出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お楽しみ頂ければ、幸いです。


第12.6話:原作世界へ‐その6‐

(パラレル)イレイザーヘッド(相澤消太)side

 

 模擬戦も無事に終了し、セメントスの手で闘技場が撤去されていく中、俺は教え子達の前に立ち―

 

「さて、それぞれに反省点は理解していると思うが…こちらからも一言言わせてもらう(・・・・・・・・・)

 

 講評という名の駄目出し(・・・・)を開始した。

 

「まず、第一試合から…青山、上鳴。相手の“個性”が予想外だからと言って、慌て過ぎだ。落ち着いて観察していれば、最初の攻撃は下手に動かない方が当たらない(・・・・・・・・・・・・・・)事を、理解出来た筈だぞ」

「えぇっ!?」

Je n'arrive pas à y croire(信じられない)!?」

 

 俺の声に予想通りの反応を見せる上鳴と青山。俺は小さく溜息をつき、並行世界(パラレルワールド)の緑谷に視線を送り、説明を促す。

 

「あ、はい。あの衝撃波(攻撃)は、2人が回避行動を取る事を見越して、わざと(・・・)バラ撒くように発射してました。だから相澤先生が仰る通り、あの場から動かなければ、掠りもしなかった(・・・・・・・・)筈です」

「「………」」

 

 その説明を聞いた途端、膝から崩れ落ち、ガックリと項垂れる2人。よし、次に行こう。時間は有限だ。

 

 

「第一試合に関しての講評は以上だ。次に第二試合について」

 

 第一試合の講評(駄目出し)を終えた俺は、そのまま第二試合の講評(駄目出し)を開始。

 

「瀬呂、峰田。相手を拘束する際に足を止めるのは悪手だ。動きを止めなくても相手を拘束出来る様になれ」

「口田。お前は“個性”抜きでの立ち回りを身に着けろ。接近戦に持ち込まれて即退場じゃ、話にならん」

「切島は“個性”の運用にもっと柔軟性を持て。ただ只管に硬いだけじゃ、限界がある」

「障子。自己犠牲の精神は評価するが、吸阪が言ったように、自分諸共などという考えは評価出来ん。ヒーローたる者、自分も生き残ってこそ正解だという事を忘れるな」

「飯田の戦い方は、尾白とは別の意味で馬鹿正直過ぎる。臨機応変という言葉の意味を考えろ」

 

 第一試合の面々同様、容赦なく厳しい言葉をぶつけていく。そして―

 

「最後に…爆豪。今回の模擬戦で最も低い評価なのは、お前だ」

 

 爆豪を睨みつけながら、最後の講評(駄目出し)を開始する。

 

「なっ…」

 

 自分が最低評価であると宣告された事に対し、納得いかない(・・・・・・)という顔の爆豪。やれやれ、言われないと理解出来ないか…。

 

「爆豪、昨日俺は言った筈だぞ。『この5人は全員、お前達の誰よりも強い(・・・・・・・・・・)』とな」

「何より第一試合を観た時点で、並行世界(パラレルワールド)組の実力、その力量(レベル)の高さを理解する事は十分出来た筈だ」

「だがお前は、Aチームが負けたのは弱かったから(・・・・・・)と嘯き、現実を認めようとしなかった。そればかりか、チームの方針を無視して独断専行で突撃し、瞬時に無力化される体たらく…」

「更には、吸阪のあからさま過ぎる煽りに乗せられて返り討ち…何処に評価すべき点がある?」

「そ、それは…」

「何より…爆豪、お前は昨日『徹甲弾(A・P・ショット)』という新しい技を生み出していたが…何故使わなかった? 」

「っ!?」

「…大方、煽りに乗せられて頭に血が上った結果、使うのを忘れていた(・・・・・・・・・)と言ったところだろう」

「………」

 

 俺の指摘が図星だったのか、黙り込む爆豪。まったく、話にならんな。

 

「井の中の蛙大海を知らず。世の中には自分より格上の人間が存在している事を認められなければ、お前の成長はそこまでだ」

「………」

 

 爆豪をバッサリと切り捨てたところで、俺の講評(駄目出し)は終了。続きは―

 

「吸阪、緑谷、お前達から見て、1-Aの実力はどの程度だ?」

 

 吸阪達に任せるとしよう。

 

 

雷鳥side

 

「吸阪、緑谷、お前達から見て、1-A(こいつら)の実力はどの程度だ?」

 

 講評を終えた相澤先生からの問いかけに、俺と出久は顔を見合わせ―

 

「じゃあ、俺からお答えしましょう」

 

 代表して、俺が答える事に。ここは…単刀直入(・・・・)にいきますか。

 

並行世界(俺達の世界)の1-A男子、その平均を100とするなら…轟や爆豪で40程度。他の皆は20~30ってところでしょうか」

 

 俺の発した言葉にざわつく1-Aの面々。だが、ここで口を(つぐ)む訳にもいかない。嫌われる事を覚悟で、続けますか。

 

「例を挙げると…常闇、お前が習得したばかりの『深淵闇躯(しんえんあんく)』。並行世界(俺達の世界)の常闇は、雄英体育祭前に習得したぞ。名前は『深淵闇躯(ブラックアンク)』に変わっているけどな」

「なん、だと…」

「それから飯田。見たところお前さん…先代インゲニウム(お兄さん)からまだ教わってないみたいだな。飯田家に代々伝わる修行法(・・・・・・・・・・・・)

「なっ…ど、どうしてそれを!?」  

「いや、並行世界(俺達の世界)の飯田が教えてくれたんだよ。レシプロバーストを超える加速法と、その習得法」

「ち、ちなみに、並行世界(そちら側)の僕は、その…」

「期末試験前には習得していたぞ。レシプロバーストを超える加速法(レシプロターボ)

「何という事だ…」

 

 とまあ、こんな感じで並行世界(俺達の世界)の1-A、その実力について話していった結果…

 

「……ちょっと刺激が強すぎましたかね?」

「まぁ…合理の範囲内だ」

 

 男子の殆どがショックを受け、愕然としていた。

 

「馬鹿な…俺と親父が和解して、親父が親馬鹿に、だと……」

「俺、雄英落ちてたのかよ…あぁ、でも、傑物学園高校で才能開花させたのは良い事…なのか?」

 

 特に轟と上鳴が受けたショックは、相当な物だったようで…うーむ、伝えたのは失敗だったかもな。

 

「あの、吸阪…君」

 

 その時、手を挙げたのは並行世界(パラレルワールド)の出久だ。うーむ、仕方の無い事とはいえ、出久から吸阪君(・・・)と呼ばれるのは、少し寂しいものだ。

 まぁ、そんな事を考えながら、出久に発言を促すと―

 

「えっと、昨日から気になっていて…今の説明でもかっちゃ…爆豪、君の話題が、不自然なまでに出ていないのは、何か理由が…あるんですか?」

 

 一番取扱に注意を要する情報についての質問だった。俺からすれば、遂に来たか…という感じだな。

 

「あー…一応、相澤先生達には話しているんだが…」

 

 そう言いながら相沢先生に視線を送ると、相澤先生は一瞬だけ考え―

 

「あくまでも並行世界(パラレルワールド)の話であり、それを知る事で己を省みる機会にもなるだろう」

 

 と、許可を出してくれた。それじゃあ、話すとしますか

 

 

(パラレル)爆豪side

 

「………は?」 

 

 スカシ野郎の口から語られた並行世界(パラレルワールド)の俺についての情報。それは文字通り信じられない(・・・・・・)の一言だ。

 

「マジかよ…あっちの爆豪、除籍になった上に(ヴィラン)堕ちって…」

「あぁ、そんな事情じゃ、迂闊には口に出来ないよな…」

 

 切島と瀬呂がそんな事を言っているが…こっちを憐れむように見てんじゃねえ!

 

「何ちゅーかさ、こっちの爆豪もクソを下水で煮込んだ性格(・・・・・・・・・・・・)だけど、あっちの爆豪は、それ以上にヤバイ性格だったって事じゃね?」

 

 それでフォローしているつもりかよ! アホ面ぁっ!!

 

「俺の主観になるが…こっちの爆豪をベースにしつつ、粗暴さ(・・・)自尊心(・・・)を5割増しにした感じかな」

「いやぁ、色々とやらかしてくれたよ…戦闘訓練じゃ、核兵器があるにも関わらず、大規模攻撃ぶっ放してくるわ、事ある毎に『死ね』だの『ぶっ殺す』だの喚き散らすわ、意味も無く周りを見下すわ…」

 

 スカシ野郎が口を開く度、周りの視線が俺に突き刺さる。クソッ、心当たり(・・・・)が無い訳じゃねえから、何も言えねえ…。

 

「まぁ、こっちの爆豪は幾らかマシ(・・・・・)みたいだから、(ヴィラン)堕ちは無いかもな…もっとも、朝言った事を理解出来ていればの話だけどな」

「あの禅問答かよ…何でも出来る奴は、何も出来ない。ただの矛盾じゃねぇか!」

「そう、普通に考えれば矛盾。だが、見方を変えてみな(・・・・・・・・)。それがヒントだ」

 

 見方を変えてみろ。それがヒント…クソッ、訳が分からねぇ…。

 

「それじゃあ、ここからは特訓タイムだ。スパルタ(・・・・)でいくから、覚悟しとけよ?」

 

 黙り込む俺を無視して、話を進めていくスカシ野郎。駄目だ…どれだけ考えても答えが―

 

「Hey! 爆豪少年!」

 

 そんな俺に声をかけてきたのは、オールマイトだった。

 

 

(パラレル)オールマイトside

 

「HAHAHA! 深刻な顔をして、いつもの不遜で不敵な態度はどうしたんだい?」

 

 吸阪少年の問いに答えが見つからず、苦悩していた爆豪少年。とても見てはいられず、声をかけた訳だが…

 

「深刻にもなるわ…並行世界(パラレルワールド)の話とはいえ、自分がどん底まで堕ちたと聞かされた後だぞ…」

「フム、確かにそうだね。だが、それは並行世界(パラレルワールド)の君であって、ここにいる君ではない。ましてや、並行世界(パラレルワールド)の事を知った君なら、道を踏み外す心配など無い。と言えるんじゃないかな?」

「どうだかな…」

 

 うーむ、問いかけの答えが見つからず、かなり煮詰まっているようだね。

 吸阪少年の出した問い…私がその答えを教える事は容易いが、それでは爆豪少年の為にならない。さて、どうしたものか…。

 

「……そうだ」

「あぁ?」

 

 爆豪少年の隣で、考えていると…不意に良いアイデアが浮かんだ。これならば大丈夫だろう!

 

「爆豪少年、君の趣味は登山だったね?」

「……あぁ」

 

 突然の私の問いかけに理解が追い付かないのか、不思議そうな顔で答える爆豪少年。

 

「登山は君1人で行くのかな?」

「1人で行く事もあるし、初めて登る山ならガイドを頼む事も…」

「ガイド!? 何でも出来る(・・・・・・)君が、ガイドを頼むのかい?」

「オールマイト、山を舐めてんじゃねぇぞ…山の怖さを知らねぇ奴が、山登りなんて出来るかよ」

「なるほど、確かにそれは真理だ。そして…問いかけの答え、君はもう掴んでいるじゃないか(・・・・・・・・・・・・)

「あぁ? 俺は何も掴んでなんか……」

 

 何かに気付いたのか、黙り込む爆豪少年。そう、そういう事さ。

 爆豪少年は、例えるならば早熟型の天才(・・・・・・)。自分1人で大概の事は出来てしまう。

 出来てしまうからこそ、他人の力を借りる事、他人の強さを認める事を恥ずかしい事(・・・・・・)情けない事(・・・・・)と考えていた。

 だが、真の災厄を前にした時、1人の人間が出来る事など高が知れている。それは、何も出来ないのと同じ事だ。 

 他者と力を合わせ、1+1を2ではなく、5にも6にも変えていかなければ、大勢の人を救う事など出来やしない。

 相手の力を素直に認め、借りられる者こそ、真のヒーローになれる。爆豪少年、頑張りたまえ!

 心の中でそう呟いた私は、私に対し頭を下げる吸阪少年に軽く手を挙げ、爆豪少年から離れるのだった。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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