出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お楽しみ頂ければ、幸いです。



第25話:家宅捜索(ガサ入れ)開始

雷鳥side

 

 さて、待機している警官隊と合流する為、警察署へ移動した俺達は、そこで死穢八齋會(しえはっさいかい)事務所に関する最新情報を渡された。

 そこに書かれていたのは、死穢八齋會(しえはっさいかい)事務所、そして組長邸宅に存在する届出の無い地下施設について。

 会議に参加していたヒーロー達がそれぞれの地元で調査を行っている間、ナイトアイ達が調査を行い、突き止めたものだ。

 生憎、施設全体を把握する事は叶わなかったが、それでも地下への入口と最深部までの最短経路(ルート)は判明している。これは、無駄に広い敷地を捜索するにあたって、特に有益な情報だろう。

 

「しかし、最深部を目指すと言っても、“個性”を駆使されれば、捜索は難航する」

「そこで、判明している範囲ではあるが、死穢八齋會(しえはっさいかい)の登録“個性”をリストアップしておいた。頭に入れといてくれ!」

「こういうのをパッと出せるのは良いよな」

 

 刑事さんから渡されたリストを読みながら、ヒーローの1人がしみじみ呟いているが…同感です。

 そうしている間に時間となり―

 

「対象に隠蔽の時間を与えぬ為にも、全構成員の確認、捕捉等を可能な限り迅速に行いたい」 

 

 刑事さんの淡々とした声が響き始めた。

 

「決まったら早いッスね!」

「君、朝から元気だな…」

 

 話を聞きながらも、やる気満々の切島(レッドライオット)や―

 

「緊張してきたけど…頑張らなきゃ!」

「探偵業のようなことから、警察との協力…知らないことだらけ」

「ね! 不思議だね!」

「こういうのって、学校じゃ深く教えてくれなくて、新人時代苦労したよ」

 

 梅雨ちゃん(フロッピー)麗日(ウラビティ)達。うん、固くなりすぎることもなく、程良い緊張感を保てているな。

 

「雷鳥兄ちゃん…グラントリノが、いないよ…どうしたんだろ?」

 

 出久が異変に気付いたのはその時だ。その言葉通り、グラントリノがいつの間にか姿を消している。

 

「変だな。警察署(ここ)に来るまでは一緒だったんだが…」

「あの人は別件で動かれる事になった」

 

 俺の疑問に答えたのは、ナイトアイ。そして彼と話していた刑事さん。なんでも、(ヴィラン)連合の方に大きな動きがあったようで、警官隊の3割を引き連れてそちらに急行されたとの事だ。

 

「そうですか。(ヴィラン)連合に動きが…」

「君達と一緒に戦えない事を悔しがっておられたよ。だが、()()()()()()()()()()戦力には余裕を持たせておいた。(ヴィラン)連合の方へ向かった分を差し引いても、作戦への影響は許容範囲内と言っていい」

「グラントリノの欠けた分は、君達の働きに期待させてもらう。頼んだよ、オールマイトの愛弟子達」

「はい、頑張ります!」

「若輩者ですが、微力を尽くします」

 

 ナイトアイと刑事さんの言葉にそう答え、俺と出久は気合を入れ直す。そして―

 

「ヒーロー。多少()()()()()()()()()()()

「少しでも怪しい素振りや犯行の意思が見えたら、すぐ対応を頼むよ!」

「相手は仮にも、今日まで生き延びた極道者。くれぐれも気を緩めずに、各員の仕事を全うしてほしい!」

「出動!」

 

 刑事さんの一言で、一斉に動き出すヒーローと警官隊。さぁ、いよいよだ!

 

 

出久side

 

 死穢八齋會(しえはっさいかい)事務所前に到着した僕達は、作戦開始まで5分を残した段階でいつでも飛び出せる体制を整えたんだけど…

 

「なぁ、あれ…何だと思う?」

 

 不意に切島君(レッドライオット)が、僕達に声をかけてきた。言われるまま彼が指差した方向を見ると、そこには白と黒でカラーリングされ、パトランプを装備した大型トラックが停車していた。

 

「パトランプが付いているから、警察関係の車両だと思うけど…警察署では見ていないね。人員輸送車…いや、違うな」

 

 正体がわからず、首を傾げていると―

 

「あれは、SVCの車両やな」

 

 近くにいたファットガムが詳細を教えてくれた。

 

「SVC…特別指定(ヴィラン)犯罪対策班の略称…やった筈。半月前、警察庁の肝入りで新設された特殊部隊や」

「メンバーは全国都道府県の警察から選抜された凄腕ばかり。一定の条件付きやけど“個性”の使用も許可されとるって話や」

「なるほど…」

 

 ファットガムの説明に感心していると、トラックから降りた5人組がこちらへ近づいてきた。

 パトカーを連想させる白と黒のカラーリングが施された、フルアーマータイプの戦闘服(コスチューム)。ヒロイックな外見なのは、一般市民に与える印象を考慮しているのかな?

 そんな事を考えている間に、SVCの5人は刑事さん達や周りのヒーローと敬礼を交わしながら、集団に合流。同時に作戦開始の時刻となった。

 

「令状を読み上げたら、ダーッ! と! 行くんで! 速やかによろしくお願いします」

「ケッ、しつこいな。信用されてねえのか」

「集中しましょ。ロックロック」

「そういう意味やないやろ。いじわるやな」

「ふん」

 

 刑事さんの確認に不満を漏らし、サイドキックやファットガムに窘められるロックロック。悪い人ではなさそうだけど、口の悪さで損している感じ…かな。

 

「そもそもよぉ、ヤクザ者なんてコソコソ生きる日陰者だ」

「ヒーローや警察見て、案外縮こまっちまったりしてな」

 

 ロックロックの軽口が続く中、刑事さんが正門へと近づき、インターホンへ手を伸ばす。

 

「グリュンフリート!」

 

 次の瞬間、何かに気づいた雷鳥兄ちゃん(ライコウ)が動いた。

 

「ワン・フォー・オール、フルカウル! 42%!」

 

 僕も『フルカウル』の出力を最大(42%)まで高めながら、前へと飛び出す。その直後―

 

「何なんですかぁ!」

 

 筋骨隆々の巨漢が、拳の一振りで門を吹っ飛ばしながら姿を現した。

 

「朝から大人数でぇ!」

 

 巨漢は完全に不意を突かれ、反応も儘ならない警官達に殴りかかるけど、そうは問屋が卸さない。

 

「出力全開! ライトニングウォール!!」

 

 警官達を庇うように割って入った雷鳥兄ちゃん(ライコウ)が、最大出力かつケラウノスで増幅した電磁バリア(ライトニングウォール)で、巨漢の一撃を受け止め―

 

「ダブル44MAGNUM(フォーティーフォーマグナム)! スマァァァァァッシュ!!」

 

 僕が必殺の諸手突きを叩き込む!

 

「ぬぉぉぉぉぉっ!」

 

 10m程の距離を回転しながら吹き飛んでいく巨漢。並の相手なら、これで戦闘不能になる筈だけど…

 

「今のは…痛かったぞぉ!」

 

 残念ながら、並の相手じゃなかった。その巨体に見合うだけの耐久力の持ち主なのは、間違いなさそうだ。

 

「オイオイオイ、待て待て!!」

「感づかれたのかよ!!」

「いいから皆で取り押さえろ!!」

 

 不意打ちを許してしまったことで、浮足立つ警官隊と一部のヒーロー。

 

「もぉ…何の用ですかぁ!!」

 

 それを見て、再度突撃してくる巨漢。

 

「離れて!!」

 

 それを防いだのは―

 

「とりあえず、ここに人員割くのは違うでしょう。この男はリューキュウ事務所で対処します!」

「皆は引き続き仕事を!」

 

 “個性”を発動し、巨大なドラゴンに変身したリューキュウ! やっぱり生で見ると凄い迫力だ!

 

「はい! 今のうちに!」

 

 リューキュウが巨漢を抑えつけている間に、僕達は一気に敷地内へと突入。

 

「私達はリューキュウのサポートだよ!」

「「はい!」」

 

 麗日さん(ウラビティ)梅雨ちゃん(フロッピー)、波動先輩は数人のサイドキックと一緒に、リューキュウのサポートに回るみたいだ。

 

「梅雨ちゃん! 麗日! 頑張ろうな!」

「また後で!」

「お互い、油断せずにいこう!」

 

 僕と雷鳥兄ちゃん(ライコウ)切島君(レッドライオット)はそれぞれに一声かけ、奥へと走っていく。ここからは時間との勝負だ!

 

 

イレイザーヘッド(相澤消太)side

 

「おぉい! 何じゃてめぇら!」

「勝手に上がり込んでんじゃねー!」

 

 一気に敷地内へ侵入した俺達に対し、イメージ通りの反応を返すヤクザ達。

 

「ヒーローと警察だ! 違法薬物製造及び販売の容疑で、捜索令状が出ている!」

「知らんわ!」

 

 警察の通告も一切無視で、“個性”を用いて抵抗してくる始末だ。

 

「っと! おとなしくしといて!」

 

 当然、次々と無力化、拘束されていく訳だが―

 

「やったれ! こうなりゃ()()じゃ!」 

「死なば諸共! ありったけ持ってこい!」

 

 すぐに新手のヤクザ達が、建物の中から次々と飛び出してきた。それも()()()()()()を手に…。

 

「ちょっと待て…」

 

 拳銃ならわかる。散弾銃(ショットガン)短機関銃(サブマシンガン)も、許容範囲だ。だが―

 

「あれは、南アフリカ製の汎用機関銃『SS-77』! それからロシア製の突撃銃(アサルトライフル)『AK-12』! それも90連ドラムマガジン仕様じゃないか! 本気で戦争やる気かよ!」

 

 やたらと銃に詳しい様子の警官が叫んだ通り、突撃銃(アサルトライフル)や汎用機関銃まで持ち出してくるとは、ハッキリ言って()()()()()()

 

「こいつら皆殺しにしねぇと、俺達に明日は来ねえんだ!」

 

 完全に自棄を起こしたヤクザの叫びが響いた直後、拳銃から汎用機関銃まで、30を超える銃口が俺達へ向けられ―

 

「俺の後ろに下がって! 電磁バリア(ライトニングウォール)で防ぎます!」

 

 吸阪(ライコウ)が、俺達を庇うように立ち塞がった。よせ! いくらお前の電磁バリアが強力でも、あれだけの火力を防ぐのは!

 

「撃ち殺せやぁっ!」

 

 次の瞬間、一斉に火を噴く銃口。無数の銃弾が一直線に吸阪(ライコウ)へ襲いかかるかと思われたが―

 

「なっ…」

 

 なんと、SVCの5人が()()()()()()()()()()()、銃弾の7割近くを防御してみせたではないか。残り3割の銃弾も、吸阪(ライコウ)の電磁バリアで防がれ、俺達は1発の被弾も無い。

 

「凄い装甲ですね。助かりました」

「いや、君の電磁バリアも大したものだ。私達だけでは、全てを防ぐ事は出来なかったからね」

 

 短く言葉を交わしながら、ヤクザを次々と無力化していく吸阪(ライコウ)とSVC。俺達も負けじとヤクザ達を打ち倒していく。

 SVC、警察の精鋭ばかりを集めた部隊と聞いてはいたが…なかなか大したものだ。

 

 

オーバーホール(治崎)side

 

 頭上で微かに響く無数の音…銃声を聞きながら、俺は施設の最深部へ歩みを進める。

 

「大人数が同じ方向に、全速力で走ってる」

「つまり、()()()()()()()()()()()()。多分、ここの事もバレてやすね。見つかったらおじゃんだ」

()()()の事が続いたからな。最悪の事態を想定しておいて良かったよ…ヒーローや警察の動きが予想よりも少々早かったが、必要最低限の備えは出来ていた」

 

 同行する玄野…クロノスタシスの声に答えながら、最悪の事態にどう対応するかを再確認していく。

 

「『俺達はここにいなかった』『今回の件を計画したのは、前々から組の方針に反抗的だった中級幹部数名』『奴らが構成員達を扇動し、上級幹部不在のタイミングで騒ぎを起こした』…そういう事にする。その為に育ててきた駒だ」

 

 そう、今回の騒ぎは全て、俺達が不在の時に起きた悲しい出来事。組の金を使って外国から銃火器を密輸入した事も、構成員達がそれを使って、ヒーローや警察に危害を加えた事も、俺達は一切知らなかった。

 

「汚い仕事をするしか取り柄の無い連中だが、こういう時には役に立つ」

 

 こういう時の為に選定しておいた鉄砲玉、八斎衆。奴らが時間を稼ぐ。その間に俺達は、隠し通すべき物全てを隠し通し…姿を消す。

 この場を切り抜ければ、逆転の目は幾らでもある。最後に笑うのは…俺だ。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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