出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
お楽しみいただければ幸いです。
2021/11/10追記
スナイプvs
スナイプside
イレイザー達がそれぞれ『ジュエルズ』との戦闘を開始した中―
「ここなら流れ弾の心配も無いだろう。そろそろ…始めるか?」
「ええ」
俺と
「
「了解した」
俺が指で弾いた500円硬貨が地面に落ちた瞬間、それぞれの得物を手に動き出した!
互いに相手の隙を探りながら動き回る事暫し―
「先手必勝!」
先手を取ったのは俺だ。走りながら“個性”を発動し、ファニングショット*1で6発の銃弾を連続発射。
事実、放たれた銃弾は全て
「大丈夫…軌道は、
敵もさる者。何も無かった筈の空間からダミーバルーンを複数個取り出すと、それらを銃弾の軌道上に配置。身代わりにする事で、攻撃を凌いでみせた。
「私に与えられた“個性”は『アイテムボックス』。ある種の亜空間を創り出し、その中に様々なアイテムを収納出来る」
「それはまた便利な“個性”だ…」
その亜空間とやらが、どれだけの容量を持つかはわからないが…仮に六畳一間程度だとしても、自分が使用する銃火器や弾薬、その他のアイテムを収納しておくには十分すぎる。
そして、その予想は…最悪に近い形で的中した。
「
叫びと共に
「ちぃっ!」
俺が半ば反射的に回避行動を取るのと同時に、2挺の軽機関銃が火を噴き…数十、いや百発近い小銃弾が俺に襲いかかった。
回避行動を取ったスナイプ目掛け、2挺の軽機関銃を乱射し…弾倉が空になるのと同時に射撃を中断。
「………」
私は軽機関銃を投げ捨て、愛用の
「くっ……」
やがて見えてきたのは、左足と右の掌を負傷し、片膝を着いたスナイプの姿。
利き手を負傷したうえに、愛用のリボルバーも手から零れ落ちている…。戦況は私の絶対的有利と言えるだろう。
「
私は
これで良し。万一リボルバーを奪い返されても、弾丸が無ければどうする事も出来まい。
「…悪くない判断だ。だが、完璧を期するなら…弾丸を抜くよりも、自慢のアイテムボックスの中に放り込むべきだったな」
その時、不意に発せられたスナイプの呟き。私はリボルバーを握ったまま咄嗟に距離を取った。
落ち着け、今のアイツは素手。このリボルバーが無ければ―
「こんな事もあろうかと、
「ッ!?」
その瞬間、背中を走る悪寒。反射的にリボルバーを投げ捨てた次の瞬間、リボルバーが
「まさか、自分の武器に爆弾を仕込んでいた!?」
予想外の事態に動揺しながらも、私は瞬時に気持ちを落ち着かせて
「こいつが逆転の一手だ」
気持ちを落ち着かせる為に要した1秒にも満たない時間。その間にスナイプは動いていた。
無事な左手で地面に落ちた弾丸を拾い、右腕の手甲に仕込まれていた単発銃に装填。その銃口をこちらへと向けていたのだ。
「くっ!」
「…いけっ!」
そして同時に発射される2つの銃。勝利したのは…
「………見事」
スナイプだった。
スナイプside
「まさか、
1学期の期末試験で
その際、万が一を想定して仕込み銃を追加していた事が、勝利に繋がるとは…世の中、何がどう転ぶかわからないものだ。
そんな事を考えながら、俺は痛む左足を引きずり、倒れたままの
「……自分の銃に爆弾を仕掛ける。私には…とても出来ない事だ」
「銃ってのは、簡単に人を殺す事が出来る。だからこそ、その管理には臆病な程慎重であるべきだし、万が一の際には相応の対応を取る必要がある。ヒーローだったら、当然の事だ」
「当然の事…か。やはり、本物のヒーローは違う…」
そう言って静かに笑う
「ミッドナイトが言っていたのは、この事か…」
「後悔はしていない。最後に貴方という本物と戦う事も出来た…」
「そうか…」
こうなった以上、俺に出来る事は彼女の傍に跪いて、祈りを捧げる事だけだ。
「
「極悪人ならまだしも、『
「そうか……ヒーローから祈ってもらえる、不思議と悪くない気分だ」
「マスタード…出来る事なら、もう一度会いたかった……だけど…貴方はまだ、
最後の言葉を残し、
「やりきれんな……」
祈りを終えた俺は、そう呟くのがやっとだった…。
エクトプラズムside
『ジュエルズ』ノ1人、
「どぉりゃぁ!!」
ダガ、
「ムウ…何トイウ膂力。増幅系ノ“個性”カ…」
「いいや、違うね! この筋力は自前! “個性”とは異なる
一般ノ男性ナラ、1本ヲ両手デ何トカ持テル重サノ
先天的ナ…ミオスタチン*2ノ分泌異常トイウ事カ。
マァ、“個性”カ否カハ、コノ際関係無イ!
「肝心ナ事ハ、
我ハ全テノ分身ヲ一点集約、超巨大化サセテイク。ソノ名モ―
強制収容・ジャイアントバイツ
「
「
巨大な分身を生み出しながら、そう叫ぶエクトプラズムを前に、俺は
まぁ普通に考えれば、体格の差は圧倒的だし、いくら俺が人並外れた怪力の持ち主である事を考慮したって、力負けするのは目に見えてる。
「俺達にはもう
そう吠えながら、俺は
すぐさま俺の体はその場で高速回転を始め…数秒で空へと舞い上がった。
「俺の“個性”は『プロペラ』! 自分自身を高速で回転させて、空を飛ぶ事が出来る!」
「空ヲ飛ブカ…ダガ、攻撃ガ出来ナケレバ、我ハ倒セナイゾ」
「その点は心配ご無用!」
エクトプラズムの声にそう答えた俺は、足の動きや重心移動を巧みに組み合わせて方向転換。そのままエクトプラズムの巨大分身へ向かって行く!
「俺が
「ッ!?」
エクトプラズムも何かに気づいたのだろう、巨大分身の右腕を振るって迎撃を試みるが、俺はそれを紙一重で回避。
「どぉりゃぁ!!」
逆にその腕へ沿うように飛行し、音も無く腕を切り落としてみせた。
「両手に持った
「ナルホド…」
切り落とされた巨大分身の右腕と俺を交互に見比べながら、感心したように呟くエクトプラズム。
「さぁ、勝負をつけようか!」
俺は一気に勝負をつけるべく、巨大分身から一旦距離を取ると…回転数を限界まで高め―
「いくぞぉ!!」
真正面から突撃した! 一方のエクトプラズムも―
「真正面カラ正々堂々…ソノ意気ヤ良シ! 我モ
その声と共に巨大分身の左腕を
強制粉砕・ジャイアントスピナー
次の瞬間、俺と巨大分身は激突。その結果は………
「ぬぉぉぉっ!」
互角! 巨大分身のドリルと化した左腕を粉砕し、胴体に大穴を開ける事も出来たが、俺の回転も止められた上に、
「覚悟!」
更にそこへエクトプラズムが飛び込んできた。地上へと落下する俺へと目掛け、飛び蹴りを叩き込むつもりか!
「舐めるな!」
俺もただ黙って攻撃を待っている訳じゃない。空中で体勢を立て直し、残された
大丈夫だ。
「このタイミングなら、俺の攻撃が先に届く!」
そう確信した俺は、最高のタイミングで
だがそれと同時に、
「………げほっ」
俺の攻撃より先に、エクトプラズムの蹴りが炸裂した。
エクトプラズムside
「期末試験デノ敗北ヲ教訓ニ、戦闘用義足ヘ改良ヲ施シテイタノガ幸イシタ…」
パワーローダーノ手デ、圧縮空気ヲ用イテノ延伸機能ガ付与サレタ戦闘用義足ニ手ヲヤリナガラ、我ハ地面ニ倒レタママノ
「ハハ…まさに紙一重の差ってやつか……」
「アァ、我モ敗北ヲ覚悟シテイタ。ダカラコソ君ガ、君達ガ間違ッタ道ヲ選ンデシマッタ事ガ、残念デナラナイ…」
「間違った道か…まぁ、傍から見ればそう思うのも、無理は無いだろうな……だがな、エクトプラズム。俺から言わせれば、アンタは…いや、この国の人間は全員、
世界ノ汚サヲ知ラナイ。ソウ言ッテ自身ノ過去ヲ語リ始メル
戦いに敗れた俺に残された僅かな時間。それを意識しながら、俺はあの日の事を語り始める。
「俺はもともと、中東のある小国…その山間に作られた小さな村の生まれでな。そこは“無個性”として迫害され、故郷を追われた者達が自然と集まり作られた…一種の隠れ里だった」
「外部との接触を必要最小限にした、自給自足の生活さ。外の世界に出る事はまず無かった。“個性”を持つ奴らから迫害される事を恐れていたからな」
「奴らの目が届かない所で、目立たずに暮らしていれば、迫害される事も無い…俺達はそう信じていたし、長い間何のトラブルも無かった…だけど、そんな日々はあっけなく終わっちまった」
全ての始まりは
「大統領就任の演説で、そいつはこう言ったよ」
-今我が国が苦しんでいるのは、我が国に何の利益も齎さない“無個性”が潜んでいる為である!-
-奴らは寄生虫だ! 何の役にも立たず、無駄飯を食うだけの害虫だ!-
-我が愛すべき国民諸君! 今こそ! 今こそ我らはこの国を浄化しなくてはならない!-
-我が国に蔓延る“無個性”という害虫を、1匹残らず駆除しなくては、我らに未来はないのだ!-
「国全体が不況で喘いでいる理由は“無個性”がいるからだ。無茶苦茶な理屈だろ? だが、国民は無茶苦茶な理屈に乗せられちまった…」
次の日から国中で“無個性”の人間が焙り出され、反論すら許されないまま、
「3日と経たない内に、俺達の村にも、銃で武装した奴らが乗り込んできた…あとはわかるだろ?
「ッ!?」
「あいつら、笑ってたよ。自分達の行いは国の浄化、正しい事だ。“無個性”は害虫だから生きる価値は無いってな…」
「ナントイウ事ヲ…」
「なぁ…“個性”を持った奴らの機嫌を損ねないように、目に入らない場所で息を潜めて生きていた…そんな人間を一方的に追い立てるのが、正しい事なのか?」
「抵抗もせず、逃げ惑うだけの人間を背後から何発も撃つ事が、正しい事なのか? そんな事は国の浄化なのか?」
「そして…そんな奴らを憎み、力を求めた事が間違っているのか?」
「………」
俺の問いかけに、苦しそうな顔をしたまま黙り込むエクトプラズム。そして、俺の体も崩壊が始まった…。
「悪い、アンタを責めるつもりはなかったんだ。ただ…知ってほしかっただけだ……
「次の世代では…俺達みたいな存在が、生まれなきゃいいんだけどな……」
「
「期待してるぜ…先生」
あの世ってやつがあるなら…村の皆に会えると良いんだが…まぁ、無理かな。
プレゼント・マイクside
「Yeaaaaaaah!!」
右手に自動拳銃、左手にナイフを持ち、油断無く構える
「ハッ!」
だが、
「なるほどね。袖口からワイヤーを射出。それを巻き取る事で高速移動を可能にしているって訳か」
「正解。初見で見破るとは見事だ。褒めてやるよ」
「褒めてくれるのは嬉しいけどよ…だったら、銃を向けるのやめてくれない?」
「お断りだ」
そう言うが早いか、自動拳銃を連射する
「っとぉ!」
俺は横っ飛びでそれを回避し―
「Yeaaaaaaah!!」
再度シャウトを放つ!
「無駄だ!」
当然、それは回避されるが…それは想定内。
「本命はこっちだぁ!!」
「なにっ!? うぉぉぉぉぉっ!」
予想通り、シャウトが直撃した
「これで勝負あり。悪いが拘束させてもらうぜ」
素早く拘束具を取り出し、
「うぉっ!」
突然
「流石だ、プレゼント・マイク。“個性”抜きでもう少しやれると思っていたが…想定以上だ」
その声と共に立ち上がる
「俺の“個性”は結構なじゃじゃ馬でな! 一歩間違えば、皆纏めて吹っ飛んじまう!」
「だが…そいつを使わなきゃ、アンタには勝てそうにない! 全力の敬意を込めて…殺してやるよ」
次の瞬間、
「そして、教えておこう! 俺の“個性”は『リアクター』だ!!」
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回、特別編最終回。