出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
お楽しみいただければ幸いです。


第49話:二大ヒーロー・福岡最大の決戦‐その3(終)‐

「お前が福岡(ここ)にいるのは、予定外だが…まぁ、いい」

 

 戦いを終えたばかりで幾らか消耗しているとはいえ、まだまだ戦える俺とホークスの2人を前にしながら、何ら臆する事無く近づいてくる荼毘。

 

「こんなに早く対面出来るとは…()()()()()()()()って、こういう事を言うんだろうな」

「スナッチを殺害した貴様が、日頃の行い云々など笑わせるな…(ヴィラン)連合、荼毘!」

「スナ? 誰だっけ?」

 

 荼毘()は、俺の怒りの声をそう受け流すと同時に、両手から放つ()()()で壁を作り、周囲と俺達を隔離。

 

「んな事より、少し話そうぜ? せっかくの機会だし」

 

 平然とした顔で、そう告げてきた。ふざけた事を…

 

「まさかとは思うけど…俺達2人を()()()()()()()つもりかい?」

 

 そう思ったのはホークスも同様のようだ。庇う様に俺の前に立ち、剛翼を剣のように構えながら、荼毘へそう問いかける。すると―

 

「おいおい、勘弁してくれよ。俺は話をしようって言ってるだけだぜ。そもそも、俺が勝てる筈ねぇだろ? トップ2相手に真っ向勝負で…」

 

 荼毘はまるで降参と言わんばかりに両手を上げながら、そう呟き…

 

「なんてなぁ!!」

 

 次の瞬間、真正面から突撃してきた。俺とホークスも迎え撃とうと構えを取る。

 

「でぇぇぇぇぃっ!!」

 

 だが、俺達と荼毘が激突する寸前、何者かが気合と共に道路を砕くほどの一撃を放ち、割って入ってきた。攻撃を仕掛けてきたのは―

 

「ニュース見て()()()()()ぜ!」

「面白ぇ事になってんな、エンデヴァー! ホークス!」

「てめェ連合だな! 蹴っ飛ばす!」

 

 ミルコか! 何処にいたのか知らないが、現場まで跳んで来るとは、相変わらず大した奴だ。

 

「ミサイル・パーティー! Fire!!」

 

 更に、気合と共に放たれたミサイルによって炎の壁が吹っ飛ばされ、『シンフォニック』の6人と、俺のサイドキック達が一斉に飛び込んできた。

 

「ミルコに『シンフォニック』…それにエンデヴァーのサイドキック達…多勢に無勢だな。ったく、これからがいいとこだったのに…」

 

 15人を超えるヒーローを前に、己の圧倒的な不利を悟った荼毘は、ゆっくりと構えを解き―

 

()()()()

「んぐぇっ…」

 

 何者かの名前を呟き、口から黒い液体を吹き出し始めた。あれは…神野区の時の!

 

「また今度な、No.1(ナンバーワン)ヒーローさんよ。また話せる機会があるだろう。その時まで…精々頑張れ、死ぬんじゃねぇぞ! 轟炎司!」

「お前を殺すのは、俺なんだからな!」

 

 黒い液体に全身を包まれながら、俺を睨みつけ、挑発的な言葉を残していく荼毘。その場にいた全員が荼毘を捕えようと飛び出す中―

 

「逃がすか! 言いたい事あんなら、今話してけ!」 

 

 一番近くにいたミルコが、荼毘を吹っ飛ばそうと全力の蹴りを放つが…紙一重の差で荼毘の姿は現場から消え失せてしまった。

 

「消えた…クソッ…臭っ!」

「これって、神野の時のアレじゃねえか?」

「あー…まぁ、とりあえずは……一件落着っぽいですね」

 

 足に付いた黒い液体の臭さに顔を顰めるミルコに苦笑しながら、ホークスが周囲の状況を確認し…事態が決着したと判断する。

 荼毘に逃げられたのは痛いが…死者を0に抑える事が出来た事を良しとしておこう。

 

 

ホークスside

 

 荼毘が姿を消し、周囲の安全が確認されたところで―

 

「連合ムカつくな! コスい手ばっかで! ちょっと探してくる!」

 

 ミルコは再び飛んで行ってしまった。 俺もエンデヴァーさん達と一旦別れ、博多から北九州へと移動。

 海岸沿いに立ち並ぶ倉庫、その一軒に降り立つと…

 

「色々話が違ってた」

「そうだっけ?」

「もっと仲良く出来ないかな。荼毘」

 

 先に到着し、潜んでいた荼毘へ剛翼を突き付けながら、そう詰め寄っていた。

 

「話し合いなんだからさ。そんな危ない物突き付けるなよ」

 

 喉元に剛翼を突き付けられながらもどこか余裕を漂わせる荼毘に内心舌打ちしつつ、俺は話を続ける。 

 

「嘘つきと丸腰で対峙するほど、俺は豪気じゃないんでね…それよりも()()()()()じゃ、明日。それも街中じゃなく、海沿いの工場だった筈だ」

「それにあの脳無。これまでのと明らかに次元が違ってた。そういうのは、予め言っといてほしいな」

「悪いね。気が変わったんだよ…だが、()()()()()()()()って予め言わなかったっけか?」

「それに話が違うと言うなら、そっちもそっちだぜ? ()()()()()()っていったろ。No.1(ナンバーワン)じゃテストにならねえ。程度ってもんを考えろよ」

No.1(ナンバーワン)にそれなりのダメージを与えられたし、新しい手の内も見る事が出来た。テストの結果としては上々だと思うけどね…とにかく、約束を破った覚えはない。反故にしたのはそっちだけだ」

「いきなりNo.2(ナンバーツー)を信用しろって方が無茶だぜ。今回はお前の()()()()()でもあった」

「何で今日のアレが、死者ゼロで済んでる? 敵連合(俺達)に共感して、協力願い出た男の行動とは思えねえや」

「こっちにも体裁ってもんがあるんだ。ヒーローとしての信用を失うわけにはいかない。信用が高い程、仕入れられる情報の質も上がる。あんたらの利益の為だ。もうちょい長い目で見れんかな」

「ふぅん…そういうもんか……」

「全ては(ヴィラン)連合の為を思うからこそだよ。荼毘」

「言い分は分かった。だが、ボスにはまだ会わせらんねえな……また連絡するよ、ホークス」

 

 そう言い残し、倉庫から出ていく荼毘。俺は荼毘の気配が消えるまでその場に残り…倉庫を後にした。

 

 

エンデヴァーside

 

「いやぁ、入院したって情報が入った時は驚きましたけど、大した事無いそうで安心しました」

「怪我の方は大した事ない。あくまでも検査入院だ」

 

 見舞いに駆け付けたホークスにそう答えながら、入院着姿の俺はベッドから起き上がり、病室に備え付けられた椅子に腰を下ろす。

 黒い脳無を撃破し、荼毘を退けた後、戦闘で少々ダメージを受けていた俺は、サイドキック達によって福岡で有数の規模を誇るこの病院に連れて行かれ…検査入院の名目で半ば無理やり入院させられてしまっていた。

 『No.1(ナンバーワン)になってから、ボスは殆ど休み無しでしたからね。良い機会なので、2、3日療養してください』

 ナックルコングの言葉に、サイドキックの誰もが頷いていたが…どうやら俺は、相当な仕事中毒(ワーカーホリック)だと思われているらしい。

 

「まぁ、黒い脳無があんな事になって、敵さんもすぐに次の手を打つ事は無いでしょうから…ゆっくり療養されてください」

「あぁ、休むからにはしっかりと休ませてもらう。色々と()()()()()()()()もあるからな」

「この病院は、医療設備はもちろんですけど、その他の設備も充実してますし、料理もかなりのレベルです。ホテルに滞在しているつもりで過ごすと良いですよ」

「そうか…」

「あ、あと、サイドキックの皆さんは、こっちで御持て成ししておきますから。良い店知ってるんで」

「すまんな。恩に着る」

「『エンデヴァーはそがん事言わん!』…でしたっけ?」

()くぞ、貴様…」

「冗談、冗談ですよ。それじゃ、また来ます」

 

 飄々とした態度のまま退室していくホークス。まったく、食えん奴だ…軽く溜息を吐きつつ、俺はリモコンを手に取り、TVを点ける。すると―

 

『昼に博多で発生したエンデヴァーと改人脳無の戦闘。No.1(ナンバーワン)ヒーローに対する評価は、賛否両論となっています』

 

 地元局のニュース番組が放送されていた。

 

『それなりに圧倒していたけど…やっぱり、オールマイトと比べると見劣りするっていうか…大丈夫なの彼?』

『連合の奴は結局逃がしちゃったんでしょ?』

『そもそも脳無ってもういっぱい捕まえてんでしょ? 少し強い個体だったみたいだけど、それを倒したくらいで自慢されても…ねぇ』

『このようにエンデヴァーの実力を不安視する声がある一方―』

『オールマイトはもうおらん! おらん象徴(もん)の尾っぽ引いて、勝手に不安になんなや! 勝手に失望すんなや! 今、俺らの為に体張っとる男は誰なんか、ちゃんと見ろや!』

『エッジショットファンだったんですけど、あんなんファンになるしかなくないスか!?』

『僕も炎系なんで、素直に喜ばしいですよ』

「あの時の少年か…なかなか言ってくれる」

 

 俺の力を不安視する声、応援してくれる声。聞こえてくる様々な声。全てを己への叱咤激励として、心に刻み付けていく。 

 家族に、あの少年に誓ったように最高のNo.1(ナンバーワン)となる為に…。

 

 

ホークスside

 

 病院を後にした俺は、エンデヴァーさんのサイドキック達と待ち合わせた場所に急ぎつつ…2ヶ月前を思い出していた。

 そう、あれはヒーロー公安委員会会長に呼び出されて、ヒーロー公安委員会本部に出頭した時の事だ。

 

「失礼しまーす。ホークス、お呼びにより出頭しました…って、アスカロンじゃないですか」

 

 会長室には、アスカロン(先客)がいた。

 

「久しぶりですね、ホークス。八面六臂の活躍、ヨーロッパでも話題になってますよ」

「大先輩にそう言われると面映いですね。個人的には、もう少し下の順位でノンビリやっていたいんですけど…そうだ、アスカロン。今からでも表舞台に出ませんか? 貴方の実力なら、ランキング上位なんですぐでしょう?」

「魅力的なお誘いですが、私の“個性”は大した物ではありませんし、戦い方も地味ですからね。とても一般受けはしませんよ。それに私が抜けてしまったから、外事第四課が大騒ぎになります」

「あー…それは残念」

「それでは、私はこれで。会長、例の件についてよろしくお願いします」

「わかりました。善処しましょう」

「ホークス、私が日本にいる間に一度飲みに行きましょう」

「是非とも」

 

 最後に飲む約束をして、アスカロンは退室。

 

「いやぁ、相変わらずアスカロンは隙が無い…奥さんはあの碧谷鸚鵡だし、息子さんと義理の弟さんはオールマイトの愛弟子。完璧超人とは彼みたいな人を言うんだろうなぁ」

「お喋りはそこまでです。本題に入りますよ」

 

 俺は会長から呼び出された理由を知る事となった。

 

(ヴィラン)連合に取り入れ。ホークス」

「は? ちょっと待ってください。意味が分からない」

 

 会長の側近から告げられた内容に、俺は本気で驚いた。

 

「そっちで捜索チーム組むんでしょ? グラントリノさんとかが」

「その件といい、先程のアスカロンの家族の事といい、どこで聞いた? どちらも公表していない話だ」

「おっと…」 

 

 慌てて口を塞ぐが、時既に遅し。会長達の目線が地味に痛い…。

 

「そういうところ、ホークス。貴方は目聡く、耳聡い」

「神野の戦いは拉致被害者の安否もあり、事を急いた。結果、情報が足りず相手の力を見誤った。闇組織を根絶する為には、多くの情報がいる」

「特にあの改造人間…オール・フォー・ワンの力だけで、()()()()()()()()…連合に関する全てを丸裸にしなければ、同じ過ちを繰り返す事になる」

「取り入る間奴らが出す被害は? 目を瞑れって?」

()()()()だと見込んでの頼みだ。名誉名声に頓着がなく、ただただ()()()()を見据え動く。君程適任な者はいないと考えている」

 

 適任…ねぇ。

 

「本当に必要なんですか?」

「だからこその提案よ。表と裏から追いつめる事で、確実に退路を断つ」

「提案! ()()()()ってわかった上で、そーゆー言い方するんだもんな。人が悪い」

「否定はしないわ。ホークス、神野区の戦いの時、貴方の都合がつかなかったのは幸いだった。全ては、この社会を維持する為…」

「わかりました。わかりましたよ。俺が穢れて皆が安心出来るようになるのなら、喜んで引き受けますよ」

 

 俺はそう言って会長に頭を下げ…今に至る。

 そう、俺はホークス。速すぎる男。ヒーローが暇を持て余す社会。必ず手に入れてやる。俺の最高速度で…

 

「あ、ホークスさーん!」

「おっと、着いたか」

 

 手を振りながら俺を呼ぶレゾナンスの声に、俺は考えを打ち切り、笑顔で駆け寄っていく。

 

「いやぁ、待たせちゃってごめんね。エンデヴァーさんのお見舞いの後、野暮用片付けてたら遅くなっちゃって」

「いえ、待ち合わせ10分前ですので、問題ありません」

「そう? それじゃあ、今夜は思いっきり楽しもうか。まずは、俺の知り合いがやってる店に案内するよ。ちっちゃな店だけど、料理の味と酒の品揃えはピカイチだから!」

「それと今日は俺の奢りだから、財布は鞄の奥に仕舞っときな!」

「ゴ、ゴチになります!」

 

 そう言ってレゾナンスが頭を下げたのに続いて、他の皆も頭を下げていく。俺は思わず笑いながら、店へ皆を案内する。さぁ、嫌な気分は飲んで忘れる事にしよう。 




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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