出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お楽しみいただければ幸いです。


第34.4話:友好的な出会い

猛崎琥珀(アンバー)side

 

 Mr.コンプレスの“個性”によって、誰にも気づかれる事なく部屋を抜け出した私達は、そのまま(ヴィラン)連合が当面の根城として使っている山奥の山荘へと移動。

 

「ようこそ、『ジュエルズ』の諸君。俺が死柄木弔だ。こうやって、君達と直に顔を合わせる事が出来て、歓喜の極みだよ」

 

 (ヴィラン)連合の長である死柄木弔と、対面を果たしていた。

 

「次代の魔王、死柄木弔。お会い出来て光栄です」

「……次代の魔王か…ドクターは、俺の事をどんな風に言っていた?」

「そうですね…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…続けますか?」

「いや、もういい…ドクターが色々と言っていたようだが、俺はまだ()()()()()()()()()()()()()()。まだまだ発展途上の未熟者だ」

 

 そう言うと、どこか自虐的な笑みを浮かべる死柄木弔。連合の長という地位に胡坐をかく事無く、謙虚な姿勢。

 なるほど…私と同年代ながら、将としての素質は十分という事ですね。

 

「…それでは、()()を済ませてしまいましょう」

「あぁ、そうしてくれ」

 

 私は柘榴石(ガーネット)に預けていたアタッシェケースを受け取り、ロックを解除すると、その中身を死柄木弔へ差し出す。

 

「先生の指示に従い、この2年半の間…13の国で合計41の(ヴィラン)組織と戦い、その全てを壊滅させました」

「壊滅させた組織全てが、その国では有数の規模を持つものばかり…と聞いている。大したもんだ」

「恐縮です。組織が保有していた財産は全て我々が没収。ドクターが用意してくださった幾つもの海外口座に分散して、保管しています。これは、その目録となります」

「拝見させてもらう」

 

 目録を手に取ると、真剣な表情で読み始める死柄木弔。

 

「…13の口座で合計……1,885,000,000(ドル)か…」

「はい、口座の名義は全て日系ドイツ人、ミサキ・ベルンシュタインで統一しています。各銀行の口座番号やパスワードは、こちらに」

「このケースに入っているのは?」

「網膜認証を突破する為の特殊なコンタクトレンズです」

「なるほど…正直言って想像以上だ。この資金、有効に活用させてもらう」

「よろしくお願いいたします」

 

 私達は互いに頭を下げ、やがて何方からともなく笑みを浮かべる。

 

「日本に来た理由。その大まかなところはドクターから聞いている。同じ先生から薫陶を受けた者同士、我々(ヴィラン)連合は『ジュエルズ』に全面協力させてもらう」

「感謝します、死柄木弔」

 

 死柄木弔の“個性”の関係上、握手は出来ない為、私達は互いの拳を軽くぶつけ合う。

 

「18億8500万(ドル)…全然ピンと来ない数字ですね!」

「そんなトガちゃんに、オジサンが説明してあげよう。現時点で、1(ドル)は112円だから…2111億2000万円。大体人口25万人くらいの地方都市、その年間予算に匹敵するね」

「はぁ…」

「最新鋭ジェット戦闘機を6機買ってお釣りがくる。物にもよるけど、原子力潜水艦だって買う事が出来る」

「………?」

「マスタード君…その例えじゃ、トガちゃんはわからないよ。そうだね…東京ドームを6個造ってお釣りがくる。こう言えばわかるかな?」

「はいはい! そういう事ですね! 凄い大金だという事が、よくわかりました!」 

 

 なにやら、(ヴィラン)らしからぬ会話を交わしている面々もいるが…それでも心強い味方が出来た事は確かだ。

 

 

峰田side

 

「な、何がどうなってんだ…」

 

 目の前で繰り広げられている光景に、オイラは茫然と呟くしかなかった。

 特別講師(緑谷の親父さん)による特別授業。普通に生きていたら、とても知る事が出来ないような濃い内容に、オイラ達は大満足だった訳だけど…

 

「まだ40分ほど時間があるね…そうだ! 皆は緑谷君(アスカロン)の実力を直に体験してみたくはないかな?」

 

 オールマイトのこの一言が、全ての始まりだった。

 流石に希望者全員の相手をするのは、時間的に無理という事で、ジャンケンで勝ち残った砂藤、常闇、飯田、轟の4人が組み手をする事になったんだけど… 

 

 緑谷の親父さん(アスカロン)は、()()()()

 

 オールマイトみたいな無茶苦茶なパワーやスピードがある訳じゃない。エンデヴァーみたいに物凄い火力がある訳でもない。

 強いて言うなら、ベストジーニストみたいな技巧派…だけど、オイラ達の知るような技巧派ヒーローとはまるで違う。

 だってよぉ…普通の技巧派ヒーローが、砂藤の…それも砂糖細工の悪魔(シュガークラフトデーモン)を発動した状態で繰り出した攻撃を()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて事出来るのか? 無理だろ!

 

「完璧に入った筈なのに…まるで()()()()()()()()()を殴ったみたいだ」 

 

 砂藤自身も訳わからなくて、青褪めてた。それでも、気合を入れ直して攻撃を仕掛けていたけど、緑谷の親父さん(アスカロン)はダメージ0。それどころか―

 

「なぁっ!?」

 

 最後にはパンチを繰り出した砂藤、その右拳の上に悠々と立ってみせた。ありえねぇ…動きが速いとか、瞬発力があるとか、そんなレベルの話じゃねえ。

 まるでトリックの解らない手品を見せられている気分だ…。

 

 

 次に挑んだのは常闇。

 

「緑谷の御尊父様! 一手ご教授願います!」

「はい、お手柔らかに」

 

 常闇も最初から深淵闇躯(ブラックアンク)を発動して、全力で挑んだけど―

 

「なっ!? どうした! 黒影(ダークシャドウ)!」

「ワ、ワカンネェ! キュウニ、シビレタ!」

 

 1発、たった1発の掌打が当たっただけで、黒影(ダークシャドウ)が無力化され、そのまま常闇自身も倒されちまった。

 

 

 3番目に挑んだのは飯田。当然、最初から最高速度で向かっていったさ。けど…

 

「流石はインゲニウムの弟さん、見事なスピードです。追いつくのに一苦労ですよ」

「なっ…」

 

 緑谷の親父さん(アスカロン)は、今まで見た事ない足捌きで…地面を滑るように移動して、あっさりと飯田に並走してみせた。

 

「隙ありです」

「ぬわぁぁぁぁぁっ!?」

 

 そして、動揺する飯田に足払いをかけて、無力化に成功。

 

「あの動き…まさか、伝説の縮地!?」

 

 その光景に、尾白が何かに気づいたみたいだけど…シュクチって何なんだよ!

 

 

 最後に挑んだのは轟。前の3人がまるで歯が立たなかったけど、轟ならもしかしたら!

 ………そう思った時期が、オイラにもありました。

 

「接近戦じゃ、勝ち目はない…だったら!」 

 

 緑谷の親父さん(アスカロン)を近づかせまいと、氷と炎で徹底的に面攻撃を仕掛ける轟。1発、1発当たれば勝負が決まる。誰もがそう思いながら、戦いを見守っていた。

 

「この攻撃の密度、ブダペストの一件を思い出しますね」

 

 だけど緑谷の親父さん(アスカロン)は、飯田の時同様、地面を滑るように移動することで攻撃を避け続け…その挙句―

 

「分身…だとっ!?」

「残像のちょっとした応用です」 

 

 分身の術まで披露してきた。緑谷の親父さん(アスカロン)は忍者かよっ!

 心の中でそう叫んだ直後、分身に翻弄された轟はとうとう接近を許してしまい…常闇同様、掌打の一発で“個性”が無力化されてしまう。そして―

 

「続けますか?」

「いえ…俺の負けです」

 

 目の前に拳を寸止めされ、勝負あり。結局4人とも全く歯が立たなかった…緑谷の親父さん(アスカロン)、化け物だぜ…。

 

 

オールマイトside

 

「4人ともお疲れ様。緑谷君(アスカロン)と戦ってみて、どうだったかな?」

「何で攻撃が効かなかったのか…全然わからないっす」

黒影(ダークシャドウ)が無力化されるなど、まさに奇奇怪怪」

「あのような移動法があったとは…未だに信じられません」

「自分がまだまだだ…って事が、よくわかりました」

 

 私の問いかけに、それぞれなりの答えを返してくる砂藤少年、常闇少年、飯田少年、そして轟少年。

 

「うむ! 緑谷君(アスカロン)と戦ってもらったのは、世界にはまだまだとんでもない実力者が大勢いるという事を理解してほしかったからだ!」

「君達1-Aは実に優秀だ! 入学してから今日まで驚異的なペースで実力を伸ばし、仮免試験では全員が高得点で合格するという快挙も成し遂げた!」

「だからこそ! ()()()()()()()()()()という事を忘れないでほしい。まぁ、君達はそんな事わかりきっているだろうけど…ね」

 

 最後に軽くウインクして、緑谷君(アスカロン)と戦わせた真意についての説明は終了。無事に本日の授業を終える事となったのだった。

 

 

猛崎琥珀(アンバー)side

 

 正式に(ヴィラン)連合と同盟を組む事が決まり、私達は友好的な雰囲気の中、改めて互いを紹介していった訳ですが― 

 

「アンタがヒーロー殺し、ステインか。その活躍、外国でも話題になってるぜ」

「『ジュエルズ』の切り込み隊長、柘榴石(ガーネット)…なるほど、噂に違わぬ使い手のようだな」

「アンタからそう言っていただけるとは光栄だね。どうだい? 同盟を組んだ記念に、軽く手合わせというのは? もちろん、()()()()()()()()()()()で」

「……面白い。場所を変えようか」

「ス、ステイン! 柘榴石(ガーネット)! その手合わせ、是非とも間近で学ばせていただきたく!」

「…好きにしろ」

「怪我しねぇよう気をつけろよ?」

 

 柘榴石(ガーネット)が、ヒーロー殺しことステインとそんなやり取りを交わしたのを皮切りに、それぞれが()()()()()()()()()へ声をかけ始めました。

 

(ヴィラン)連合マグネ、貴女とは他人のような気がしないわ」

「同感よ、紅水晶(ローズクォーツ)。貴女とは良いお酒が飲めそうだわ。どうかしら? 私の部屋で一献」

「喜んで」

 

 紅水晶(ローズクォーツ)は、マグネの部屋に招かれて酒盛りを開始。

 

「……凄いね。H&K G36A2のフルカスタム。ここまで凄い改造は見た事ないよ。サブアームは?」

「…これ」

「H&K MARK23、ソーコムピストルか。流石のチョイスだね」

「貴方のコルト・ガバメントも良い銃。トーラス・レイジングブルは少し癖が強いけど」

「あれは、切り札みたいな感じだからね。普段使いはコルト・ガバメント(これ)で十分さ」

 

 藍玉(アクアマリン)は、マスタードと銃の話題で意気投合。

 

「仕方ねぇ…酒盛りやってる連中にツマミでも作るか。キッチンどこだい?」

「こっちですよ!」

「一緒に夕食作るのも、悪くないねぇ」

 

 橄欖石(ペリドット)は…トガヒミコやMr. コンプレスと一緒にキッチンへ向かうようですね。さて、それでは私も…

 

「死柄木弔、貴方にお話しておきたい事があります」

 

 ()()()()を話しておきましょう。

 

「話? 改まって、どうした」

「はい…実は―」

 

 その内容を聞いた途端、死柄木弔の顔色が変わります。

 

「そいつは…間違いないのか?」

「はい、時期に多少のズレはあるかもしれませんが…ほぼ確実です」

「………まったく、とんでもない爆弾を投げ込んでくれたな…だが、わかった」

「ありがとうございます」

 

 死柄木弔から承諾を得た私は、深々と頭を下げ…作戦に向けて憂いが一つ消えたことに喜びを感じるのでした。




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