出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
Season2第2話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。


第1章 仮免試験編
第2話:寮生活開始!


雷鳥side

 

 夏の旅行から1週間が経過し、遂に俺と出久が入寮する日がやってきた。

 

「お母さん…メールには出来るだけ早く返信するから」

「こっちからも、こまめに連絡する。だから…心配しないで」

「出久、雷鳥…自分を大事にしてね。2人が傷つくの、嫌だからね」

「…うん」

「わかってる。姉さんを泣かすような事はしないし、出久にもさせないよ」

 

 玄関先で姉さんとそんなやり取りを交わし―

 

「それじゃあ…」

「「行ってきます!」」

 

 俺達は雄英高校へ歩き出した。これから迎える新しい日々に、大きな期待と少しの不安を抱いて。

 

 

根津side

 

「………そろそろ時間だね」

 

 午前中に済ませておく書類仕事を粗方片づけた僕は、時計を確認しながら凝り固まった体を解し、窓際へと移動。整然と並ぶ建物へと視線を送った。

 雄英の敷地内。校舎から徒歩5分の距離に造られた学生寮『ハイツアライアンス』。

 ヒーロー科他全課程各クラスに1棟ずつ、合わせて27棟を3日で造る等という荒業が出来たのは、雄英高校ならではだ。

 

「仕方の無い事とはいえ、生徒達には無理を強いてしまった…」

 

 今回の全寮制への移行は、生徒の安全を確保するだけじゃない。依然拭えぬ脅威…内通者を見極める為(・・・・・・・・・)でもある。

 長く漂った不穏な流れを一旦断ち切る為、大っぴらな捜査は避け、秘密裏に探っていく。

 教師だけでなく、生徒にまで疑いの目を向けるのは…辛い事だが、立場上仕方あるまい。

 象徴の喪失…その影響は時を経るにつれ、大きく表れるだろう…とにかく今は、奮起・再興の流れが必要だ。

 少なくとも、生徒(こども)らには、明るい未来を指し示していかなくては…。

 

 

出久side

 

「とりあえず1年A組全員、無事にまた集まれて何よりだ」

 

 1-Aに割り振られた建物()の前に整列した僕達を見ながら、淡々と…だけどどこか嬉しそうに話す相澤先生。

 僕達全員が入寮する事は、事前にわかっていた筈…それでも、実際に全員が集まった光景に、安堵しているのだろう。

 

「何よりなのは、私達もよ。香や…ミッドナイト先生から、ある程度の事は聞いていたけど、先生達が責任を取らされていなくなってしまうかも…って不安だったの」

「………その件は俺もびっくりさ。幾らか覚悟はしていたから(・・・・・・・・・・・・)な…まぁ色々あった(・・・・・)のさ」

 

 何だろう…今の相澤先生の言い様、何か含む物を感じる(・・・・・・・)ような…。

 不審に思った僕は、そっと雷鳥兄ちゃんに視線を送るけど―

 

「………」

 

 雷鳥兄ちゃんが視線で送ってきたのは、静観(・・)のサインだった。

 ……気になるけど、雷鳥兄ちゃんがそう言うなら仕方ない。暫く状況を見守る事にしよう。

 

 

雷鳥side

 

「………ふぅ」

 

 視線で送った『静観』のサインに出久が同意してくれた事に、そっと息を吐く。

 相澤先生の言葉の中に含まれていた物、それは十中八九内通者(・・・)絡みだろう。

 俺の知る限り(・・・・・・)という条件付きだが、原作でも雄英高校に潜む内通者が誰なのかは、明らかになっていなかった。

 それならこちらが下手に動いて内通者を刺激するより、泳がせて尻尾を掴む方が効率的だ。

 

「さて…! これから寮について軽く説明するが、その前に1つ」

 

 おっと、話に集中しないとな。

 

「当面は、林間合宿で行う予定だった“仮免”取得の為の強化を目的に行っていく。色々と状況が変わって、お前達への負担も増すと思うが…“Plus Ultra(更に向こうへ)”の精神で頑張って貰いたい」

 

 相澤先生からの激励に、俺達は声を上げ―

 

「よし、ではこれより、寮の中を案内する」

 

 そのまま、寮の案内が始まった。

 

 

「1クラスに1棟。右側が女子棟、左側が男子棟と別れているが…1階は共同スペースだ」

「食堂や風呂・洗濯などはここで行ってもらう」

 

 相澤先生に連れられて、寮の中に足を踏み入れた俺達が見た物。それは、学生寮としては十分過ぎるほどの設備。

 

「広い! 綺麗! おっきなソファァァッ!」

「おっ、中庭もあんじゃん!」

「キッチンもなかなかの設備だな」

 

 俺達がそれぞれ感嘆の声をあげる中―

 

「豪邸やないかい!!」

「麗日さん!?」

 

 卒倒しかけた麗日が出久に支えられたのは…まぁ、ある意味予想通りだ。そして―

 

「聞き間違いかな…風呂・洗濯が共同スペース? 夢か?」

「男女別だ。お前、いい加減にしとけよ?」

「…はい」

 

 馬鹿な事を口走った峰田へ、相澤先生が寒気がするほど冷たい声で忠告したのも…まぁ、予想通りだ。

 さぁ、2階へ行くとしよう。

 

 

「居室は2階から。1フロアに男女各4部屋の5階建て」

「1人1部屋。エアコン、トイレ、冷蔵庫にクローゼット付きの贅沢空間だ」

「ベランダもある。凄い!」

 

 間取りは…8畳ってところか。学生が使う部屋としては十分だな。

 

「我が家のクローゼットと同じくらいの広さですわね…」

 

 …今、ナチュラルに育ちの違いを突き付けられた気がするが……うん、気にしないでおこう。

 

「豪邸やないかい!!」

「麗日さん!?」

 

 そして、麗日がまた卒倒しそうになったのも…うん、気にしないでおこう。

 

「悪いが、部屋割りはこちらで決めさせてもらった。各自事前に送ってもらった荷物が、部屋に入っている」

「とりあえず、今日は部屋作りに専念しろ。明日、また今後の動きを説明する。以上、解散!」

「「「「「はい!!」」」」」

 

 相澤先生が寮を後にするのを見送ってから、俺達は動き出す。さぁ、部屋作りといきますか!

 

 

 さて、あっという間に時間は流れ…。

 

「ふぅ、終わった終わった」

 

 部屋作りが終わった頃には、日が大分落ちていた。時間は…17時半か、そろそろ夕食…あれ? そう言えば、その辺りの事は何も言われてなかったな。

 

「とりあえず…降りるとするか」

 

 原作ではこの辺りはどうなっていたのか…前世の記憶を辿りながら1階へ降りてみると―

 

「あ、吸阪」

 

 どうやら皆も同じ事を考えていたらしい。続々と1階へ集まって来ていた。俺は早速今日の夕食について話を切り出すと―

 

「皆…実は今、相澤先生からメッセージが届いた。読み上げる」

 

 飯田がそんな事を言い出した。全員が飯田に注目し、その声に耳を傾ける。果たして、相澤先生は何を俺達に伝えるんだ?

 

 「…『食事に関して伝え忘れていたので、メッセージを送る。子どもじゃないんだから、自分達で何とかしろ』…以上だ」

 

「………相澤先生」

 

 あんまりなその内容に、頭を抱える俺達。だが、それも少しの間だ。俺達で何とかして良いのなら、何とかしてやろうじゃないか!

 

「よし、まずはキッチンを調べよう。食料があればそれで良し。無ければ…調達に行くぞ」

 

 俺の声で、皆は動き出し…キッチンの中を隅々まで調べていく。すると―

 

「ふむ。調味料は一通り揃っているし、食材もある。これなら明日の昼までは、十分賄えるな」

 

 事前に搬入されていたのだろう。1-Aの皆が、3食しっかり食べられる分の食料を見つける事が出来た。

 

「さて、何を作るか……皆、喰いたい物、あるか?」

 

 食料があるのなら、あとは作るのみ。皆にリクエストを募ると―

 

「その件で、1つ提案がある」

 

 飯田が真っ先に手を挙げた。

 

 

飯田side

 

「その件で、1つ提案がある」

 

 挙手しながら声を上げると、皆の視線が僕へと集中した。僕は咳ばらいをすると息を吸い―

 

「食事に関してだが…吸阪君達に少々頼り過ぎ(・・・・)ではないだろうか?」

「たしかに、吸阪君や緑谷君、蛙吹君といった面々の腕前は相当なものだ。俺自身、彼らの料理を何度も美味しく頂いている」

「だが、今日から始まった寮生活が共同生活(・・・・)である以上、食事に関する負担を一部のクラスメートのみに強いるのは、ヒーローを志す者として間違っていると思う!」

「よって! 毎日の食事作りは、クラス全員でのローテーション制にする事を、委員長として提案する!」

 

 自分の考えを一気に吐き出した。皆の返答は如何に?

 

「たしかに、飯田さんの言う事にも一理ありますわ。共同生活を行うのであれば、食事作りも全員で分担するのが道理かと…」

「でも、ヤオモモ。『適材適所』とか『餅は餅屋』って言葉もあるよ」

「確かに…あくまでも例えばの話だが、食事関係は吸阪達メインでやって貰い、俺達はその対価として、他の家事…掃除等を担当する。これなら、五分の取引となると思うが?」

 

 いち早く同意を示してくれた八百万君に対し、それぞれの意見を述べる葉隠君と常闇君。ふむ、どうしたものか…。

 

「あー…だったら、こういうのはどうだ?」

 

 その時、手を挙げたのは吸阪君だ。

 

「調理は俺達がメインで担当。ただし、他のメンバーにも日替わりで1人か2人、手伝いに入ってもらい、料理の腕を磨いてもらう」

「掃除に関してだが…調理担当になった者は、その日の共有スペースの掃除は免除って事で…どうだろうか?」

 

 吸阪君の提示した案。どうやらそれが、一番の落としどころだったようだ。細かい内容は今日中に詰める事とし、俺達は夕食の準備に取り掛かった。

 

 

雷鳥side

 

 さて、料理に関する問題はひとまず解決。夕食作りに取りかかると…。

 

「吸阪。悪いんだが…」

 

 …今度は轟か。一体どうした?

 

「今日の夕飯、こいつを使ってほしい」

 

 そう言って、轟が差し出したクーラーボックスの中に入っていたのは―

 

「蕎麦か!」

 

 1人前ずつ蕎麦紙*1に包まれ、密閉容器に収められた蕎麦。そして、大振りの徳利だった。

 

「昨日行きつけの蕎麦屋に行って、暫く来れなくなる事を伝えたら、店の大将が朝、打ち立てを届けてくれたんだ。徳利の中には、かえし(・・・)が入ってる」

「そいつは凄いな。よし、今日の夕食は、ざるそばメインで組み立てるとしますか」

 

 そう言いながら、俺はお馴染みのメンバー*2と轟を伴って、キッチンへ入る。

 夕食作り、始めるとしようか。

 

 

轟side

 

「今日は、『蕎麦屋での夕食』をテーマに作ってみた。ご飯も炊いているから、足りなかったら言ってくれ。それじゃあ飯田、頼む」

「それでは、いただきます!」

「「「「「いただきます!」」」」」

 

 飯田の号令で、始まる夕食。メニューは―

 

・ざるそば

・天ぷらの盛り合わせ*3

・茶碗蒸し

・ほうれん草の胡麻和え

・焼き厚揚げ

 

 以上5品だ。ちなみに、俺は蛙吹の指導を受けながら、野菜の天ぷら作りに挑戦してみた。それなりに上手く出来たとは思うが…皆の口に合うかどうか…。

 

「おっ! この茄子の天ぷら美味っ!」

「ちょっと衣が厚めだけど、サクサクで美味しいね!」

「ケロケロ、野菜の天ぷらは、轟ちゃんが担当したのよ」

「そっか! 轟、やるな!」

「いや…蛙吹の教え方が良かったからだ」

「蛙吹の指導があったとはいえ、このサクサクとした食感は見事なもの…そして、天ぷらの油がしみたツユで蕎麦を食べると………こっくりとした旨味が足され、まさに佳良な味わいだ」

 

 どうやら皆は、俺の天ぷらを気に入ってくれたようだ。安堵した俺は静かに一息つき、蕎麦に手を付ける。

 大将が打った蕎麦も、暫くは食べられないからな。しっかり味わうとしよう。

 

 

出久side

 

 夕食の後片付けを終え、共同スペースで寛いでいる皆にお茶を配っていると―

 

「いやぁ、寮生活ってどんなものかわかんなくて、ちょっと不安だったけど…飯もしっかり食えたし、何とかなりそうだよな!」

 

 切島君の声に、皆が大きく頷いていた。もちろん僕も同感だ。まだ少し不安はあるけれど、皆と一緒ならきっと大丈夫。

 

「あのね! 提案なんだけど!」

 

 芦戸さんが手を挙げたのは、その時だ。皆の視線が芦戸さんへ向き、次に発せられる声を待ち構える。そして―

 

「お部屋披露大会、しませんか!?」

 

 その提案は僕達の予想、その斜め上(・・・)を行くものだった。お部屋披露大会…波乱の予感がする!

*1
切った蕎麦を包み、保存する為の専門紙

*2
出久、蛙吹、麗日、耳郎

*3
海老2尾、南瓜、茄子、椎茸、大葉、海苔




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
なお、部屋割りはこのような風になっております。

   2F
-男子-  -女子-
峰 田  空 室
青 山  空 室
常 闇  空 室
出 久  空 室

   3F
-男子-  -女子-
口 田  葉 隠
心 操  空 室
飯 田  空 室
尾 白  耳 郎

   4F
-男子-  -女子-
雷 鳥  空 室
障 子  麗 日
切 島  空 室
空 室  芦 戸

   5F
-男子-  -女子-
空 室  八百万
砂 藤  空 室
 轟   空 室
瀬 呂  蛙 吹
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