出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
Season2の第5章 新たな驚異・脳無:ハイエンド編に突入するにあたり、短編をお送りします。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
第44.5話:轟君の家庭の事情part2
雷鳥side
文化祭が終了して約1週間。俺達は元の生活に戻り、勉学に励んでいた訳だが…
「あれ? 轟は?」
「轟君は家庭の事情でご実家の方へ戻る事になったそうだ。明日の午前中には帰ってくるとの話だったが…」
授業を終えて
前世の記憶によると、轟が実家に帰省するのはもう少し後の筈……いや、原作から色々と変わってしまった今となっては、文字通り今更だな。
第一、俺の前世の記憶もそろそろ
「まぁ、
これから先、どんな展開になるにせよ…俺に出来る事は、その時々に全力を尽くす事だけだ。
轟side
授業を終えてすぐ、俺は相澤先生の運転する車で実家へと戻り―
「相澤先生、ありがとうございました」
「明日は10時に迎えに来る。時間厳守だぞ」
「はい!」
数ヶ月ぶりに実家の扉を開いた。
「ただ…」
「おかえりなさい、焦凍」
待っていたのは、病院から一時帰宅した母さん。どうやら、少し前から俺を待っていてくれたらしい。
「…ただいま、母さん」
俺はそんな母さんにただいまと伝え、一緒に居間へと向かう。
「焦凍、おかえり! 」
「おかえり、焦凍。元気そうだな」
「…おかえり」
居間には姉さんと夏
「早速だが、話を始めたい。構わないか?」
親父の一言で、話し合いが始まった。
「まずは、俺の我が儘で時間を取らせた事を詫びたい。冬美、夏雄、焦凍、すまなかった」
正座したまま深々と頭を下げる親父に、俺達も頭を下げて応じ、そのまま親父の話を聞いていく。
その内容は…
「……ふざけんなよ、ふざけんなよ! 親父!」
怒りを露わにした夏
「……ふざけんなよ、ふざけんなよ! 親父!」
激高し、俺に掴みかかってくる夏雄。俺は黙って、夏雄の叫びに耳を傾けていく。
「親父…アンタ、変わったと思ってたけど、結局何にも変わってないな! 全部自分1人で決めて、俺達は口を挟む間もなく強制的に事後承諾!」
「アンタが
「絶望させるくらいなら、最初から希望なんて抱かせるなよ!」
「………すまん」
涙を流しながら思いをぶつけてくる夏雄に、俺は謝罪の言葉を口にするが…
「謝るなよ! 謝って、謝ってほしい訳じゃ…」
どうやら俺は、夏雄に掛ける言葉を間違えたようだ…部屋を嫌な沈黙が満たそうとしたその時―
「夏雄、座って」
轟side
「夏雄、座って」
母さんの優しく…だけど強い意志を感じさせる声が響き、無言のまま座り込む夏
母さんは、そんな夏
「夏雄や冬美が混乱して、憤る気持ち…お母さんにもわかるわ」
「だけど今回の事は、昔のような…自分の事だけを考えたものじゃない。私達の事を考えに考えた結果だって事は、理解してあげて」
静かに、ゆっくりと…まるで諭すように話し始めた。
「俺達の事を考えたって……また家族をバラバラにする事のどこが…」
「その理由は…私よりも焦凍の方が上手く説明出来る筈よ」
夏
「ヒーローを目指していない夏
俺なりに解釈した親父の考えを口にしていく。
「マスコミの中には、スクープの為なら形振り構わない奴は少なくないし、金の為なら
「親父がナンバー
「そいつらは、姉さんの職場や夏
「そんな奴らを少しでも近づかせない為…親父は今回の件を考えた。俺は、そう考えてる」
ここまでを一息に口にして…皆の様子を窺うと―
「お父さん、焦凍の考えが事実で…それが、家族にとって最良なんだね?」
「……あぁ。今の時点では…な」
姉さんが溢れる涙を拭いながら、親父に問いかけ…親父も苦悶の表情を浮かべながら静かに答える。
すると姉さんは、少しの間沈黙し…
「………わかった。私は、お父さんの提案を受け入れるよ」
親父の顔をまっすぐに見つめながら、その提案を受け入れた。
「…冬美、すまん」
「だけど、約束して。いつになっても良い。だけど、いつか必ず、私達家族をまた一つにして」
「ふざけたマスコミが何も言えないくらい立派なナンバー
「そして、焦凍の事を父親として、ヒーローとして、しっかりと守ってください」
「……わかった。全力を尽くそう」
真剣な顔でそう答える親父に、笑顔を見せる姉さん。そして―
「……あぁ、わかったよ! 母さんも姉ちゃんも焦凍も納得してるのに、俺1人だけこんなんじゃ…俺が聞き分けの無いガキじゃないか…」
「俺も…受け入れるよ。そして、親父がどんなナンバー
夏
「よし! それじゃあ、難しい話はここまで! ご飯にしよう! 今日は焦凍が帰ってくるから、奮発して鴨鍋にしたよ。〆は焦凍の好きなお蕎麦を入れて、鴨南蛮!」
「鴨南蛮か。良いな」
「私も、久しぶりに台所に立ってみたわ。幾つかおかずを作ってみたの」
「あ、食器とか運ぶよ」
その後、務めて明るく振る舞い、夏
「………親父」
「どうした? 焦凍」
「1つ、
親父へそう告げながら、土間の方へと移動する。
「林間合宿の時に、俺が
「あぁ…」
「その時…俺にこう言った奴がいた」
-そして奴の犯した最大の罪…それは-
-己の長男、轟燈矢の心を壊し、死に追いやった事だ-
「なん、だと…!?」
「あいつが、荼毘が何故この事を知っているのか、それは皆目見当がつかない。親父、まさかとは思うが…燈矢
「それはあり得ん。あの時俺は、現場であの子の…燈矢の遺骨を見つけたんだ。
「そう、だな。悪い…変な事を言って」
「いや、お前がそういう可能性を考えるのは無理からぬ事だ」
「…とにかく、親父の動きに応じて、荼毘が何か仕掛けてくる可能性は…あると思う」
「わかった。その点も考慮して行動する事にしよう。焦凍、ありがとう」
「いや…」
「お父さーん、焦凍ー、ご飯出来たよー!」
「すまん、すぐに行く。焦凍、この件は」
「わかってる。母さん達には黙っておくよ」
そして俺達は居間へと戻り、家族5人で食卓を囲む。皆、努めて明るく振舞ったせいか、いつもより賑やかな食卓だった。
そして翌朝。朝食を済ませ、帰り支度をしていると―
「焦凍。今、時間あるか?」
夏
「10時に迎えが来るから、それまでなら…」
「あぁ…じゃあさ、あの…キャッチボール、しよう!」
「え…」
夏
「あ、いや、少しは
夏
「ち、違う。そういう訳じゃないんだ…やろう、夏
キャッチボールの誘いを受け、先に部屋を出て庭へと向かう。
「あ、あぁ! やろう!」
夏
「どうぞ。粗茶ですが」
「恐縮です」
予定の10分前に、轟の自宅前へ到着した俺は、待ち構えていたエンデヴァーに問答無用で家の中へと引っ張り込まれ、最高級の玉露と和菓子のもて成しを受けた。
「今、
寛いでくれって…俺は轟を時間までに雄英高校へ連れ帰らないと―
「根津校長には俺の方から連絡を済ませてあるし、急ぐならヘリを用意させる」
……やれやれ、暫くは足止めを食らいそうだな。
「わかりました。お言葉に甘えさせてもらいます」
「うむ。それにしても…
「…年がら年中
エンデヴァーの問いへ自虐的に答えつつ、和菓子を口に運ぶ。こういった物の高い安いはよくわからんが…相当良い物なんだろう。
その後、エンデヴァーから今後の事について聞かされた俺は、轟のお母さんとお姉さんから大量の土産を受け取り、轟と共に雄英高校への帰還の途に就いた。
「随分と大胆な事を考えたものだ…」
これからエンデヴァーが行おうとしている事に、ある種の感嘆を抱きながら…
最後までお読みいただき、ありがとうございました。