出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

24 / 112
お待たせしました。少し短めですが、キリが良いので投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。


第12.7話:原作世界へ‐その7‐

雷鳥side

 

「イレイザー、あと10分で交代だ。時間通りにB組(我々)と………」

 

 B組への交代時間が近い事。それを伝えに来たブラドキング先生が絶句しているが、無理もない。

 模擬戦とその講評(駄目出し)が終わった後、俺達5人は1-Aに対し、()()()()による指導を開始。

 全員が力尽き、指一本動かせなくなるまで、()()()()()()()()()

 

「ク、クソがぁ…」

並行世界組(あいつら)が100で、俺達が40…納得だな」

 

 最後まで食らいついていた爆豪と轟も、力を使い果たして大の字に倒れこんでおり、まさに死屍累々と言った状態だな。

 

「あれぇ? 優秀なA組が、どうしちゃったのかなぁ?」

 

 そこへ響く聞き覚えのある声。そう、こっちの世界の物間だ。

 

「彼ら、並行世界(パラレルワールド)から来たらしいけど、同じ雄英の1年でしょう? たった5人を相手に、クラス総動員で勝てないなんて…A組も大した事ないよね!」 

 

 満面の笑みを浮かべながら、全員グロッキー状態のA組をディスっていく物間。やれやれ、どこの世界でも物間は物間か。

 

「せいっ!」

「ぐふっ!」

 

 そして、手刀の一撃を物間に叩き込む拳藤も変わらず…と。

 

「あー…ごめんね。こいつ、心が少しアレなもんで」

「大丈夫。並行世界(俺達の世界)でも、物間はこんな感じだ」

 

 頭を下げて謝罪する拳藤にそう返し―

 

「それじゃあ、今日のA組の特訓はここまで。()()()()()()()

 

 と、笑顔で宣言した。

 

「………え?」

「いや、A組だけ特別指導じゃ()()()だろう? だからB組にも()()()()()()()を受けてもらう。まずは…模擬戦からだな」

 

 なんだか、物間の顔が真っ青になり、小刻みに震えているようだが…うん、無視していこう。

 

 

(パラレル)出久side

 

「それでは、いただきます!」

「「「「「いただきます!」」」」」

 

 飯田君の号令と共に始まる夕食。今日のメニューは―

 

・鯖の竜田焼き*1 

・ピーマンと茄子の味噌炒め*2 

・オクラとワカメの納豆和え*3 

・小松菜と人参の胡麻和え*4 

・キノコ汁*5 

・ご飯

 

 以上6品。昨日の夜や今日の朝同様、並行世界(パラレルワールド)の僕達が調理を担当してくれた訳だけど…

 A組(僕達)だけじゃなく、B組も全員が力尽きる程の激しい指導を行ったにも関わらず、彼らは疲れた顔一つ見せず、夕食の準備に取り掛かっていた。

 技術はもちろん、基礎体力の面でも、彼らは僕達のはるか先を行っている事は間違いない。

 

「うめぇ…うめぇよ」

「五臓六腑に染み渡るって、こういう事を言うんだろうな…」

 

 上鳴君や切島君がしみじみと呟く中、僕も大盛りご飯片手におかずを食べ進めていく。沢山食べて、体力をつけないと!

 

 

雷鳥side

 

 さて、夕食後の洗い物も終わり、自由時間となったところで、俺は単独で―

 

「爆豪、いるか?」

 

 爆豪の部屋を訪れていた。

 

「……何の用だよ」

「ちょっと話がしたくてな。入って良いか?」

「…好きにしろや」

 

 了解を貰い入室すると…爆豪は電気も点けないまま、部屋に備え付けられたベッドに座り込んでいた。俺は電気を点けながら―

 

「単刀直入に聞くぞ。並行世界(俺達の世界)のお前について、他に聞きたい事があったんじゃないか?」

 

 爆豪に問いかけ、椅子へと腰を下ろす。

 

「………並行世界(そっち)の俺が(ヴィラン)になった後、クソバ…お袋と親父はどうなった?」

「気の毒な話だが、世間からの猛烈なバッシングを受けた事で、勝さんは職を失い、光己さんは精神を病んで、入院中だ。あと、2人とも公安の保護下にある」

「…そう、かよ」

 

 並行世界(俺達の世界)の話とはいえ、自分の両親に降りかかった悲劇を知り、顔を歪ませる爆豪。うん、こっちの爆豪はまだ()()()()()があるな。

 

「糞がっ……なんで並行世界(そっち)の俺は、(ヴィラン)堕ちなんかしやがった…」

「お前が気づけた事に気づけなかったから…だな。自分の“個性”に、才能に慢心し、他人を見下し続けた結果、他者との繋がりを失った。即ち、挫折した時に手を差し伸べてくれる者も、道を誤った時に正してくれる者もいなくなった訳だ」

「その結果、坂道を転がり落ちるように、転落一直線か…お笑いだな」

「あぁ、お笑いだ。そしてお前も、一歩間違えばそうなっていた…出久に()()()()()が起きていたらな……『来世は“個性”が宿ると信じて…屋上からのワンチャンダイブ!!』」

「ッ!?」

「やっぱり、この世界でも口にしていたか…今なら、自分の吐いた言葉の意味、わかるだろう?」

「あぁ………」

 

 覆水盆に返らず。一度口にした言葉を無かった事には出来ないが…反省し、償う事は出来る。

 

「悪い事は言わん。出久との関係、早い内に修復しておけ。並行世界(俺達の世界)爆豪(お前)みたいに、出久から()()()()()前にな」

「…わぁっとるわ……」

 

 不貞腐れたように呟く爆豪に、思わず笑みが漏れる。これで出久との関係が良くなればいいのだが…  

 

 

出久side

 

 夕食後の自由時間。僕は並行世界(パラレルワールド)の僕と話をする為、彼の部屋を訪れていた。

 模擬戦、そして実戦形式の指導を行った時に感じた違和感。彼が()()使()()()()…いや、使()()()()理由を問い質す為だ。そして―

 

「なるほど…」

 

 彼の話を聞いて、全てが腑に落ちた。僕と比べて、体格が貧弱な事も、『ワン・フォー・オール』の制御を含む様々な技術が未熟な事も、そして拳を使えない理由も…。

 

「オールマイトに出会うまで、君はずっと燻り続けていたんだね」

 

 “無個性”というだけで、夢を嗤われ、努力を否定され、勝手に憐れまれる。僕達の世界でも、並行世界(この世界)でも、そんな暗い部分は変わらないみたいだ。

 僕も雷鳥兄ちゃんという()()()()()()がいなければ、彼のように自分ではどうする事も出来ないまま、長い間燻り続けていただろう。

 

()()()()()()…か」

「え?」

「いや、何でもない。それよりも喫緊の課題は、君の戦い方(シュートスタイル)を一刻も早く確立させる事だ。『ワン・フォー・オール』の制御も含め、相当ハードな訓練になると思うけど、やり抜く覚悟はあるかい?」

「お願い…します!」

 

 彼の返答に僕は頷き、中庭で()()()()を行う為に立ち上がった。

 

「…デ、出久、いる…か?」

 

 ドアの外から爆豪の声がしたのは、その時だ。

 

「か、かっちゃん!? ど、どうした…の?」

「……話がある。入っても、良いか?」

「え!? あ、はい、ど、どうぞ!」

 

 慌てたように彼がドアを開けると、そこには覚悟を決めた顔の爆豪と、付き添いの様に立っている雷鳥兄ちゃん。

 

「………そういう事か」

 

 雷鳥兄ちゃんが視線で送ってきたサインで、僕は全てを察し…爆豪の横を擦り抜ける様に部屋の外へ出ると―

 

「それじゃあ、2人でしっかり話をしてね」

 

 そう言い残して、雷鳥兄ちゃんと共にその場を離れた。和解か…僕と絶無(あいつ)は、もう()()()()()だけど、和解出来るならそれに越した事は無いからね。

 

 

(パラレル)お茶子side

 

 朝、1階に降りた途端に()()()を感じたけど…その正体はすぐにわかった。

 

「ば、爆豪君が…」

 

 あの爆豪君が、デク君と()()()話しとる。ちょっとぎこちない感じがしないでもないけど、暴言を吐いたり、罵倒したりが全然無い。

 何より、いつもみたいに()()とは呼ばず、()()と呼んでいる。

 

「………私、まだ夢の中におるんかな?」

 

 思わずそんな事を呟いたけど、私は悪くない。周りの皆だって似たような反応だ。

 

「こ、これは現実だ。う、受け入れなくては…そ、そうだ! 素数、素数を数えよう!」

 

 何故か眼鏡がひび割れてる飯田君が、2、3、5、7、11…と素数を数え始めているし―

 

「な、なぁ…()()()()調べた方が良くねぇか?」

「天気予報より()()()()だろ…どっか噴火するに決まってる」

「火山より、()()()()()()かどうか調べようぜ…」

 

 瀬呂君と上鳴君、峰田君に至っては スマホで何かを調べ始めている。それほど衝撃的な光景なんだ。

 

「てめえら…」

 

 そんな私達に対し、爆豪君は額に青筋を浮かべるけど―

 

「日頃の行いが行いだから、そういう反応をされるんだよ」

 

 吸阪君に窘められ、黙り込んでいた。

 

「朝飯、出来たぞ。今日もビシビシしごいていくから、しっかり食っとけよ」

「悪いけど、お皿の準備頼めるかな?」

 

 そう言いながら、朝食の用意を進めていく吸阪君達に、私達も慌てて手伝いに入る。

 爆豪君の変化は驚いたけど、それは1-A(私達)にとって大きなプラスになる。それは間違いない。

 私は自分にそう言い聞かせ、朝食の時間を迎えるのだった。 

*1
雷鳥作

*2
麗日作

*3
梅雨作

*4
出久作

*5
耳郎作




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回、原作世界編最終回。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。