出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
特別版 原作世界編を最終話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
雷鳥side
「だから、左で蹴る時の踏み込みが甘ぇって言ってんだろうが! あと半歩内側に踏み込めや!」
「あと、蹴りだからって脚の振りだけに頼ってんじゃねぇ! 腰の回転使えや!」
「ご、ごめん! かっちゃん!」
TDL全体に響く程の声をあげながら、
まだまだぎこちない部分もあるが、2人は昔の関係に戻りつつある。もう心配はいらないだろう。
それにしても…口調こそ荒いが、アドバイスの内容は的確そのもの。爆豪には指導者としての才能もあったようだな。
「よし、今日はこの辺にしておこうか」
訓練終了15分前。次にTDLを使うB組も集まり始めたところで、俺は努めて明るく宣言する。その視線の先には―
「くそがぁ…今日も、勝てなかった…」
俺達を相手にした実戦形式の模擬戦で力を使い果たし、倒れこんでいる1-Aの面々。
まぁ、パッと見は1-Aの完全敗北だが…
「いやいや、初めて戦った時に比べたら、皆強くなってるぞ。平均して…4割増ってところかな」
1-Aの皆も順調に実力を伸ばしている。仮免取得試験まであと10日。何事も無ければ皆、今の3倍は強くなれるだろう。
「それじゃあ、皆クーリングダウンをしっかりやっておくように。B組も時間通りに始めるから、ウォーミングアップ忘れるなよ?」
A組とB組にそう伝え、俺達も水分呼吸をしようとしたのだが―
「み、皆さん! か、完成しました!
TDLに駆け込んで来た発目の声で、状況は一変した。遂に完成したか!
出久side
「皆、待たせてごめんなさいね。ようやく完成したわ!」
発目さんに連れられ、第二開発工房へ足を踏み入れた僕達を迎えてくれたのは、ネイビーのツナギに身を包んだメリッサさんと、
そして2人の奥には、あの時見た物と寸分違わぬ物質転送機が設置されていて…僕達の心に、元の世界へ帰れるという思いが湧き上がってきた。
「メリッサさん、もう物質転送機は使えるんですか?」
興奮を抑えながら、メリッサさんに問う。これからどう行動するかは、メリッサさんの返答次第だ。
「流石に今すぐは無理ね。本体とプログラムの最終点検に、エネルギーの充填…最短で2日、余裕を持って準備するなら3日ってところね」
「3日ですか。それなら…」
「あぁ、
僕の思いを察したのか、そう言って微笑む雷鳥兄ちゃん。
この後僕達は、根津校長に物質転送機が完成した事を伝え…3日後の夕方に、元の世界へ帰還する事が正式に決定した。
梅雨side
「そうか。3日後に…」
B組の訓練を終え、
「あぁ、B組の訓練が終わった後に出発する予定だ。仮免取得試験まで見届けられないのは、少々残念だが…残り3日間、出来る限りの事はさせてもらう」
そう言って頭を下げる吸阪ちゃん。すると―
「だったら1つ頼みがある」
爆豪ちゃんが声を上げたわ。何事かと、皆が視線を送ると…
「吸阪…3日後、訓練の最後で良い。俺と
覚悟を決めた表情で、吸阪ちゃんに勝負を申し込む爆豪ちゃん。これは少々予想外だわ。
「……良いぜ、全力で相手をしてやる」
周囲の驚きを尻目に、勝負を受ける吸阪ちゃん。文字通り
スカ…吸阪に勝負を申し込んでからの3日間は、文字通りあっという間だった。
俺は出来得る限りの準備を整え―
「それじゃあ、そろそろ始めるか」
「あぁ…」
吸阪との一騎打ちに臨んだ。
「それではこれより、吸阪雷鳥対爆豪勝己の模擬戦を行います」
審判を務めるセメントスに続くように、俺と吸阪は互いに頭を下げ、構えを取る。
「はじめっ!」
「
開始と同時に、俺は
「くらいやがれっ!」
両掌を向けた。体は十分温まっている。最初から全開だっ!
「
俺より遥かに格上の吸阪に勝つには…いや、一矢報いるには、
吸阪がギアを上げる前に、俺の
「………やったか?」
両掌が出血するまで
「流石だな、爆豪。今のはかなり肝を冷やしたぞ」
そんな声が聞こえた次の瞬間、一気に晴れていく煙。そこには―
「
電磁バリアを展開し、攻撃を凌いだ吸阪の姿。何発か掠ったようだが、直撃は0かよ…
「
「…どういう意味だ?」
「
「ただでさえ反動が強い上に、視界も不良。単発ならまだしも、フルオートの射撃を狙った場所に一点集中で撃ち込む…なんて事は、まず不可能。違うか?」
「ッ!」
「技の選択を誤った。とは、そういう意味だ。
「そのどちらかを選択していたら、俺の
淡々とした吸阪の言葉に、俺は自らの作戦ミスを悟る。くそっ、確実に倒せる手段を取った筈が…
「完璧を期したつもりだったんだろうが…
「ハッ…そうだな。たしかに考え過ぎだ…」
俺とした事が、
「最初っから…こうすればよかったぜ!」
俺は両掌から滴る血を振り払い、拳を握ると…吸阪に殴りかかった! 吸阪も笑みを浮かべ、俺を迎え撃つ!
そう…“個性”抜きでの、殴り合いだ!
雷鳥side
「流石と言うか何と言うか…
5分に及ぶ壮絶な殴り合いを終え、俺は大の字で倒れている爆豪にそう呟く。
「ハッ、負けた人間に対して…嫌味かよ」
「いいや、本心。喧嘩殺法であそこまでやられちゃ、武術やってる立場が無いよ」
そう…最終的に勝ったのは俺だが、才能やセンスという点では、爆豪が圧倒的に勝っていた。
俺が勝てたのは、10年以上続けてきた武術の積み重ねがあったからこそ。爆豪の喧嘩殺法を辛うじて上回る事が出来たのだ。
「まぁ、その気があるなら、今からでも武術を始めてみな。きっと役に立つ筈だ」
「……前向きに検討するわ」
そう言って、俺の差し伸べた手を掴み立ち上がる爆豪。うん、すっかり憑き物が落ちた…良い顔をしている。
こうして、1-Aへの最後の指導は無事終了した。さぁ、次は1-Bだ。
出久side
B組の訓練も無事終了し、遂に僕達が元の世界へ戻る時がやってきた。
見送りの為、根津校長やオールマイトを始めとするとする教師勢、A組とB組の生徒が第二開発工房に集合する中―
「物質転送機の最終点検完了。いつでも出発できるわ」
メリッサさんが
「飯田君、拳藤さん、これを受け取ってほしい」
出発前に
「皆の“個性”、その長所や短所、応用方法なんかを纏めた物だよ。今後の訓練に役立ててほしい」
「こんな貴重な物を…ありがとう、出久君! 生憎、何も形に出来る物を返せないが…立派なヒーローとなる事で、この恩は返させてもらう!」
「このノート、大切に使わせてもらうね!」
感動のあまり涙を流す飯田君と、頭を下げる拳藤さんに微笑みながら、
「
「うん、君も頑張って…って、僕が言える柄じゃないね」
困ったように笑う
「お互い、立派なヒーロー目指してに頑張ろう」
「…うん!」
互いに拳を合わせ、別れを告げる。
「俺直筆のレシピ帳だ。星の数で難易度がわかるようになってる。
「なんと心強い物を…吸阪さん、感謝しますわ!」
雷鳥兄ちゃんは、直筆のレシピ帳を女子代表の八百万さんに渡し、麗日さん達もそれぞれに別れを告げていく。そして―
「それじゃあ、そろそろ出発するわよ」
遂に出発の時間がやってきた。見送りの皆が安全圏まで退避したのを確認し、メリッサさんと発目さんが機械を操作。
「データ入力完了。転送開始!」
物質転送機を起動する。あの時と同じように駆動音が響き…銀色の光がポッドから放たれ―
「「「「「お世話になりました!!」」」」」
そう言って僕達が頭を下げた直後、銀色の光が僕達を飲み込んだ。
結論から言うと、僕達は無事に元の世界へ戻ってくる事が出来た。
不思議だったのは、
メリッサさんが、『世界の壁を越えた際に時空の歪みが生じた』とか言っていたけど、詳しい事はわからない。
間違いなく言える事は、
そして、今回の騒動を起こした発目さんに、
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
もう1本短編を投下し、次々回よりヒーローインターン編をお送りします。