出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
お楽しみいただければ幸いです。
雷鳥side
11月も下旬に差し掛かったある日の放課後。俺達は
「ヘッチョイ!」
「風邪? 大丈夫?」
「いや…! 息災! 我が粘膜が仕事をしたまで」
「何それ」
「噂されてんじゃね!? ファンが出来たんじゃね!? ヤオヨロズー!みたいな」
「茶化さないでくださいまし、有難いことです!」
瀬呂の発言に、顔を赤くしながら抗議する八百万。文化祭でのステージ以降、
ちなみに、梅雨ちゃん、麗日、耳郎の3人は
「常闇君のファンも、結構おるんやない?」
「だって、あの『ホークス』のとこインターンに行っとったんやし」
「いいや、ないだろうな。あそこは
麗日の問いかけに、どこか遠い目をしながら答える常闇。ホークスか…そういえば彼は―
「あ!! 来たぞ皆! お出迎えだ!!」
おっと、来客が到着したようだ。俺は思考を打ち切り、皆と一緒に玄関へと向かう。
「煌く
「猫の手手助けやって来る!」
「どこからともなくやって来る…」
「キュートにキャットにスティンガー!」
「「「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!オフver」」」」
名乗りとポーズを決めながら登場したのは、『プッシーキャッツ』の皆さん。
活動休止中の為に全員私服姿だが、4人とも元気そうで何よりだ。
「プッシーキャッツ! お久しぶりです!」
「元気そうね、キティ達!」
飯田と
「あん時ゃ、守りきってやれずすまなんだ…」
「あれは、全員が最善を尽くした上での結果。皆も受け入れています。もう、気にしないでください」
「…そうか」
「そうです、ウチら大丈夫っスよ。ね?」
「にくきゅーまんじゅー」
「「にくきゅーまんじゅー!」」
耳郎の後ろで、お土産の饅頭に歓喜する芦戸、麗日、葉隠は…うん、ある意味通常運転だな。
「麓の町の名物だ。生地に温泉水を使い、温泉の蒸気で蒸しあげてある。見た目は素朴だが、味は保証する」
本当の意味での温泉饅頭か*1。食後のお茶の時間が楽しみだ。
出久side
「洸汰君!! 久し振り!!」
『プッシーキャッツ』の皆さんの後ろへ隠れるように立っていた洸汰君を見つけた僕は、すぐさま駆け寄ると、膝を突いて目線を合わせつつ、両手で握手。
「手紙! ありがとうね! 宝物だよ」
「別に…うん」
手紙のお礼を伝えると、照れたように視線を逸らしつつも頷く洸汰君。
「緑谷君、見てよ」
「え?」
「やっ、やめろよ」
慌てたような洸汰君の声を聞きつつ、指差された方を見てみると、そこにあったのは大きさこそ違うものの、僕が普段履いている物と瓜二つな子ども用のスニーカー。
「自分で選んだんだよ。『絶対赤だ』って」
「べっ…違う…」
「お揃いだ!」
照れくさそうな表情の洸汰君に、笑顔を見せていると―
「しかしまた、何で雄英に?」
お茶の準備を済ませた砂藤君が、『プッシーキャッツ』の皆さんへ来訪の目的を訪ねていた。
「復帰のご挨拶に来たのよ」
代表して答えてくれたのは
「復帰!?」
「おめでとうございます!!」
その声に皆歓声を上げるけど…それだと1つ気になる事がある。
「ラグドール、
「戻ってないよ! アチキは事務仕事で3人をサポートしていくの! OLキャッツ!」
僕の問いかけにあっけらかんとした様子で答える
「タルタロスから報告は頂くんだけどね」
-悪いとは思っているんだ。本当さ-
-良い“個性”を見ると、つい欲しくなる。僕の悪い癖だよ-
-返したいのは山々だが…“個性”を使わなきゃならない-
-それでも良ければ、すぐにでも-
「どんな・どれだけの“個性”を内に秘めているか未だ追及している状況。現状
「………では、何故このタイミングで復帰を?」
「今度発表されるんだけど、ヒーロービルボードチャートJP下半期。私達、411位だったんだ」
八百万さんの問いに答えた
「前回は32位でした」
「なる程、急落したからか! ファイトっす!!」
「違うにゃん!
だけど、その考えは違っていて…
「支持率の項目が、我々突出していた」
「待ってくれてる人がいる」
「立ち止まってなんかいられにゃい!!」
「そういう事かよ! 漢だ、ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」
『プッシーキャッツ』から聞かされた復帰の本当の理由に、男泣きする切島君。他の皆も声には出さないが、それぞれに感じる物があったようだ。
「ビルボードかぁ…」
「そういえば、下半期まだ発表されてなかったもんね」
「色々あったからな」
「轟がこの前実家に帰ったのも、もしかしてビルボード絡みか?」
「あぁ、まだ詳しい事は話せないがな…ビルボードが発表された後なら話せると思う」
瀬呂君の問いかけに、そう答える轟君。何か重大な事を抱えてるみたいだけど、無理に聞き出すのは良くない。轟君の言うとおり、ビルボード発表後を待つ事にしよう。
「オールマイトのいないビルボードチャートかぁ。どうなってるんだろう。楽しみだな」
エンデヴァーside
ヒーロービルボードチャートJP下半期発表当日の朝。俺はヒーロー公安委員会本部を訪れ、前以てアポを取っていた委員会会長と面会を果たしていた。
「貴方の要請通り、相応しい舞台を用意しました。ランキング発表後、
「感謝する」
「感謝される謂れはありません。
「あぁ、それで構わん」
こちらと目を合わせる事無く、事務的に淡々と伝えてくる会長に、こちらも敢えて事務的に答えていく。
「………オールマイトが引退を表明してから1ヶ月と経たない内に、この件を打診された時…正直
「公安委員のみで内々に協議を重ねましたが、6:4で辛うじてGOサインと言ったところです」
「マスコミに嗅ぎつかれて、暴露されるよりもこちらから明らかにした方が傷は小さい。この理屈で辛うじて纏まってはいますが、世間の反応次第では180度方針転換する事も十分有り得ます」
なるほど、場合によっては俺を
「
そう言い終えると、窓の方を向いて黙り込む会長。もう話す事は無いという事だ。
「失礼する」
俺も軽く頭を下げ、退室する。さて、会場へ向かうとするか。
「神野以降、初めてのビルボードチャート! その意味の大きさは、誰もが知るところであります!!」
国営放送に所属する女性アナウンサーの実況が響く中、開始されるビルボードトップ10の発表。
「これまで発表の場にヒーローが登壇する事はありませんでした。しかし今回は! ご覧下さい!!」
そう、今回は今までと大きく異なり、トップ10が勢揃いしている。これも公安委員会会長の指示によるものだ。
「
「前回9位からワンランクダウン! ドラグーンヒーロー、リューキュウ!!」
「今期は私、正直見合ってないかな…」
「
「こちらもダウン! しかし未だ衰え知らず! 具足ヒーロー、ヨロイムシャ!!」
「フン…上位3名を除けば、斯様な番付。全て時運による誤差」
「
「『キレイにツルツル』、CMでおなじみ。洗濯ヒーロー、ウォッシュ!!」
「ワシャシャシャシャシャシャ!!」
司会のアナウンス、そして観客の歓声が響く中、ランキング下位のヒーローから1人ずつその名を呼ばれていく。
「
「大躍進! 成長止まらぬ期待の男! シンリンカムイ!!」
「光栄」
「
「THE正統派の男は、堅実に順位をキープ! シールドヒーロー、クラスト!!」
「オールマイト…」
「
「勝気なバニーはランクアップ! ラビットヒーロー、ミルコ!!」
「チーム組んだんだってな。弱虫め!」
「
「ミステリアスな忍びは、解決数も支持率も鰻上り! 忍者ヒーロー、エッジショット!!」
「黙らっしゃい。公の場だぞ」
挑発的な言動のミルコを、エッジショットが静かに窘め、遂にベスト3の発表となる。
「
「支持率は今期No.1! ファイバーヒーロー、ベストジーニスト!!」
「皆さんの支持に深く感謝する。ありがとう」
「
「マイペースに! しかし猛々しく! 破竹の勢いで今! 2番手へ! ウィングヒーロー、ホークス!!」
「んな大ゲサな」
まるでボヤくようにホークスが呟いた直後、アナウンスが一旦途切れ…
「そして! 神野区の戦いで、オールマイトから託されて3ヶ月。暫定のトップから今日改めて正真正銘のトップへ!」
「長かった! 本当に長かった!
「フレイムヒーロー、エンデヴァー!!」
一際大きく俺の名が呼ばれた。スポットライトが一斉に俺へと当てられ、大歓声と拍手が湧き起こる。
さぁ、ここからが本番だ。やり直しの出来ない一発勝負。気を抜かずに臨むとしよう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。