出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お楽しみいただければ幸いです。


第38話:侵入への対策

雷鳥side

 

 さて、文化祭当日に何が起きるかを思い出した俺は、どのように行動するのが最善かを考えながら学業と練習に励み―

 

「失礼します。1-Aの吸阪ですが、オー…八木先生はいらっしゃいますか?」

 

 翌週末、オールマイトの協力を得る為に職員室を訪れていた。

 

「吸阪少年。どうしたのかな?」

「ちょっと()()()()()()()が…」

「………仮眠室へ行こうか」

 

 俺の様子に只ならぬ物を感じたのか、仮眠室への移動を提案するオールマイト。俺としてもそっちの方が好都合だ。

 

 

「それで…何があったのかな?」

 

 仮眠室に入り、ソファーに腰を下ろしながら、俺に問いかけてくるオールマイト。俺はオールマイトの対面に座りつつ、スマホを取り出し―

 

「まずはこちらの動画を」

 

 予めダウンロードしておいた動画をオールマイトへ見せた。

 

諸君(リスナー)は、いつ・どんな紅茶を飲む?』

『私は必ず仕事前と後、仕事の大きさによってブランドを選ぶ』

『そしてこのお茶は、高級紅茶ロイヤルフラッシュ。つまりどういうことかおわかりか?』

『違いのわかるジェントルかっこいいって事!?』

『次に出す動画。諸君(リスナー)だけでなく、社会全体に警鐘を鳴らす事になる。心して待っていただきたい!』

 

 それは英国紳士風の風貌をした銀髪でヒゲの男が、紅茶片手に何かしらの予告をしている動画。これだけだと何が何やら…といった感じだが…

 

「彼はたしか…ジェントル・クリミナル。『現代の義賊』を自称して、ここ何年か犯罪動画を動画サイトに投稿している(ヴィラン)だね」

 

 流石はオールマイト。動画に出演している人物が何者なのか、すぐに理解してくれた。

 

「しかし、この動画がどうかしたのかね? こんな言い方は良くないが、この男は犯罪動画というにはあまりにスケールの小さな物しか投稿していない。正直言って、傍迷惑な小悪党以外の何者でもないと思うが…」

 

 それ故に、俺がこの動画を見せた理由が解らずにいる。さて、()()()()()()()()

 

「ええ、俺もそう思います…ただ、()()()()()()()()()()()()()()()

 

 俺は再度スマホを操作し、SNSを起動。そこに送られた()()()()()()()をオールマイトへと見せた。

 

「これは!」

 

 その瞬間、顔色を変えるオールマイト。それも無理はない。そこに書かれていたメッセージは―

 

『ジェントル・クリミナルハ、雄英高校ヲ狙ッテイル。文化祭、警戒シロ』

 

 なのだから。

 

「本名は使わずにL・S(イニシャル)で登録し、発信もドラマの感想やニュースに対しての意見程度しかしていなかったのですが…どうやら、俺が()()()()()()()()()で、()()()()()()の吸阪雷鳥だと感づいた奴がいたようで…」

「……メッセージの送り主は?」

「こっちでも調べてみましたが、捨てアド使って登録してました。正体不明です」

「…ふむ……吸阪少年、このメッセージをどう見る?」

「今の時期じゃなければ、悪戯と切って捨ててましたが…文化祭前かつ、さっきの動画がアップされた後に送られてきたのが、どうも気になります。正直、悪戯と切り捨てるのは危険かと」

「うむ…ちなみに吸阪少年。この事を知っているのは?」

「今の時点では、俺とオールマイトだけです」

「では、私の方から警備体制の更なる強化を校長に進言しよう。悪いが吸阪少年、校長には君にメッセージが送られた事を話しても…」

「大丈夫です。必要なら、他の先生方にも話してください」

「うむ、極力穏便に片付くよう善処するよ!」

 

 力強く宣言するオールマイトに頭を下げ、俺は仮眠室を出て(ハイツ・アライアンス)へと歩き始めた。

 

「まぁ、これが最善だよな」 

 

 まさか前世の記憶で知っている。などと言う訳にもいかず、謎の人物をでっち上げて、メッセージが送られてきたという形を取る事になったが…とりあえずジェントル・クリミナルが文化祭への侵入を企んでいる事をオールマイトへ知らせる事は出来た。

 これで、警備体制は更に厳重となり…ジェントル・クリミナルと……ラブ…ラブ、ラブ何とかも多分馬鹿な事をやめてくれるだろう。

 万が一にも馬鹿な事を辞めない時は…()()()使()()()()()()か。

 

「まぁ、その時はその時だ」

 

 今の俺が優先すべき事は、今日の夕食作りとバンドの練習…だな。

 

 

八木俊典(オールマイト)side

 

 仮眠室で吸阪少年と別れた私は、その足で校長室へと向かい、根津校長へ事情を説明し―

 

「と、いう訳でして…文化祭へ向けて警備体制の更なる強化を御一考頂きたく…」

 

 雄英高校の警備強化を進言した。

 

「ふむ、吸阪君にそのメッセージを送った相手が何者なのか? 何故そのメッセージを送ったのか? という疑問はあるが、実際にジェントル・クリミナルが犯行予告とも受け取れる動画を投稿している以上、警戒を強めるに越した事は無いだろう」

「よろしい、僕の全責任で警備体制の更なる強化を進めていくよ。警察には僕の方から話しておこう」

「ありがとうございます!」

 

 根津校長の言葉に私は深々と頭を下げ、あと1つの事柄について許可を得るべく、再度口を開く。 

 

「それと校長。この件でメリッサの力を借りたいと思うのですが…」

「メリッサ君の力…あぁ、なるほど。()()()()()だね。よろしい、許可しよう」

「ありがとうございます!」

 

 再度深々と頭を下げた私は、諸々の細かい事を打ち合わせた後、サポート科で文化祭準備に励むメリッサのもとへ急ぐのだった。

 

 

メリッサside

 

「なるほど…そんな事が起きていたんですね」

 

 サポート科を訪ねてきたマイトおじさまに話を聞いた私は、驚きと同時に文化祭への侵入を試みているというその(ヴィラン)への怒りが湧き上がるのを感じていた。

 皆、必死になって文化祭への準備を頑張っているというのに、その苦労を嘲笑うような真似をするなんて、許せないわ!

 

「それで、おじさま。私にその事を話すなんて…何か理由があるんですよね?」

「話が早くて助かるよ、メリッサ。君には、ジェントル・クリミナルの尻尾を掴む為に協力してほしいのさ」

「尻尾を…なるほど、()()()()()ね」

「うむ、文化祭の準備中に余計な負担をかける事になると思うが…」

「大丈夫よ! その位の事、It's a piece of cake(朝飯前よ)!」

 

 負担をかけると、私に頭を下げるおじさまへ、私は敢えて笑顔でそう告げる。

 

「まずはこれまでに投稿された動画を全部チェックして、情報の洗い出し。その後は…」

 

 見てなさい、ジュントル・クリミナル。私メリッサ・シールドの名に懸けて、あなたを丸裸にしてみせるわ!

 

 

瀬呂side

 

 文化祭への練習が始まって1週間。内心、素人芸が…なんて思っていたが…

 

「砂藤ーっ! 2曲目最後のステップは、タンッタタッタッタタンじゃなくて、タンッタタッタタッタンだよ! 」

「峰田は2曲目と5曲目のハーレムパート、ラストのターンが半テンポ遅れてる! 見せ場なんだから悪い意味で目立っちゃうよ!」

 

 ダンス隊は意外と鬼コーチだった芦戸の指導で、みるみる上達しているし―

 

「心操君、2曲目までは危なげなく叩けるようになってるね」

「緑谷や吸阪、耳郎のおかげだ」

「いやいや、一番は心操のストイックさの賜物だよ。この調子なら、演奏にアレンジ加えても良いかもしれない」

「アレンジか…夢みたいな話だけど、考えてみるよ」

 

 バンド隊も順調に進んでいるみたいだ。

 

「バンド隊もダンス隊も、素人以上のモンになりつつあるな…」

「あぁ、本番ではすげえモンが見せられそうだぜ」

 

 片づけをしながら、切島とそんな事を話していく。この調子なら、観客の度肝を抜かせる事が出来そうだ。俺達演出隊も頑張らないとな!

 

 

葉隠side

 

 練習も終わった。後片付けも終わった。これから始まるのは、今日最後の()()()()。そう!

 

「出来たぞ、順番に取りに来てくれ」

 

 皆で食べる夜食の時間! 1週間前の吸阪くんから始まって、緑谷くん、梅雨ちゃん、お茶子ちゃん、響香ちゃん、瀬呂くんと順番で続いたローテーションも昨日で1周。今日は再び吸阪くんの担当だ。

 

「今日の夜食は何だろなー?」

 

 順番に並んで器を受け取り、席に着いていく。

 

「おっ! 今日の夜食はタンメンか!」

 

 切島くんの声が響いたとおり、今日の夜食は肉野菜炒めがたっぷり乗ったタンメン。飯田君の号令と共に、いただきまーす!

 

「美味い!」

「美味しーい!」

 

 皆の声が響く中、私もタンメンを食べ進めていくけど…このタンメン、何かが違う。いつもの中華麺と比べて、随分ヘルシーな感じが…

 

「あっ! この麺、中華麺じゃない! ()()だ!」

Exactly(そのとおり)。これは中華麺の代わりに白滝を使った、夜食にピッタリなヘルシータンメンだ」

「白滝か! だが、それにしては十分な満足感がある…」

「下茹でした白滝は、予め少量の鶏ガラスープ、醤油、ゴマ油で炒り煮して下味をつけておいた。これによって短時間スープで煮るだけでも十分味が染み込み、食べた時の満足感が出る」

「それに、白滝は同量の中華麺に比べて、カロリーは20分の1以下*1。この時間にたっぷり食べても罪悪感は少ない」

 

 不敵な笑みを浮かべた吸阪くんの説明に、私を含む誰もが感心し―

 

「うん、カロリー控えめなのにお腹も満足で、味も絶品。素晴らしいわ、吸阪君」

 

 スープまで綺麗に完食したミッドナイト先生も、吸阪くんを称賛している。

 

「それじゃあ皆! おやすみ!」

「おやすみー!」

「皆! 寝る前には歯磨きを忘れないように!」

 

 そして、皆が夜食を完食し、洗い物を済ませたところで、皆はそれぞれの部屋へ、ミッドナイト先生は見回りへと戻っていく。

 文化祭まであと3週間。この時間がもっと続けば良いのに…そんな事を考えながら、私も歯磨きを済ませて部屋へと戻るのだった。

 

 

ジェントル・クリミナルside

 

「ラブラバ! 私は今回の案件に、自慢の髭と魂を懸けている!」

「世の為人の為、私の夢の為、そして君の想いに応える為に!」

 

 1週間かけて作り出した完璧な計画(プラン)を、相棒(パートナー)であるラブラバに発表し、私は己の決意を語る。

 そう、これはこの時期に文化祭開催を強行し、危機意識の低さを自ら露呈した雄英高校への問題提議。

 私が打ち鳴らす警鐘によって、卵達もまた強く育ち、ひいては社会全体の立て直しにも繋がるだろう。

 

「ジェントル!」

「ラブラバ!」

 

 全力で私に抱き着いてきたラブラバを椅子から倒れながらもしっかりと受け止め、涙を流す彼女の頭を優しく撫でていく。

 

「好きよ…! 大好きよ、ジェントル・クリミナル!」

「私もさ、ラブラバ。私は…成功させるぞ…必ず…!」

 

 雄英高校よ、見ているがいい! 現代の義賊ジェントル・クリミナル一世一代の大仕事を!

*1
白滝100gのカロリーは6kcal、茹で中華麺100gのカロリーは133kcall




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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