪君。吸阪君達並行世界の面々は、そんな彼を尻目に朝食を済ませると―
「それじゃあ、俺達は先にTDLへ行ってるから。皆遅刻するなよ」
そう言い残して、TDLへ出発した。こうしてはいられない。僕達も急がなくては!
「えー、昨日も伝えた通り、今日から並行世界組の5人には特別講師として、お前達の指導に当たってもらう。並行世界の同級生とはいえ、既に仮免も取得している格上だ。存分にしごいてもらうように」
訓練開始前、整列する教え子達にそう告げると、あとの事を並行世界組に任せ、俺はミッドナイトさん達と共に様子を窺う。さて、並行世界組のお手並み拝見だ。
「それじゃあ、代表して俺が…まぁ、初日という事で…男子とは
5人を代表して皆の前に立った吸阪が発した言葉に、俺は少しの驚きを感じながら、その合理的な判断に感心していた。
俺がいくら格上と伝えたところで、素直に納得する奴は少ないだろう。ならば、最初の段階で力の差を理解させた方が、手っ取り早い。
「A組男子を2チームに分け、片方が俺と、片方が出久と戦う。1対7でこっちは
挑発もなかなか堂に入っているな。教え子達の目の色が変わってきた。
「やる気になってくれたようで結構。それじゃあ、チーム分けを発表しよう」
「まずはAチーム。轟、緑谷、常闇、青山、砂藤、上鳴、尾白の7人。相手は出久」
「Bチームは、爆豪、飯田、切島、口田、障子、瀬呂、峰田の7人で、相手は俺」
そして、チーム分けが発表された途端、爆豪が飢えた肉食獣並に凶暴な笑みを浮かべるのが見える。まったく…少しは自重しろ。
「それじゃあ、15分後にAチームの方から始めよう」
吸阪の声と共に最終準備に取り掛かる教え子達。さて、どんな結果になることやら…。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。