出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お楽しみ頂ければ、幸いです。


第17話:オールマイトの元サイドキック

雷鳥side

 

「1年生の校外活動(ヒーローインターン)ですが、昨日の職員会議で協議した結果…校長をはじめ、多くの先生が『やめとけ』という意見でした」

 

 通形先輩との模擬戦から1日。朝のHR(ホームルーム)で相澤先生から聞かされた内容は、ある意味予想通りのものだった。

 

「えー! あんな説明会までして!?」

「でも、全寮制になった経緯から考えたら、そうなるのも仕方ないだろ…」

 

 残念そうに声を上げる切島や、状況を鑑みて仕方がないと結論付ける瀬呂等、反応は様々だが…相澤先生の咳払い一つですぐさま静まり返る。

 

「だが、今の保護下方針では強いヒーローは育たない。という意見もあり、今後の方針としては、『インターン受け入れの実績が多い事務所に限り、1年生の実施を許可する』という結論に至りました」

 

 ふむ、条件付きでGOサインか…まぁ、妥当なところだな。そう言えば…出久が校外活動(ヒーローインターン)について、オールマイトに()()()()()()()()とか言っていたな。後で付いて行ってみるか。

 

 

 さて、今日の授業も無事に終了。オールマイトへ会いに、職員室へ向かった訳だが―

 

「サ、サー・ナイトアイに、校外活動(ヒーローインターン)の、し、紹介をしてもらえるか…だって!?」

 

 痩身状態(トゥルーフォーム)で書類仕事に勤しんでいたのオールマイトは、出久の言葉で大いに動揺していた。

 

「はい、オールマイトの下で働いたという数少ないヒーローの1人。ですよね?」

 

 だが、出久はオールマイトの動揺を()()()無視して、言葉を続けていく。それを見て―

 

「………随分急な話だけど、どこから彼の話が上がったのかな?」

 

 オールマイトも覚悟を決めたのか、動揺を静めて出久の話を聞き始めた。

 

「……なるほど、校外活動(ヒーローインターン)の件でフライング気味に、グラントリノから…」

「そういう訳ですので、紹介の方をお願いします!」

「俺の紹介も是非、お願いします!」

 

 事情を説明し、頭を下げる出久。俺も一緒に頭を下げる。

 

「…断リマス」

 

 だが、オールマイトの返答は拒否だった。

 

「意地悪で言ってるんじゃないぞ。理由は()()()()

 

 なるほど、ちゃんとした理由がある訳か。聞かせていただきましょう。

 

「1つ、私は昨日の会議で反対派だ。(ヴィラン)の活性化を考えると、1年生は今焦って現場に出るよりも、地力を高める事を優先するべきだと思う」

「あら、A組の子達で地力が足りないなら、()()()()()()()()()()な子がかなりいることになりません?」

「僕もミッドナイト先生と同意見です」

「…2つ、2人はそれぞれのスタイルをもっと磨いてからでも良いと思う」

「2人ヲ含メタA組ハ、良ク頑張ッテイルト思ウガ」

「そうですね。A組は全員、()()()()()()()()()()()事が出来ています。現時点で下手なサイドキック以上の実力はあるでしょう。そもそも2人は、期末試験の時点で本気のオールマイトさん相手に30分持ち堪えた実績があります。自分達のスタイルをしっかり確立してますよ」

「………グフッ」

 

 口にした理由が次々と周りの先生達に論破され、静かに喀血するオールマイト。

 うん、俺がツッコミを入れるまでもなかったな。さて、3つ目の理由はどんなものかな?

 

「………3つ目……訳あって気マズイ」

「私情かよ! オールマイト!!」

 

 …プレゼント・マイク先生。見事なツッコミ、ありがとうございます。

 

「………マイク、やめて…」

 

 SHI・JO・U! SHI・JO・U! と連呼するプレゼント・マイク先生から必死に顔を逸らし、項垂れるオールマイト。何というか…弄られキャラを確立した?

 まぁ、他の先生方から思いもよらぬ援護を貰えたんだ。一気に話を詰めていくか。

 

「オールマイトの仰りたい事はわかりました。しかしながら、3つとも決定的な理由にはなりませんよね。()()()()()()

「……うん」

「サー・ナイトアイと気まずくなった理由は存じ上げませんが、これを機会に和解なさったらどうです? 今回俺と出久を紹介する事が、良い切っ掛けになる。そう考えられなくもないと、愚考しますが?」

 

 そう言って、再度頭を下げる俺と出久。

 

「………吸阪少年の言いたい事はわかるが…紹介は出来ないな…()()()()…ね」

 

 オールマイトの返答は、理想的とは言えないが…まぁ、良しとしておくか。

 

 

出久side

 

 職員室でオールマイトと話した翌日の放課後。僕と雷鳥兄ちゃんはオールマイトが待つ仮眠室へやって来た訳だけど…。

 

「あーなーたーがァァァァァ、いる!! っつってね!」

「すみませんね! オールマイトに呼ばれて、うかれてますね!」

 

 何故か、通形先輩も仮眠室へ来ていた。

 

「あの…状況がよく掴めないのですが…」

「いやぁ、奇遇だね。実は僕もなんだよね」

 

 互いに訳が解らないまま、僕達3人はオールマイトに促され、ソファーへ座っていく。そして―

 

「通形少年は現在、ナイトアイの下で校外活動(ヒーローインターン)を行っている」

 

 オールマイトから伝えられたのは、意外な事実だった。

 

「そうか、昨日通形先輩が言っていた()()()()()()って!」

「そうだよ、もう1年は継続してもらってるんだよね!」

「じゃあ、卒業後はサイドキック入り確定ですね!」

「サーの気が変わらなければね」

「正式にサイドキックとなるなら、もう少し発言には気を付けた方が良いと思いますよ」

「うん、その事は昨日ミッドナイト先生から、徹底的に怒られたよ! こう見えても反省してるんだよ」

「それなら良いですけど」

 

 うん、昨日の今日だから、通形先輩に対する雷鳥兄ちゃんの()()()()()()な。

 喧嘩にはならないと思うけど、必要ならフォローを入れないと…。

 

「では、本題に入ろう。通形少年から見て、吸阪少年と緑谷少年は、ナイトアイの下で働けると思うかい?」

「ん……」

 

 オールマイトの問いかけに、通形先輩は少し考えこみ―

 

「なるほど! 話ってのはそういう事ですね! 2人をサーに紹介してやれと!!」

 

 オールマイトの問いかけ、その真意を見事に見抜いた。なるほど、昨日()()()()と言っていたのは、そういう事だったのか。

 

「しかし、なんで俺をクッションに? オールマイトから直接言えば、喜びますよ。いつも動画眺めてますし」

「正直…合わせる顔がない。私は結局、()()()()()()()()()()()()からね」 

「…?」

 

 オールマイトが苦い表情で口にした、()()()()という言葉。オールマイトとサー・ナイトアイの間には、僕達が知らない()()があるみたいだ。そんな事を考えている内に―

 

「で! 2人はどうだろうか?」

「そうですね…実力は申し分無いと思いますよ。2人とも、俺より強いだろうし…あとは、サーとの()()()()()()ですね。こればっかりは、実際に会ってみないと何とも」

「だから、俺からサーへ紹介するのは、構いませんよ。断る理由もありませんし」

 

 通形先輩がサー・ナイトアイへの紹介を引き受けてくれた為、この場は解散となった。 

 

 

オールマイトside

 

「ふぅ…」

 

 少年達が退室した後、私は大きく息を吐きながら、ソファーに座り込んだ。

 

「通形ミリオ…か」

 

 吸阪少年と緑谷少年をサー・ナイトアイへ紹介する事を引き受けてくれた通形少年。

 彼としっかり話をしたのは、今回が初めてだったが…彼の存在自体は以前からよく知っていた。

 そう、あれは緑谷少年に『ワン・フォー・オール』を譲渡すると決めた直後―

 

 -まさしく後継に相応しい人間がいる。決して褒められた成績じゃないが、存在感のある生徒さ-

 -彼の周りには、よく笑い声が響いている。最底辺の成績でも、笑顔だけは絶やさない-

 -君の言うヒーロー観にピッタリじゃないか?-

 

 根津校長から後継者として推薦された少年。もしも、緑谷少年と出会っていなかったら、彼は私の…

 

 

雷鳥side

 

 仮眠室でのやりとりから3日。俺と出久は、無事にサー・ナイトアイの事務所で校外活動(ヒーローインターン)を行う事となり、今日はその初日だ。

 

「ここがサーの事務所だよ」

 

 雄英高校の最寄り駅から電車に乗って1時間。通形先輩の案内でやって来たのは、オフィス街にある5階建ての事務所。

 

「言いそびれていたけど、サーはとても厳しいんだよね」

「存じております」

「自分にも他人にも厳しく、ストイックな仕事が有名なヒーロー、サー・ナイトアイ。モニター越しでも、あの鋭い眼差しは…かなりのものでした」

 

 俺の言葉に続き、詳しい説明を入れてくれる出久。だが―

 

「うん、それもだけどね…」

「サーには、メディアと違う()()()()()()()()()

 

 通形先輩は、出久も知らない情報を教えてくれた。

 

「君達が門前払いされたくないのなら、これからサーと会って、話し終わるまでに必ず1回()()()()()()()()()

「へ?」

「はぁ?」

「サーはああ見えてというか…だからこそというか…ユーモアを()()()()()()()んだ」

 

 通形先輩の話を聞きながら、俺と出久は面接会場であるサー・ナイトアイのオフィスへと進んでいく。

 

「俺が出来るのは紹介までで、君達を使うかどうかはサーが決める」

「俺も協力してやりたいけど、ここからは君達の力だけで、サーに認めてもらうしかない」

「なるほど…まぁ、最善は尽くしますよ」

「通形先輩にここまでやってもらったんですから…絶対に認めてもらいます」

「うん、頑張って! 一緒に校外活動(ヒーローインターン)やれることになったら、また色々教えるよ。困ったら、何でも聞いてね」

「困っている人がいたら助けちゃうのが、ヒーローの基本だから」

「「はい!」」

 

 初対面での印象は悪かったが…こうしてみると、良い人ではあるんだよな。うん。

 

「さて、あのドアの先だ。強くなりたいなら、己で拓け!」

 

 通形先輩に促され、俺達はオフィスのドアをノックと共に開く。

 

「「失礼します!」」

 

 そこには―

 

「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」

「まったく…大きな声出るじゃないか」

「やめてー! 許して下ヒャヒャヒャ!」

 

 戦闘服(コスチューム)に身を包んだ若い女性が、怪しげな機械に拘束され、()()()()()()()()

 

「………出久、警察に通報しろ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…とな。俺は労基*1に、セクハラとパワハラの通報をする」

「わかった!」

「ちょ、ちょっと待って! 2人とも! 通報は待って!」

 

 それぞれスマホを取り出し、通報しようとする俺達を慌てて止める通形先輩。

 こうして、俺と出久の校外活動(ヒーローインターン)は、波乱の幕開けとなったのだった。

*1
労働基準監督署の略




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