出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
お楽しみ頂ければ、幸いです。
雷鳥side
さて、通形先輩との模擬戦も無事終了。俺の一撃で顎を打ち抜かれ、気絶した通形先輩もすぐに目を覚ましたのだが―
「ねぇねぇ、天喰が
なぜか、天喰先輩まで気絶していた。数分後、天喰先輩も目を覚ますが―
「………ミリオが負けたのか…この現実、受け入れないと…」
すぐさま壁と睨めっこしながら、色々呟き始めた。うん、暫く放っておこう。
「それじゃあ、
そんな中元気良く声を上げる通形先輩。さて、何を語るのやら…
「早速だけど、皆に質問! 俺の“個性”強かった?」
「強いと思います! 途中まで吸阪君の攻撃、全然当たらなかったし!」
「攻撃すり抜けるし、ワープするだし! 轟みたいな
先輩の問いかけに、すぐさま声を上げる麗日と芦戸。たしかに、
「私、知ってるよ“個性”。ねぇねぇ、言ってい? 言ってい!? トーカ」
「波動さん、今はミリオの時間だ」
……
「いや1つ! 『透過』なんだよね!」
通形先輩もそれが解っているのか、波動先輩の発言をサラリと流し、説明を開始した。
「君達がワープと言っていたあの移動は、“個性”の応用さ!」
「“個性”の応用…どういった原理なのですか?」
「全身で“個性”を発動すると、俺の体は
「地面も…あっ、じゃああれ…
「そう! 地中に落ちる! そして、落下中に“個性”を解除すると、
「つまり、俺は瞬時に地上へ弾き出されてるのさ! これがワープの原理。あとは、体の向きやポーズで角度を調整すれば、出現場所も自由自在!」
なるほど。出久の分析は8割どころか、9割5分は当たっていたって訳か。
「何と言うか…ゲームのバグみたい?」
「ハハハッ!
芦戸の呟きに、明るく笑いだす通形先輩。うん、少々考えが足りないが、ポジティブ思考の持ち主である事は、間違い無いみたいだな。
心の中で、通形先輩の人物像をそう定義していると―
「…攻撃は全部スカせて、自由に瞬時に動ける……とっても強い“個性”に思えるけど…通形先輩の口ぶりから見て、
梅雨ちゃんが、言葉を選びながら呟いた。そう、一見強力に見えるこの“個性”には、裏がある。
「うん、この“個性”は元から強い訳じゃない。強い“個性”に
「“個性”発動中は、肺が酸素を取り込めない。吸っても透過しているからね。同様に、鼓膜は振動を、網膜は光を透過する」
「あらゆるものがすり抜ける。それは何も感じることが出来ず、ただただ質量を持ったまま、落下の感覚がある…というだけなんだ」
「わかるかな? そんなだから、壁一つを抜けるにしても、まず片足以外を発動して壁を抜け、もう片方の足を解除して接地。そして残った足を発動させてすり抜ける。と幾つかの工程が要るんだよね」
「………急いでる時、ミスる自信あるな」
「おまけに、何も感じなくなってるんじゃ、動けねー…」
通形先輩が語る『透過』の“個性”。そのあまりにテクニカルな性質に、呆然と呟く瀬呂と峰田。そんな2人に通形先輩は大きく頷き、話し続ける。
「そう、案の定俺は遅れた! ビリっけつまで、あっという間に落っこちた。ついでに服も落ちた」
「だけど俺は、
「その人は言った。『この“個性”で上を目指すには、遅れを取っては駄目だ。大切なのは予測! 周囲の行動を誰よりも早く察知し! 時にそれを利用して、相手を欺く! 何よりも『予測』が必要だ!』と」
「そして、その予測を可能にするのは、現場での濃密な経験! そこから導き出される経験則が予測を立てる!」
「もちろん動きを予測出来ても、こっちが動けなくちゃ話にならない。予測した相手の動きに対し、最適な行動を最短の工程で実行する! 相手の動きを予測してからどう動くか考えてたんじゃ、到底間に合わないから、反射的に最適な行動を取れるよう、文字通り体に覚え込ませた。何十、何百ものパターンを一つ一つ、反復練習でね」
「話が長くなったけど、俺が伝えたかったのはこういう事!
「それはとても恐ろしい事だよ。時には人の死に立ち会う事もあるし、自分の命が危険に晒される事だってある。けれど、怖い思いも、恐ろしい思いも、全てが学校での授業や訓練では手に入らない一線級の『経験』!」
「俺は、
「だから! 怖くてもやるべきだと思うよ! 1年生!!」
力強くそう宣言した後、『吸阪君に完敗した後だから、説得力に欠けるけどね』と、笑う通形先輩。
まぁ、俺が完勝出来たのは、先輩の戦い方が俺の戦い方と相性が良かった事とと、“個性”を事前に知る事が出来た点が大きいからな。
もしもこの模擬戦で、先輩の“個性”を始めて見ていたとしたら…負けないまでも苦戦は免れなかっただろう。
「それじゃあ、教室に戻るとするか」
相澤先生の一言で俺達は教室へと戻り始める。うむ、なんだかんだで良い経験が出来たな。
「通形君、天喰君、波動さんの3人は、これから生徒指導室まで来るように。特に天喰君と波動さん。2人にはしっかりとお説教しないといけないわね」
BIG3の3人は、これからミッドナイト先生からお説教みたいだけど…まぁ、頑張ってください。
出久side
色々あった今日の授業も無事終了し、
1年生の
『はぁ!? いんたぁん!? 誰だ君は!?』
「グリュンフリートです。
『…サラリと流すとは、大物になったもんだな。グリュンフリート』
「恐縮です」
『だが、悪ィな。俺は今
「そうですか…」
『お前さん、2300を超える指名があったんだから、別に俺へ拘る必要もないだろう?』
「それはそうなのですが…やっぱり、オールマイトに近い方のもとで学びたいと言いますか…」
『ふむ…それなら、直接
「オールマイトに……良いんでしょうか? 相澤先せ…担任からは、体育祭で得たコネを使ってと言われているのですが…」
「体育祭で得ていようが、その前から得ていようが、コネはコネだ。使う事に問題はあるまい。それに
グラントリノから聞かされたその名前が、この後に待ち受ける大きな事件の幕開けになるとは、僕はその時予想もしていなかった…。
死柄木side
トゥワイスが街で偶然出会った
小規模ながら裏社会に根強い影響力を持つ指定
そう思って、会談の機会を設けた訳だが―
「あぁ、血が付いた…汚いな……これだから嫌なんだ」
会談の結果を言ってしまえば、
「ぐぁぁぁっ…!」
しかも、俺や先生が侮辱されたことに激高した絶無が、奴に殴りかかり…右腕を丸ごとと、左腕の肘から先を
確実に奴の首を落とせるタイミングだったが…何らかの“個性”で潜んでいた伏兵からの銃撃を、
「穏便に済ましたかったよ…
「こうなるとお互いに冷静な判断を欠く。戦力を削りあうのも不毛だろう?」
「先に手を出したのはそっちだが…それは実行犯の腕を消した事で、お相子ということにしておく」
「頭を冷やして……後日また話そう」
俺達へ一方的に自分の意見を押し付け、姿を現した手下どもとその場から立ち去ろうとするオーバーホール。
「てめェ! 殺してやる!!」
「弔君、私刺せるよ。刺すね」
そんな奴にトゥワイスやトガは、今にも飛び出しそうだが…
「………駄目だ」
俺は敢えて、それを止めた。
「責任取らせろ! 絶無の腕…俺のせいだよ!」
トゥワイスの気持ちはわかるが…それでも、
「賢明な判断だ。手だらけ男」
「すぐにとは言わないが…なるべく早めが良い。よく考えてくれ…今後の事とか色々……」
「冷静になったら、電話してくれ」
自らの名刺を俺へと投げ渡し、去っていくオーバーホール。奴と手下どもの気配が完全に消えた頃―
「死柄木弔…申し訳ありません! あの時、奴の首を落としていれば……俺の責任です!」
消し飛ばされた腕を再生させた絶無が、俺に土下座。
「違う! 最初にアイツと接触したのは俺だ! 俺が悪いんだ!」
続けて、トゥワイスも俺に土下座してきた。
「お前ら、頭を上げろ。奴に会うと決めたのは俺だ。だから、最終的な責任は俺にある」
俺は2人にそう言いながら、さっき絶無が弾いた弾丸を拾い上げる。一見普通の…いや、
「いくら小規模とはいえ、
「黒霧に連絡を取って、こっちと合流させろ! ドクターに、
俺の勘が、こいつは
見ていろよ、オーバーホール…
最後までお読みいただき、ありがとうございました。