出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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第32話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。


第32話:破滅まではあと何歩?

雷鳥side

 

44MAGNUM(フォーティーフォーマグナム)! スマァァァァァッシュ!!」

「ライトニングボルトォ!!」

 

 出久(グリュンフリート)との同時攻撃で壁を粉砕し、相澤先生(イレイザーヘッド)やナイトアイと共に内部へ突入すると―

 

「ッ!?」

 

 そこには、全身ボロボロになったルミリオンと、そんなルミリオンへ今にもトドメを刺しそうな治崎の姿。

 治崎も相応のダメージを追っているようだが…いや、それは後回しだ!

 

出久(グリュンフリート)!」

 

 叫びと共に、俺は砂鉄の針(マグネ・フレシェット)を発射。出久(グリュンフリート)もフィンガースナップの衝撃波を撃ちまくる。

 威力よりも諸々の速さを重視した攻撃。決定的なダメージは与えられないまでも、奴の動きを止める事は出来る筈だ!

 

「フッ…」

 

 だが、治崎は人を馬鹿にしたような笑みを浮かべると、まるで()()()()したかのように、俺達と距離を取って、攻撃を回避してみせた。

 

「なんてスピード…高速移動系の“個性”? いや、そんな筈は…」

「“個性”によるものじゃない。俺が間違いなく()()()()

 

 出久(グリュンフリート)の呟きを“個性”を発動した状態で否定する相澤先生(イレイザーヘッド)。だとすると…

 

「皆、気を、付けて…治崎は、く、薬を……使って…」

「…そういう事か」

 

 そこへ聞こえてきた通方先輩(ルミリオン)の声。それで俺は全てを察した。まったく、目的の為には手段を選ばない人間(マキャベリスト)を気取るのは結構だが、正直…かなり不愉快だ。

 

「ミリオ、もういい。無理に喋るんじゃない」

「サー…ごめんなさい、俺…俺…」

「謝らなくていい…お前は、治崎を十分足止めしてくれた。立派に役目を果たしてくれた…凄いぞ…凄いぞ、ミリオ」

 

 息も絶え絶えな通方先輩(ルミリオン)の応急処置をしつつ、そう言って励ますナイトアイ。それを聞いて安心したのか、通方先輩(ルミリオン)はゆっくりと目を瞑り、そのまま気を失ってしまった。

 

「ナイトアイ! 通方先輩(ルミリオン)を連れて、一旦安全圏に退避を!」

「治崎は僕達で食い止め…いえ、倒します!」

 

 それを見て、ナイトアイへ後退を促す相澤先生(イレイザーヘッド)出久(グリュンフリート)

 

「………すまない」

 

 議論の余地は無いと判断したのだろう。ナイトアイは一言そう言い残して、通方先輩(ルミリオン)を背負い、この場を離脱していった。すると―

 

「ハハッ、たっタ3人で俺ヲ倒すだト? 面白イ冗談だ」

 

 不敵な笑みを浮かべながら、治崎がそんな事を言い出した。何やらイントネーションやアクセントが大分怪しくなっているが…おそらく薬の影響だろう。

 

「イレいザーヘっド! お前ノ“個性”ハ所詮壊理の劣化版! 脅威ニ値しナイ! そもソモ俺は()()()()()()()()()()()()()()かラな!」

 

 ………ん? こいつ、今なんて言った?

 

「“個性”なンテ物が備わッテいるカら夢を見ル! 自分ガ何者かニなれルと…精神に疾患ヲ抱えるンダ!」

「オ前達は皆、汚らシイ現代病ノ重症患者ダ! ダカら俺がオ前達を治しテやるノさ!」

 

 こいつは何とも…油断していると()()()()()が出てきそうだ…。

 

「病人風情ハ大人しク、治療を受ケロ!」

「一番の病人はお前だろ。治崎」

 

 さて、そろそろ反撃開始といきますか。

 

 

出久side

 

「一番の病人はお前だろ。治崎」

 

 雷鳥兄ちゃん(ライコウ)がそう呟いた途端、治崎は一瞬凍りついたように動きが止まり―

 

「何、ダと…」

 

 額に青筋を浮かべながら、搾り出すように声を上げた。だけど、それは…雷鳥兄ちゃん(ライコウ)にとって、()()()だ。

 

「聞こえなかったか? お前が、一番の病人だって言ったんだよ」

「そもそも“個性”を否定しておきながら、計画は壊理ちゃんの“個性”頼みだし、自分の“個性”は何の躊躇いも無く使ってる。これってどういう意味なのかなぁ?」

「あぁ! もしかして、自分の“個性”は特別だからノーカウント! ってことか? だとしたら…二重規範(ダブルスタンダード)にも程があるだろ」

 

 淀みない口調で治崎の行動、その矛盾を指摘する雷鳥兄ちゃん(ライコウ)。こうなれば、雷鳥兄ちゃん(ライコウ)の独壇場だ。

 

「黙レ…」

「挙げ句の果てには“個性”を必要としていない? 自分のやってる事が理解出来てないのかなぁ? 俺達を治療する前に、お前が病院に行ってこい。()()()()()()を呼んでやるよ」

「黙レェ! 壊理ハこの狂っタ世界を、歴史を変エル事だっテ出来ルんダゾ! その価値ヲ解ろウとモセず、チッぽけな正義感ヲ満たス事しか知らナい屑どモがぁ!!」

 

 顔色を赤どころか紫に変えながら、喚き散らす治崎。だけど舌戦で劣勢なのは、言うまでもない。

 

「よく言うよ。壊理ちゃんから笑顔や安息を奪い、苦痛だけを与えたお前の方がよっぽど屑だろう。まさか、その自覚すら無いとは―」

「吸阪、挑発はその辺にしておけ」

 

 ここで相澤先生(イレイザーヘッド)からストップが入った。流石に、煽り過ぎは良くないと判断―

 

「たとえ()()でも刺激し過ぎるのは危険だ」

 

 前言撤回! 相澤先生(イレイザーヘッド)もさりげなく毒を吐いている!

 

「ヌがァぁァァぁぁッ! 殺ス! 殺ス! 殺しテやルぞ!!」」

 

 それが最後の一押しになったのだろう。血涙を流し、殺気を撒き散らしながら叫ぶ治崎。だけど雷鳥兄ちゃん(ライコウ)は涼しい顔で、駄目押しの一言を発した。

 

「あまり強い言葉を遣うなよ。()()()()()()

「ぐガァぁァっ!」

 

 次の瞬間、獣のような咆哮をあげ、雷鳥兄ちゃん(ライコウ)に襲い掛かろうとする治崎。だけど―

 

「グがっ!」

 

 3歩と進まない内に突然転倒し、顔面を思いっきり地面にぶつけてしまった。そして、その両足には()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「あぁ、ごめんねぇ。隙だらけだったんで、ちょっと足元に()()させてもらったよ」

 

 悪魔のような笑みを浮かべながら、掌の上で砂鉄を操作して見せる雷鳥兄ちゃん(ライコウ)

 そう、雷鳥兄ちゃん(ライコウ)は治崎を煽りながら砂鉄を操り、治崎が動き出すのと同時にその動きを妨害したのだ。

 流石に、治崎が冷静だったら見抜かれていただろう。だけど、あれだけ頭に血が上っていたら…見える物も見えなくなる。

 

「ガぁぁぁッ!」

 

 憤怒の表情を浮かべながら、“個性”を発動した治崎はワイヤーを分解。すぐさま立ち上がるけど―

 

「ライトニングブラスト!」

 

 その隙に間合いを詰めていた雷鳥兄ちゃん(ライコウ)が、電撃キック(ライトニングブラスト)を顔面に叩き込む!

 

「ゲはァ…」

 

 折れた歯を撒き散らしながら、僕と相澤先生(イレイザーヘッド)のいる方に吹き飛んでくる治崎。

 

緑谷(グリュンフリート)!」

「はい!」

 

 すぐさま相澤先生(イレイザーヘッド)が治崎の“個性”を『抹消』し―

 

HYDRA(ハイドラ)! スマァァァァァッシュ!!」

 

 僕は跳び回し蹴りを治崎の腹に叩き込んで、壁に向けて吹っ飛ばした! 

 

 

相澤消太(イレイザーヘッド)side

 

「……グ…あ…」

 

 壁に巨大な罅割れが出来る程の勢いで激突し、そのまま崩れ落ちた治崎。辛うじて意識はあるようだが、歯という歯は全て折れ、顎も粉砕されているせいか、まともに喋る事も出来ないようだ。

 

「肋骨もあらかた砕けているようだな…だが、“個性”で修復されても面倒だ。念入りに拘束させてもらうぞ」

 

 俺は捕縛布を手に治崎に近づいていく。万が一の可能性に備え、警戒を怠る事は無い。

 

「勝負が…ついたようだな」

 

 そこへ聞こえてくるナイトアイの声。どうやら、通方(ルミリオン)をこちらへ向かっていた警官達に託し、戻ってきたようだ。

 

「音本真、酒木泥泥、玄野針の3人は拘束した。あとは治崎を拘束すれば、任務は98%終了する」

「了解した」

 

 ナイトアイの声に短く答え、俺は更に治崎へ近づいていく。

 

「ん?」

 

 頭上に()()()()を感じたのは、その時だ。思わず天井を見上げた次の瞬間、巨大な激突音が響き―

 

「だぁぁぁぁぁっ!!」

 

 天井を砕きながら、ドラゴンに変身したリューキュウと巨漢(ヴィラン)が落ちてきた!

 

「想定外だぞ…」

 

 

リューキュウside

 

「くっ、倒されても復活って、流石に反則じゃない!?」

 

 私達リューキュウ事務所が対処を引き受けた巨漢、活瓶力也。一度は拘束に成功したけれど、遅れて効き始めた『ブースト薬』の働きで復活。

 

「呼吸してるだけで…『吸ってる』ぞ!」

「すごく元気が湧いてきたァ!!」

 

 強化された“個性”『活力吸収』で、周囲の人間から手当たり次第に活力を吸い取り、再び暴れ始めた。

 

「あー…なんかめんどくせぇ…」

「このまま日向ぼっこでもしようぜ~」

「さんせーい」

 

 活力を吸われ、その場にへたり込んだ警官やサイドキックを何とか安全圏に運び、戦闘を再開したけど、近づくだけで活力を吸われるこの状況は、こちら側へ不利に働いた。それでも―

 

「隙ありよっ!」

「うぉっ!」

 

 FROPPY(フロッピー)が、舌で活瓶の動きを封じたのを皮切りに、私達は一斉攻撃を仕掛けた。

 

「軌道入力。回転数MAX! デュアルチャクラム! シュート!」

 

 まずウラビティが、サポートアイテムである一対の戦輪(チャクラム)を投擲。

 

「ぐぅっ!」

 

 戦輪(チャクラム)は、まるでUFOの様に複雑な軌道を描きながら、活瓶目がけて飛来し、その両肩を幾度も切り裂いていく。

 

「チャージ満タン。出力100…ねじれる波動(グリングウェイブ)!!」

「ぐぉっ…」

 

 間髪入れず、ねじれが出力最大の波動を活瓶の顎目がけて発射! 強烈な衝撃を受け、活瓶の巨体がよろめいた。

 

「うぉぉぉぉぉっ!!」

 

 そこへ私が真正面から突進! 活力を吸われるのも厭わずに活瓶を持ち上げて、飛翔すると―

 

「これで! 終わりよ!」

 

 上空から一気に急降下! 

 

「だぁぁぁぁぁっ!!」

 

 活瓶を地面に叩きつけた! 強烈な衝撃で地面が罅割れ、崩落。私ごと活瓶は地下へと落ちていく。そして―

 

「想定外だぞ…」

 

 そう呟きながら、跳び退くイレイザーヘッドを見て、私は自らのミスを悟った。慌てて気絶した活瓶を抱えて飛び立とうとするけど―

 

()まだ(まヤ)俺の運は(オへのふんは)尽きてない(ふきテはイ)…」

 

 ()()()()()()()()()()()。そんな声が聞こえたのと同時に、床から生えてきた壁が私と活瓶を分断した。

 

 

治崎side

 

()まだ(まヤ)俺の運は(オへのふんは)尽きてない(ふきテはイ)…」

 

 薄れていく意識の中、落ちてきた活瓶を見た俺は、思わずそう呟いた。反射的に床に手をやり、壁を生やして活瓶と一緒に落ちてきたドラゴンを排除。  

 

何を言われようと(はにヲひハレようホ)最後に勝てばいいんだ(さひゴにハへばヒひんら)…」

 

 そうだ、最後に勝てばいいんだ。勝ち残った者が正義なのは、歴史が証明している!

 俺は“個性”でダメージを受けた個所の分解と再構築を行いつつ、床に置いたままにしていたアタッシェケースへと走り、残っていたペン型注射器を鷲掴みにすると―

 

この場の全員(ほロばほヘンひン)皆殺しだ(ヒラほろしら)!!」

 

 その全てを首筋に突き立てた!

 

「うガぁぁァァぁァっ!!」

 

 大量の薬液が体内に流れ込む感覚に咆哮を上げると同時に、壁が粉砕され、学生(ガキ)とヒーローどもが雪崩れ込んできた。

 

「残念だッタな! こノ勝負…俺ノ勝ちダ!!」

 

 高らかに宣言し、倒れたままの活瓶に飛び移る。そして―

 

「活瓶…オ前、俺の為ニ…死ネ!」

 

 俺自身と活瓶を分解・再構築して新たな身体を作り出す!

 

「さァ! 第2らウんドを始めヨウか!!」

 

 そう、ここから始まるんだ。俺の逆転劇が!!

 

 

雷鳥side

 

 薬物を過剰摂取した挙句、天井から落ちてきた巨漢と融合して、異形の姿となった治崎。

 

「さァ! 第2らウんドを始めヨウか!!」

 

 まるで勝利を確信したかのように吠えているが…正直言ってドン引きだ。

 

「たしか…『覚せい剤やめますか? それとも人間やめますか?』だったな…」

 

 思わず前世で見た啓蒙広告を呟いていると―

 

「フハはっ! 力が! 力が漲るっ!!」

 

 治崎が地下から地上へ飛び出していった。俺達もリューキュウの力を借りて地上へ急行する。

 治崎に遅れること10秒。地上に到着した俺達が見たのは―

 

「こレで、俺は無敵だァッ!!」

 

 治崎がその場にいた警官達を蹴散らし、押収されて1ヶ所に集められていた銃火器を融合していく光景だった。

 全身からハリネズミのように銃口が飛び出したその姿は…異形を通り越して醜悪の一言だ。

 

「ハリネズミみたいに武装すれば無敵とは…なんとも安直な考えだ」

「同感ですね。現実が見えていないボンクラには、痛い目にあってもらわないといけませんね」

「僕達で治崎を倒しましょう!」

 

 ナイトアイの呟きに答えた直後、出久(グリュンフリート)の声が響く。

 あぁ、そうだな。壊理ちゃんにお子様ランチを作る為にも、破滅に向けて一直線な奴との戦いは…さっさと終わらせるとしよう。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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