出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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第33話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。



第33話:野望の終わりと受ける報い

雷鳥side

 

「殺ス! 俺ノ邪魔をスるヒーロー(病人ドも)も! 役立たズ共も! 皆殺シだ!」

 

 そう叫びながら巨漢と銃火器だけでなく、周辺の地面や建材とも融合し、20m程の巨体へと変わっていく治崎。

 その姿は、もう人間のそれではない。6本の腕を持つ半人半蛇(ナーガ)とでも形容出来そうな怪物だ。

 しかも、全身から無数の銃口が飛び出しており、その危険度は単に巨大化系の“個性”を発動しただけの(ヴィラン)など比べ物にならないだろう。

 

「発砲許可は下りている! 撃てっ! 撃てぇっ!」

 

 当然、警官隊もそれを理解しており、治崎を包囲して一斉に拳銃を発砲するが―

 

「馬鹿メ! そンな豆鉄砲が通用スるか!」

 

 治崎には何のダメージも与えられず、逆に全身から放たれる銃弾や尾の一撃で、蹴散らされてしまう。

 

「我々が援護する! 安全圏まで退避しろ!」

 

 そこへ負傷した1人を除くSVC隊員4人が合流し、大型の機関拳銃(マシンピストル)で治崎を攻撃するが、こちらも殆ど効果が無い。

 

「くそっ! 機関拳銃(マシンピストル)じゃ駄目だ! もっと()()()()がいる!」

 

 治崎の攻撃を回避しながら、そんな事を叫ぶSVC隊員。だが―

 

「SVCの皆さん! 治崎の足止め、感謝します!」

「拘束したヤクザの退避、完了しました!」

 

 治崎の気を引く事で、拘束したヤクザ達を俺達が()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「あとは治崎を倒すだけです」

「あんな馬鹿に時間をかけるのは勿体ない。さっさと終わらせましょう」

「同感だな」

「あぁ、時間をかけるのは非合理的だ」

 

 出久(グリュンフリート)と俺の言葉に賛同するサー・ナイトアイと相澤先生(イレイザーヘッド)

 梅雨ちゃん(FROPPY)麗日(ウラビティ)、リューキュウ、波動先輩も無言で頷いてくれた。

 さぁ、決着をつけるとしよう。

 

 

出久side

 

「『活力吸収』を封じた! 効果がある間に仕留めるぞ!」

「了解!!」

 

 “個性”を発動した相澤先生(イレイザーヘッド)の声が響く中、真正面から治崎に突撃するリューキュウ。

 

「馬鹿ガ! 蜂ノ巣にシてヤル!!」

 

 『活力吸収』を封じられている治崎は、全身の銃口をリューキュウに向け、一斉に発射しようとするけど―

 

「悪いが、そうはさせんよ」

「軌道入力。回転数MAX! デュアルチャクラム! シュート!」

「チャージ満タン。出力100…ねじれる波動(グリングウェイブ)!!」

 

 ナイトアイが放つ超質量印、麗日さん(ウラビティ)が放った戦輪(チャクラム)、そして波動先輩の放つ波動が次々と命中し、片っ端から銃口を破壊。更にSVCの4人も―

 

「グレネード、撃てっ!」

 

 機関拳銃(マシンピストル)にオプションを装着して完成する擲弾発射器(グレネードランチャー)を構え一斉発射!

 

「ぐォっ!!」

 

 命中したグレネードは次々と爆発し、その衝撃で大きく揺れる治崎の巨体。

 

「うぉぉぉぉぉっ!!」

 

 そこへリューキュウのタックルが炸裂。治崎は更にバランスを崩すけど―

 

「舐メ…るナァっ!!」

 

 咆哮をあげながら、何とか転倒を防いでみせた。だけど、それは僕達の()()()

 

「FROPPY!!」

 

 直後、リューキュウの声と共にその背中から飛び出す影。そう、梅雨ちゃん(FROPPY)だ。

 梅雨ちゃん(FROPPY)は、雄英体育祭で見せた宙返りの後に捻りを加えながら放つ両足キックを、転倒を防ぐのがやっとで隙だらけだった治崎の側頭部に叩き込んで華麗に着地。

 

「これがFROPPY第4の必殺技、FROPPY()Spiral()Crusher()よ。ケロケロ」

 

 完全にバランスを崩した治崎は、死穢八齋會事務所へ圧し掛かる形で転倒し、事務所を瓦礫の山へと変えてしまった。

 

「くソっ! ごミ共がァ!」

 

 怒りの咆哮をあげながら、瓦礫を振り払うように起き上がる治崎。だけど、もう()()()()()の準備は整っている。

 

「超電磁! タ! ツ! マ! キィッ!!」

 

 まずは治崎の背後に回り込んでいた雷鳥兄ちゃん(ライコウ)が放つ超電磁タツマキが、治崎を飲み込み、その動きを封じた。

 

「ワン・フォー・オール、フルカウル! 100%!」

 

 間髪入れずに『ワン・フォー・オール』の出力を100%開放した僕が、治崎の懐へ飛び込み―

 

44MAGNUM(フォーティーフォーマグナム)! スマッシュ! シックスオンワン!」

 

 44MAGNUMスマッシュを一点集中の6連発で打ち込む!

 

「ぐヘぁッ!!」

 

 強烈な衝撃に超電磁タツマキの戒めをも振り切って、まるでロケットの様に真上へ吹き飛んでいく治崎。

 その上昇は200mを少し超えたところで止まり、少しの間を置いて落下を始めた。そこへ―

 

「トールハンマー! ブレイカァァァァァッ!!」

 

 駄目押しで放たれる雷鳥兄ちゃん(ライコウ)トールハンマーブレイカー(最強必殺技)!!

 

「………」

 

 白目を剥き、完全に意識を失った治崎はそのまま瓦礫の中へ墜落。2度と起き上がる事は無かった。

 

 

治崎side

 

「地域住民に避難を呼びかけてはあるが、被害者がいないか確認を!」

「救急車ありったけ呼んで!」

「地下にまだ構成員が潜んでいる可能性がある! 捜索を急いで!」

 

 ヒーロー(病人)や警官の耳障りな声が響く中、意識を取り戻した俺は、この巨体を拘束しようと四苦八苦している奴らの目を盗み、活瓶や銃火器、建材が混ざり合った巨体の中から自分だけを分離させる。

 

「よし…」

 

 巨体を隠れ蓑にしながら、焦らずゆっくりと瓦礫の陰へと移動する。

 

「奴らの目があの抜け殻に向いているうちに…」

 

 そうだ。この場を切り抜ければ、まだ再起の目はある。地面に潜って、下水道に逃げ込めば、まだ…

 

「どこへ行く気だ? 治崎」

「ッ!?」

 

 ゾッするような声に思わず動きを止めた次の瞬間。俺の全身に何かが次々と撃ち込まれていく。

 

「が、はっ…」

 

 四肢の骨だけでなく肋骨も粗方砕かれた激痛に悶えながら、攻撃の主に視線を送るとそこにいたのは…

 

「貴様…」

「貴様が気絶したままなら良いが、もしも意識を取り戻したら敗北を認めずに逃走を試みる…吸阪(ライコウ)緑谷(グリュンフリート)と予想した通りだったな」

 

 眼鏡をかけたスーツ姿の男。たしか…サー・ナイトアイ。

 

「貴様を逃がしはしない。己の悪行を刑務所の中で悔い改めるがいい」

 

 直後、俺の顎目がけて何かが撃ち込まれ、俺の意識は容赦なく刈り取られる。

 畜生…俺は、こんな、ところ、で……

 

 

雷鳥side

 

 治崎の逃走を警戒して周囲の警戒を行っていた俺達だったが、ナイトアイが治崎を捕らえた事でそれも終了。

 この家宅捜索(ガサ入れ)で負傷したヒーローや警官が次々と救急車で搬送されていく中、周辺の被害確認に途中参加していた。

 

「家屋の倒壊が死穢八齋會事務所を含めて7棟。しかし、軽傷者5名。いずれもかすり傷程度…平日朝の住宅地ということを考慮しても奇跡的だな」

 

 一通りの確認が終わり、被害の少なさに胸を撫で下ろす。短期決戦で仕留めた甲斐があるってもんだ。

 

吸阪(ライコウ)緑谷(グリュンフリート)

 

 そんな事を考えていると、ナイトアイが刑事さんと共にやってきた。

 

「現時刻を以って、我々の任務は終了した。これから先は警察に一任する事になる」

「君達の活躍には随分と助けられた。警察を代表してお礼を言わせてほしい。ありがとう」

 

 敬礼と共に俺達へお礼を言ってきた刑事さんに敬礼を返し、俺達は相澤先生達と合流。

 

「よし、細かい手続きを警察署で済ませてから、雄英に戻るぞ」

「「「「はい!」」」」

 

 病院に搬送された切島を除く5人で帰路につくのだった。

 

 

死柄木side

 

 何台もの車が横転し、爆発や炎上をしている中―

 

「無様な格好だな。治崎さん。心中お察しするよ」

 

 ベッドへ何重にも拘束された状態で移送されていた治崎に、俺は敢えて丁寧な口調で声をかけながら近づいていく。

 

お前(ほはえ)何をしに来た(はにほひにひは)?」

「あぁ、ちょっとした野暮用って奴だ」

 

 重傷を負った治崎達が、最寄りの(ヴィラン)病院へ搬送される。その情報を入手した俺達は…高速道路を使うルートを通ると予想し、襲撃をかける為に行動を開始した。

 まぁ、一般道を使うルートを選ぶ可能性もあった訳だが…そこは()()()()()()という奴だ。

 まぁ、護衛にヒーローが3人もついていたのは、少々驚いたが―

 

「はぁ…なんと手応えの無い…やはり、本物に至る者は僅かということか…」

「お待たせしました。死柄木弔」

「あっちちち…砂って燃えねぇよな?」

「見た感じ上半身しか砂化出来ねぇっぽいから死ぬだろ」

 

 ステイン(先輩)、絶無、荼毘、Mr.コンプレスが全員排除してくれた。

 

俺を(おへほ)殺しに来たのか(ほおひにひはのは)?」

 

 青褪めた顔でそんな事を呟く治崎。なるほど、そう考えるのも無理はない。だが、間違いだ。

 

「いや、アンタが最も嫌がる事を考えてきた」

「弔君! ありました! 2つ有るけどどっちかが本物です!」

「あぁ、両方くれ」

 

 トガが車内から見つけた2つの箱を俺に投げ渡した瞬間、治崎の顔色が更に悪くなる。

 

お前(ほはえ)!」

「安心しろ。これを貰っていくって訳じゃない。貰ってはいかないが…」

 

 ここで俺は一旦言葉を切り―

 

「ここで、()()()()()()()()()()()

 

 治崎の目の前で、箱を2つとも塵に変えてやった。

 

お前(ほはえ)お前ぇぇぇぇぇっ(ほはえぇぇぇぇぇっ)!」

「残念だったな治崎さん! アンタの努力の結晶はこの通り! 塵になっちまった!」

 

 手に残った塵を周囲にばら撒きながら、俺は治崎を嘲笑う。次の瞬間―

 

「これは絶無君の左腕の分」

 

 Mr.コンプレスが“個性”を使って治崎の左肘から下を切り取った。

 

「………(はん)だと(はろ)…」

 

 突然の事に理解が追い付かないのか、呆然と呟くのがやっとの治崎。仕方ない、()()()()やってやろう。

 

「あのな、治崎さん。世界から“個性”消してやるって人間がさぁ…“個性”に頼っちゃいけねぇよな」

 

 ゆっくりと言い聞かせながら、俺は治崎の右手に触れる。すぐさま崩壊が始まり、治崎の右腕は塵に変わっていく。

 

「―っ!!」

「切り離さないと全身塵になっちまう」

 

 手頃なところでナイフを振るい、治崎の右肩から先を切り落とす。

 

「これでアンタは、無力非力の“無個性”」

「アンタの抱いていた野望も! 費やしてきた努力も! 全部が無駄になった!」

「俺達を甘く見なければ、もっと上手く立ち回れたろうに…全てはお前の()()()()()()()()()()()()だ」

「これからは、咥える指もなく、ただただ変わっていく世界を眺めて生きていけ! 頑張ってくれ!!」

 

 そう言うと俺達は治崎に背を向けて歩き出す。5歩ほど進んだところで―

 

「ぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 治崎の悲鳴が響き始めた。

 

「やったのか? 絶無」

「はい、この通りです」

 

 俺の声に答えた絶無が地面に何かを投げ捨てた。それは治崎の目玉2つ。

 

「残念。もう眺める事も出来なくなったな。心中お察しするよ」

 

 響き続ける治崎の悲鳴をBGMに、俺達は帰路につく。

 

「次は…俺達だ」




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回、インターン編最終回。
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