出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
お楽しみいただければ幸いです。
エクトプラズムside
1-Aノ舞台ガ終了シ、大部分ノ生徒ガ満足シタ様子ノ中、20人程ノ生徒達ガ神妙ナ顔デ体育館カラ出テキタ為、何事カト思ッテイタガ…
「……ナルホドナ」
彼ラノ
「イレイザーヘッドト、ハウンドドッグニ連絡ヲ取リ、協議ヲ行ウ。君達ハ全員ココデ待機シテイルヨウニ」
生徒達ニソウ指示シツツ、我ハイレイザーヘッド、ハウンドドッグニ連絡ヲ取ル。騒ギガ起キナカッタ事ハ喜バシイガ…厄介ナ事態ダ。
出久side
公演を終えた僕達は、早速舞台の片付けを開始したんだけど、そこで予想外の事が起きた。
「すげぇもん聞かせてくれた礼…って訳じゃないけど、俺達にも片付け手伝わせてくれ」
観客として僕達の演奏を聞いてくれた普通科やサポート科、経営科の人達、総勢17人が、そう言って片付けを手伝ってくれたんだ。
彼らが手伝ってくれたおかげで、片付けは20分とかからず終了。僕達は想定よりもはるかに早く、各クラスの出し物や出店へ向かう事が出来た。
僕と雷鳥兄ちゃん、麗日さん、耳郎さん、梅雨ちゃん、そして壊理ちゃんは、物間君が数日前から自信満々に宣伝していたB組の演劇を見に行ったんだけど…
「我が名はロミオ!!」
「アズカバンの亡霊、バリス伯爵よ! ジュリエットを返してもらおう!!」
「ロミオ…オビワンから父親の事聞いているだろう…ゴンドール王国の王であったと…あれは嘘だ」
「ワシが、お前の父だ」
「嘘だぁぁぁぁぁっ!!」
………何だろう。凄く…
「詰め込みすぎだろ!」
「色々凄かったな!」
「勢いに笑っちゃった」
劇の終了後、まわりの反応を聞きながら体育館を出ると―
「やぁ! A組の諸君!
いつの間に外に出ていたのか、物間君が僕達を待ち構えていた。
「君達のライブも
「既存曲の模倣では、完全オリジナルには勝てないという事が証明された訳だ! いやぁ、実に爽快な気分だよ!」
下種一歩手前な顔で僕達を煽る物間君。正直言って、彼の戯言は右から左に聞き流しているから、何を言われても構わないし、むしろ周りは彼の言動にドン引きしている訳だけど…
「完全オリジナル? 物は言いようだな」
そろそろ雷鳥兄ちゃんが、反撃に移るみたいだ。
雷鳥side
「完全オリジナル? 物は言いようだな」
物間に少しの間好きなように喋らせ、周囲が十分にドン引きしたのを確認したところで反撃に移る。
「物間、お前が脚本を書いた演劇だが、『攫われたお姫様を助けに行く』『パーティーを組んで怪物と戦う』『死んだ筈の父親が悪役として生きていた』等々…古典的な展開を片っ端から掻き集めて、継ぎ接ぎしただけだよな?」
「俺達の演奏が模倣だと言うのなら、お前の脚本は模倣ですらない。
「な…何を言うかと…お、思えば…」
雷鳥兄ちゃんから正面切ってパクりと言われ、顔色を変える物間君。それでも反論しようとするけど―
「たしかに…B組の演劇、どっかで見たような場面の繰り返しだったよな…」
「勢いで誤魔化されたけど、展開もワンパターンだったよね…お約束というか、在り来たりというか…」
「勢いって言えば、終盤のアクションもワイヤーとアクロバットに頼りっきりで、何て言うか、
それよりも早く、観客達が不満を口にし始めた。
「そ、そんな…こんな、こんな筈じゃ……」
青褪めた顔で崩れ落ち、項垂れる物間。気の毒とも思うが…自業自得だな。
さて、崩れ落ちた物間をその場に放置し、俺達は波動先輩が出場を予定しているミスコン会場へとやって来た。
「うぉぉぉぉぉっ!」
鼻息荒く叫んでいる峰田とは少し距離を取りつつ、ミスコンに出場する女子達のパフォーマンスを見物していると―
「ケンドー!」
「シュシュっと一吹き、ケンドー!!」
拳藤が登場。パフォーマンスを開始した。
「ハァッ!」
『華麗なドレスを裂いての演武!!』
『強さと美しさの共存! 素晴らしいパフォーマンスです!!』
興奮気味な実況の言葉通り、自身の強みである武術を十全に生かした見事なパフォーマンスを 披露してくれた拳藤。これは…良い線行くかもしれないな。
「ホーホッホッホッ!」
俺のそんな考えを吹っ飛ばすような笑い声が響いたのは、その時だ。何事かと声の方向を見てみると―
「何もわかっていないようですね! その程度で私と張り合おうだなんて、愚の骨頂!」
「
3年生の女子が、自分の顔面を模した巨大な装甲車に乗り、高笑いをしていた。
『3年サポート科! ミスコン女王! 高い技術力で顔面力をアピール! 圧巻のパフォーマンス!!』
実況は称賛していたが…あれって、良いのか?
「これは何する出しもの?」
「うん、正直僕もわからないよ…」
壊理ちゃんの質問に、出久も上手く答えられずにいるし…
「そんな…あんなやり方…想像も、出来なかった……やっぱり私は………」
舞台から降りた拳藤は、項垂れてすっかり意気消沈している。うーむ…これは良くない兆候かもな。
『次は3年ヒーロー科! 波動ねじれさんです!』
おっと、波動先輩の番か。
「ねじれ…」
「波動さん…人間だって動物。哺乳類だと思えば、楽になる…」
波動先輩の友人らしき3年生の女子や天喰先輩、通方先輩達も見守る中、波動先輩は静かに宙へと舞い上がり…空中をステージにした幻想的な舞を披露。
「こうして見ると…本当に波動さん…純真無垢な妖精のようだ」
天喰先輩が呟いた通り、妖精のようなパフォーマンスで、拍手喝采を浴びていた。これは…優勝も十分に狙えそうだな。
お茶子side
ミスコンを楽しんだ私達は、大食堂スタッフが運営している数々の出店でお昼を済ませ、サポート科の発表会へと足を運んだ。
「皆様! こちらが今日の為に開発したドッ可愛いベイビー! 遠隔操縦式5m級人型重機です!」
舞台では丁度発目さんが、人型ロボットを披露して観客の度肝を抜いていたけど…
「麗日さん、舞台には近づかない方が良いよ」
「そうだな。万が一という事が…いや、発目の場合は、百が一位に見ておいた方がいい」
緑谷君と吸阪君に止められて、近くで見る事が出来なかったのは…ちょっと残念…かな?
「あ、メリッサさんの出番みたいだ」
「じゃあ、行くとしますか」
発目さんの発表が終了し、お目当てだったメリッサさんの発表が始まるところで、私達は舞台へと近づいていく。
ちなみに、メリッサさんが発表したのは、自律行動が可能な鳥型ドロイド。必要に応じて5種類のレスキューツールに分離・変形するという優れもので、その日一番の喝采を浴びていた。
「…戻ったか」
文化祭のプログラムも一通り終了し、
俺が無言で手招きすると、奴らは全速力でこちらへ駆け寄り、素早く整列する。この反応、実に合理的だ。
「文化祭を楽しんできたようで何よりだ。朝の公演に関して、お前達に伝えておく事柄が発生した……こっちへ来い」
俺が一声呼ぶと、近くに待機していた普通科、サポート科、経営科の生徒達が駆け寄ってくる。
その顔触れを見て、何人かは状況を察したようだが、俺は敢えてそれを無視して話を続けていく。
「ここにいる総勢22名は、A組の発表を妨害する事を計画し…会場に花火などを持ち込んでいた」
「幸い、計画を実行に移す事はなく、発表終了後に全員でエクトプラズムさんに自首してきた訳だが…発表の妨害を計画し、準備まで行っていた事は揺るぎようの無い事実。よって、エクトプラズムさんやハウンドドッグさん、根津校長と協議し、相応の処罰を与える事にした」
「こいつらの行おうとした事は、文化祭そのものを中止に追い込む可能性もあった。その点を考慮し…全員を除籍処分」
「…と、昔の俺なら問答無用で判断していたが、今回の犯行を思い立ったそもそもの原因は、ヒーロー科の都合を優先した事による強制的な寮制への移行であり、それによって生徒達が受けるストレスを我々教員が把握しきれていなかった事、把握していても適切な対処を行わなかった事が犯行の計画に繋がったと考えられる」
「その点を考慮し、3日間の謹慎及び、謹慎後2週間、放課後に構内の清掃活動を行う事を命ずる」
「それから…A組に誠心誠意謝罪する事。以上だ」
伝えるべき事を伝え、俺は残った書類仕事を済ませる為に職員室へと歩き始める。
背後から、教え子達への謝罪の声が聞こえてくるが…聞いていなくても問題はあるまい。
SVCside
警察署へ連行した
所轄警察官の協力を得ながら、我々は2人の取り調べを始めた訳だが―
「……独学でこれを?」
「ええ」
「信じられないな……!」
相場愛美のパソコンスキルは、独学で習得したとは思えないほど高度なものだった。
「仕事は?」
「ラブラバ」
「この才能、世の中の為に使う気はない?」
「ないわ。私はジェントルの為になりたいんだもの」
減刑などを条件に、
「ただ…」
「ん?」
「雄英高校の生徒に対して、暴言を吐いた事は謝罪するわ」
「そうか…こちらから雄英高校には連絡しておく」
「お願い」
警察官side
こちらの取り調べに素直に応じていた飛田弾柔郎だったが―
「洗脳かどうかなんて、テストですぐに判断がつく。馬鹿な嘘はやめとけ」
「ありゃ、本当にあんたの事好いてる」
ラブラバこと相場愛美に関してだけは、
「未遂も多いが、重ねた罪の多さから考えて、あんたもあの子も―」
「相場くんが直接手を出したことはない。彼女と私は同罪じゃない…」
「……フン。相思相愛かい。やだやだ」
「退学。元ヒーロー科…ねじれねじれて犯罪動画投稿者か」
「……夢を思い出してしまった。怖くて走り出してしまった……たとえ、間違った道だとしても」
「…だったら、今日止まれたのは正解だったな」
「人生やりなおせねぇ。なんて言う奴はな。やり直す気のねぇヤロウか、結果を急ぐせっかち野郎だけだ」
俺の言葉にゆっくりと俯き、静かに泣き出す飛田。泣き止むまでは休憩だな。
「茶でも飲むか?」
「……紅茶を…」
「…粗茶だよ!」
まったくちゃっかりした野郎だ。だが、根っからの悪党じゃぁない。上手く更生出来ればいいんだが…。
俺は急須に茶葉を入れながら、そんな事を考えるのだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回、文化祭編最終回。