出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
お楽しみ頂ければ、幸いです。
ファットガムside
「盾と盾対矛と盾の勝負。
壁にめり込み、白目を剥いた
「
“個性”を解除した途端、片膝を突いた
「だ、大丈夫ッス…」
「どう見ても大丈夫やないやろ!
新技発動で防御力を高めていたとはいえ、そんな状態で
「ホントに大丈夫ッス。傷は派手だし、出血も凄いけど…骨は、多分折れてません。まぁ、ヒビくらいは入ってるかも…」
「たしかに、折れてはおらんみたいやな。せやけど、応急手当は必要やで。どこか―」
「まだだ…」
手当てが出来る場所を…と続けようとした俺の声を遮ったのは、
「殺し合いだ…まだ俺は…死んでないっ!」
奴もかなりのダメージを受けてボロボロ。せやけど、2本の足でしっかりと立っとる。タフすぎやろ…! 矛と盾の矛やないんかい!?
「奥の部屋で応急手当くらいは出来る。その学せ…
「………罠やん」
「罠張る男に見えるのか?」
「それに安心しろ。俺も両肩と拳がイカレちまって、戦える状態じゃねえ…」
「…何がしたいねん?」
「喧嘩だよ。殺し合い。俺は
「俺の拳を受けて立ち上がった奴は、そういなかった。いても、そいつら決まって命乞いを始めやがる」
「わかるだろ? やりたい事が出来ない辛さ…!」
「命を賭す事でしか生まれぬ力! そのぶつけ合い!!」
「だから良かった! お前らはとても良かった!!」
「特に
「
「……自分、この後逮捕されてブタ箱やで、わかってんのか? 次なんてあらへん。負けや」
「知るか! 誰も死んでないからドローだ!!」
「ドローちゃうわ。何シップに則っとんねん」
俺の突っ込みを無視して、フラフラの足取りで奥の部屋へと入っていく
「変人なりのポリシー…ってやつか…」
欲求に忠実な分、言葉に裏が無いのが伝わってくる。
「正直…俺にはよくわかんねぇッス…」
まだ高校生の
「まぁ、それよりも…自分、環に連れられて、うちの事務所へ面談に来た日の事…覚えてるか?」
「…はい」
「その時、こう言いよったよな。『誰かのピンチを見過ごす情けない奴には、もうなりたくない』って」
「……ウス」
「その情けなかった頃の自分に、見せてやり。今の君、
「あ…」
「さ! 早いとこ手当しに行こか!」
俺の言葉に虚を突かれた表情の
「よし…出血の方は、これで治まる筈や。でも、鎮痛剤が効くまで、少しは安静にしとかなあかん」
奥の部屋には消毒薬や鎮痛剤、清潔な包帯なんかが結構な量ストックされとった。何の目的でストックされとったかは………今は考えん方が良いやろな。
「治ったか! じゃあ殺す!」
「治るか! 生かせ!」
治療が終わった途端、そんな事を言い出す
「………多少打ち解けてしもたついでで…ヒーローとしては、少々おかしな事聞くけど、乱波くん…君なんでこんな小さな組に納まっとんねん」
ふと心に浮かんだ疑問を乱波にぶつけてみた。
「そりゃぁ、オバホは俺が唯一負けた男だからよ」
「負け…」
「組に入れってな。突然現れふっかけてきやがった……地下格闘場よ、当然勝敗に委ねるわな」
「そして、俺は死んだ」
「と思ったら、元通り」
「組に入ってから5回挑んだが、5敗。全敗だ。あの男に勝つ為に俺はここに居続けている」
「………!?」
ちょっと待てや…つまり、
「それだけの強さを持ちながら、戦闘は部下任せ…
「ここにおんねやろ? 逃げるか隠れるか、しとんねやろ?」
「エリっちゅう年端もいかん女の子切り刻んで、“個性”を破壊する弾丸作ったり、山のような銃火器買い集めたり、治崎は何がしたいねん」
「ヤクザ者の復権だとよ。そう話しているのを聞いちまった事がある。その為にいろいろ動いていたようだが…詳しい事は知らん」
「………」
乱波の言葉に、俺は言葉を失った。ヤクザ者の復権なんて
ロックロックside
「また来てるぞ! いい加減にしてくれ!!」
本部長の入中による止む事の無い攻撃に、俺は思わず声を荒げながら―
「天井が! 壁が! 地面が! 迫ってくる!」
「圧殺されるぞ! 粗挽きハンバーグにされちまう!」
同行している警察官が発した悲鳴混じりの叫びに、内心同意する。まったく、割に合わない仕事だ!
「ロックロック!」
「リーダーぶるない! この窮地! もとはと言えば、あんたの失態だ!!」
そんな状況でも冷静に指示を下してくるサー・ナイトアイに、悪態を吐きつつ―
「『
“個性”を全開にして、迫り来る壁を次々とその場に固定していく。
「こっちへ! この辺はもう動かねぇ」
「狭さは言うなよ。強度MAXの『
「ロックロック! 締めてねぇところからホラ! また! 来るぞ!」
「ちぃっ!」
悲鳴じみた声に舌打ちしつつ、向かってきた壁に『
「
「ダブルライトニングボルトォ!」
グリュンフリートとライコウが、それぞれの攻撃を叩き込んで、壁を粉砕。進路を切り開いた。
「今のうちだ! 急げ!」
全員が大急ぎで奥へと向かうが、10mも進まない内に壁や天井が再びうねり出す。
迫る圧壁を一ヶ所に集中させた上で、掘り進める。さっきからこの繰り返しだ。
「まるで愚鈍な土竜だな…」
思わず警察官の誰かが、そんな呟きを漏らしたが全く同感だよ!
「ファットチームがいれば、もっとスムーズに行けたのになぁ! イレイザー!」
「わかってる!」
苛立ち混じりにイレイザーヘッドに声をかけるが、奴も入中の姿を捉えられずにいる。くそっ、後手後手じゃねえかよ!
「このままじゃ、ジリ貧だぞ! 追い詰められる一方だ!」
溜まる一方のストレスに、思わず叫ぶ。
「ッ!?」
すると、俺達に迫って来ていた壁や天井が、一斉に
「開いた!?」
「今度はどういうつもりだ!?」
入中の狙いが読めず、周囲を警戒する俺達。嫌な沈黙がゆっくり5を数えられるだけ続いた後―
「うぉっ!?」
壁や天井が一斉に動き出し、
雷鳥side
「おい! 皆! 無事か!?」
壁越しにロックロックの声が響く中、俺達は素早くそれぞれの位置を確認。その結果―
・
・ロックロックと俺達に同行しているSVC隊員1名
・
以上、3チームに分断された事が分かった訳だが…
「圧殺出来ねぇとなって、やり方を変えたのか?」
「却ってこっちは動きやすくなっちまってるが…」
何の目的で、入中がこんな真似をしたのかがわからない。
「……こちらが動きやすくなる。それを補って余りある策があるという事だろう…」
「全員、最大限に警戒しろ! 必ず来るぞ!
サー・ナイトアイの言葉に、全員が改めて周囲を警戒した次の瞬間!
「いやぁぁぁぁぁっ! 痛いっ! 痛ぃぃぃっ!」
「怖い! 怖いよぉっ! やめてぇぇぇぇぇっ!!」
何処からか、
「おい! 女の子は雄英高校で保護してるんじゃなかったのか!」
「それは間違いない! エリちゃんの安全は100%確保出来ている!」
「だったら、この悲鳴はなんだ! そこの部屋から聞こえてくるぞ!」
考えを纏める間も無く、ロックロックが悲鳴の出所を発見。
「ドアを突き破る! SVC、手伝え!」
「了解した!」
強行突入を決行しようとした。俺は咄嗟にロックロックの向かう方向にサーチを行い―
「ロックロック! 駄目だ!
ロックロックの突入を止めようとしたが、間に合わなかった。ドアを蹴破る音が聞こえた直後、
「ロックロック! どうした!」
「
俺は
「くそっ…ドジ、踏んじまった…」
「損傷率70%オーバー…流石に、無茶が過ぎたか…」
両足に重傷を負ったロックロックと、
ドアが蹴破られた部屋の内部は、幾つもの爆弾が爆発したかのように滅茶苦茶になっており、半壊したスピーカーには、焼け焦げた携帯音楽プレーヤーが繋げられていた。
「古典的なワイヤートラップか…」
部屋に散乱した発射済みのクレイモア地雷やワイヤーなどを拾い、忌々し気に呟く
そう、予め録音しておいたエリちゃんの悲鳴を流す事で、この部屋へ俺達を誘き出すのが入中の狙いだった。
前以て大量のクレイモア地雷を設置し、ドアにワイヤーを繋げておけば、ドアを開くなり蹴破るなりした瞬間、クレイモア地雷が一斉点火。一網打尽に出来るという目論見だったのだろう。
幸運にもSVC隊員が自らを盾にした事で、2人とも生き延びる事は出来たが…これ以上の行動はとても無理だ。
「随分とふざけた真似をしてくれる…」
あぁ…あまりに激しい怒りを抱くと、却って冷静になるんだな。
俺はサーチで、入中の潜んでいる方向と距離を把握すると、小型の容器に入れて持ち歩いていた砂鉄を操作。帯電させた状態で円盤状に収束させると―
「ライトニング! サーキュラー!!」
高速回転させ、
「なっ…」
突然の事に驚きを隠せない入中。慌てて姿を隠そうとするが…もう遅い!
「サンダー! ブレーク!」
「ぬがぁぁぁぁぁっ!!」
俺の電撃をまともに受けた入中は、全身から白煙を上げつつ、壁の中から転がり出てきたのが―
「ま、まだだ…我々は、もはや外道に堕ちた…こ、この程度で倒れる訳には……」
「ライトニングブラスト!」
何やらごちゃごちゃとほざいていたので、顔面に
「入中を仕留めた! これで妨害は無くなる筈だ!!」
出久side
「入中を仕留めた! これで妨害は無くなる筈だ!!」
壁越しに聞こえてきた
「ッ!?」
突然聞こえてきた巨大な足音に僕の思考は中断し、その場にいた全員が足音の聞こえてきた方向に視線を向ける。
「あ、あれは!」
そして、警察官の声と共に、足音の主が姿を現した。それは逆関節の両脚を持った二足歩行型のロボット。大きさは…3m近い。
「間違いない…あれはアメリカ軍が制式採用した市街地戦闘用ドロイド、『UD210*2』じゃないか!」
「でも、あの機体は3年前に全機退役した筈!」
やたらとメカに詳しい警察官のおかげで、正体はわかったけど…軍用ドロイドがどうしてここに?
「おそらく、退役後解体処分になる前に、ブラックマーケットへ横流しされた機体があったのだろう」
「治崎があんな物まで手に入れていたとは…本当に戦争起こす気か?」
サー・ナイトアイの予想に続くように、警察官が叫んだ直後―
「侵入者ハ全員排除スル! 射殺! 射殺!」
軍用ドロイドは僕達にそう宣告し、両腕部分の銃火器。そのロックを解除した。これは…一戦交えないといけないみたいだ!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。