出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
お楽しみいただければ幸いです。
Mr.コンプレスの“個性”によって、誰にも気づかれる事なく部屋を抜け出した私達は、そのまま
「ようこそ、『ジュエルズ』の諸君。俺が死柄木弔だ。こうやって、君達と直に顔を合わせる事が出来て、歓喜の極みだよ」
「次代の魔王、死柄木弔。お会い出来て光栄です」
「……次代の魔王か…ドクターは、俺の事をどんな風に言っていた?」
「そうですね…
「いや、もういい…ドクターが色々と言っていたようだが、俺はまだ
そう言うと、どこか自虐的な笑みを浮かべる死柄木弔。連合の長という地位に胡坐をかく事無く、謙虚な姿勢。
なるほど…私と同年代ながら、将としての素質は十分という事ですね。
「…それでは、
「あぁ、そうしてくれ」
私は
「先生の指示に従い、この2年半の間…13の国で合計41の
「壊滅させた組織全てが、その国では有数の規模を持つものばかり…と聞いている。大したもんだ」
「恐縮です。組織が保有していた財産は全て我々が没収。ドクターが用意してくださった幾つもの海外口座に分散して、保管しています。これは、その目録となります」
「拝見させてもらう」
目録を手に取ると、真剣な表情で読み始める死柄木弔。
「…13の口座で合計……1,885,000,000
「はい、口座の名義は全て日系ドイツ人、ミサキ・ベルンシュタインで統一しています。各銀行の口座番号やパスワードは、こちらに」
「このケースに入っているのは?」
「網膜認証を突破する為の特殊なコンタクトレンズです」
「なるほど…正直言って想像以上だ。この資金、有効に活用させてもらう」
「よろしくお願いいたします」
私達は互いに頭を下げ、やがて何方からともなく笑みを浮かべる。
「日本に来た理由。その大まかなところはドクターから聞いている。同じ先生から薫陶を受けた者同士、我々
「感謝します、死柄木弔」
死柄木弔の“個性”の関係上、握手は出来ない為、私達は互いの拳を軽くぶつけ合う。
「18億8500万
「そんなトガちゃんに、オジサンが説明してあげよう。現時点で、1
「はぁ…」
「最新鋭ジェット戦闘機を6機買ってお釣りがくる。物にもよるけど、原子力潜水艦だって買う事が出来る」
「………?」
「マスタード君…その例えじゃ、トガちゃんはわからないよ。そうだね…東京ドームを6個造ってお釣りがくる。こう言えばわかるかな?」
「はいはい! そういう事ですね! 凄い大金だという事が、よくわかりました!」
なにやら、
峰田side
「な、何がどうなってんだ…」
目の前で繰り広げられている光景に、オイラは茫然と呟くしかなかった。
「まだ40分ほど時間があるね…そうだ! 皆は
オールマイトのこの一言が、全ての始まりだった。
流石に希望者全員の相手をするのは、時間的に無理という事で、ジャンケンで勝ち残った砂藤、常闇、飯田、轟の4人が組み手をする事になったんだけど…
オールマイトみたいな無茶苦茶なパワーやスピードがある訳じゃない。エンデヴァーみたいに物凄い火力がある訳でもない。
強いて言うなら、ベストジーニストみたいな技巧派…だけど、オイラ達の知るような技巧派ヒーローとはまるで違う。
だってよぉ…普通の技巧派ヒーローが、砂藤の…それも
「完璧に入った筈なのに…まるで
砂藤自身も訳わからなくて、青褪めてた。それでも、気合を入れ直して攻撃を仕掛けていたけど、
「なぁっ!?」
最後にはパンチを繰り出した砂藤、その右拳の上に悠々と立ってみせた。ありえねぇ…動きが速いとか、瞬発力があるとか、そんなレベルの話じゃねえ。
まるでトリックの解らない手品を見せられている気分だ…。
次に挑んだのは常闇。
「緑谷の御尊父様! 一手ご教授願います!」
「はい、お手柔らかに」
常闇も最初から
「なっ!? どうした!
「ワ、ワカンネェ! キュウニ、シビレタ!」
1発、たった1発の掌打が当たっただけで、
3番目に挑んだのは飯田。当然、最初から最高速度で向かっていったさ。けど…
「流石はインゲニウムの弟さん、見事なスピードです。追いつくのに一苦労ですよ」
「なっ…」
「隙ありです」
「ぬわぁぁぁぁぁっ!?」
そして、動揺する飯田に足払いをかけて、無力化に成功。
「あの動き…まさか、伝説の縮地!?」
その光景に、尾白が何かに気づいたみたいだけど…シュクチって何なんだよ!
最後に挑んだのは轟。前の3人がまるで歯が立たなかったけど、轟ならもしかしたら!
………そう思った時期が、オイラにもありました。
「接近戦じゃ、勝ち目はない…だったら!」
「この攻撃の密度、ブダペストの一件を思い出しますね」
だけど
「分身…だとっ!?」
「残像のちょっとした応用です」
分身の術まで披露してきた。
心の中でそう叫んだ直後、分身に翻弄された轟はとうとう接近を許してしまい…常闇同様、掌打の一発で“個性”が無力化されてしまう。そして―
「続けますか?」
「いえ…俺の負けです」
目の前に拳を寸止めされ、勝負あり。結局4人とも全く歯が立たなかった…
オールマイトside
「4人ともお疲れ様。
「何で攻撃が効かなかったのか…全然わからないっす」
「
「あのような移動法があったとは…未だに信じられません」
「自分がまだまだだ…って事が、よくわかりました」
私の問いかけに、それぞれなりの答えを返してくる砂藤少年、常闇少年、飯田少年、そして轟少年。
「うむ!
「君達1-Aは実に優秀だ! 入学してから今日まで驚異的なペースで実力を伸ばし、仮免試験では全員が高得点で合格するという快挙も成し遂げた!」
「だからこそ!
最後に軽くウインクして、
正式に
「アンタがヒーロー殺し、ステインか。その活躍、外国でも話題になってるぜ」
「『ジュエルズ』の切り込み隊長、
「アンタからそう言っていただけるとは光栄だね。どうだい? 同盟を組んだ記念に、軽く手合わせというのは? もちろん、
「……面白い。場所を変えようか」
「ス、ステイン!
「…好きにしろ」
「怪我しねぇよう気をつけろよ?」
「
「同感よ、
「喜んで」
「……凄いね。H&K G36A2のフルカスタム。ここまで凄い改造は見た事ないよ。サブアームは?」
「…これ」
「H&K MARK23、ソーコムピストルか。流石のチョイスだね」
「貴方のコルト・ガバメントも良い銃。トーラス・レイジングブルは少し癖が強いけど」
「あれは、切り札みたいな感じだからね。普段使いは
「仕方ねぇ…酒盛りやってる連中にツマミでも作るか。キッチンどこだい?」
「こっちですよ!」
「一緒に夕食作るのも、悪くないねぇ」
「死柄木弔、貴方にお話しておきたい事があります」
「話? 改まって、どうした」
「はい…実は―」
その内容を聞いた途端、死柄木弔の顔色が変わります。
「そいつは…間違いないのか?」
「はい、時期に多少のズレはあるかもしれませんが…ほぼ確実です」
「………まったく、とんでもない爆弾を投げ込んでくれたな…だが、わかった」
「ありがとうございます」
死柄木弔から承諾を得た私は、深々と頭を下げ…作戦に向けて憂いが一つ消えたことに喜びを感じるのでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました