出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
特別編パート2最終話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
プレゼント・マイクside
「そして、教えておこう! 俺の“個性”は『リアクター』だ!!」
そう叫びながら宙に浮きあがった
事実、まだ十分に余力を残しているであろう今ですら、街路樹が自然発火し、アスファルトが沸き立つほどの高熱を放っているのだから…。だが―
「逃げる訳にはいかねぇよな…」
そう、ここで逃げるようだったら、ヒーロー失格。免許を自主返納して田舎に引っ込まなきゃならない。
「やれるところまで、やぁぁぁってやるぜっ!!」
「Yeaaaaaaah!!」
俺は両足に力を込め、空中の
「無駄だ!」
だが、そのシャウトは
「なっ…」
「全身から溢れ出る熱エネルギーが、不可視の防壁となっている。その程度の攻撃じゃ、俺に届く事すら不可能だ」
唖然とする俺にそう言いながら、俺に向けて右手を翳す
「エネルギーの総量が違う…終わりだぁ!」
咄嗟に回避を試みた直後、俺に向けて熱線が放たれ…大爆発を起こした。
「ふぅぅぅぅぅ……」
熱戦によって大爆発を起こした地上を見下ろしながら、俺は静かに深呼吸を繰り返し、体内に残留した熱エネルギーを放出。
同時に自然発火寸前まで上昇した体温をゆっくりと下げていく。
俺に授けられたこの“個性”は、その気になれば街一つ消し去るだけのエネルギーを放出する事が出来るが、それは負担がデカすぎて命と引き換えになる文字通り
まぁ、溶鉱炉程度のエネルギーを放出するだけでも十ぶ―
「Yeaaaaaaah!!」
「ッ!?」
そんな事を考えているところへ、いきなり放たれるシャウト。熱エネルギーによる防壁で防ぐ事は出来たが…生きていたか。
「あの爆発の中で無事だったとはな」
「タイミング的にはギリギリだったけどな。
そう話すプレゼント・マイクに、俺は心の奥で賛辞を贈った。そうだ、そうだよ。それでこそ一流のヒーローだ。
お前のような本物にこそ、俺を倒す資格があるし、俺も倒されたい。だからこそ―
「だったら、そんな小細工で防げないレベルの攻撃を叩き込むまでだ!」
俺はプレゼント・マイクを挑発し、再度攻撃態勢に入る。
「この攻撃には、さっきの3倍以上のエネルギーを込めている!」
「放たれれば、防御も回避もまず不可能! 止めたければ、
「言われるまでもねぇ…やってやるぜ!」
「Yeaaaaaaah!!」
直後、防壁に炸裂するプレゼント・マイクのシャウト…威力はさっきより上がっているようだが、この程度では…
「ん?」
違和感に気が付いたのは、その時だ。防壁にシャウトが炸裂する範囲が、さっきよりも狭いような…いや、
「面で駄目なら点で勝負だぁぁぁぁぁっ!!」
叫びの通り、面攻撃だったシャウトが徐々に収束されて…
「
遂に防壁を突破。俺を吹っ飛ばした!
「流石だぜ…プレゼント・マイク……」
プレゼント・マイクside
「なぁ…最後のアレ、ワザと俺を挑発したんだろ? 俺に倒されるために!」
地面に落下した
さっきは防壁をどう突破するかで頭がいっぱいだったが、思い返してみると
まるで、倒される事を望んでいるような…
「あぁ、そうさ……お前達みたいな本物のヒーローと戦い、倒される事…それが俺達の望みさ……」
琥珀は別の望みがあるようだがな…と笑う
倒される事が望みだなんて、悲しすぎるだろう…クソッ、何を言っても気休めにしかならねぇ!
「気に病むなよ…“無個性”として虫けらみたいに扱われていた俺達が、
「見下され、蔑まれ、ゴミのように扱われて死んでいく…そんなクソみたいな人生に比べれば、はるかに
「まぁ……理解しろ。とは言わないさ。だが、そう考える奴もいるって事だけは、覚えておいてくれ…」
四肢の崩壊が始まる中、そう呟く
「心遣い…感謝する」
その言葉を最後に、
「もしも、生まれ変わりってのがあるなら…次の人生では平凡な人生である事を祈るぜ……」
「イレイザーヘッドォ!」
怒りの形相で俺に迫り、両手に持ったナイフで矢継ぎ早に攻撃を繰り出してくる
「………」
俺は無言のままその攻撃全てを捌ききり、素早く距離を取っていく。何度かこの攻防を繰り返したところで―
「イレイザーヘッド…何故まともに戦おうとしない!」
「私に攻撃を仕掛けず、ただ防御するばかり…私は相手にする価値も無い。とでも言いたいのですか!」
「…そうじゃない」
「君の弟、猛崎理央の死は…全て私の未熟さが招いたもの。本当に…申し訳なかった」
深々と頭を下げた。
「……な、何のつもりですか! 今更頭を下げて、私が…許すとでも!?」
「許す許さないは君の自由だ。だが、ある人から教えられた…謝罪の意思が伝わらなければ、許す許さない以前の問題だと」
あの日、八木先生から教えられた事を強く意識しながら、俺は頭を下げ続ける。
「今更…今更謝られたって……今になって謝るなら、どうして…どうしてあの時謝ってくれなかったんですか!」
だが、
「今更…今更謝られたって……今になって謝るなら、どうして…どうしてあの時謝ってくれなかったんですか!」
頭を下げ続けるイレイザーヘッドへ思わずそう叫びながら、私は弟が死んだ時の事を思い出していた。
雄英高校を除籍になった直後に事故死した弟。その葬儀には、雄英高校で弟と共に学んでいた学生達が弔問に来てくれたけど…
そんな
-雄英高校を除籍になるなんて、きっと世間に顔向け出来ないような事をしたに決まっている-
-あそこの家は親がいないから、何か問題行動を起こしたんだろう-
-所詮外面と“個性”が良かっただけ、雄英高校でメッキが剝がれたんだ-
四十九日の法要も済まない内に、近所の口さがない連中は、弟について根拠の無い噂を噂を垂れ流した。
私がどれだけ弟に非が無かった事を訴えても、“無個性”で何の後ろ盾もない小娘の言う事など、一蹴されてしまう…。
そして、私が成人するまでの後見人を引き受けた親類も―
-雄英高校を除籍になるなんて、お前の弟は
-この家に残された財産は全て、俺達が管理する。“無個性”のお前には勿体無い!-
-“無個性”で何の価値も無いお前を家に置いてやるだけ、ありがたく思え!-
本心は両親が残してくれた遺産狙い。私は奴隷のように扱われ、事ある毎に“無個性”である事や死んだ弟の事を侮辱された。
半年も経たない内に、親類は違法行為に手を染めていた事が判明し、警察に逮捕。それを切っ掛けに私も奴隷扱いの日々から解放されたが…
-私を助けて、弟を殺した罪滅ぼしのつもりですか?-
親類の違法行為を暴き、警察を動かしたのがイレイザーヘッドと
ふざけるな! 弟を死に追いやって、私をこんな境遇にしておいて…たった1回助けた事で、罪滅ぼしのつもりなのか!
私は、親類が殆ど使い切ってしまった両親の遺産。その残りをかき集め、留学という形で逃げるように日本を後にした。
嫌な思い出ばかりが思い出されるこの国に、
-こ、んな……嫌………死に、たく…ない…-
留学先で私は物取りに襲われ、呆気なく人生の幕を閉じた…筈だった。
そう、
私は猛崎琥珀から
「あの時、私はどうしようもないくらい辛かった! だけど、それ以上に辛かったのは理央だ! あの子は死んだ後も、心無い言葉で名誉を傷つけられ続けた…あなたのせいで、理央は二度殺されたんだ!」
「ッ!?」
「それを今更…今更謝罪されても、どうしようもないじゃないですか! 私と違って、理央は
「………」
「……さっき言いましたよね。謝罪の意思が伝わらなければ、許す許さない以前の問題…だと」
「あぁ…」
「謝罪の意思は伝わりました。だけど、私はあなたを許す気はありません…」
静かにそう宣告し、私は“個性”を発動。
「もっとも…あなたが
イレイザーヘッドへ向けた両手から、爪を超高速で伸ばした!
「ッ!?」
「爪を―」
伸ばす“個性”か? と続けようとした言葉を飲み込み、俺はゆっくりと構えなおす。何故なら
「私に与えられた“個性”は『治癒力上昇』! 細胞分裂の速度を劇的に速め、治癒力を高める“個性”です。それを応用すれば!」
そう言いながら、伸ばした髪の毛を捩じりながら束ねていく
「
次の瞬間放たれた髪の毛の分銅は、命中した街路樹をへし折るほどの威力を見せたが…何かがおかしい。
いくら細胞分裂の速度を速めるとはいえ、この速度は
「……まさか」
その時脳裏に浮かんだのは2つの可能性。1つは“個性”を『治癒力上昇』と宣言した事がブラフであるという可能性。もう1つは―
「“個性”の複製持ち…」
「その通りです。“無個性”だと思っていた私にも“個性”があった…『触媒』、他人の“個性”を強化する“個性”。単体では何の役にも立たない“個性”です」
思わず口を出たもう1つの可能性を、平然と肯定する
「ですが、あの御方に“個性”を頂いた事で、『触媒』は私自身にも効果を発揮するようになった! 髪や爪を自由に操作出来るのは、そのおかげです!」
「ッ!」
次の瞬間、槍のように次々と伸ばされる鋭い爪と、勢い良く振るわれる髪の毛の分銅。矢継ぎ早に繰り出される攻撃を、俺は何とか回避していく。
発動型の“個性”である以上、
「逃げてばかりですね! 死んで罪を償おうとは考えないのですか?」
「……一度はそれも考えた。それで君が止まるのであればな…だが、俺が命を差し出したところで、君はもう止まらないだろう?」
「………では、どうやって罪を償うつもりですか?」
俺の言葉に動きを止め、正面から問いかける
「月並みだが…生きる。生きて生きて、己の罪と向き合い、あいつの…猛崎理央の冥福を祈り続ける。それが誠実な対応だと、今更ながら辿り着いた」
「………その言葉を、3年前に聞きたかった」
俺の言葉にそう呟き、“個性”を解除する
「うっ、ぐぅっ……」
突然、
「おいっ! しっかりしろ!」
すぐさま駆け寄り、彼女を抱きかかえるが…その体に起き始めた変化に、俺は言葉を失った。
彼女の全身に、先程まで無かった筈の腫瘍が幾つも現れ、凄い速さで増殖、成長を始めている…これはいったい…
「
「くっ…」
淡々とした
「悪いな。それは無しで頼む」
次の瞬間、背後に現れる総毛立つほど悍ましい気配。馬鹿な…この距離に近づかれるまで気づけなかっただと!?
「ちぃっ!」
振り返りながら、俺が咄嗟に放った裏拳は空を切り…
「ぐはっ!」
逆に強烈な衝撃と共に吹っ飛ばされた。ブロック塀に叩きつけられながら、気配の正体を確かめた時…俺は驚きを隠せなかった。そこに立っていたのは…
「死柄木…弔」
死柄木side
イレイザーヘッドの攻撃を回避しながら、カウンターの蹴りを叩き込んだ俺は―
「ほらよ、オマケだ」
追い打ちでMr.コンプレス特製の目潰しを投げつけて、奴の“個性”を封じると、地面に横たわるアンバーに近づき、そっと抱きかかえる。
「悪いな、遅くなった」
「いえ、よく…来てくれました」
全身に無数の腫瘍が出来、息も絶え絶えな状態。今のアンバーは、“個性”の暴走によって、全身の細胞分裂が過剰に促進されている状態…このまま放っておけば、生命力が尽きる最後の一瞬まで全身の腫瘍が成長を続け…仕舞いにはただの肉塊に成り果てる…。
「望み通り、終わらせるぞ…」
「はい…お願いします。辛い役目を任せてしまい、申し訳ありません」
「気にするな。汚れ仕事を引き受けるのも、長の役目だ」
「死柄木弔! 何を…何をする気だ!」
俺は、イレイザーヘッドの叫びを無視したまま、両手の五指でアンバーにしっかりと触れ…その体を崩壊させていく。
「ありがとう…死柄木、弔。
最後にそう言い残し、アンバーは完全に崩壊。塵へと変わっていった。その光景に―
「死柄木弔…何故だ、何故彼女を!」
イレイザーヘッドは目潰しによって殆ど開かなくなった目で、俺を睨みつけてきた。
「見ての通りさ。俺はアンバーの望みを叶えたまでだ」
「望み…だと?」
「あぁ、『ジュエルズ』の5人は、自分達の寿命がもうすぐ尽きる事を自覚していた。特にアンバーは、死の間際に“個性”が暴走し、自分が肉塊に変わり果てる事も理解していた。だから頼まれたのさ」
「自分が、
「なん、だと……いや、他に何か、何か方法があった筈だ! 俺の“個性”で進行を抑える事が出来た以上―」
「お前が四六時中、アンバーを見張り続けるのか? そんな事、1日や2日ならまだしも、長期間行える訳がないだろう…あぁ、お前らが雄英高校で保護している壊理って女の子なら、“個性”で何とか出来たかも知れないなぁ」
「もっとも…あの子はまだ“個性”を碌に制御できない筈だ。巻き戻し過ぎて消滅させるリスクや、幼子に一生モノのトラウマを植え付けるリスクを承知でやらせるか?」
「第一、巻き戻しが上手くいったとして…それからどうする? 再び“無個性”に戻ったアンバーを逮捕するか? “無個性”として生きていけ。と嘯くのか?」
「そういう訳だよ、イレイザーヘッド。こうするのが、アンバーにとって一番幸せな結末だったのさ」
「………」
俺の言葉にイレイザーヘッドが黙り込むのと同時に、俺の背後に開くワープゲート。ドクターの仕込みによるものだが…理想的なタイミングだ。
「ま、待て…」
死柄木弔の言葉へ反論出来ずにいた俺だが、背後にワープゲートが現れたのを察し、両足に力を込めて立ち上がる。奴をこのまま逃がす訳には…
「やめろ、イレイザーヘッド。今日はお前と争う気はない…第一、
「やってみなければ、結果はわからん…」
「やらなくても結果はわかるさ。冷静さを欠いたアンタなど、そこらの2流ヒーローにも劣る」
「くっ…」
冷静さを欠いている事を指摘され、俺は歯を食いしばりながら捕縛布を強く握握り締める…たしかに、死柄木弔の言う通りだ…。
「そうそう、アンタに渡す物があったんだった…」
そんな俺に死柄木弔が投げ渡したのは白い和紙の包み。中身は……アンバーの、遺髪か?
「弟の眠る墓に納めてほしい…そう頼まれていたが、俺じゃいつになるかわからない…お前が納めてやるんだな」
そう言い残し、ワープゲートを潜って姿を消す死柄木弔。俺は、
ドクターside
「『ジュエルズ』…全員逝ってしまったか」
研究室に備え付けた5つの測定機器。その反応全てが途絶えた事で、儂は『ジュエルズ』の全滅を悟った。
「最後まで意地を通し…戦いの中で果てる。見事じゃ…本当に見事じゃ」
そう、彼ら5人の死は決して無駄ではない。最後の一瞬まで送り続けられた各種データには、文字通り値千金の価値がある。
このデータは、現時点での最高位脳無『ハイエンド』へフィードバックされ、性能の更なる強化に役立てられる。そして…
「いつの日か生まれる
儂は最高級のウイスキーと6つのグラスを用意すると、手早くオン・ザ・ロックを6杯作り、その内の1杯を手に取る。
「『ジュエルズ』よ…諸君らの働きに感謝するぞ。献杯」
5人の冥福を祈りながら、ウイスキーに口をつけるのだった。
プレゼント・マイクside
『ジュエルズ』との戦いを終えた俺達は、勝利の余韻に浸る…なんて事もしないまま、それぞれに考え込んでいた。
教育者として、ヒーローとして、自分達には他に出来る事があったのではないか…そんな思いが浮かんでは消えていく。
そのまま思考が堂々巡りに陥りかけたところで…ミッドナイトさんが口を開いた。
「皆それぞれに思うところはあるでしょうけど…まずは体を休めましょう。幸い明日は日曜日…体を休めた後でも考える時間は十分にあるわ」
その意見に全員が同意し…俺達は戦いで傷ついた体を休め、改めて考える事にした。そして時間は流れ…
「イ、イレイザー…その恰好……」
月曜日の朝。いつも通りに通勤した俺は、職員室に足を踏み入れた瞬間。自分の目を疑う事になった。
「……ちょっとした
静かに呟いたイレイザーの格好は、いつものくたびれたものではなく、チャコールグレーのスーツ姿。ネクタイもきちんと締められているうえに、髪は奇麗に束ねられ、無精髭も剃られている。ハッキリ言って、いつもとは別人だ。
何も事情を知らなければ、俺も思いっきり茶化していただろうが…
「…そうか」
イレイザーが変化した理由がわかるだけに、俺も一言だけ返し…余計な事は言わなかった。
「おはよう諸君。今日も良い朝なのさ」
「おはようございます」
そこへ根津校長が
「まずは私から…一昨日の『ジュエルズ』迎撃に関しまして、皆さんから御協力頂けた事、外事第四課を代表して、厚く御礼申し上げます」
そう言って、深々と頭を下げる
「現場一帯は当初の予定通り、地下の配管が破損した事によるガス漏れとそれを原因とする爆発。という事で処理しました」
「家屋等に被害を受けた住民に対しては、見舞金を出す事で対応します。また、戦闘区域をドローンカメラで撮影しようとした民間人とマスコミ関係者が確認されましたが…全員、
ここで
「『ジュエルズ』との戦闘と、その結果に関して、ヒーロー公安委員会が結論を出しました」
あの戦いに参加した俺達が、一番知りたかった事を話し始めた。
「あの戦いで『ジュエルズ』は全員死亡。戦闘の当事者であるイレイザーヘッド、プレゼント・マイク、エクトプラズム、スナイプ、ミッドナイトの5名は、
そう、ヒーローと
そして、
俺達は、ヒーロー免許剥奪も覚悟していた訳だが…
「今回、ヒーロー公安委員会の出した結論は、
出された結論は、予想すらしていないものだった。
「審査の必要無しって…どういう事ですか?」
「……
「戸籍が存在しない者や死亡届が提出された者は、言うなれば幽霊と同じである。
「幽霊が生き返り、それをもう一度殺したとしても、我が国には幽霊を殺した者を罰する法律は存在しない。よって、イレイザーヘッド以下4名を審査する必要もない。これが、ヒーロー公安委員会の出した結論です」
「そんな…」
「なんてこった…」
ヒーロー公安委員会の出した結論に、俺達は言葉を失った。『
「私としても、正直承服しかねる内容ですが……覆る事は無いでしょう。残念です」
「そして…これはヒーロー公安委員会会長の個人的な伝言です…『今回の件で罪の意識を感じるのであれば、今まで以上にヒーロー活動に邁進し、1人でも多くの人を救いなさい。あなた達ならばそれが出来る事を信じ、期待しています』」
ヒーロー公安委員会会長の伝言に、俺達は何とも言えない感情を抱えたが…それでも表面上は受け入れた。
だが、ヒーロー公安委員会が今回下した判断が…後々とんでもない火種となる事を、俺達は知らずにいた。
AFOside
「なるほど…今回の一件は、そんな結末を迎えたのか」
子飼いの部下からの報告に、私はそう呟きながら笑い声を漏らす。少し前までなら、こうやって笑っただけでも大騒ぎになっていたが…今はもう大丈夫だ。
どんな厳重な警備システムも人が作った物である以上、必ずどこかにシステム上の穴、盲点が存在する。
それを想定して二重三重にシステムを構築したとしても、今度は二重三重にシステムを構築したという事実が無意識下での油断を招き…結局はどこかに穴が出来てしまう。
要は、その穴さえ見つけてしまえば、好きな時間に外部とつなぎを取ったり、独り言を呟くくらいの事は簡単に行えるということだ。
「それにしても、アスカロンが『ジュエルズ』を追って日本に戻ってきたのは、少々問題だね。日本を離れるまでの間は、下手に行動しない方が賢明だろう」
『…失礼ながら、アスカロンの実力の高さを考慮しても…先生の有利は揺るがないと愚考しますが…』
「たしかに、正面から戦ったとしても十中八九、いや九分九厘勝つ事は出来るだろう。だが、こちらも相応の痛手は覚悟しないといけないだろうし…何よりも彼の“個性”はありきたり過ぎて、奪い取る程の価値はない」
「つまりは勝っても旨味が少ない。最終的には戦うにせよ…出来るならギリギリまで後回しにしておきたいのさ」
『なるほど…考えが及ばず、申し訳ありません』
「気にする事はない。
『はい、それではまた連絡させていただきます』
「あぁ、次を楽しみにしているよ………
次はどんな報告が齎されるか…本当に楽しみだよ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回より、雄英文化祭編に突入します。