出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
お楽しみ頂ければ、幸いです。
さて、第一試合は
「ヨモヤ、コレホドノ実力差ガアルトハナ…」
エクトプラズムさんの呟いた通り、
仮にBチームと対決していても、同じような結果となるのは間違いない。
しかも、次に出てくる吸阪雷鳥は、
「まぁ、惨敗したならしたで、良い教訓になる…」
どのような結果になるにせよ、奴らが得る物はある筈だ。俺は自分自身にそう言い聞かせ、第二試合の開始を待ち続けた。
雷鳥side
「よし、点検終了。3分後に模擬戦第二試合を始めるよ」
セメントス先生の手による闘技場の点検も終わり、俺とBチームは闘技場へ上がって、開始に備える。
「スカシ野郎…テメェは俺が完膚無きまでに、ぶっ潰してやる!」
その最中、爆豪が俺に悪態を吐き―
「爆豪君! これはあくまでも模擬戦。そのような言葉使いは慎みたまえ!」
「さっきの試合見てただろ! 俺達も力を合わせなきゃ、とても勝負になんねえぞ!」
飯田から窘められたり、切島から力を合わせるよう進言されるが…
「ハンッ! あいつらが負けたのは弱かったからだ! 弱ぇ奴らは弱ぇ奴ら同士、勝手に群れてやがれ!」
この反応だ。そう言えば、前世で読んだ爆豪に関する考察には―
『完璧主義者である爆豪にとって、人に助けられるという事は
と書かれていたな………うん、なんでそんな思考になるのか、全く理解出来ん。
「それではこれより、男子Bチーム対吸阪雷鳥の模擬戦を行います」
おっと、時間になった。気持ちを切り替えて、始めるとしますか。
「それでは、始め!」
セメントス先生の声で開始される模擬戦。僕達は事前の打ち合わせ通り、陣形を組んでいくが―
「スカシ野郎! 死ぃねぇぇぇっ!!」
爆豪君はそれを無視するかのように、両掌から爆発を起こして、一気に加速。
「なっ!? 爆豪君!」
「1人で突っ込むな! 爆豪! 戻れ!」
「俺に指図すんじゃねぇ!」
僕や切島君の制止を一蹴しながら、吸阪君へ突撃した。そして―
「
自らの間合いに入る直前、目眩ましを仕掛ける!
鳴り響く大音響と強烈な閃光に、思わず耳を塞ぎ、目を細めて様子を窺うと、視覚と聴覚を封じられたせいか、微動だにしない吸阪君と―
「もらったぁ!」
素早く吸阪君の背後に回り込んだ爆豪君の姿が見えた。
相手の視界を奪ってからの強襲。戦術としては実に合理的だが…どうにもみみっちい感じが否めない。
爆豪君はそのまま、右の大振りを叩き込もうとするが―
「なっ…」
着弾の瞬間、吸阪君の
「ちぃっ! 小細工しやがって!」
怒りの形相で再度攻撃を仕掛けようとする爆豪君だが、吸阪君の攻撃の方が早かった。
「せいっ!」
ストレートの軌道で放たれた右の掌打で顎を―
「もう一丁!」
「がはっ…」
フック気味の軌道で放たれた左の掌打で右側頭部を打ち抜かれ、その場に崩れ落ちる爆豪君。
それほど強打には見えず、意識もハッキリしているようだが…
「く、くそっ! て、てめぇ! 何、しやがった!?」
爆豪君はなかなか立ち上がれず、何とか立ち上がってもまるで悪酔いしたかのような千鳥足で、すぐに崩れ落ちてしまう。
「顎を打ち抜く事で脳を揺らし、ついでに側頭部への一撃で三半規管を麻痺させた。回復するまでは真っすぐ立つ事も出来ねぇよ」
「暫く大人しくしてな。
そんな爆豪君に対し、予め付けていた
その様子から、爆豪君が独断専行で突撃してくる事や、
そして吸阪君は僕達へ向き直ると、笑顔を見せながら、こう告げた。
「待たせたな。1対6でバトル再開といこうか」
雷鳥side
さて、爆豪を
「ま、マジかよ…あの爆豪があんな、簡単に!?」
「半端じゃねえ強さだ…」
「ゆ…夢じゃねえ…よな?」
峰田と切島、瀬呂は目の前の光景が信じられないのか、青褪めた顔になっており―
「………」
「あぁ、吸阪の実力が俺達を遥かに凌駕している事は確実だ」
口田も慌てた様子で、障子に話しかけている。
「やれやれ、
Bチームの反応に、ここからどう動くべきか考えていると―
「皆、落ち着け!」
「たしかに吸阪君の実力は凄まじい! 俺も1対1では絶対に勝てないだろう! だが、俺達はチームで戦っているんだ! 全員の力を合わせて戦おう!」
飯田が仲間達を一喝した。それによって、落ち着きを取り戻したのだろう。
「あぁ…そうだな。力を合わせて、やってやるぜ!」
切島の叫びと共に、全員の表情が覚悟を決めたものになった。
流石だよ飯田。こっちの世界でも、お前は1-Aにとって最高の委員長だ。
「覚悟を決めてくれて、どうもありがとう。そんなお前達に敬意を表して…全力で叩き潰させてもらう」
俺は敢えて邪悪な笑みを浮かべながら、ターボユニットを発動。床から僅かに浮き上がると同時に、最高速で移動を開始した。さぁ、ショータイムだ。
「来るぞ!」
「オイラに任せろ!」
「援護するぜ!」
真正面から突っ込んで来る吸阪に対し、峰田と瀬呂が迎撃に動いた。
「
「そぉれよっと!」
2人は左右に分かれ、2方向からもぎもぎとテープを放って、吸阪の動きを封じようとするが―
「ダブルサンダー! ブレーク!」
吸阪は両腕から電撃を薙ぎ払うように放ち、自分に迫るもぎもぎとテープを全て撃墜。
「ダブル超電磁! ストォォォムッ!」
更にそれぞれの手から殆ど目に見えない…渦を巻く衝撃波みたいな物を放った。
右手から放った右回転のそれが峰田を、左手から放つ左回転のそれが瀬呂を飲み込むと―
「な、なんだよこれっ!?」
「う、動けねぇ…」
2人はその場で指一本動かせない状態になってしまう。それどころか…吸阪が手を動かすと、それに連動するように宙に浮き、クルクルと回り始めた!?
「ど、どーなってんだよぉっ!?」
「サ、
「いや、電気と磁気の融合による…まぁ、“個性”の
ちょっとした応用どころじゃない芸当を見せつけられて、その場にいた誰もが言葉を失う。それでも―
「お、俺達は、ジャグリングの、ボ、ボールじゃねぇぞ!?」
悲鳴混じりの峰田の声が響く中、何とか助けに入ろうとするが、吸阪には…一切隙が見当たらねぇ!
そうしている内に、吸阪は一際邪悪な笑みを浮かべ―
「超電磁! ヴォルテェェェックス!」
声と共に両手を組んだ。それと同時に、右回転と左回転、異なる2つの渦は激突。
「のわぁぁぁぁぁっ!」
「マジかよぉっ!」
捕らわれていた峰田と瀬呂も、回転しながら猛スピードで激突し、あっという間に意識を手放した。
「まずは2人っと」
宙に浮いたまま気絶した2人を地面に降ろし、こちらに向き直る吸阪。その直後―
「鳥達よ、雷操る者の動きを封じるのです!」
口田が“個性”で操る鳥達が、一斉に吸阪へ殺到し、その視界を塞いだ。
「今がチャンスだ! 切島君! 障子君! 行くぞ!」
間髪入れず、飯田の指示が飛ぶ。不意打ちみたいな形になるが…チャンスである事には違いねぇ!
俺と障子は正面から、飯田は後方に回り込んでの挟み撃ち。これなら、いけるか?
「悪くない連携だが…甘いな」
だが、僅かに芽生えた勝算は、一瞬で打ち砕かれた。吸阪の声と共に、全身に群がっていた鳥達は纏めて弾き飛ばされ、散り散りになって飛び去り―
「全方位…エレクトロファイヤー!」
更に、吸阪が闘技場に叩きつけた右拳から、電流が四方八方に走って、俺達の接近を拒む。くそっ、挟み撃ちは失敗だ!
「本気で俺の動きを止めたかったのなら、鳥達を殺到させるだけじゃなく、嘴や爪で攻撃させるべきだったな」
全身からスパークを迸らせ、口田にアドバイスを送っていた吸阪は―
「口田にはもう1つアドバイス…“個性”抜きでの戦い方も考えておく事を、お勧めだ」
そう告げた次の瞬間、一気に口田との間合いを詰め、接近戦を仕掛けた。
「っ!?」
口田は咄嗟にパンチを繰り出すが、悠々と捌かれ―
「せいっ!」
逆に掌打の一撃をボディに受け、闘技場の外まで吹っ飛ばされてしまう。
「これで3人。次は誰だ?」
「次は…俺だ!」
圧倒的なんて陳腐な言葉じゃ表しきれない程の
だけど、逃げる訳にはいかねぇよな!
「いくぜ! 吸阪!!」
全身の硬度を限界まで高め、真正面から殴りかかる! 小細工無しの真っ向勝負だ!
「切島、たしかにお前の“個性”『硬化』は圧倒的な防御力を誇る。だが、ただ硬いだけなら、対処法は幾らでもある」
「………ぐはっ!」
吸阪がそう告げた直後、膝から崩れ落ちる切島。硬化が解除された体にはただ一点、鳩尾の部分に痣が出来ている。
そう、吸阪は切島の鳩尾部分を一点集中で攻撃し、硬化が限界を迎えたところを打ち抜いたのだ。まさに恐るべき技量…。
「飯田、俺が何とか吸阪を抑える。そうしたら、
「障子君、何を!」
飯田の驚く声を敢えて無視して、俺は吸阪へ突撃。間合いに入ると同時に、6本の腕を総動員して
「自己犠牲の精神は評価するが、自分諸共…というのは、いただけないな」
「なっ…」
だが、吸阪は俺の
「障子、安易な自己犠牲に頼らなくても、お前ならもっと良い方法を選択出来る筈だ」
瞬き程の間に、俺の背後へと回り込んでいた。反応する間もなく掌打を打ち込まれた俺は、闘技場の外へと吹っ飛ばされ、そのまま意識を手放してしまう。
「………強い」
「ぐわぁぁぁぁぁっ!」
そんな声と共に、俺の目の前を吹っ飛ばされていくクソ眼鏡。スカシ野郎に対して、
「さて、残るはお前1人。そろそろ三半規管も回復した頃だろう?」
俺以外の6人を相手にした後にも関わらず、スカシ野郎は息切れ一つ起こしていない。調子に…乗りやがって!
俺はその場で跳ね起き、体が正常に戻った事を確認すると―
「テメェ…さっき俺を仕留めなかった事を後悔させてやらぁ!」
両掌から爆発を起こして、一気に加速。
「死ぃぃぃねぇぇぇぇぇっ!!」
爆発で連続攻撃を仕掛けた。そこらの
「くそがぁ! なんで当たらねぇ!」
俺の攻撃はスカシ野郎に掠りもしない。何故だ? 爆発による急加速やフェイントも混ぜてるんだぞ?
「元々の攻撃が単調だからな。フェイントを加えてもわかりやすいんだよ」
「調子に乗ってんじゃねえぞ! スカシ野郎!」
スカシ野郎の言葉に、俺の怒りは頂点に達した。一旦奴から距離を取りながら、籠手の安全装置を解除。そのまま奴に発射口を向け―
「そんな
「なっ!?」
発射しようとした瞬間、奴は俺の目前に立っていた。馬鹿な、十分な距離を取った筈だぞ!?
「ダブルライトニングボルトォ!」
その直後、奴の放った諸手打ちが、両手の籠手を木っ端微塵に粉砕。
「ぬぁぁぁっ!」
その勢いに押され、俺は闘技場を無様に転がっちまう。糞が!
「そろそろ時間だな…おい、爆豪。まだあるんだろう?
「っ!?」
俺が立ち上がった瞬間、響き渡るスカシ野郎の言葉。そうだ、俺にはまだ
「このまま普通にお前をボコっても良いんだけど…それじゃ、後でウダウダ言われかねないからな。使わせてやるよ、切り札。その上で、お前に勝つ」
ふざけた事をぬかすスカシ野郎に、俺は凶暴な笑みを向け―
「だったら、遠慮なく使ってやらぁ! これが俺の必殺技だ!!」
両掌の爆発を利用して、TDLの天井付近まで跳躍。必殺技の態勢に入った。
「……馬鹿が、
吸阪の言葉に乗せられ、必殺技の態勢に入った爆豪に対し、思わず溜息が漏れる。
何故、吸阪が爆豪にあんな事を言ったのか? 冷静になって考えれば、簡単に解る筈だが…。
「
だが、もう手遅れだ。
「トールハンマー…」
吸阪は万全の態勢で待ち構えている。こうなってしまえば、もう爆豪は
「
そもそも爆豪の『
だが、ミサイルはその性質上…
「ブレイカァァァァァッ!!」
事実、吸阪は加速中の隙を狙って最大級の攻撃を放ってきた。技の発動中だった爆豪は防御も回避も出来ないまま―
「………」
まともに電撃を食らって、墜落した。
「そこまで! 9分3秒、Bチーム全滅により、勝者! 吸阪雷鳥!」
やれやれ、この後は大反省会だな。俺は再び溜息を吐き、教え子達の方へ向かう為立ち上がった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。