出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
また、本編投稿に合わせて第40話と41話のタイトルを変更しております。
今回は、全編に亘ってA組が歌って踊ります。
お楽しみいただければ幸いです。
耳郎side
「まだまだライブはこれからだ! 盛り上がっていくぞ!!」
無事に1曲目が終わり、歓声に答えるように吸阪が叫んだ直後、ウチ達は2曲目の演奏を開始する。
1曲目は、
ウチが2曲目と4曲目、吸阪が3曲目と5曲目と、1曲交代でメインボーカルを担当していく。ウチが2曲目に選んだのは―
「それじゃあ、聞いてください! 『SHUFFLE』!!」
―――「越えられない」「イライラする」
―――ハードルを壊したって なんにも答えは出ないし
―――チカラとか愛情云々 バランスを守らないと
―――自分を見失ってしまうよ
―――操られてるのか? on the field 誰もが
―――怯えずに go away でも…
―――見えない
―――選ぶことは出来ないかもしれない
―――目を閉じて心で切る just like cards きっと
―――奇跡を引き当てよう
ウチ達を品定め、あるいは敵視するような視線が合った1曲目とは違って、観客全員がノリにノッている中、ウチ達は練習の時同様…いや、練習の時以上のパフォーマンスを発揮出来ていた。
特に心操のパフォーマンスは、今までで最高と言って良い。肩の力が良い感じに抜けていて、少しずつアレンジも加えだしている。凄く、凄く良い感じだ。
―――本気だして生きていたら
―――大切なものが増えて 嫌なこと忘れていたんだ
―――見えない絆こそ on the field 誰もが
―――必要な it's the power だから…
―――一人の寂しさ辛さを知って
―――痛みをわかる今
―――自分に襲いかかる どんなことも
―――逃げないで背負えてる
2番を終えて最後のサビへと入る前の間奏。最初は吸阪のベースと心操のドラム。そこからウチと緑谷のギターデュオへと繋がる訳だけど―
「2人ともいくよっ!」
麗日の力を借りて、ウチと緑谷はステージから客席の方へと浮遊。観客の頭上を滑るように移動しながら、ギターを演奏していく。
時間にして約20秒。空中演奏を無事に終わらせたウチは、着地と同時に最後のサビへと突入していく。
―――平気な顔して裏切る人が
―――あまりにも多い
―――目を閉じて心で見る just like cards それは
―――約束された yes! you are the winner
―――見えない
―――ワクワク出来るんだと ah 気づいた
―――never lose! 心で切る just like cards きっと
―――奇跡が起こるから
演奏終了と同時に湧き上がる大歓声。ウチはそれに答えつつ、吸阪とメインボーカルを交代。3曲目の演奏を開始した。
「続けていくぜ。3曲目! 『Midnight Crow』!!」
A組の吸阪がそう叫ぶと同時に、始まる3曲目の演奏。ここまで来ると、A組がこの舞台にどれだけ本気で取り組んできたのか、嫌でも理解してしまう。
―――悲しみの 銃に撃たれた
―――傷口を ガムでふさいで
―――DJと 笑っていたら
―――血まみれの 涙が落ちた
―――込みあげる 悔しさを
―――なだめて眠ろう
―――今はただ 朝を待つ
―――カラスになればいいさ
―――夢はいつも 空の彼方にある
―――今日より高く 飛ぶためにある
―――太陽の中 いつか突き抜けたら
―――闇のような 黒い翼も
―――…天使に見えるさ
A組の演奏に、歌声に、ダンスに演出に否応なく心が躍るけど…それと同時に
本当はわかっていた。わかっていた筈なんだ。俺達を見下していたのは、早々に除籍になった爆豪くらいで、A組の殆どは至極真っ当な連中なんだって!
本当に悪いのは、襲ってきた
だけど、自分の意思とは関係なしに目まぐるしく変わっていく状況に振り回されていくうちに、俺は
どこにいるかもわからない
―――想い出を ラムの
―――閉じ込めて バイクで轢けば
―――心まで 潰したようで
―――干からびた 涙が落ちた
―――俺だけは 俺のコト
―――信じてやりたい
―――不吉だと 嫌われた
―――カラスは知っているさ
無意識にポケットへ手をやると、丸い物が指先に触れた。こっそり持ち込んだ生卵だ。
生卵の他に、発煙筒や爆竹も持ち込んで…切っ掛けがあれば、一斉にそれを投げ込むつもりだったけど…
―――夢はいつも 痛みの中にある
―――今日より強く なるためにある
―――鋭利な雨が 瞳突き刺しても
―――闇に架かる 虹を探せば
―――…明日は見える
―――夢はいつも 空の彼方にある
―――今日より高く 飛ぶためにある
―――太陽の中 いつか突き抜けたら
―――闇のような 黒い翼も
―――…天使に見えるさ
棘池と目を合わせ、お互いに頷く。このライブが終わったら、先生達に名乗り出て、全てを告白しよう。
他の奴らにも声をかけて、
壊理side
Aぐみのおにいさんやおねえさんが、ぶたいの上でやっているライブ。
はじまるまえは、ほかのクラスのおにいさんやおねえさんがまわりにいて、よくみえないかも? とおもったけど、はじまったらあいざわせんせいがかたぐるまをしてくれた。
さいしょは、花火がバーン! ってなったり、大きな音ですこしこわかったけど、ダンスでピョンピョンなったり、キラキラ光ったり、みんながプカプカーッになったり、ぶわって冷たくなったりして…
「わぁぁぁっ」
なんだか、すごくワクワクしていた。
「次の曲は、
うたうまえに、きょうかおねえちゃんがそういったら、マイクせんせいと、ミッドナイトせんせいがわたしをジッとみてきた。ある女の子って、わたしのことなの?
「辛い事ばかりだったその子の人生が、これからは幸せ一杯である事を祈って…聞いてください『FEARLESS HERO』」
―――古いノートに書き綴った
―――あの日々の物語に The Endはまだ…
―――時計の針が 進むごとに
―――想いは確かに 近づいてく
―――人は願う時 空を見上げる訳はきっと
―――夢の入り口 繋がってると
―――信じているから 僕は瞳とじた
―――かすかな希望を 探すみたいに
―――FEARLESS 僕はもっと強くなりたい
―――思い出じゃなく 今の君のために
―――願う言葉 真っ白な羽根を宿して
―――君がいる 青の果てまで 舞い上がれ
―――揺れるアングル 魅せる世界
―――大人は忘れてしまった 輝けるFragile
―――切り刻まれた 時間の中
―――走ってるだけじゃ 夢も見ない
―――高すぎる空に 俯いて諦めるより
―――届くはずだと 腕を伸ばすよ
―――その気持ちがまた 僕を次の場所へ
―――
―――FEARLESS 僕はもっと優しくありたい
―――君の悲しみなど 吹き飛ばすほど
―――願う言葉 真っ白な羽根を宿して
―――君といる 未来の先へ 飛んで行け
「はい、壊理ちゃん」
ミッドナイトせんせいにハンカチをわたされて、わたしはじぶんがないていることに気がついた。
ゆうえいこうこうにきてから、かなしくなくてもなくこと、うれしいときもなくんだってことがわかった。
らいとおにいちゃんときょうかおねえちゃんのうた…きいていたら、なんだかむねがポカポカしてくる。
―――奪うためにではなく 笑顔でいてほしい
―――めぐり合えた 大切な 君を守りたくて
―――僕が心の 盾になれるなら
―――何も恐れはしない
―――FEARLESS 僕はもっと強くなりたい
―――思い出じゃなく 今の君のために
―――願う言葉 真っ白な羽根を宿して
―――終わらない物語の続きへ
―――君がいる 青の果てまで 舞い上がれ
きょうかおねえちゃんがうたいおわると、すごくたくさんのはくしゅがワァァァッてきこえてきた。わたしも、たくさんたくさんはくしゅした。きょうかおねえちゃん、ありがとう!
雷鳥side
「それじゃあ、今日のLast Song! いかせてもらう!」
耳郎からメインボーカルを交代し、俺は本日最後の曲名をコールする。
「『Piece of Heaven』!!」
Aバンド、ダンス隊、演出隊、それぞれが残る全てを振り絞る。さぁ、最後まで全力全開だ!!
―――遥か昔 空から舞い降りた
―――ダビデの剣が この世を切り裂き
―――あの天使が 微笑む場所さえも
―――かけらに砕けて ここから見えない
―――人は
―――夢に 触れるしかできないのなら
―――せめて せめて ひと握りの愛を
―――胸に秘めて あなたと旅立とう
―――遠く 遠く 誘うようなHeaven
―――消えてしまう 幻だとしても いいさ
―――No No No Don't cry
耳郎side
今日最後の曲を弾きながら、ウチは雄英を受験する事を決心した日の事を思い出していた。
-父さん、母さん…ウチ、ヒーロー目指す-
-ウチ、音楽の道には行かない……ゴメン…-
実家のリビングで、父さんと母さんに自分の決心を告げ、頭を下げるウチに―
-ベソかくことかァ、オイオイ!-
父さんは少しだけ黙った後、いつも通りの感じで声をかけてくれた。
―――裏切られて 涙と刻まれた
―――安息の日々は 粉々の花に
―――その悲しい
―――求めて彷徨う 孤独な罪人
-だって……本当はずっと迷っててさ…!-
-人の為に体張って戦って…かっこよくてさ…!-
-ずっと憧れてて…でも、父さん達が教えてくれた音楽が無駄になっちゃうし、何よりウチ音楽も好きだから……言えなかったんだもん-
―――人は 失くした魂の果てで
―――ほんの つかの間の
-…………響香。好きにやっていい。父さんも母さんも好きだから音楽やってきた-
-最初は『好き』『かっこいい』『うまくできた』…些細なもんさ-
―――二度と 二度と 変わらぬ愛のため
―――何も言わず あなたを抱くだろう
-でも、長く続けてると考えるの。『自分の
-そういう意味じゃ、音楽もヒーローと同じね-
―――遠い 遠い 蜃気楼のHeaven
―――たどり着ける 最後の風の中 だから
―――No No No don't cry
父さんと母さんの言葉を思い出しながら、ウチは今持てる全ての技術とハートを込めて、ギターを弾いていく。
そしてラストのサビ前の間奏に入る直前―
「最後に! このAバンドのリーダー! 耳郎響香のギターソロだ!」
予告無しに吸阪がアドリブを入れてきた。いきなりの無茶振りに苦笑しながら、ウチはアドリブ全開でギターソロをこなしていく。
そして本来の間奏を演奏して…ラストのサビへと突入する。
―――せめて せめて ひと握りの愛を
―――胸に秘めて あなたと旅立とう
―――遠く 遠く 誘うようなHeaven
―――消えてしまう 幻だとしても いいさ
―――No No No Don't cry
全ての演奏を終えて、ギターから手を離した途端、今までで一番の大歓声が会場中で鳴り響いた。
「「「「「ありがとうございました!!」」」」」
Aバンドとダンス隊、そして急いで下に降りてきた演出隊の全員で、観客席に一礼すると同時に、ステージの幕が下りていく。
時間的に無理なのを承知で、アンコールの声が響く中…幕が完全に降りきって―
「皆! お疲れーっ!!」
ウチ達の舞台は、100点…ううん、200点の大成功で終わるのだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
2022年も拙作をよろしくお願いいたします。