出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お楽しみいただければ幸いです。


第46話:ヒーロービルボードチャートJP‐その2‐

エンデヴァーside

 

「今回、このような場を設けたのは、()()()()()と判断したからであります」

「オールマイトの引退から約3ヶ月。未だアイコン不在ばかりが取り沙汰されておりますが、次を担うヒーロー達はここにいます」

「彼らと共に平和な社会を目指していきましょう」

 

 トップ10の発表が無事に終了し、続けて行われるヒーロー公安委員会会長のスピーチ。

 壇上に立つ誰もが、直立不動の態勢を取る中―

 

「1位ってどんな気分なんスか?」

 

 ホークスだけは落ち着きなく周囲を見回したり、俺へと話しかけてくる。とりあえず、厳しめの視線を送って黙らせたが…食えない奴だ。

 

「それでは、お1人ずつコメントをお願いいたします」

 

 そうしている内にスピーチは終わり、リューキュウから順番にコメントを求められ始めた。()()()()だな。

 

「ありがとうございます。しかし、辞退出来るものならしたかったというのが、本音です」

「救えた筈の命がありました…頂いたNo.(ナンバー)に相応しいヒーローとなれるよう、邁進して参ります」

 

 リューキュウの真摯なコメントに、会場へ駆け付けた観客やヒーローの一部が涙ぐむ中―

 

「わかるぞリューキュウ!」

「お前の心の苦しみが! 自責の念が!」

「我ら立たねばならぬ!!」

「頑張れリューキュウ! 頑張ろう!!」

 

 順番を無視して、大声を張り上げるクラスト。気持ちは解らんでもないが…

 

「クラスト、順番……」

 

 周りの事を少しは考えてやれ。

 

「これからもやるべき事は変わらん」

「ワッシャ!!」

「チームに加えてくれたエッジショットをはじめ、諸先輩方に恥じぬ働きをしていく所存」

 

 その後もヨロイムシャ、ウォッシュ、シンリンカムイが、コメントを行い、クラストも―

 

「何故あの日、私は神野にいなかった!」

「その思いがいまだ胸を締めつける!!」

 

 先程同様大声を張り上げる。一見、何の問題も無さそうな光景。

 

「………」

 

 だが、ホークスはその光景をつまらなさそうに見つめ、何かを考えている様子。何を考えている?

 

「今悪い事企んでる奴! 私にぶっ飛ばされる覚悟しとけよ!」

 

 ミルコのコメントには、一瞬笑みを見せていたが…

 

「支持率だけで言えば、No.3(ナンバースリー)の座でした…!」

「数字に頓着はない」

「結果として、多くの支持を頂いた事は感謝しているが、名声の為に活動しているのではない」

「安寧を齎す事が本質だと考えている」

 

 エッジショットのコメントで再び渋い顔を作る。感情がよく表情に出る奴だ。そして―

 

平和の象徴(オールマイト)という()()()()()を失った今、我々1人1人が己の力、その全てを使って、平和を維持していかねばならない」

「順位や名声はあくまでも平和な社会の副産物であり、それが―」

「それ聞いて、誰が喜びます?」

 

 ベストジーニストのコメントを遮るように、爆弾を投げ込んだ。会場は一瞬で静まり返り、誰かが唾を飲み込む音が響き渡る。

 

「良いぞ、生意気だ!」

「……相変わらず和を乱すのが好きだな」

「我慢が苦手なだけですよ」

 

 ミルコとエッジショットの射貫くような視線に全く怯む事無く、マイクを手にしたホークスは―

 

「えーと? 支持率だけで言うと、ベストジーニストさんが1位、2位が俺、3位がエッジショットさん。で、4位がエンデヴァーさん以下略」

 

 背中の翼を羽搏かせ、舞い上がりながら喋り始める。

 

「支持率って、俺は今一番大事な数字だと思ってるんですけど」

「過ぎた事を引きずってる場合ですか? やる事変えなくていいんですか? 平和の象徴(オールマイト)はもういない」

()()のこの日に、俺より成果の出てない人達が、なァにを安パイ切ってンですか!」

「もっと()()()()()()()()言ってくださいよ」

 

 まるで発破をかけるかのような物言いに、壇上にいた全員の纏っていた空気が変わり始める。

 まさか、これを狙っていたのか? 

 

「俺は以上です」

「さァ、お次どうぞ。支持率俺以下No.1(ナンバーワン)

 

 ゆっくりと舞い降りながら、俺へとマイクを差し出してくるホークス。そして俺がマイクを受け取った直後―

 

「何やら爆弾発言されるらしいですけど、フォローは入れますんで」

 

 俺にだけ聞こえるようにそう告げて、何食わぬ顔で元の位置に降り立った。ふん、どこで聞いたか知らんが、下手な煽りだ。

 俺はマイクを力強く握り、一歩前へ出る。スポットライトが俺の動きに合わせて調整され、俺を照らし出す。

 

「そ、それでは、No.1(ナンバーワン)、エンデヴァーよりコメントを頂きます」

 

 司会の声に頷き、俺は軽く息を吐いて口を開く。この後、どのような反応になるかはわからん。伸るか反るか…だ。

 

 

ホークスside

 

「俺は…()()()()

 

 その一言から始まったエンデヴァーさんのコメントは、文字通り()()だった。

 デビュー直後から破竹の勢いでランキング上位へ駆け上っていったが、誰しもが認める最高のヒーロー、オールマイトの背を追いかける内、どう足掻いても覆せない程の絶対的な差を感じ、次第に精神を摩耗させていった事。

 やがて自分の力ではオールマイトを超える事が出来ないと悟り、次なる策として前時代的な“個性”婚を選択。オールマイトを超えるヒーローに育て上げる為、強力な『氷』の“個性”を持つ女性との間に4人の子を授かった事。

 自分を尊敬し、己の夢を引き継ぐ事を誓ってくれた長男が、体質的に“個性”を使いこなす事が出来ない事が判明。それによって親子関係が急速に悪化していった事。そして―

 

「俺自身とあの子を守る為に取った筈の選択が…あの子を()()()()()()()()()()()

 

 父親から厳しく制止されても尚、取り憑かれた様に“個性”の鍛錬を続けていた長男へ夢を諦めさせる為、敢えて突き放すという選択を取った結果、長男は“個性”を暴走させ…()()()()()()()()()()()

 

「あの時の後悔と罪悪感…俺はそれらから目を逸らす為、自分を止められなくなっていった」

 

 己が望む理想的な“個性”を持って生まれた三男に、常軌を逸したスパルタ教育を施し、それが妻の長期入院や家族関係の更なる悪化という結果を招いた事。

 

「鬼畜だ、外道だと罵られても一切反論出来ん。それだけの罪を俺は重ねてきた…だが、オールマイトとイレイザーヘッド、2人のヒーローのおかげで、俺は己の過ちに気づく事が出来た」

 

 三男の雄英高校入学直後、教師として話をしに来たオールマイト、イレイザーヘッドの両名と出会った事を契機に、己の過ちと向き合う事が出来た事。

 

「今更ではあるが、俺は妻と子ども達に詫びた…そして、これから一生を懸けて償う事を約束し…今に至る」

「こんな男がNo.1(ナンバーワン)である事など到底許容出来ない。そう考える物も多いだろう。それも当然だ」

「だが、俺は妻と子ども達に約束した。夫として父親として、そしてヒーローとして、恥ずかしくない生き方をすると…」

「そしてオールマイトから託された以上、俺以上に相応しい者が現れるまでNo.1(ナンバーワン)の務めを果たさせてもらう」

No.1(ナンバーワン)として、相応しくないと思うのであれば、遠慮無く厳しい声をぶつけてほしい。覚悟は出来ている…俺を見ていてくれ」

 

 スピーチを終え、一礼するエンデヴァーさん。誰もが沈黙したまま、動こうとしない…仕方ないな。

 

No.1(ナンバーワン)の決意表明。(しか)と聞かせていただきました」

 

 俺は拍手しながら舞い上がり、観客席へ呼びかける。

 

「たしかに、エンデヴァーさんの過去には色々問題があった。でもそれって、この超人社会の中で唯一()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という事ですよね?」

「最終的には道を誤ったにせよ…オールマイトを超える為、精神を摩耗させるほどの努力を続けてきた…この事実を否定する事は、俺には出来ない」

No.1(ナンバーワン)となれば、これまで以上に厳しい視線に曝される。それを覚悟で過去の告白に至ったエンデヴァーさんの…()()を汲んであげようじゃありませんか!」

 

 敢えて芝居がかった口調と動きで呼びかける。すると―

 

「ホークスの言う事にも一理ある!」

「エンデヴァーのこれからを、俺は見届けるぞ!」

「たしかに…己の罪を自ら世間に暴露し、罪を購う事を決意した覚悟は、尊重すべきか…」

「この一件、我々にとっても襟を正す必要があるかもしれない」

 

 クラストさん、エッジショットさん、ベストジーニストさんが同調してくれた。それをきっかけに、観客席からも拍手が鳴り始める。

 うん、まぁ…こんなところだろう。

 

 

死柄木side

 

「ぬぁぁぁっ!」

 

 エンデヴァーのスピーチが終わった直後、テレビの画面にパンチを叩き込む荼毘。

 

「くそっ! くそっ! くそぉぉぉっ!!」

 

 尚も気が済まないのか、配線を半ば引き千切りながら、テレビだった物を床に叩きつけ、何度も何度も踏みつけていく。

 やれやれ、買ったばかりの薄型テレビがもうスクラップだ。

 

「やってくれたな…エンデヴァー……轟炎司ィッ!」

「たしかに…奴がこんな手を取るとは、少々予想外だ」

 

 呪詛の声を上げる荼毘を、俺は敢えて軽い口調で宥め―

 

「この状況で、荼毘(お前)が秘密を公開しても、想定したほどの騒ぎにはならないだろう」

「あぁ…大騒ぎになるタイミングを狙っていたが、こんな事になるとは…くそっ!」

「こうなった以上、()()()()()()()()…だな」

 

 荼毘にそう促した。

 

「別の手…か」

「最善の策が駄目なら、次善の策。それでも駄目ならその次だ。この際、()()()()()()()()()()…違うか?」

「いや、その通りだ……もう、エンデヴァー(あいつ)()()()()()()()()()()()()()()()エンデヴァー(あいつ)を…この手で、消し炭にしてやる!」

 

 落ち着きを取り戻し、そう宣言する荼毘。俺達の行動計画も、修正を加えるとするか。

 

 

エンデヴァーside

 

「いやー、あのスピーチは凄かったですねー」

「…フォローを入れてくれた事に関しては、礼を言う。だが、その前の言動はいただけんな」

 

 発表終了後、馴れ馴れしく俺の控室に入ってくるホークス。俺はフォローへの礼を言いつつ、その前の言動に苦言を呈するが―

 

「いやいや、皆さんがあまりに普通の事しか言わないんで、()()()()()()()

 

 まったく悪びれないホークス。食えない男だ。

 

「余計なお世話だ」

「それは失礼。でも…オールマイトファンでもなければ、ああなりたいとも思わない俺ですけど、それでもあの人の引退はショックでした」

「あの人のようにアイコニックな存在とは言いません。しかし、新たな精神的支柱(リーダー)は、今絶対に必要だと考えています」

「そういう意味では、過ちを犯しながらも、それを認め、贖おうとする貴方の姿は、新しい精神的支柱(リーダー)に成り得る」

「安心しました。かっこよかったです」

 

 この発言…本心なのかからかっているのか…

 

「自分がそうなろうとは考えんのか?」

「俺がそんな器に見えます? 本当ならもうちょい下…20~30位くらいでやりたいんですよ」

「過ぎたるはなお…という奴だが、まったく向上心が無いのも感心出来んな。話は終わりだ。他の者に謝罪して来い」

 

 話を打ち切り、控室を出ようとするが―

 

「あ、本題はこっからなんですよ」

「さっさと話せ!」

 

 ええい! どこまでも人を食った奴だ!

 

()()()()()()()()()()です。俺の地元で今、()()()()()が増えてんですよ」

「脳無って、覚えてます?」

 

 ホークスの口から出た脳無という言葉に、俺は気持ちを切り替える。大事にならなければいいが…。

 

 

ヒーロー公安委員会side

 

「国営放送がインターネット及び電話を用いての調査を行った結果…エンデヴァーの支持率は71%となっています」

「ギリギリとはいえ、70%超え…初めてとしては()()()といったところですかな」

「いやはや、あんなスピーチを行った後で、どうなる事かと冷や冷やしていましたが…とりあえずは一安心、ですな」

「ホークスやベストジーニスト、エッジショット、クラストといったトップヒーローが擁護した事も、支持率の底上げに繋がった様子。国民も暫くは様子見に徹するでしょう」

 

 部下の報告に胸を撫で下ろす公安委員の面々。たしかに現状は、想定していた幾つもの状況の中では、かなり良い物と言える。

 

「エンデヴァーに関しては、当面自由にやらせるという事で…よろしいでしょうね」

「えぇ、支持率のチェックだけは密に行ってください。危険水域は55%に設定し、50%を切った時点で……()()()()()()()

 

 私の宣言に全員が頷き、会議は終了。委員達は一斉に退室していく。

 

「ふぅ…」

 

 この社会を維持する為にも、エンデヴァーには頑張ってもらわなければ…そう考えながら、私は仮眠を取る為に椅子を倒すのだった。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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