出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
いよいよライブ本番に突入します。
お楽しみいただければ幸いです。


第41話:文化祭当日‐その2‐

雷鳥side

 

『Good Moorrrnin!』

『ヘイガイズ! 準備はいよいよここまでだ!!』

『今日は一日無礼講! 学年学科は忘れてハシャげ!!』

『そんじゃ皆さん! ご唱和ください!!』

雄英(U・A)! 文化祭! 開催!!』

 

 午前9時。プレゼント・マイク先生のアナウンスと共に、花火が何発も打ち上げられ、雄英文化祭が遂に開幕。

 同時に発表の舞台となる体育館では、1年I組が経営科恒例の研究発表会(シンポジウム)を開始した。A組の出番はこの後、午前10時からの予定だ。

 

「あと1時間…か」

 

 控室で待機している俺達は既に粗方の準備を済ませ、あとは演出の最終確認を待つばかりなのだが…

 

「………」

 

 心操は少々()()()()()()()()ようだな。スティックを手に何度もエアドラムを繰り返すその顔色は少し悪くなっているようにも見える。

 

「緊張してるね、心操君」

「あぁ、流石に…な」

 

 そんな心操へ出久が声をかけた。俺もそれに便乗し、心操に近づいていく。

 

「大丈夫だよ! 昨日の最終リハーサルでもバッチリだったじゃないか!」

「その通りだ。この1ヶ月の努力は決してお前を裏切らない。大きく構えておけ。無駄に力が入っていると出来るものも出来なくなるぞ」

「そう…だな」

 

 出久と俺に声をかけられ、力を抜こうと深呼吸を始める心操。そこへ―

 

「ほら、リラックスするには甘い物が一番だぜ」

 

 砂藤が小型のタッパーを差し出してきた。その中身は、1個ずつオブラートに包まれた手作りのキャラメル。

 

「あぁ、ありがとう」

「生姜の砂糖漬けと、レモンの蜂蜜漬けもあるからな。皆、好きなのを摘まんでくれ」

 

 心操がキャラメルを1つ取ったのを確認してから、長机にタッパーを置いていく砂藤。俺も出久もその準備の良さに感心しつつ、それぞれレモンの蜂蜜漬けと生姜の砂糖漬けを頂く事にした。

 

「うん、美味い」

「流石だね。砂藤君」

 

 他の皆も砂藤の差し入れで、良い感じにリラックス出来たようだ。さぁ、思いっきり暴れるとしようか。

 

 

耳郎side

 

 時刻は9時45分。1年I組の研究発表会(シンポジウム)が終わり、撤収が完了するのと同時に、私達は幕の下りたステージへと駆け込んだ。

 前日のうちに出来る準備はしておいたし、控室で楽器の調整は済ませているけれど、それでも本番直前でないと出来ない事もある。

 ウチ達は全員、焦らず急いで慎重に準備を行い―

 

「ダンス班、準備完了!」

「演出班、最終チェック完了だ!」

「バンド班も準備万端ですわ!」

 

 9時55分。全ての準備を終わらせた。本番まで残り5分。

 

「皆、集まって」

 

 ウチは皆をステージの中央に集め―

 

「期末試験の時の、吸阪の真似だけど…皆手を出して」

 

 円陣を組み、それぞれが出した手を重ねていく。 

 

「観客の中には多分、というか絶対ウチらの事を敵視してる連中がいる。場合によっては、何かしらの妨害をしてくるかもしれない」

「だけど、そんな事でウチらは止められない! ウチらの歌で! 踊りで! 演出で! そんな奴らを圧倒しよう!!」

「全力全開! 1-A! ファイト!」

 

 ウチの声に答え、緑谷達19人が声を上げる。さぁ、最高のステージにしよう!! 

 

 

相澤消太(イレイザーヘッド)side

 

 発表開始まであと5分となった頃。俺と壊理ちゃんは満員の客席、その一角に陣取っていた訳だが…。

 

「いよいよA組の出番。楽しみね」

「ホント、楽しみだなぁ!」

 

 会場警備担当のミッドナイトさんはともかく、マイクは何故ここにいる…。

 

「お前、パトロール担当だろう? 早く仕事に戻れ」

「大丈夫! きっちり見回りは済ませてきたから! 次の巡回まで30分くらいは自由に出来るぜ!」

 

 あぁ、そうかい…。 

 

「それにしても、A組がどんなステージを見せてくれるか。楽しみだぜ! なぁ、イレイザー」

「さて…どうかな」

 

 マイクの声にそう答えながら、俺は()()()()()()()()()()()()()()へ、少々厳しい視線を向ける。

 

他科や2・3年(このなか)には、『最近の雄英』に対する不平不満をA組(やつら)に向けてる輩もいる」

「俺の見る限り、観客の3割は楽しもうなんて気は更々無く、端から品定めの為に来ている連中。その一部は、A組(やつら)のパフォーマンスに少しでも気に入らない点があったら…」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()つもりだろう」

 

 俺の予想にマイクとミッドナイトさんの顔色が変わる。2人はすぐさま動き出そうとするが―

 

「今俺達が動いたところで、決定的な証拠が無い以上、白を切られて終わりでしょう。現行犯で捕まえるしかない」

「それに…A組(やつら)()()()()を見せるとでも?」

 

 俺はそう言って、2人を止める。まぁ、万が一の時は俺が矢面に立つつもりだがな。

 

「………始まるか」

 

 その時、開演を告げるブザーが鳴り響き、幕がゆっくりと上り始めた。さぁ、お前らの力を見せつけてやれ。

 

 

雷鳥side

 

 開演を告げるブザーが鳴り響き、ゆっくりと幕が上がっていく。

 満員の観客席だが…見たところ3割くらいは、俺達を品定めするような視線を向けてきている。特に前列に陣取っている連中は、品定めというか()()と言って良いレベルだな。

 

「…上等だ」

 

 俺はマイクに拾われない程度に小さく呟いた後、敢えて不敵な表情を見せながら、観客席へ向けて声を張り上げる。

 

「最初に言っておく!」

観客(この中)に、1-A(俺達)を敵視している連中がいる事は、百も承知だ!」

「そして俺達も、()()()()()()()()()()()()()()()は更々無い!」

「俺達は、俺達のパフォーマンスを全力で楽しみ! お前達を()()()()()()()()!」

「最初から最後までクライマックス! 全力全開のフルアクセルだ!」

「ついてこれる奴だけついてこいッ!」

 

 俺が叫び終えると同時に、八百万特製の演出用花火が一斉に発射され、それを合図に演奏がスタートする。俺達が1曲目に選んだのは、『Symphonic』の『不死鳥のフランメ』だ。

 

 ―――Huu…マサニ今宵、イマ世界ハ、

 ―――Cold moon…一ツニナル、届キタマエ、

 ―――Blue shine…叶エタマエ、

 ―――さあ…始まろう

 

 ―――(スリー)(ツー)(ワン)、Ready go Fly!

 

 ―――果てなき強い

 ―――この想いは

 ―――譲れない強い

 ―――この想いは

 ―――誰にも負けない

 ―――不死なるメロディー

 ―――輝け True heart

 

 耳郎と俺の歌声が響く中、ダンス隊も一糸乱れぬ振り付けを披露し、観客を圧倒する。掴みは上々だ。

 

 ―――この手から零れ去った イノチ…紡いだコ・ド・ウ!

 ―――欠けたムーンライトその光は 残した者にナニヲ問ウ!

 ―――哀しみを束ねて 剣に

 ―――刃に ジャスティスの名の下

 ―――二度と消える事ない

 ―――魂の種火をさぁ

 ―――灯せ

 

 1番のサビに入る直前、“個性”を発動した砂藤が青山を投げ上げ、天井で待機していた常闇が黒影(ダークシャドウ)でキャッチ。

 そのまま威力と照射時間を調節したレーザーを連射する青山を回転させ始めた。ミラーボールのように会場中へ光を乱反射させていく青山に驚きの声が上がる中、俺と耳郎(ボーカル)はサビへと突入する。

 

 ―――燃えなさい人に

 ―――運命(さだめ)などない

 ―――飛びなさい過去を

 ―――引き千切って

 ―――行きなさいアツく

 ―――羽撃き合い

 ―――響き伝う奏で伝う

 ―――絆ッ!

 ―――そう

 ―――握りしめて

 ―――背負った全部

 ―――握りしめて

 

 ―――いま不死なる夢を羽根に 願う明日を共に飛ばないか?

 ―――歌えPhoenix song

 

 サビを歌い終えると同時に、青山は一旦天井へと引き上げられ、次の演出準備に取り掛かる。

 ダンス隊も青山の抜けた分をカバーする為、素早くかつ自然にそれぞれの位置を調整して、踊り続ける。

 

 ―――迷い切って見上げた空 零さぬようにと決・メ・タ!

 ―――貫いた覚悟の味 噛み締め契り上ヲ向ケ!

 ―――震えるくらいなら 決意を

 ―――構えて 悪夢(ナイトメア)ごと斬れ

 ―――断罪の審判を

 ―――終焉の鉄槌を

 ―――落とせ

 

 2番のサビは轟と切島が担当だ。轟が天井を移動しながら矢継ぎ早に放つ雹程度の大きさの氷を、同じく天井を『硬化』を維持した状態で走る切島が受け続ける事で粉砕。

 細かく砕かれた氷は天井からばら撒かれ、雪のように観客席へ降り注いでいく。

 

 ―――勇気は君を

 ―――裏切らない

 ―――刻んだ過去は

 ―――星となって

 ―――続いた道を

 ―――照らすだろう

 ―――輝き出す煌めき出す

 ―――未来ッ!

 ―――そう

 ―――一つにして

 ―――希望を束ね

 ―――一つにして

 

 ―――いま描いた夢を羽根に 手と手を繋ぎ翼にしよう

 ―――滾れPhoenix song

 

 2番のサビを終えると同時に八百万のキーボードソロ、そして出久と耳郎のギターデュオが続く。

 八百万のソロ演奏の時は、観客席の一部から『ヤオヨロズー!』なんて、声が聞こえてくるし、出久と耳郎が互いの背中を合わせて行ったギターデュオでは、同じく観客席の一部から黄色い声があがった。

 観客達のボルテージが順調に高まっていく中、遂にラストのサビへと突入していく。

 

 ―――守るものの為に 誓える

 ―――誇れる 何も怖くはない

 ―――二度と消える事ない

 ―――魂の種火をさぁ

 ―――灯せ

 ―――Ignition…!!

 

 ここからは、演出班総動員だ。予め轟が作っておいた氷の塊を担いだ切島は、自らの硬化した体で氷を削りながら天井を走り回って、観客席に氷を降り注がせていく。

 そこへ、常闇の操作によって回転する青山がレーザーを連射すれば、レーザーが氷に反射する事で、乱反射。先程以上に観客席を光で彩っていく。

 瀬呂は両肘からある程度のテープを連続かつ高速で射出。轟はステージから観客席へとU字型の氷の道を作り出した。

 そして、口田は無数の鳥達を操り、全てのスポットライトを一斉に操作していく。

 

 ―――燃えなさい人に

 ―――運命(さだめ)などない

 

「楽しみたい方ァ! ハイタッチ!」 

 

 “個性”を発動して浮き上がった麗日は、氷の道を走る梅雨ちゃんの舌で引っ張られながら、観客席へと手を伸ばし、タッチした観客を次々と宙に浮かせていく。

 

 ―――飛びなさい過去を

 ―――引き千切って

 

「飛ぶぞ、ダンス隊!」

「お客さんの安全確保!」

 

 麗日の“個性”で浮き上がっていたダンス隊も障子の手によって、次々と観客席へと飛ばされ、空中で踊りながら瀬呂のテープを使って、浮き上がった観客の安全を確保していく。

 

 ―――行きなさいアツく

 ―――羽撃き合い

 

「うぉぉぉぉぉっ!」

 

 飯田はひたすらにロボットダンスを披露。

 

 ―――響き伝う奏で伝う

 ―――絆ッ!

 

「オイラの時代ー!!」 

 

 一通り、観客の安全を確保したところで、峰田のハーレムパートに突入。氷の道を滑りながら、決め顔を披露していく。

 

 ―――そう

 ―――握りしめて

 ―――背負った全部

 ―――握りしめて

 

 ここまで来ると、俺達を敵視していた奴らもノリノリだ。そして何よりも…相澤先生に肩車された壊理ちゃんが心の底から笑っている。

 あの笑顔を見れただけでも、この発表には十二分に価値があった。 

 

 ―――いま不死なる夢を羽根に 願う明日を共に飛ばないか?

 ―――天を焦がせ

 ―――歌えPhoenix song

 

 演奏終了と同時に湧き上がる大歓声。バンド班(俺達)はそれに手を上げて答えつつ―

 

「まだまだライブはこれからだ! 盛り上がっていくぞ!!」

 

 2曲目の演奏を開始した。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回も歌います。

また、今回がおそらく今年最後の更新になると思います。
今年1年、拙作をお読みいただき、ありがとうございました。
来年も更新を頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。

読者の皆様。良いお年をお迎えください。
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