出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
少し短いですが、お楽しみいただければ幸いです。


第50話:夢での再会

ホークスside

 

 黒い脳無との戦いから3日が経ち、検査入院の名目で静養していたエンデヴァーさんは無事に退院。

 俺は病院から真っ直ぐ空港へ向かうエンデヴァーさんに同行し、色々と話をしていく。

 

「あの黒い脳無の事だが…()()()()()()()()()()()()。それも()()()()()()()()()()()()()だ。これは偶然だと思うか?」

「あー……No.1(ナンバーワン)No.2(ナンバーツー)が並んで駅前歩いていたら、嫌でも目立ちますからね。それがワンチャン狙っていた敵さんの目についた…ってのが妥当な所じゃないですか?」

 

 努めて冷静に、俺はエンデヴァーさんの問いかけに答えていく。(ヴィラン)連合と通じている事は極秘事項とはいえ…悲しくなるよ。

 

「たしかに、そう考えるのが妥当ではあるが…」

「あんまり考えたくないですけど…『脳無の噂』そのものが、ヒーローを誘き寄せて狩る為の()()()って可能性もありますね」

「あまり考えたくない可能性だ」

「同感です。まだ可能性の話ではありますが、(ヴィラン)連合捜索チームに連絡付けておいた方が良いでしょうね」

「あぁ…それからお前も気を付ける事だ」

「え?」

「今後も独自の捜査を続けるのであれば、黒い脳無(アレ)クラスが出てきても対抗出来るよう、協力を仰いだほうが良い」

 

 エンデヴァーさんの言葉に俺は胸が熱くなるのを感じるけど…

 

「『エンデヴァーはそんな気遣いせん!』…でしたっけ?」

「どうやら、本当に灼かれたいようだな…」

「嫌だなぁ、若者の他愛ないジョークじゃないですか」

 

 軽口を叩いて、誤魔化しておく。申し訳ないけれど、色々と気取られる訳にはいかない。

 

「明日には消耗した羽が生え揃うので、活動再開です。こっちはこっちで頑張ります」

「あぁ」

「エンデヴァーさんも休める時には休んでくださいよ。サイドキックの皆さん、本気で心配してましたから」

「……善処する」

 

 そんな事を話しているうちに、空港の保安検査場入口へ到着。俺はここまでだ。

 

「じゃあ、また」

「あぁ、色々と世話になった」

 

 保安検査場へ入っていくエンデヴァーさんを見送り、俺は空港を後にする。さて、この後どう行動するのが最善か…考えないとな。

 

 

ブロッサムside

 

 ボスが福岡からお戻りになった後、昼勤*1であった私はボスの依頼を受け、退勤後にボスの奥様と息子さん、娘さんが暮らすお宅へと足を運んでいた。要件はズバリ―

 

「こちら、ボスからお預かりした福岡のお土産になります」

 

 ボスから託された()()()()()()です。

 

「うわ、こんなにたくさん…すみません、ブロッサムさん。重かったでしょう?」

「いえ、日頃から鍛えてますので」

 

 手提げタイプの大きな紙袋一杯のお土産を前に、恐縮する冬美さん。

 彼女とは年齢が近い事もあり、私やビート、ルージュは一緒に女子会をするなど、親しくさせていただいている。

 

()()()()()()()は如何ですか?」

「快適ですよ。私の勤務先からは少し遠くなりましたけど、セキュリティは充実しているし、大学には近くなったから、弟もアパートを引き払って、一緒に暮らしてます」

「そうでしたか。それを知ったらボスも安心すると思います」

 

 下半期のヒーロービルボードチャートが発表される2週間前、ボスは所謂()()()()()()()()()()()()、奥様と離婚され…冬美さんと弟の夏雄さんは、奥様の旧姓である『氷叢(ひむら)』を名乗る事になった。

 唯一、轟姓を名乗る焦凍君も雄英の寮に入っており、現在ボスはあのお屋敷に1人で暮らされている。

 奥様とは、いつの日か再び一緒になる約束をされているそうだが…それがいつになるのかはわからない。だけど―

 

「私達も出来る限り、ボスの事は見ておりますのでご安心ください!」

 

 ボスがその道を選んだというのなら、私達サイドキックはその選択を尊重し、出来得る限りボスを支えるだけだ。

 

 

雷鳥side

 

「それでは、いただきます!」

「「「「「いただきます!」」」」」

 

 飯田の号令で、始まる夕食。メニューは―

 

・もつ鍋

・一口餃子

・蓮根の塩きんぴら

・だし巻き卵

・ごはん

 

 以上5品だ。もつ鍋と一口餃子は、エンデヴァーが事務所へ戻る途中、わざわざ立ち寄ってくださって、()()()()だと置いていかれたものだ。

 

「もつ鍋。噂に聞いたことはありましたが、実際に食べるのは初めてですわ」

 

 カセットコンロの上で煮込まれている土鍋から取り分けられた牛もつやキャベツ、ニラをまじまじと見つめながら呟く八百万。

 たしかに、もつ鍋はもともと肉体労働者の活力源として食べられていた料理だからな。八百万のようなお嬢様にしてみれば、一番縁遠い料理と言えるだろう。だが―

 

「こ、これは! プルプルとした食感と、脂の甘みがたまりませんわ!」

 

 美味い物に貴賎は無い。一口食べると、その味の虜となったようだ。

 

「うぉっ! この餃子美味い!」

「一口サイズで食べやすいのも良いね!」

 

 一口餃子も好評のようで、改めて福岡グルメのポテンシャルの高さを思い知る。前世でも福岡出張は楽しみだったな…

 そんな事を考えながら、俺ももつ鍋の味を堪能するのだった。

 

 

出久side

 

 夕食の後、皆とのお茶の時間を楽しんだ僕は部屋へと戻った訳だけど…

 

「ふわぁ…」

 

 ドアを閉じた途端、いつになく強い眠気に襲われ、そのままベッドへと倒れこんでしまった。そして次の瞬間―

 

「ッ!?」

 

 何も無い真っ暗な空間に立っていた。これは…神野区の時と同じ!?

 

「流石に2回目となると、そこまで驚かないかな?」

「よぅ! 俺の『黒鞭』、上手く使いこなしているみたいで、感心なのさ!」

「久しぶり、だね。緑谷出久…()()()()()()()

 

 僕の推測は、そんな声と共にオールマイトの師匠(7代目・志村菜奈さん)ラフな格好の男性(『黒鞭』の本来の持ち主)瘦身の男性(初代)が登場した事で正解だと証明された。

 3人の背後で僕を見つめている歴代継承者の皆さんも、神野区の時よりシルエットがハッキリしていて、5人のうち2人は殆ど風貌がわかるレベルだ。

 唯一オールマイトだけは、ぼんやりとした光で形作られたままだけど、これはきっとオールマイトがまだ生きているから…なんだろう。

 

「今日は、君に見てもらおうと思って、コンタクトを取ったんだ」

 

 初代の言葉と共に、周囲の光景が一気に切り替わる。目の前に映し出されたのは…

 

「何故抗うんだ? 僕と征こう。愚かで可愛い弟よ」

「間違っているからだ。許してはならないからだ。兄さんの全てを」

 

 黒いオーラを纏った男性と対峙する初代の姿。そうか、これは―

 

「初代とオール・フォー・ワン…」

「そう、見てもらうのは…ワン・フォー・オールの始まりだよ…」

 

 周囲に響く初代の声など一切御構い無しに、映し出された光景は進んでいく。

 僕は思わず音を立てて唾を飲み込みながら、目の前の光景を見つめ続けた。

*1
6時~14時の勤務




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回、新たな驚異・脳無:ハイエンド編最終回。
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