出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
お楽しみ頂ければ、幸いです。
「その
そう言い残し、更に奥へと進んでいく治崎。俺はそれを追いかけようとするけど―
「ッ!」
この場に残った治崎の手下2人。その1人に発砲され、足止めされてしまう。銃弾は“個性”を発動して透過させる事が出来たけど…。
「どういう“個性”だ?」
「『透過』! 発動中はあらゆる物がすりぬける!」
なんだ!? 奴の質問を…
「どこから湧いたのかと思ったら…なるほど、それなら
「ヘッタクソ、外してんじゃねぇや! 酔っぱらってんのかぁぁ!?」
「それは君だ」
「俺かぁ!」
「君は黙って、この特別な私をサポートしてれば良い」
そんな会話を交わしながら、再度俺に銃口を向けてくる手下。
「『強制的に喋らせる』…ってとこか…!」
「前線に立つタイプじゃ…ないね…!」
俺は何とか立ち上がるけど、平衡感覚は相変わらず狂ったまま。すぐにバランスを崩してしまう。そこへ―
「故に!」
「他の
声と共に次々と放たれる銃弾。
「あんな幼い子を使って、何が野望だ…!」
俺は“個性”を発動して、銃弾を透過しつつ、奴の言葉に反論する。すると―
「………? あぁ~」
「
「………?」
突然、手下の声が楽しげな声色に変わった。いきなり、何なんだ?
「先日、君達が壊理さんを保護した際、君は他の2人とは違い、保護に
「………そうだ…」
ッ!? 俺は今、何を口にした!?
「あぁ、勘違いしないでくれたまえ。別に私は君を責めている訳ではない。あの時は
「大多数の安全を守る為に、少数の被害に目を瞑る。実に合理的な判断だ。昔から言われているだろう。
「………」
「そんな君が、若を追ってきたのは何故だ? 大方、我々の計画を察知し、あの時見て見ぬふりをした事を悔やんだといったところだろう? 今更、そんな非合理的な行動を取ってどうする?
奴の嘲笑うような声が、何度も頭の中で繰り返される。俺は…俺は…
音本side
私の声を聞き、黙り込んだヒーローの姿に内心ほくそ笑む。ああなってしまえば、奴はもう終わり。木偶人形と同じだ。
「見よ酒木。行ってしまう! 私は若の野望に! 若に必要とされている!」
「ついて行かねば! 共に歩み! 成就の喜びを分かち合うのだ!」
歌うようにそう宣言し、私は未だ動かないヒーローに狙いを定める。
「さぁ! さぁ! 逝けよ邪魔者!!」
私は拳銃で、酒木は投げナイフで攻撃を仕掛けた。5秒も経たない内に、奴は物言わぬ骸となる!
………その筈だった。
「げへっ…」
「がはっ…」
5秒も経たない内に、宙を舞っていたのは我々の方。ありえない! 何故、動ける!?
「そうだ…俺はあの時、
放たれた攻撃を透過で摺り抜け、間髪入れずに反撃を叩き込みながら、俺は静かに呟く。
たしかにあの時、俺は治崎をこれ以上刺激するリスクと、壊理ちゃんの安全確保を天秤にかけた。
そして、それが
あの時、
サーは、俺の判断も間違ってはいなかったと言ってくれた。だけど、ヒーローとして、本当の意味で正しかったのは、あの2人。だからこそ―
「俺はもう間違わない」
本当の意味で、
「POWERRRR!!」
気合と共に追撃を叩き込んで、2人の意識をキッチリ刈り取ってから、俺は治崎へ突撃!
「ッ!?」
奴が気配に反応し、思わず振り向いた隙に“個性”を使ってのワープで背後を取り―
「治崎!!」
治崎の顔面に裏拳、同時にもう1人の顔面へ蹴りを叩き込んだ!
「くっ……」
派手に回転して吹っ飛びながらも体勢を立て直し、こちらを睨みつける治崎。もう1人も倒れてはいるけど、辛うじて意識はあるみたいだ。
2人とも気絶させたつもりだったけど…軸がブレたか。あの酔っぱらいの“個性”がまだ効いてるせいか。
「……汚いな」
「ッ!?」
だけど、治崎を
「あぁ…汚らわしい……英雄気取りの病人が…」
「俺の邪魔をするな!!」
咆哮と共に治崎が床に手を触れた途端、部屋の床全体が一気に分解され、間髪入れずに鋭い棘が次々に生えてきた。
「くぅっ…」
ギリギリ『透過』が間に合い、ダメージを受けずに済んだけど…
治崎の“個性”『オーバーホール』。
「お前の“個性”、『透過』だったか。“個性”だけじゃないようだな」
「………この“個性”を使って、壊理ちゃんを…」
「あぁ、何か問題があるか? 死んでもすぐに修復すれば蘇生出来る。原形を留めないほど壊れてもすぐ元通り」
「この世界全体に蔓延する“個性”という病を治療する為の薬が、ガキ1人生贄にする事で作り出せるんだ」
「ガキ1人と世界。合理云々以前の話だ。天秤にかけるまでもないだろう」
「………治崎、お前…」
「こんな単純な問題を平気で間違える。どこまでも狂った存在だよ。お前達は!」
響き渡る治崎の怒声。それと同時に新たに生えた鋭い棘が俺に襲いかかる。俺は意識を研ぎ澄まし、自分に命中する棘。その軌道だけを見極めて、『透過』で摺り抜けていく。
「避けるのだけは上手いようだな! だが、その後はどうする!」
「今の修復で、逃げ道は封じた。仲間が駆けつけるのは期待しない方が良いぞ!」
「それにその“個性”も、
そこへもう1人の男も起き上がり、拳銃をこちらへ向けてきた。顔は見えないけど、あいつはおそらく若頭補佐の玄野。
リストに載っていた“個性”。あれだけは喰らえない!
「普通に撃ってもまず当たらん。上手く隙を突け」
「あんな精密な“個性”の使い方されると、隙を突けるか怪しいもんでやすね」
治崎の指示にそう返しながら、発砲してくる玄野。俺は『透過』で地面に潜り、玄野の真下から出現。
「クロノ!」
顎に一撃を叩き込む…つもりだったけど、治崎が寸前で床をジャンプ台の様に変化させて 玄野を退避させた。
「すいやせん。オーバーホール!」
だが、この退避は玄野にとっても突然だったのだろう。拳銃を手放してしまい、謝りながら床を転がっていく。
「ちっ!」
玄野の謝罪と床を滑っていく拳銃に、思わず舌打ちする治崎。俺はその隙を見逃さず、治崎の死角に移動。
「ッ!?」
「POWERRRR!!」
治崎の顔面に拳を叩き込む!
「オーバーホール!」
それを見た玄野は慌てて起き上がり、拳銃へ駆け寄るけど―
「させるか!」
俺の方が速い! 玄野の腹に蹴りを叩き込んで吹っ飛ばしつつ、拳銃から弾倉と
「ガキがぁ! いつまでも…調子に乗るなぁ!」
憤怒の表情を浮かべながら俺に突撃し、攻撃を仕掛けてくる治崎。その攻撃は一瞬でも気を抜けば、回避出来そうにない程鋭いものだ。だけど!
「相手をよく見て! 次の行動を予想する!」
「一介のヤクザとは思えない身のこなしだ! お前は強いよ治崎! でもね!!」
「俺の方が強い!!」
俺はその全てを回避し、カウンターを叩き込んでいく。
「狂った野望もここで終わらせる! お前の負けだ! 治崎!!」
このまま、一気に勝負を決める!!
「俺の方が強い!!」
俺の攻撃全てを回避し、カウンターを叩き込んでくる
「狂った野望もここで終わらせる! お前の負けだ! 治崎!!」
派手に吹っ飛んだ俺に対し、勝利宣言とも受け取れる発言をしてきた。あぁ、そうだな…純粋な殴り合いじゃ、分が悪い。だがな…
「ククッ、クククッ……これで勝ったつもりか?」
所詮は
「まだ、終わりじゃない!」
叫びと共に床に手を付け、三度棘を生やしていく。奴はまた摺り抜けるだろうが、それで構わん。5秒、いや3秒だけ時間が稼げればそれで良い!
俺は転がり込むように、この部屋の奥。つまり施設最深部の方向へ向かい、万一に備えて
「ルミリオン。たしかにお前は強かったよ。だが、最後に勝つのは……俺だ!」
中に収められていた何本かの
「なっ…」
たった3秒。たったそれだけの時間だけど、治崎の行動を許してしまった事を俺は内心悔やんだ。
「フハハハハッ! 病気の治療に、注射は付き物だよなぁ!!」
狂気の笑みを浮かべながら叫ぶ治崎。奴が何を注射したかはわからないけど、何らかの
問題はその違法薬物の効果が何なのか。だけど…
「シィィィィィッ!!」
「ぐはっ…」
次の瞬間、治崎の裏拳が顔面に叩き込まれ、俺は吹っ飛ばされていた。何とか体勢を立て直したけど―
「遅いな、ルミリオン。欠伸が出るぞ」
「ッ!?」
いつの間にか、治崎が
「ぐぁぁぁぁぁっ!」
奴の両手が動き、俺は両太腿の肉をごっそりと抉り取られてしまった。
「はぁ…感謝してくれよ。俺がその気だったら、お前の両脚は今頃消えて無くなっていたんだ」
立っているのがやっとの俺を見下すように笑いながら、恩着せがましい事を言ってくる治崎。まだだ、歩く事は出来なくても、“個性”を使っての移動なら―
「ぐはっ!」
そう考えた瞬間、顔面に叩き込まれる治崎の拳。まさか、動きが…思考が読まれている!?
「折角だから種明かしをしてやろう。俺が使ったのは、脳機能を賦活させる薬だ」
「薬の効果が発揮されている間、俺の脳は常人を遥かに超えるレベルで機能する。その結果、超加速*1、動きの先読み*2。心理の読み取り*3が可能になった。だから―」
そこで言葉を切った治崎が軽く右手を振った直後、俺の全身あちこちが抉り取られ、血が噴き出していく。
「こんな事も出来る。瞬きにも満たない時間で手刀を16発打ち込ませてもらった」
「わかるか?
そう叫びながら放たれる治崎の蹴り。それを腹に受け、俺は肋骨が砕かれる感触を味わいながら吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「お前はたしかに強かったよ、ルミリオン。だが、最後に勝つのは、
「遺言くらいは聞いてやる。遠慮無く言ってみろ」
勝ち誇った顔の治崎。俺は残る力を振り絞り―
「……最後に、勝つのは…
そう宣言した。
「ふん…最後の最後までそれか。汚らしい現代病の末期患者が…」
額に青筋を浮かべながら、ゆっくりと両手を床に近づけていく治崎。
「もういい、お前は壁の染みになれ」
そして、その両手が床に付いた瞬間、鋭い棘が俺に向かって次々と生えていく。このまま串刺しになる事を覚悟したその時!
「
「ライトニングボルトォ!!」
声と共に壁が木っ端微塵に粉砕され、
「よかった…間に合った……足止め、出来た…」
最後までお読みいただき、ありがとうございました。