出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
お楽しみ頂ければ、幸いです。


第26話:地下迷宮突入

切島side

 

「撃て撃て! 撃ちまくれ!」

 

 敷地内に突入し、事務所へ向けて突き進む俺達に向け、銃を乱射するヤクザ達。

 SVCの体を張った防御と、吸阪(ライコウ)が張った電磁バリア(ライトニングウォール)で、大部分の銃弾は防げているけど、それでも何人もの警察官やサイドキックが被弾して、後方へ運ばれていく。

 

「これほどの銃火器…我々の突入に対し、治崎が備えていたと考えるべきだな」

「この超人社会で、相対的に価値が下がったとはいえ、銃火器の持つ高い殺傷力は健在…ある意味合理的な判断だ」

 

 事務所入り口まであと10m足らずの所で足止めを食らう中、サー・ナイトアイと相澤先生(イレイザーヘッド)が、そんな事を話していると―

 

「手榴弾持ってこい! 手榴弾!」

 

 ヤクザ達のそんな叫び声が聞こえてきた。()()()って…そんな物まであるのかよ!?

 驚いたのも束の間、バリケードから姿を現したヤクザは、手に持った手榴弾の安全ピンを抜き―

 

「吹っ飛ばしてやる!」

 

 こちらに投げ込んだ。

 

「た、退避ぃっ!」

 

 刑事さんの声で、その場の誰もが退避しようとしたその時―

 

「大丈夫だ!」

 

 SVCの1人が、山なりの軌道で飛んできた手榴弾をノートラップで()()()()()。手榴弾は、一直線にヤクザ達の籠るバリケードへと吸い込まれ―

 

「うぉぉぉっ!?」

 

 ヤクザ達が大慌てでバリケードから飛び出した直後に爆発。バリケードを吹っ飛ばす!

 

「今だ! 突撃!」

 

 このチャンスを逃すわけにはいかない。俺達は一気に突撃!

 

「待て待ててめぇら! 何勝手に事務所入ろうとしてんだよ!」

「捜査だって言ってるでしょ!」

「暴れないでください!」

「邪魔をしない! 道を空けて! 後先考えずに暴れると後悔するよ!」

「組総出で時間稼ぎかよ…なんて破滅的な!」

 

 俺達にしがみついてでも足止めしようとしたり―

 

「キィェェェェェッ!」

「往生せいやぁ!」

「ここは我々が!」

「SVCの権限において、実力を行使する!」

 

 日本刀や匕首(あいくち)を振り回して襲いかかってくるヤクザ達への対応に、少しずつその数を減らしながら、遂に事務所へ突入出来たぜ!

 

 

出久side

 

「熱烈大歓迎やったな!」

「熱烈過ぎて、俺ぁ大分不安になってきたぜ。こうなった以上進むしかねぇけどよ!」

 

 廊下を突き進みながら、言葉を交わすファットガムとロックロック。たしかに、死穢八齋會(しえはっさいかい)の構成員が総出で、それも後々の事をまるで考えていないような妨害に打って出るなんて、予想外の一言だ。

 

「まさかとは思うが、情報がどこかから漏れてたのだろうか…抵抗の規模が大きい上に、いやに一丸となってる気が…」

「情報が漏れていたなら、もっとスマートに躱せる方法を取るだろう。恐らくは家宅捜索(ガサ入れ)が行われる事を想定して、構成員達の意思統一を図っていたってところだな」

「盃を交わせば、親や兄貴分に忠義を尽くす。肩身が狭い分、昔ながらの結束を重視してるんだろう」

 

 天喰先輩が口にした最悪の想定。それを即座に否定するのは、刑事さんと相澤先生(イレイザーヘッド)。そして―

 

「これだけの騒ぎになっても、治崎や幹部が姿を見せていない。手下に俺達を足止めさせているうちに、地下で物的証拠の隠蔽を行い、そのまま逃走する算段といったところか」

「忠義じゃねえや! そんなもん!!」

「子分に責任押しつけて逃げ出そうなんて、漢らしくねぇ!!」 

「そのとおりや!」

 

 相澤先生(イレイザーヘッド)が口にした、治崎達が今取っているであろう行動に切島君(レッドライオット)が吠え、ファットガムも同調する。

 

「……ここだ」

 

 サー・ナイトアイが僕達を止めたのは、その直後だ。

 

「この辺りに地下へと続く隠し通路。それを開く仕掛けがある筈…」

 

 そう言いながら、壁に掛けられた掛軸や、高そうな花瓶を調べ始めるナイトアイ。僕達も廊下や壁を調べるけど、仕掛けはなかなか見つからない。すると―

 

「ここで時間を取られる訳にはいかないな。ナイトアイ、ここは()()()にいきましょう」

 

 雷鳥兄ちゃん(ライコウ)が、掛軸から3mほど離れた壁の前に移動した。

 

「破片が飛ぶかもしれないんで、気を付けてくださいね」

 

 そう言いながらケラウノスを抜刀し、“個性”を発動した雷鳥兄ちゃん(ライコウ)は―

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 気合と共にケラウノスを連続で振るい、壁に偽装されていた隠し扉を()()()にしてみせた。

 

「あー…隠し扉の場所が解っているなら、仕掛けを弄るより破った方が手っ取り早いな」

「……たしかに、合理的ではある」

 

 どこか呆れた様子の相澤先生(イレイザーヘッド)とナイトアイに、思わず苦笑する僕達。

 

「「「なぁんじゃ! てめぇらぁぁぁっ!」」」

 

 そこへ聞こえてくる複数の怒声と足音。地下にいたヤクザ達が、異常に気付いて駆け上がってきたのだ。だけど―

 

「やかましい! サンダー! ブレーク!!」

「「「うぎゃぁぁぁぁぁっ!」」」

 

 雷鳥兄ちゃん(ライコウ)の放った電撃で、何も出来ないどころか、僕達に姿を見せることも無いまま、地下へと逆戻りしていった。

 

「おい、随分派手な音立てながら、転がり落ちてったみたいだが…」

「あー……骨の数本は折れてるかもしれませんね。まぁ、ヤクザに同情なんていりませんよ」

 

 ロックロックの指摘を笑顔で躱し、地下への階段を下りていく雷鳥兄ちゃん(ライコウ)。流石だなぁ。

 

 

雷鳥side

 

 さて、階段を下りて地下施設に侵入した俺達は、白目を剥き、手足が明後日の方向を向いたヤクザ達の拘束をセンチピーダーとバブルガールに任せ、事前に判明している最短経路を突き進んだ。

 

「次の角を右に」

「了解や!」

 

 ファットガムが発する威勢の良い声と共に角を曲がると―

 

「行き止まりじゃねえか!!」

 

 直線の筈の通路が、壁で塞がれていた。

 

「道、合ってんだよな!?」

「説明しろ! ナイトアイ!」

「俺、見てきます!」

 

 刑事さんとロックロックが声を上げる中、“個性”を発動した通方先輩(ルミリオン)は壁を透過。

 

「壁で塞いであるだけです! ただ、かなり厚い壁ですね」

 

 壁で隔てられた先の状況を伝えてくれた。

 

「物体の分解・修復を可能にする治崎の“個性”なら、こういう事も可能か」

「小細工をしよって!」

 

 すぐさま壁を砕こうと構えるロックロックとファットガム。だが、それよりも早く動いた者がいた。

 

「来られたら困るって、言ってるようなもんだ!」

「そだな! これで妨害出来てるつもりなら、めでてーな!!」

 

 そう、出久(グリュンフリート)切島(レッドライオット)だ。

 

44MAGNUM(フォーティーフォーマグナム)! スマァァァァァッシュ!!」

烈怒頑斗裂屠(レッドガントレット)!!」

 

 2人の同時攻撃で壁は木っ端微塵になり、直線の通路が姿を見せる。

 

「……ちったぁやるじゃねえか…」

「先越されたわ」

「それじゃあ、先に進みましょう」

 

 ロックロックとファットガムが呟く中、移動を再開しようとしたその時!

 

「おいっ! 道が…うねって変わっていく!?」

 

 地下施設、俺達のいる区域全体がうねり始め、まるで粘土細工の様に形を変えだした。

 

「治崎じゃねえ…()()()()()! 考えられるとしたら、本部長の『入中』!」

「それにしては、()()()()()()()()ぞ! 事前の情報では、奴が“入り”“操れる”のは、精々()()()()()()()()()()と!」

「いや! かなーり()()()()()()()()()()()()ない話じゃぁない…」

 

 資料との齟齬を口にするサイドキックに対し、忌々し気に呟くファットガム。非合法薬物の売買などを潰し回っていたとの話だからな。目の前で非合法薬物を使われて、怒り心頭だろう。

 

「入中の“個性”はモノに入り、自由自在に操る『擬態』! 地下を形成するコンクリに入り込んで、『生きた迷宮』となってる訳か!」

「何に化けとるか注意しとったが…まさかの『地下』。こんなん相当身体に負担かかる筈やで…イレイザー、消せへんのか!?」

()()が見えないとどうにも…吸阪(ライコウ)! お前の“個性”で探知出来ないか?」

「探知は出来るんですが…一ヶ所に留まらず、動き回ってます。常に安全圏で迷宮を操作している感じですね」

「…合理的な戦い方だ」

 

 俺の答えにそう呟く相澤先生(イレイザーヘッド)。その一方で―

 

「道を作り変えられ続けたら…目的まで辿り着けない…その間に、向こうはいくらでも逃げ道を用意出来る…即座にこの対応、判断…あぁ、ダメだ…もう……」

「治崎のもとに辿り着くどころか…俺達も……」

 

 すっかりネガティブ思考に陥っている天喰先輩。この人…本当にメンタル弱いな…

 その醜態に思わず溜息を吐きそうになったその時―

 

「環!」

「そうはならないし、おまえは! ()()()()()()だ!!」

 

 天喰先輩を叱咤する通方先輩(ルミリオン)の声が、響き渡った。

 

「そして! こんなのはその場凌ぎ! どれだけ道を歪めようとも、目的の方向さえわかっていれば、()()()()()!!」

 

 そのまま通路を塞ぐ壁へ直進する通方先輩(ルミリオン)

 

「ルミリオン!」

「先輩!」

「スピード勝負。奴らもわかっているからこその時間稼ぎでしょう!」

「先に向かってます!」

 

 その言葉を残し、壁を透過していくが…通方先輩(ルミリオン)、この状況で単独行動を取るのは…()()()()()だ!

 

「ッ!」

 

 心の中でそう叫んだ直後、床が大きく開き、俺達は下へと落とされてしまう。くそっ、やられた!

 

 

天喰side

 

「全員、無事か?」

「あぁ、落ちた高さは約一階層分…この程度の高さなら、問題無い」

 

 ナイトアイの声に、代表して答える相澤先生(イレイザーヘッド)。事実、俺達は勿論、巻き込まれる形になった刑事さんや数名の警察官にも怪我は無い。一方で―

 

「ますます目的から遠のいたぞ。良いようにやられてるじゃねえか!!」

 

 苛立ちを隠せないのか、大声を上げているロックロック。ヤクザのペースとなっている現状が、我慢出来ないのだろう。

 

「おいおいおいおい。空から国家権力が…」

「ッ!?」

「不思議なこともあるもんだ」

 

 そこに現れる3人のヤクザ。たしか、こいつらは…

 

「よっぽど()()()()したいらしいな! さすがにそろそろプロの力見せつけ―」

 

 戦闘態勢を取るファットガムを制し、俺は前に出る。

 

「その『プロの力』は、目的の為に…こんな、時間稼ぎ要員………」

 

 少しでも気を緩めれば、またネガティブな事を考え出す心。それを―

 

 -そんなんじゃないよ! 俺が頑張れるのは…-

 -おまえがいてくれるからなんだぜ。環-

 

 親友(ミリオ)が言ってくれた言葉を思い出すことで必死に制し…覚悟を決める。

 

「俺一人で充分だ」

 

 俺は雄英BIG3の1人。天喰環…またの名をサンイーター。その力を、今見せる!




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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