出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
SEASON2第3章 ヒーローインターン編最終話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。



第34話:一時の平穏と新たな脅威

グラントリノside

 

 死穢八齋會(しえはっさいかい)への家宅捜索(ガサ入れ)直前に齎された(ヴィラン)連合の目撃情報。

 それを聞いた俺は、家宅捜索(ガサ入れ)への参加予定を急遽変更。塚内と警官隊の3割を連れて、とある山間部へ急行した。そして目撃情報を基にある程度の当たりをつけてみた訳だが…

 

「この数日の間、この辺りに目撃情報が集中していたから、網を張っていた訳だが…上手く掛かってくれた」

 

 現れたのは、なんと(ヴィラン)連合の幹部格である黒霧。すぐさま戦闘開始となり―

 

「連合で最も厄介なお前さんさえ捕えれば…あとは芋づる式だ」

 

 激闘の末、俺が勝利を掴む事が出来た。胸元を掴んでいた手を離すと、そのまま地面へと崩れ落ちる黒霧。

 

「ハハ、ハハハ…お年からは想像出来ない動きの切れ…神野区の時より強くなってませんか?」

「ライコウやグリュンフリートに触発されてな。鍛え直しの真っ最中だよ」

「生涯現役、ですか…恐ろしい人だ」

 

 そんな会話を交わしている内に塚内達も合流し―

 

「頭と両手、周囲にもゲートを出せる。気をつけて。そいつの拘束は難しい」

 

 警官数人がかりで黒霧を手早く拘束。

 

「グラントリノ。今連絡が入りました。死穢八齋會の家宅捜索は無事成功。治崎を始めとする関係者を全員逮捕出来たそうです」

「そうか。向こうもこっちも作戦成功で、重畳だな」 

 

 更に吉報が入った事で、周りの警察官達も勝鬨をあげていく。

 

「ここ…『()()()()()』って、少々噂になってまして……知りませんか? グラントリノ」

 

 黒霧が再び口を開いたのは、その時だ。

 

「少し、目立ってしまったようですが…仕方ありませんね。私、その野人に用がありまして」

「その話、取調室でゆっくり聞かせてくれや」

 

 何か嫌な予感を感じた俺は、そう言って拘束された黒霧を担ぎ上げようとした。次の瞬間!

 

 ズンッ

 

 まるで地響きのような音が響き、木々を大きく揺らした。鳥達が一斉に飛び去る中―

 

 ズンッ

 

 再びその音が響き…しかもゆっくりとこちらへ()()()()()()

 

「あの方は、常に未来を見据えている」

「塚内警部、グラントリノ。あの方が育てていたのは、死柄木弔だけじゃないんですよ」

 

 そして、木々を薙ぎ倒して姿を現したのは…文字通りの巨人。

 

「オール・フォー・ワンの忠実なる僕、その1人…“ギガントマキア”」

 

 こいつは……少々予想外だ。

 

 

雷鳥side

 

 さて、雄英へ戻る為に、諸々の手続き等を警察署へ済ませに向かった俺達だったが…

 

『犯人護送中の襲撃事件という前代未聞の失態』

『重要証拠品の紛失も確認されており、今後警察への批判が高まる事が予想されます』

 

 車中で何気なく点けたテレビでは、(ヴィラン)連合による護送車襲撃の一報が報じられていた。

 

「治崎が、死柄木に…」

 

 予想外の展開に絶句する出久。梅雨ちゃんや麗日も言葉を失っていて…信楽焼め、やってくれたな。

 

「これは警察の失態であって、お前達が責任を感じる事じゃない。気に病まなくていい」

「そうそう、治崎の事だって、全ては奴が招いた結果。自業自得だ」

 

 相澤先生と俺でフォローを入れている間に、警察署へ到着。さぁ、手続きを済ませるとしよう。

 

 

「あぁ…やっと終わった。なんでお役所ってこう、1つ1つに時間がかかるんでしょうね?」

「まったく、不合理の極みだな」

 

 出久が心底疲れた様子で呟いた言葉に、短く同意する相澤先生。結局諸々の手続きにかなり時間を取られ、全てが片付いた頃には、すっかり日も沈んでいた。その為―

 

「おーい!」

 

 両腕の負傷で病院に搬送され、俺達が迎えに向かう筈だった切島が、逆に警察署(こっち)へ来てしまっていた。

 

「切島君! 腕の怪我はもう大丈夫なの?」

「あぁ! リカバリーガールのおかげで、この通りだぜ! ただ、通方先輩と天喰先輩は、様子見も兼ねて2日くらい入院するみたいだ」

「2人の怪我の具合を考えれば、妥当なところだな。さぁ、雄英へ帰るぞ」

 

 相澤先生に促され、俺達は車へと乗りこみ…雄英への帰路に就くのだった。

 

 

オールマイトside

 

『―という訳でな。こっちも相当の痛手を負ったが、黒霧を捕まえた』

 

 先生から突然の連絡。始めは何事かと身構えてしまったが、告げられた内容は実に喜ばしい物だった。

 

「では…! もう連合の首根っこを掴んだと同義で…!」

 

 だから、私がそんな事を口にしたのもある意味では当然と言えた。だが…

 

『いや…()()()()は無理だった』

「…!?」

『苦渋の決断だった。オール・フォー・ワンの直接の配下が潜っていた。正直…黒霧逮捕とアレの捕り逃がしを天秤にかけて…どちらが傾くのか図りかねる…』

『あれは…()()()()だ』

 

 先生の語る内容に、私は己の浅はかさを猛省することとなった。先生がそこまで仰るとは…その(ヴィラン)は相当な脅威と言えるだろう。

 

『すぐに増員し、現場に戻ったが遅かった…現在も捜索は続いている。進展があり次第、また知らせる』

「はい、先生もお気をつけて」

 

 通話を終了し、スマートフォンをポケットに収めた私は、マッスルフォームに変化し、その姿を窓ガラスへ映す。

 お師匠や歴代継承者の皆様から授けて頂いたこの15分間の“個性(ギフト)”。以前のようにはいかないにせよ…

 

「出来る限りの事をしなくては…な」

 

 誰に言うでもなくそう呟くと、私は痩身形態(トゥルーフォーム)に戻り、職員室へと歩みを進めるのだった。

 

 

雷鳥side

 

 さて、無事に(ハイツ・アライアンス)へ戻ってきた俺達は、ニュースで詳細を知った皆に事情を話した後、ゆっくりと体を休め…

 

「さて、そろそろ戻って来る頃だが…」

 

 翌日の午後。飯田と八百万を除く全員で談話スペースに集まっていた。

 2人は今、壊理ちゃんの検査に付き添っており、その検査次第で今日の夕食がパーティーになるか否かが決定する。

 

「吸阪。壊理ちゃん、大丈夫だよね?」

「あぁ、十中八九…いや九分九厘大丈夫だろう」

 

 どこか不安げな芦戸の問いにそう答えたところで―

 

「ただいま!」

「ただいま戻りました」

「皆、お待たせして申し訳ない」

 

 壊理ちゃんを連れた飯田と八百万が戻ってきた。果たして、検査の結果は?

 

「検査の結果だが、問題なし! 夕食から普通の食事に切り替えて構わない。との事だ!」

 

 飯田の声に全員が歓喜の声を上げる。そうと決まれば、善は急げだ。

 

「よし! 皆、前以て打合せした通りに頼む!」

 

 俺の声と共に、全員が用意していたエプロンと三角巾を装備していく。さぁ、皆で壊理ちゃんに最高のお子様ランチを作ろうじゃないか!!

 

 

 さて、調理開始から約4時間が経過し―

 

「「出来たーっ!」」

 

 最後まで調理を行っていた葉隠と芦戸の声が響いて、全メニューの調理が完了。あとは、パーティー開始を待つばかりとなったのだが…

 

「あのぉ…どうして、先生方が?」

 

 いつの間にか食堂には、()()()()()()()()姿()()()()()

 相澤先生は担任だから、ここにいるのもわかる。ここ最近2日に1回は夕食を、場合によっては朝食まで食べに来ているミッドナイト先生もまぁ、ギリギリ許容範囲だ。

 だが…プレゼント・マイク先生、エクトプラズム先生、13号先生はいったい何故?

 

「いやぁ、今日の夕食は壊理ちゃんのお祝いなんだろ? だから俺達も教職員を代表してお祝いに駆け付けたって訳さ。勿論タダ飯を喰うつもりは無いぜ。ドリンクとデザートを持参させてもらった」

 

 そう言って、何本ものペットボトルが入ったポリ袋と、アイスクリームの詰め合わせが入ったクーラーボックスを差し出すプレゼント・マイク先生。なるほど、そういう理由なら…まぁ、納得―

 

「アトハ、職員ノ間デ噂ニナッテイル吸阪君ノ料理ヲ食ベテミタイ…トイウノモ偽ラザル理由デハアル。相澤君ノ食生活ヲ一変サセタトイウ腕前。期待シテイル」

「ミッドナイト先輩からも、よく聞かされています。『昨晩出てきた里芋の煮っころがしは、味が染みて美味しかった』とか『今日の朝食に出てきた切り干し大根の煮物は、あまりの美味しさにご飯を2杯もお代わりしてしまった』とか」

 

 ………なんだか、随分と大事になっている気がしないでもないが…まぁ、いいか。

 

「粗末な料理ですが、それでよろしければ…」

 

 こうして、先生方を加えてのパーティーが始まった。

 

 

出久side

 

「うわぁ…」

 

 パーティーの為、急ぎ用意された長机に所狭しと並べられた料理の数々に、感嘆の声を上げる壊理ちゃん。

 

「これは…下手なビュッフェ真っ青だな」

「コレダケノ料理ヲ用意スルトハ、流石ト言ウベキダナ」

「どれも美味しそうです!」

 

 プレゼント・マイク先生、エクトプラズム先生、13号先生も感心したような声を上げている中―

 

「それじゃ、壊理ちゃん。お子様ランチを作っていこうね」

「うん!」

 

 僕は壊理ちゃんに声をかける。

 一昨日行った『特製お子様ランチ・メニュー決定会議』では、時間ギリギリまで白熱した議論が行われたものの、メニューを絞りきる事がどうしても出来ず―

 

 -それじゃあ…バイキングみたいに各々が好きな料理を取って、ワンプレートディナーみたいにするのはどうかしら?- 

 

 梅雨ちゃんの一言で話が纏まった。だから、壊理ちゃんにも様々なメニューから好きな物を選んでもらって、自分だけのワンプレートを作ってもらうんだ。

 

「からあげと、ハンバーグ…スパゲティ…」

 

 壊理ちゃんが悩みながらメニューを選んでいる中―

 

「どうだ! 切島鋭児郎特製! 肉てんこ盛りプレートだぜ!」

 

 切島君は大盛りのガーリックライスとナポリタンの上に色々な肉料理をてんこ盛りにした特製ワンプレートを作って皆に披露していたけど…

 

「切島君! 炭水化物と肉だけでは、栄養バランスが取れていないぞ!」

「別皿使っていいから野菜も食え!」

「わ、悪ぃ!」

 

 当然、飯田君と雷鳥兄ちゃんに注意され、慌てて別皿にサラダや野菜料理を載せ始めていた。

 そんなちょっとしたトラブルを挟みつつ、皆それぞれに魅力的なワンプレートを作り―

 

「では、皆準備が整ったようなので…」

 

 飯田君が挨拶の為、グラス片手に立ち上がった。

 

「それでは! 壊理ちゃんの回復と! ()()()()()()が片付いた事を祝して! 乾杯!」

「「「「「乾杯!」」」」」

 

 いつもの飯田君より、かなり短い乾杯の音頭に続いて、皆の声が響き、グラスを軽くぶつけ合う音も響いていく。

 さぁ、楽しい食事の始まりだ!

 

 

死柄木side

 

「…そうか、黒霧が…」

『あやつがゲートで逃げる事も出来ず、わしに緊急シグナルを送るのがやっと……どうやら、相当な手練れが相手だったようじゃ』

 

 別行動を取っていた黒霧が、ヒーローに敗れ、捕らわれた。ドクターから齎されたその連絡は、治崎へ報いを受けさせた事で、多少なりとも高揚していた俺の気分に冷や水を浴びせるものだった。

 

「ドクター、黒霧は連合に必要不可欠な存在だ。何としてでも助け出す」

『それに関しては、わしも同意見じゃ。じゃが、今すぐという訳にはいかんじゃろう』

「あぁ、機を窺う。そして時が来たら…」

『わかっとる。出来る限りの援護をさせてもらおう』

「感謝する、ドクター」

 

 ドクターとの通話を終え、スマホをポケットへと突っ込む。さて…これからどう動くかだが…

 

「会ってみるか…“ギガントマキア”」

 

 先生が俺と並行して育てていたという直接の配下。どれほどの奴か、直に顔を会わせるのも悪くは―

 

「ご飯出来ましたよー!」

「今日のメニューはトガちゃん特製のトマトシチューだ。血のように真っ赤なスープが、実に食欲をそそるねぇ」

「………」

「ねぇ弔君、普通盛りにしますか? それとも大盛り?」

「……大盛りだ。肉を多めにしろ」

 

 まずは腹ごしらえ…だな。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回より完全オリジナル展開で、全3話から5話程度の短編をお送りし、その後雄英文化祭編に突入します。


オマケ

夕食のメニュー一覧表

-肉料理-

・鶏の唐揚げ(生姜醤油味&ガーリック塩味)
・照り焼きハンバーグ(一口サイズ)
・サイコロステーキ(バター醤油味)
・一口ヒレカツ

-魚料理-

・シーフードフライ(タラ、ホタテ、イカリング)
・特製エビマヨ
・カニクリームコロッケ

-野菜料理-

・トマトのカップサラダ
・ポテトサラダ
・ベジタブルパイ
・人参のグラッセ
・アスパラとコーンのバターソテー

-麺料理-

・ナポリタン
・ペペロンチーノ
・茸の和風スパゲティ

-ご飯-

・エビピラフ
・ガーリックライス
・キャロットライス

-スープ-

・コーンスープ
・オニオンスープ

以上20品をクラス総動員、4時間かけて調理。
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