出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お楽しみ頂ければ、幸いです。


第12.5話:原作世界へ‐その5‐

(パラレル)イレイザーヘッド(相澤消太)side

 

 さて、第一試合はAチーム(こちら側)の完敗で終了。闘技場の点検・修復を兼ねた10分のインターバルを取った上で、第二試合の開始となった訳だが…

 

「ヨモヤ、コレホドノ実力差ガアルトハナ…」

 

 エクトプラズムさんの呟いた通り、並行世界(パラレルワールド)の緑谷が見せつけた実力は圧倒的の一言だった。

 仮にBチームと対決していても、同じような結果となるのは間違いない。 

 しかも、次に出てくる吸阪雷鳥は、並行世界(パラレルワールド)の緑谷以上の実力者という話…。

 

「まぁ、惨敗したならしたで、良い教訓になる…」

 

 どのような結果になるにせよ、奴らが得る物はある筈だ。俺は自分自身にそう言い聞かせ、第二試合の開始を待ち続けた。

 

 

雷鳥side

 

「よし、点検終了。3分後に模擬戦第二試合を始めるよ」

 

 セメントス先生の手による闘技場の点検も終わり、俺とBチームは闘技場へ上がって、開始に備える。

 

「スカシ野郎…テメェは俺が完膚無きまでに、ぶっ潰してやる!」

 

 その最中、爆豪が俺に悪態を吐き―

 

「爆豪君! これはあくまでも模擬戦。そのような言葉使いは慎みたまえ!」

「さっきの試合見てただろ! 俺達も力を合わせなきゃ、とても勝負になんねえぞ!」

 

 飯田から窘められたり、切島から力を合わせるよう進言されるが…

 

「ハンッ! あいつらが負けたのは弱かったからだ! 弱ぇ奴らは弱ぇ奴ら同士、勝手に群れてやがれ!」

 

 この反応だ。そう言えば、前世で読んだ爆豪に関する考察には―

 

『完璧主義者である爆豪にとって、人に助けられるという事はその人より下になる(・・・・・・・・・)という意味であり、見下された(・・・・・)とも感じる』

 

 と書かれていたな………うん、なんでそんな思考になるのか、全く理解出来ん。

 

「それではこれより、男子Bチーム対吸阪雷鳥の模擬戦を行います」

 

 おっと、時間になった。気持ちを切り替えて、始めるとしますか。

 

 

(パラレル)飯田side

 

「それでは、始め!」

 

 セメントス先生の声で開始される模擬戦。僕達は事前の打ち合わせ通り、陣形を組んでいくが―

 

「スカシ野郎! 死ぃねぇぇぇっ!!」

 

 爆豪君はそれを無視するかのように、両掌から爆発を起こして、一気に加速。

 

「なっ!? 爆豪君!」

「1人で突っ込むな! 爆豪! 戻れ!」

「俺に指図すんじゃねぇ!」

 

 僕や切島君の制止を一蹴しながら、吸阪君へ突撃した。そして―

 

閃光弾(スタングレネード)!!」

 

 自らの間合いに入る直前、目眩ましを仕掛ける!

 鳴り響く大音響と強烈な閃光に、思わず耳を塞ぎ、目を細めて様子を窺うと、視覚と聴覚を封じられたせいか、微動だにしない吸阪君と―

 

「もらったぁ!」

 

 素早く吸阪君の背後に回り込んだ爆豪君の姿が見えた。

 相手の視界を奪ってからの強襲。戦術としては実に合理的だが…どうにもみみっちい感じが否めない。

 爆豪君はそのまま、右の大振りを叩き込もうとするが―

 

「なっ…」

 

 着弾の瞬間、吸阪君の姿が消えた(・・・・・)。いや、消えたという表現は正しくない。瞬きにも満たない時間で、爆豪君の背後へ回り込んだのだ。

 

「ちぃっ! 小細工しやがって!」

 

 怒りの形相で再度攻撃を仕掛けようとする爆豪君だが、吸阪君の攻撃の方が早かった。

 

「せいっ!」

 

 ストレートの軌道で放たれた右の掌打で顎を―

 

「もう一丁!」

「がはっ…」

 

 フック気味の軌道で放たれた左の掌打で右側頭部を打ち抜かれ、その場に崩れ落ちる爆豪君。

 それほど強打には見えず、意識もハッキリしているようだが…

 

「く、くそっ! て、てめぇ! 何、しやがった!?」

 

 爆豪君はなかなか立ち上がれず、何とか立ち上がってもまるで悪酔いしたかのような千鳥足で、すぐに崩れ落ちてしまう。

 

「顎を打ち抜く事で脳を揺らし、ついでに側頭部への一撃で三半規管を麻痺させた。回復するまでは真っすぐ立つ事も出来ねぇよ」

「暫く大人しくしてな。あとでたっぷり遊んでやる(・・・・・・・・・・・・)

 

 そんな爆豪君に対し、予め付けていた耳栓(・・)を外しながらそう宣告する吸阪君。

 その様子から、爆豪君が独断専行で突撃してくる事や、閃光弾(スタングレネード)を使ってくる事は予測済み(・・・・)である事がよくわかる。

 そして吸阪君は僕達へ向き直ると、笑顔を見せながら、こう告げた。

 

「待たせたな。1対6でバトル再開といこうか」

 

 

雷鳥side

 

 さて、爆豪を一時行動不能(・・・・・・)にした上で、残る6人に仕切り直しを宣言した訳だが…。

 

「ま、マジかよ…あの爆豪があんな、簡単に!?」

「半端じゃねえ強さだ…」

「ゆ…夢じゃねえ…よな?」

 

 峰田と切島、瀬呂は目の前の光景が信じられないのか、青褪めた顔になっており―

 

「………」

「あぁ、吸阪の実力が俺達を遥かに凌駕している事は確実だ」

 

 口田も慌てた様子で、障子に話しかけている。

 

「やれやれ、脅かし過ぎた(・・・・・・)か?」

 

 Bチームの反応に、ここからどう動くべきか考えていると―

 

「皆、落ち着け!」

「たしかに吸阪君の実力は凄まじい! 俺も1対1では絶対に勝てないだろう! だが、俺達はチームで戦っているんだ! 全員の力を合わせて戦おう!」

 

 飯田が仲間達を一喝した。それによって、落ち着きを取り戻したのだろう。

 

「あぁ…そうだな。力を合わせて、やってやるぜ!」

 

 切島の叫びと共に、全員の表情が覚悟を決めたものになった。

 流石だよ飯田。こっちの世界でも、お前は1-Aにとって最高の委員長だ。

 

「覚悟を決めてくれて、どうもありがとう。そんなお前達に敬意を表して…全力で叩き潰させてもらう」

 

 俺は敢えて邪悪な笑みを浮かべながら、ターボユニットを発動。床から僅かに浮き上がると同時に、最高速で移動を開始した。さぁ、ショータイムだ。

 

 

(パラレル)切島side

 

「来るぞ!」

「オイラに任せろ!」

「援護するぜ!」

 

 真正面から突っ込んで来る吸阪に対し、峰田と瀬呂が迎撃に動いた。

 

GRAPERUSH(グレープラッシュ)!」

「そぉれよっと!」

 

 2人は左右に分かれ、2方向からもぎもぎとテープを放って、吸阪の動きを封じようとするが―

 

「ダブルサンダー! ブレーク!」 

 

 吸阪は両腕から電撃を薙ぎ払うように放ち、自分に迫るもぎもぎとテープを全て撃墜。

 

「ダブル超電磁! ストォォォムッ!」

 

 更にそれぞれの手から殆ど目に見えない…渦を巻く衝撃波みたいな物を放った。    

 右手から放った右回転のそれが峰田を、左手から放つ左回転のそれが瀬呂を飲み込むと―

 

「な、なんだよこれっ!?」

「う、動けねぇ…」

 

 2人はその場で指一本動かせない状態になってしまう。それどころか…吸阪が手を動かすと、それに連動するように宙に浮き、クルクルと回り始めた!?

 

「ど、どーなってんだよぉっ!?」

「サ、念動力(サイコキネシス)かっ!?」 

「いや、電気と磁気の融合による…まぁ、“個性”のちょっとした応用(・・・・・・・・)だ」

 

 ちょっとした応用どころじゃない芸当を見せつけられて、その場にいた誰もが言葉を失う。それでも―

 

「お、俺達は、ジャグリングの、ボ、ボールじゃねぇぞ!?」

 

 悲鳴混じりの峰田の声が響く中、何とか助けに入ろうとするが、吸阪には…一切隙が見当たらねぇ!

 そうしている内に、吸阪は一際邪悪な笑みを浮かべ―

 

「超電磁! ヴォルテェェェックス!」

 

 声と共に両手を組んだ。それと同時に、右回転と左回転、異なる2つの渦は激突。

 

「のわぁぁぁぁぁっ!」

「マジかよぉっ!」

 

 捕らわれていた峰田と瀬呂も、回転しながら猛スピードで激突し、あっという間に意識を手放した。

 

「まずは2人っと」

 

 宙に浮いたまま気絶した2人を地面に降ろし、こちらに向き直る吸阪。その直後―

 

「鳥達よ、雷操る者の動きを封じるのです!」

 

 口田が“個性”で操る鳥達が、一斉に吸阪へ殺到し、その視界を塞いだ。

 

「今がチャンスだ! 切島君! 障子君! 行くぞ!」

 

 間髪入れず、飯田の指示が飛ぶ。不意打ちみたいな形になるが…チャンスである事には違いねぇ!

 俺と障子は正面から、飯田は後方に回り込んでの挟み撃ち。これなら、いけるか?

 

「悪くない連携だが…甘いな」

 

 だが、僅かに芽生えた勝算は、一瞬で打ち砕かれた。吸阪の声と共に、全身に群がっていた鳥達は纏めて弾き飛ばされ、散り散りになって飛び去り―

 

「全方位…エレクトロファイヤー!」

 

 更に、吸阪が闘技場に叩きつけた右拳から、電流が四方八方に走って、俺達の接近を拒む。くそっ、挟み撃ちは失敗だ!

 

「本気で俺の動きを止めたかったのなら、鳥達を殺到させるだけじゃなく、嘴や爪で攻撃させるべきだったな」

 

 全身からスパークを迸らせ、口田にアドバイスを送っていた吸阪は―

 

「口田にはもう1つアドバイス…“個性”抜きでの戦い方も考えておく事を、お勧めだ」

 

 そう告げた次の瞬間、一気に口田との間合いを詰め、接近戦を仕掛けた。

 

「っ!?」

 

 口田は咄嗟にパンチを繰り出すが、悠々と捌かれ―

 

「せいっ!」

 

 逆に掌打の一撃をボディに受け、闘技場の外まで吹っ飛ばされてしまう。

 

「これで3人。次は誰だ?」

「次は…俺だ!」

 

 圧倒的なんて陳腐な言葉じゃ表しきれない程の力量(レベル)差。正直、今の俺が向かって行っても即返り討ちだろう。

 だけど、逃げる訳にはいかねぇよな!

 

「いくぜ! 吸阪!!」

 

 全身の硬度を限界まで高め、真正面から殴りかかる! 小細工無しの真っ向勝負だ!

 

 

(パラレル)障子side

 

「切島、たしかにお前の“個性”『硬化』は圧倒的な防御力を誇る。だが、ただ硬いだけなら、対処法は幾らでもある」

「………ぐはっ!」

 

 吸阪がそう告げた直後、膝から崩れ落ちる切島。硬化が解除された体にはただ一点、鳩尾の部分に痣が出来ている。

 そう、吸阪は切島の鳩尾部分を一点集中で攻撃し、硬化が限界を迎えたところを打ち抜いたのだ。まさに恐るべき技量…。

 

「飯田、俺が何とか吸阪を抑える。そうしたら、俺ごと奴を倒せ(・・・・・・・)

「障子君、何を!」

 

 飯田の驚く声を敢えて無視して、俺は吸阪へ突撃。間合いに入ると同時に、6本の腕を総動員して連打(ラッシュ)を仕掛けた。これだけの手数、如何に吸阪といえど!

 

「自己犠牲の精神は評価するが、自分諸共…というのは、いただけないな」

「なっ…」

 

 だが、吸阪は俺の連打(ラッシュ)を容易く捌いただけでなく―

 

「障子、安易な自己犠牲に頼らなくても、お前ならもっと良い方法を選択出来る筈だ」

 

 瞬き程の間に、俺の背後へと回り込んでいた。反応する間もなく掌打を打ち込まれた俺は、闘技場の外へと吹っ飛ばされ、そのまま意識を手放してしまう。

 

「………強い」

 

 

(パラレル)爆豪side

 

「ぐわぁぁぁぁぁっ!」

 

 そんな声と共に、俺の目の前を吹っ飛ばされていくクソ眼鏡。スカシ野郎に対して、レシプロバースト(あの超加速)からの蹴りを放ったが、逆にカウンターの回し蹴りをくらいやがった!

 

「さて、残るはお前1人。そろそろ三半規管も回復した頃だろう?」

 

 俺以外の6人を相手にした後にも関わらず、スカシ野郎は息切れ一つ起こしていない。調子に…乗りやがって!

 俺はその場で跳ね起き、体が正常に戻った事を確認すると―

 

「テメェ…さっき俺を仕留めなかった事を後悔させてやらぁ!」

 

 両掌から爆発を起こして、一気に加速。

 

「死ぃぃぃねぇぇぇぇぇっ!!」

 

 爆発で連続攻撃を仕掛けた。そこらの端役(モブ)なら、3回は殺せるだけの攻撃を繰り出したが―

 

「くそがぁ! なんで当たらねぇ!」

 

 俺の攻撃はスカシ野郎に掠りもしない。何故だ? 爆発による急加速やフェイントも混ぜてるんだぞ?

 

「元々の攻撃が単調だからな。フェイントを加えてもわかりやすいんだよ」

「調子に乗ってんじゃねえぞ! スカシ野郎!」

 

 スカシ野郎の言葉に、俺の怒りは頂点に達した。一旦奴から距離を取りながら、籠手の安全装置を解除。そのまま奴に発射口を向け―

 

「そんな危険物(・・・)、無闇矢鱈に使うな。馬鹿たれ」

「なっ!?」

 

 発射しようとした瞬間、奴は俺の目前に立っていた。馬鹿な、十分な距離を取った筈だぞ!?

 

「ダブルライトニングボルトォ!」

 

 その直後、奴の放った諸手打ちが、両手の籠手を木っ端微塵に粉砕。

 

「ぬぁぁぁっ!」

 

 その勢いに押され、俺は闘技場を無様に転がっちまう。糞が!

 

「そろそろ時間だな…おい、爆豪。まだあるんだろう? とっておき(・・・・・)が」

「っ!?」

 

 俺が立ち上がった瞬間、響き渡るスカシ野郎の言葉。そうだ、俺にはまだアレ(・・)がある!

 

「このまま普通にお前をボコっても良いんだけど…それじゃ、後でウダウダ言われかねないからな。使わせてやるよ、切り札。その上で、お前に勝つ」

 

 ふざけた事をぬかすスカシ野郎に、俺は凶暴な笑みを向け―

 

「だったら、遠慮なく使ってやらぁ! これが俺の必殺技だ!!」

 

 両掌の爆発を利用して、TDLの天井付近まで跳躍。必殺技の態勢に入った。

 

 

(パラレル)イレイザーヘッド(相澤消太)side

 

「……馬鹿が、乗せられて(・・・・・)どうする…」

 

 吸阪の言葉に乗せられ、必殺技の態勢に入った爆豪に対し、思わず溜息が漏れる。

 何故、吸阪が爆豪にあんな事を言ったのか? 冷静になって考えれば、簡単に解る筈だが…。

 

榴弾砲(ハウザー)…」

 

 だが、もう手遅れだ。

 

「トールハンマー…」

 

 吸阪は万全の態勢で待ち構えている。こうなってしまえば、もう爆豪は詰み(・・)だ。

 

着弾(インパクトォッ)!!」

 

 そもそも爆豪の『榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)』は、左右の掌で爆発を繰り返す事で錐揉み回転しながら加速。相手に着弾すると同時に最大級の爆発を叩き込む。言わば、人間ミサイル。

 だが、ミサイルはその性質上…加速しきるまでに一定の距離を必要とする(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)。即ち、加速中に付け入る隙が有るという事だ。

 

「ブレイカァァァァァッ!!」

 

 事実、吸阪は加速中の隙を狙って最大級の攻撃を放ってきた。技の発動中だった爆豪は防御も回避も出来ないまま―

 

「………」

 

 まともに電撃を食らって、墜落した。

 

「そこまで! 9分3秒、Bチーム全滅により、勝者! 吸阪雷鳥!」

 

 やれやれ、この後は大反省会だな。俺は再び溜息を吐き、教え子達の方へ向かう為立ち上がった。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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