出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
お楽しみいただければ幸いです。
エンデヴァーside
「来い!
そう宣言して戦闘態勢に入った俺は、全身から煙を燻ぶらせながら宙に浮いたままの脳無を睨みつける。
「エンデヴァーさん、飛べるんですかぁ!?」
「落ちないだけだ! 抜かるなよ! こいつはまだ動く」
ホークスの問いかけにそう答えた直後―
「こコんな火デ俺レをを…殺セるとと、思っ思っ思っったカ?」
少々呂律の回らない口調で喋りながら、先程の攻撃で千切れた右手を
『再生』の“個性”…当然のように強“個性”を備えているか。雄英に現れた
そして保須に出た内の一匹にも…他の薄緑色や黄土色の脳無には見られなかった。『黒い脳無』は特別製ということか…?
だとすると、こいつはその中でも更に特別。なにせ…
「オ前は強いノか?」
喋る! ならば!!
「生け捕りにして情報を頂く!」
「赫灼熱拳! ヘルスパイダー!」
正面から突っ込んでくる脳無を迎撃すべく、俺は左手を突き出してヘルスパイダーを発動。五指から放たれる糸状の炎が、脳無へ襲い掛かるが―
「ッ!」
脳無は飛行速度を急上昇させてその全てを紙一重で回避しつつ、俺へと肉薄。そのまま巨大化させた右手で俺の頭を掴むと、高速で延伸させて俺を背後のビルへと叩きつけた!
「ちぃぃぃっ!」
俺は両足から全力で炎を噴射し、逆噴射を試みるが、脳無はそれを嘲笑うように延伸する速度を上げていく。
営業していた中華料理店の設備を次々と薙ぎ倒しながら、俺は向かい側の壁へと激突し…突き破って、外へと押しやられていく。
「舐めるなぁ!」
もちろん、ただ黙ってやられていた訳ではない。顔面を掴む脳無の右手を掴み返し、炎で炭化させていくが、奴の右手は炭化させたそばから瞬時に回復していく。再生速度が…桁違いだ!
ホークスside
「オイオイ…」
最初に脳無が突っ込んで来たフロアを飛び回り、避難誘導を行っていると、轟音と共にビル全体が大きく揺れた。こいつは…あまり時間が無いな。
「頼みますよ…
背中に冷たい物が流れるのを感じながら、フロア内を再チェック。逃げ遅れた人がいない事を確認した直後―
「ぬぉっ…」
再び起こった轟音と共に大きく揺れるビル。同時に複数の悲鳴があちこちから響いてきた。
悲鳴、呼吸、衣擦れ、人から生じる振動! 全てを感知しろ剛翼!
ビル全体は無理。羽の数が足りない。だったら…被害部分の人間全員!
「総数76。感知完了!」
俺は背中の翼から感知した数と同じだけの羽を射出し、操作。全員を100m程離れたビルの屋上へと輸送していく。
そして全員の輸送が完了したところで、外へと飛び出し―
「被害部分の76名。全員避難完了! エンデヴァーさん!」
エンデヴァーさんの援護に入る。脳無に羽を手裏剣の様に撃ち込み、その注意を僅かに逸らす。コンマ数秒程度の僅かな隙。あの人にはそれだけあれば十分だ。
「赫灼熱拳! ヘルスパイダー!」
間髪入れず放たれた攻撃で、脳無の体は大雑把にだが8つに焼き切られていくけど…
「それがハイライトですか!?」
「まさか!」
「…面モ白い…」
首が半分千切れた状態にも拘らず、不気味な笑みを見せる脳無。とんでもない奴だな…。
エンデヴァーside
「…面モ白い…」
首が半分千切れた状態にも拘らず、不気味な笑みを見せる脳無。その余裕、いつまでも続くものか!
「はぁぁぁぁぁっ!!」
俺は最大出力を維持したままでヘルスパイダーを放ち続け、脳無の全身を背後の崩れゆくビルごと滅多切りにしていく! すると―
「料理! したこと! ないでしょ! エンデヴァーさん!」
焼き切られて細かくなった瓦礫を安全に地面へ降ろしながら、ホークスがそんな事を言ってきた。
「微塵切り荒いですよ。均等に切ってもらわないと」
「喋るより、動きに神経を使うんだな」
「いや、羽減らしすぎると飛行性能下がるんですって」
「…それは悪かった」
会話を続けながら攻撃を続けるが、脳無も紙一重のところで致命傷を避け続け、あと一歩のところで決着がつかない。
「エンデヴァー! ホークス! 遅れてすまない! これより加勢する!!」
地元ヒーロー達が駆け付けたのはその時だ。すぐさま、俺とホークスを援護しようと地上から一斉に攻撃が放たれる。
「邪じゃっ、邪魔!」
だが、地元ヒーロー達の攻撃では脳無にダメージを与えられず、逆に新たな“個性”の発動を促してしまう。
「チッ…」
そして6つ目…『分裂』…!? 色が違う…体内に『格納』していたか…っ…。
-どレが一番強イ?-
-…面モ白い…-
-邪じゃっ、邪魔!-
額面通りに捉えれば、目的は『強者との戦闘』。いっぱしの
俺との戦闘継続の為に、加勢を分散させようってハラか。この脳無…
ホークスside
「うわあぁ来るなあぁ!!」
黒い脳無によって地上に解き放たれた白い脳無達が、手当たり次第に街の人達を襲う中―
「せぇぃっ!」
俺は両手に持った剛翼を剣のように振るって白い脳無を次々と打ち倒し、同時に人々を安全圏に運んでいく。
「ホ、ホークス! た、助かっ…わっ!」
「ハーイ、見えなくなるくらい下がっててください。何を隠そう、パワー押しには割と無力なんです」
「俺の背中やったら、安心させられん」
逃げ遅れた人がいない事を確認しつつ、そんな事を呟いていると―
「「「キャー」」」
「「「キャー」」」
あちこちから白い脳無がこちらへ向かってきた。やれやれ、面倒な…
「インパクトナックル!」
俺の横を擦り抜けた誰かが、白い脳無を殴り飛ばしたのはその時だ。あれは…レゾナンスか!?
「お前たちのせいで…もつ鍋、食べ損ねたぁぁぁっ!」
「えぇ…」
耳を疑うような事を言いながら、白い脳無をボッコボコに殴り続けるレゾナンス。その姿に、唖然としていると…
「
「奥義…蒼刃一閃!」
「マシンガン・パーティ! Fire!!」
「十文字斬り!」
「
必殺技を放って白い脳無を次々と吹っ飛ばしながら、カデンツァ、ウイング、バラージ、サンライト、ムーンライトの5人がこちらへ合流した。
『シンフォニック』が増援に来てくれたのは、正直非常にありがたいけど…
「来てくれたのは嬉しいけど、レゾナンスはどうしてあんなに大荒れなの?」
「それは…先程ホークスから教えてもらった人気店に向かったのですが…注文したもつ鍋が届き、いざ食べようとしたところに、この騒ぎで…」
「あぁ…OK、察した」
俺の問いかけにどこか気不味そうに答えるカデンツァに、事情を察する。そういえば、
「まぁ、あの食欲魔人はともかく、アタシらも大仕事を終えてのオフを潰されて、少々お怒りなんだ…てめえら全員、蜂の巣にしてやらぁ!」
「切り刻むのです!」
「バラバラにしてあげます…」
バラージ、サンライト、ムーンライトも程度の差はあれ、かなりのご立腹。戦意はすこぶる高そうだ。
地元ヒーロー達やエンデヴァーさんのサイドキック達も、少し離れたところで白い脳無の迎撃と市民の避難誘導を行っている。
「こっちは何とかなりそうだ…」
静かに呟きながら、向かって来た白い脳無を剛翼で斬り捨てる。そっちは任せますよ、エンデヴァーさん。
エンデヴァーside
「もウ…う撃たない…のカ? ね熱っっせ熱線」
「………」
滞空した状態で睨み合う中、黒い脳無の嘲るような声が響く。そして―
「そそれとも、撃うてないない…? だだとししたラ…じょ情報、ドど通り」
「情報通り…だと?」
俺の僅かに困惑した声を聞いた途端、黒い脳無はニヤリと悪趣味な笑みを浮かべてきた。
「おお、お前の“個性”。つ使えバ使うほど、体に熱篭もる。ね熱篭り過ぎたら、お前、タ戦えなくななる」
「………」
黒い脳無の言う通り…俺の“個性”は、超高温の炎を連続使用すると身体に熱が篭り、身体機能が低下していくという弱点がある。
若い頃、この弱点を克服しようと努力を重ねたが、どうしても克服には至らず…だから俺は、
それが、それだけが正しい道だと己に言い聞かせ、過ちから目を背け続けた。
「オお前、もうい要らない! 俺のツ強さの踏み台にななレ!」
直後、猛スピードで突っ込んで来る黒い脳無に対し、俺は全力で後退し、距離を確保する。だが、スピード・パワー共に負けている以上、その距離は徐々に詰められていく。
「シ死ね! ププチッとつつ潰れろ!」
そして、黒い脳無がその右手を高速で延伸させた直後―
「お前の敗因は、
俺は迫り来る右手を紙一重で避けながら、新たな技を発動する。その名は!
「陽炎熱拳…インビジブルバーン!!」
拳の一振りと共に放たれた
「ぎゃぁぁぁぁぁっ! オ、俺の! 俺のの目が、目ガぁぁぁっ!」
高い再生能力を持っていても、眼球を2つとも潰されてしまえば、平気な顔ではいられない。動きを止め、顔を抑えてのた打ち回る黒い脳無に、俺は肉薄。
「陽炎熱拳…ヒートブレイカー!」
その脳天を鷲掴みにして、もう1つの新必殺技を発動した。その直後―
「あぎゃ! グぇやあぁっ! の、のノ脳が…俺ノ脳ががヤ、や焼ける!」
破裂した眼球や焼け爛れた顔面の再生をも忘れ、苦悶の声を上げはじめる黒い脳無。そう、これこそが新必殺技…いや、新たに確立した技術『陽炎』の効果だ。
「誰に聞いたかは知らんが、俺の“個性”について良く調べていた。3ヶ月前の俺だったら、熱が篭り過ぎた体に鞭打って一か八かの大技を繰り出し、下手をすればお前に負けていただろう」
「だが、今はその3ヶ月後。体に篭った熱を集中し、一気に放出する技術『陽炎』を確立する事が出来た」
「ソ、そんなな…は話がチち違…」
「お前はパワーもスピードも俺より上。“個性”もいくつ持っているかわからん。だが、こうやって脳を直接攻撃してしまえば、関係はない!」
叫びと共に俺は体に篭る熱の全てを、黒い脳無の頭部に注ぎ込んでいく。やがて―
「ア…ぎゃ、ぐぐ…えぇ……」
黒い脳無は体を小刻みに震わせながら、口や鼻、耳…更には眼窩から煙を吐き出し…やがて、その動きを止めた。
「出来れば生け捕りにしたかったが…止むを得ん」
脳が丸焼きとなり、完全に活動を停止した黒い脳無を地面に投げ捨て、ゆっくりと地上へ降下していく。
「ご覧ください! 福岡の街に突如出現した改人脳無! それを撃破したのは、新たに
「今、地上に降り立ち、ゆっくりと右手を上げました! 勝利の! いえ!
地元テレビ局のアナウンサーがカメラに向かって叫ぶ中、俺は体に残る熱をゆっくりと放出していく。
『陽炎』を習得し、体に篭った熱を短時間で放出出来るようになったとはいえ、これで放出出来る熱量は全体の8割ほど。
残り2割の熱はこうやって時間をかけて放出しなければならない。即ち、『陽炎』は未だ未完成という事だ。
「まだまだ努力を重ねなければ…」
「十分過ぎるほど凄い技術だと思いますけど」
俺の呟きにそう答えながら飛来し、隣に並び立つホークス。
「デビュー戦。無事に終わりましたね。勝ってくれてありがとうございました…!」
「……50点だ。中盤までは向こうのペース。もっと上手い戦い方があった筈だ」
「でも、この勝ちは絶対…絶対にデカイ筈です。さぁ、怪我の治療に―」
「ちょーっと待ってくれよ。色々と想定外なんだが…」
ホークスの声を遮るように放たれた声に、俺とホークスは咄嗟に振り替える。そこには…
「まァとりあえず…初めましてかな? エンデヴァー」
最後までお読みいただき、ありがとうございました。