出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お楽しみ頂ければ、幸いです。


第16話:校外活動(ヒーローインターン)のススメ

雷鳥side

 

 さて、通形先輩との模擬戦も無事終了。俺の一撃で顎を打ち抜かれ、気絶した通形先輩もすぐに目を覚ましたのだが―

 

「ねぇねぇ、天喰が()()()()()()()()()()()よ。不思議!」

 

 なぜか、天喰先輩まで気絶していた。数分後、天喰先輩も目を覚ますが―

 

「………ミリオが負けたのか…この現実、受け入れないと…」

 

 すぐさま壁と睨めっこしながら、色々呟き始めた。うん、暫く放っておこう。

 

「それじゃあ、校外活動(ヒーローインターン)について語らせてもらおうかな! 相澤先生風に言うなら、()()()()()だからね!」

 

 そんな中元気良く声を上げる通形先輩。さて、何を語るのやら…

 

「早速だけど、皆に質問! 俺の“個性”強かった?」

「強いと思います! 途中まで吸阪君の攻撃、全然当たらなかったし!」

「攻撃すり抜けるし、ワープするだし! 轟みたいな複合型(ハイブリッド)ですか!?」

 

 先輩の問いかけに、すぐさま声を上げる麗日と芦戸。たしかに、複合型(ハイブリッド)と誤解しても無理は無いが…その実態は―

 

「私、知ってるよ“個性”。ねぇねぇ、言ってい? 言ってい!? トーカ」

「波動さん、今はミリオの時間だ」

 

 ……波動先輩(あの人)、空気を読むって言葉を知らんのか?

 

「いや1つ! 『透過』なんだよね!」

 

 通形先輩もそれが解っているのか、波動先輩の発言をサラリと流し、説明を開始した。

 

「君達がワープと言っていたあの移動は、“個性”の応用さ!」

「“個性”の応用…どういった原理なのですか?」

「全身で“個性”を発動すると、俺の体は()()()()()()()()()()()! もちろん、地面もね!」

「地面も…あっ、じゃああれ…()()()()()()ってこと?」

「そう! 地中に落ちる! そして、落下中に“個性”を解除すると、()()()()()()()()()()。質量のある物が重なり合うことは出来ないらしく…()()()()()()()んだよね」

「つまり、俺は瞬時に地上へ弾き出されてるのさ! これがワープの原理。あとは、体の向きやポーズで角度を調整すれば、出現場所も自由自在!」

 

 なるほど。出久の分析は8割どころか、9割5分は当たっていたって訳か。

 

「何と言うか…ゲームのバグみたい?」

「ハハハッ! 言い得て妙(イーエテミョー)!!」

 

 芦戸の呟きに、明るく笑いだす通形先輩。うん、少々考えが足りないが、ポジティブ思考の持ち主である事は、間違い無いみたいだな。

 心の中で、通形先輩の人物像をそう定義していると―

 

「…攻撃は全部スカせて、自由に瞬時に動ける……とっても強い“個性”に思えるけど…通形先輩の口ぶりから見て、()()()()()()()()ね」

 

 梅雨ちゃんが、言葉を選びながら呟いた。そう、一見強力に見えるこの“個性”には、裏がある。

 

「うん、この“個性”は元から強い訳じゃない。強い“個性”に()()んだよね」

「“個性”発動中は、肺が酸素を取り込めない。吸っても透過しているからね。同様に、鼓膜は振動を、網膜は光を透過する」

「あらゆるものがすり抜ける。それは何も感じることが出来ず、ただただ質量を持ったまま、落下の感覚がある…というだけなんだ」

「わかるかな? そんなだから、壁一つを抜けるにしても、まず片足以外を発動して壁を抜け、もう片方の足を解除して接地。そして残った足を発動させてすり抜ける。と幾つかの工程が要るんだよね」

「………急いでる時、ミスる自信あるな」

「おまけに、何も感じなくなってるんじゃ、動けねー…」

 

 通形先輩が語る『透過』の“個性”。そのあまりにテクニカルな性質に、呆然と呟く瀬呂と峰田。そんな2人に通形先輩は大きく頷き、話し続ける。

 

「そう、案の定俺は遅れた! ビリっけつまで、あっという間に落っこちた。ついでに服も落ちた」

「だけど俺は、()()()()()()と出会い、その人の教えを受けた事で…一気に伸びる事が出来た」

「その人は言った。『この“個性”で上を目指すには、遅れを取っては駄目だ。大切なのは予測! 周囲の行動を誰よりも早く察知し! 時にそれを利用して、相手を欺く! 何よりも『予測』が必要だ!』と」

「そして、その予測を可能にするのは、現場での濃密な経験! そこから導き出される経験則が予測を立てる!」

「もちろん動きを予測出来ても、こっちが動けなくちゃ話にならない。予測した相手の動きに対し、最適な行動を最短の工程で実行する! 相手の動きを予測してからどう動くか考えてたんじゃ、到底間に合わないから、反射的に最適な行動を取れるよう、文字通り体に覚え込ませた。何十、何百ものパターンを一つ一つ、反復練習でね」

「話が長くなったけど、俺が伝えたかったのはこういう事! 校外活動(ヒーローインターン)において、俺達は『お客』ではなく、1人のサイドキック・同列(プロ)として扱われる!」

「それはとても恐ろしい事だよ。時には人の死に立ち会う事もあるし、自分の命が危険に晒される事だってある。けれど、怖い思いも、恐ろしい思いも、全てが学校での授業や訓練では手に入らない一線級の『経験』!」

「俺は、校外活動(ヒーローインターン)で得た経験を力に変えて、ここまで強くなれた!]

「だから! 怖くてもやるべきだと思うよ! 1年生!!」

 

 力強くそう宣言した後、『吸阪君に完敗した後だから、説得力に欠けるけどね』と、笑う通形先輩。

 まぁ、俺が完勝出来たのは、先輩の戦い方が俺の戦い方と相性が良かった事とと、“個性”を事前に知る事が出来た点が大きいからな。

 もしもこの模擬戦で、先輩の“個性”を始めて見ていたとしたら…負けないまでも苦戦は免れなかっただろう。

 

「それじゃあ、教室に戻るとするか」

 

 相澤先生の一言で俺達は教室へと戻り始める。うむ、なんだかんだで良い経験が出来たな。

 

「通形君、天喰君、波動さんの3人は、これから生徒指導室まで来るように。特に天喰君と波動さん。2人にはしっかりとお説教しないといけないわね」

 

 BIG3の3人は、これからミッドナイト先生からお説教みたいだけど…まぁ、頑張ってください。

 

 

出久side

 

 色々あった今日の授業も無事終了し、(ハイツ・アライアンス)へ戻った僕は、夕食の準備に取り掛かる前に、自室でグラントリノへ連絡を取っていた。

 1年生の校外活動(ヒーローインターン)については、まだ様子見の段階。だけど、話を通しておく事に問題は無い筈だ。

 

『はぁ!? いんたぁん!? 誰だ君は!?』

「グリュンフリートです。校外活動(ヒーローインターン)をグラントリノは受け付けていらっしゃるのか、気になったもので」

『…サラリと流すとは、大物になったもんだな。グリュンフリート』

「恐縮です」

『だが、悪ィな。俺は今()()()()()()()世話は無理だぜ』

「そうですか…」

『お前さん、2300を超える指名があったんだから、別に俺へ拘る必要もないだろう?』

「それはそうなのですが…やっぱり、オールマイトに近い方のもとで学びたいと言いますか…」

『ふむ…それなら、直接オールマイト(師匠)に相談してやれ。俊典(アイツ)も、これからは教育に専念すると息巻いてんだ』

「オールマイトに……良いんでしょうか? 相澤先せ…担任からは、体育祭で得たコネを使ってと言われているのですが…」

「体育祭で得ていようが、その前から得ていようが、コネはコネだ。使う事に問題はあるまい。それに俊典(アイツ)なら、適任の奴を紹介してくれる筈だ。()()()()()()()の―」

 

 グラントリノから聞かされたその名前が、この後に待ち受ける大きな事件の幕開けになるとは、僕はその時予想もしていなかった…。

 

 

死柄木side

 

 トゥワイスが街で偶然出会った(ヴィラン)、『オーバーホール』。

 小規模ながら裏社会に根強い影響力を持つ指定(ヴィラン)団体、『死穢八斎會(しえはっさいかい)』の若頭として名を知られている奴と手を組む事は、俺達(ヴィラン)連合にとって(プラス)になる。

 そう思って、会談の機会を設けた訳だが―

 

「あぁ、血が付いた…汚いな……これだから嫌なんだ」

 

 会談の結果を言ってしまえば、()()()()()()()()()()

 

「ぐぁぁぁっ…!」

 

 しかも、俺や先生が侮辱されたことに激高した絶無が、奴に殴りかかり…右腕を丸ごとと、左腕の肘から先を()()()()()()()

 確実に奴の首を落とせるタイミングだったが…何らかの“個性”で潜んでいた伏兵からの銃撃を、()()()()()()分、反応させる時間を与えてしまったのが…失敗だったな。

 

「穏便に済ましたかったよ…(ヴィラン)連合」

「こうなるとお互いに冷静な判断を欠く。戦力を削りあうのも不毛だろう?」

「先に手を出したのはそっちだが…それは実行犯の腕を消した事で、お相子ということにしておく」

「頭を冷やして……後日また話そう」

 

 俺達へ一方的に自分の意見を押し付け、姿を現した手下どもとその場から立ち去ろうとするオーバーホール。

 

「てめェ! 殺してやる!!」

「弔君、私刺せるよ。刺すね」

 

 そんな奴にトゥワイスやトガは、今にも飛び出しそうだが…

 

「………駄目だ」

 

 俺は敢えて、それを止めた。

 

「責任取らせろ! 絶無の腕…俺のせいだよ!」

 

 トゥワイスの気持ちはわかるが…それでも、()()()()()()()

 

「賢明な判断だ。手だらけ男」

「すぐにとは言わないが…なるべく早めが良い。よく考えてくれ…今後の事とか色々……」

「冷静になったら、電話してくれ」

 

 自らの名刺を俺へと投げ渡し、去っていくオーバーホール。奴と手下どもの気配が完全に消えた頃―

 

「死柄木弔…申し訳ありません! あの時、奴の首を落としていれば……俺の責任です!」

 

 消し飛ばされた腕を再生させた絶無が、俺に土下座。

 

「違う! 最初にアイツと接触したのは俺だ! 俺が悪いんだ!」

 

 続けて、トゥワイスも俺に土下座してきた。

 

「お前ら、頭を上げろ。奴に会うと決めたのは俺だ。だから、最終的な責任は俺にある」

 

 俺は2人にそう言いながら、さっき絶無が弾いた弾丸を拾い上げる。一見普通の…いや、手詰め(ハンドロード)だな…。

 

「いくら小規模とはいえ、手詰め(ハンドロード)の拳銃弾を使うほど懐が寂しい筈もない…こいつは何か()()()()な…」

「黒霧に連絡を取って、こっちと合流させろ! ドクターに、()()()()調()()()()()()!」

 

 俺の勘が、こいつは()()()()()だと…そして、あの野郎に()()()()()()()()()()()代物だと告げている!

 見ていろよ、オーバーホール…敵連合(俺達)を甘く見た代償は、利子付きで返してもらう! 




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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