出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
お楽しみ頂ければ、幸いです。
雷鳥side
「イレイザー、あと10分で交代だ。時間通りに
B組への交代時間が近い事。それを伝えに来たブラドキング先生が絶句しているが、無理もない。
模擬戦とその
全員が力尽き、指一本動かせなくなるまで、
「ク、クソがぁ…」
「
最後まで食らいついていた爆豪と轟も、力を使い果たして大の字に倒れこんでおり、まさに死屍累々と言った状態だな。
「あれぇ? 優秀なA組が、どうしちゃったのかなぁ?」
そこへ響く聞き覚えのある声。そう、こっちの世界の物間だ。
「彼ら、
満面の笑みを浮かべながら、全員グロッキー状態のA組をディスっていく物間。やれやれ、どこの世界でも物間は物間か。
「せいっ!」
「ぐふっ!」
そして、手刀の一撃を物間に叩き込む拳藤も変わらず…と。
「あー…ごめんね。こいつ、心が少しアレなもんで」
「大丈夫。
頭を下げて謝罪する拳藤にそう返し―
「それじゃあ、今日のA組の特訓はここまで。
と、笑顔で宣言した。
「………え?」
「いや、A組だけ特別指導じゃ
なんだか、物間の顔が真っ青になり、小刻みに震えているようだが…うん、無視していこう。
「それでは、いただきます!」
「「「「「いただきます!」」」」」
飯田君の号令と共に始まる夕食。今日のメニューは―
・鯖の竜田焼き*1
・ピーマンと茄子の味噌炒め*2
・オクラとワカメの納豆和え*3
・小松菜と人参の胡麻和え*4
・キノコ汁*5
・ご飯
以上6品。昨日の夜や今日の朝同様、
技術はもちろん、基礎体力の面でも、彼らは僕達のはるか先を行っている事は間違いない。
「うめぇ…うめぇよ」
「五臓六腑に染み渡るって、こういう事を言うんだろうな…」
上鳴君や切島君がしみじみと呟く中、僕も大盛りご飯片手におかずを食べ進めていく。沢山食べて、体力をつけないと!
雷鳥side
さて、夕食後の洗い物も終わり、自由時間となったところで、俺は単独で―
「爆豪、いるか?」
爆豪の部屋を訪れていた。
「……何の用だよ」
「ちょっと話がしたくてな。入って良いか?」
「…好きにしろや」
了解を貰い入室すると…爆豪は電気も点けないまま、部屋に備え付けられたベッドに座り込んでいた。俺は電気を点けながら―
「単刀直入に聞くぞ。
爆豪に問いかけ、椅子へと腰を下ろす。
「………
「気の毒な話だが、世間からの猛烈なバッシングを受けた事で、勝さんは職を失い、光己さんは精神を病んで、入院中だ。あと、2人とも公安の保護下にある」
「…そう、かよ」
「糞がっ……なんで
「お前が気づけた事に気づけなかったから…だな。自分の“個性”に、才能に慢心し、他人を見下し続けた結果、他者との繋がりを失った。即ち、挫折した時に手を差し伸べてくれる者も、道を誤った時に正してくれる者もいなくなった訳だ」
「その結果、坂道を転がり落ちるように、転落一直線か…お笑いだな」
「あぁ、お笑いだ。そしてお前も、一歩間違えばそうなっていた…出久に
「ッ!?」
「やっぱり、この世界でも口にしていたか…今なら、自分の吐いた言葉の意味、わかるだろう?」
「あぁ………」
覆水盆に返らず。一度口にした言葉を無かった事には出来ないが…反省し、償う事は出来る。
「悪い事は言わん。出久との関係、早い内に修復しておけ。
「…わぁっとるわ……」
不貞腐れたように呟く爆豪に、思わず笑みが漏れる。これで出久との関係が良くなればいいのだが…
出久side
夕食後の自由時間。僕は
模擬戦、そして実戦形式の指導を行った時に感じた違和感。彼が
「なるほど…」
彼の話を聞いて、全てが腑に落ちた。僕と比べて、体格が貧弱な事も、『ワン・フォー・オール』の制御を含む様々な技術が未熟な事も、そして拳を使えない理由も…。
「オールマイトに出会うまで、君はずっと燻り続けていたんだね」
“無個性”というだけで、夢を嗤われ、努力を否定され、勝手に憐れまれる。僕達の世界でも、
僕も雷鳥兄ちゃんという
「
「え?」
「いや、何でもない。それよりも喫緊の課題は、君の
「お願い…します!」
彼の返答に僕は頷き、中庭で
「…デ、出久、いる…か?」
ドアの外から爆豪の声がしたのは、その時だ。
「か、かっちゃん!? ど、どうした…の?」
「……話がある。入っても、良いか?」
「え!? あ、はい、ど、どうぞ!」
慌てたように彼がドアを開けると、そこには覚悟を決めた顔の爆豪と、付き添いの様に立っている雷鳥兄ちゃん。
「………そういう事か」
雷鳥兄ちゃんが視線で送ってきたサインで、僕は全てを察し…爆豪の横を擦り抜ける様に部屋の外へ出ると―
「それじゃあ、2人でしっかり話をしてね」
そう言い残して、雷鳥兄ちゃんと共にその場を離れた。和解か…僕と
朝、1階に降りた途端に
「ば、爆豪君が…」
あの爆豪君が、デク君と
何より、いつもみたいに
「………私、まだ夢の中におるんかな?」
思わずそんな事を呟いたけど、私は悪くない。周りの皆だって似たような反応だ。
「こ、これは現実だ。う、受け入れなくては…そ、そうだ! 素数、素数を数えよう!」
何故か眼鏡がひび割れてる飯田君が、2、3、5、7、11…と素数を数え始めているし―
「な、なぁ…
「天気予報より
「火山より、
瀬呂君と上鳴君、峰田君に至っては スマホで何かを調べ始めている。それほど衝撃的な光景なんだ。
「てめえら…」
そんな私達に対し、爆豪君は額に青筋を浮かべるけど―
「日頃の行いが行いだから、そういう反応をされるんだよ」
吸阪君に窘められ、黙り込んでいた。
「朝飯、出来たぞ。今日もビシビシしごいていくから、しっかり食っとけよ」
「悪いけど、お皿の準備頼めるかな?」
そう言いながら、朝食の用意を進めていく吸阪君達に、私達も慌てて手伝いに入る。
爆豪君の変化は驚いたけど、それは
私は自分にそう言い聞かせ、朝食の時間を迎えるのだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回、原作世界編最終回。